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アシモの行方
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平介が召喚したのはもちろん解析の得意なモンスター、ライブラリである。
「ライブラリ、アシモの魔力を探せる?」
ライブラリはボディである球を震わせ頷いた。すぐさま解析を始める。ライブラリの解析は速やかだった。アシモの足跡が青白く光って現れたのである。
「よし、これを追えば行けそうだな」
「ありがとう、ライブラリ」
平介に労られて、ライブラリは球を小刻みに震わせている。どうやら照れているらしい。その瞬間だった。ライブラリが光り出す。
「ライブラリ?」
「進化するんだね」
ホームズが悟ったように呟いた。ウインドウが表示される。
【ライブラリはアナリスタに進化した】と。
アナリスタは人間の女性の姿をしていた。雰囲気はライブラリの時とあまり変わらない。どうやら変わらず物静かな性格らしい。
「アナリスタ、よろしくね」
「主、よろしくお願いします」
アナリスタにそう声を掛けられて、平介は感激したらしい。ぎゅっとアナリスタに抱き着いた。アナリスタも冷静に平介(クランニ)の背中を撫でている。
「よし、行くか!」
「はい!」
一行は足跡を追って進んだ。その足跡は山道に続いている。所々に人らしき足跡も残っている。
「どうも犯人は人間みたいだな」
「ですね。許せません。可愛いアシモを!」
平介が怒りに震えている。そんな中、エマが叫んだ。
「あれ、アシモじゃない?」
「え?」
航たちが駆け寄ると怪我をして弱ったアシモだった。ふかふかの黄色い羽毛に包まれた可愛らしいモンスターである。
「足が折れてる…」
「とにかく添え木をしましょう」
ホームズと平介(クランニ)が素早くアシモの怪我の処置を行う中、航とエマは先に続く足跡を探っていた。
「ね、ワタルくん。あれ見える?」
エマに山の頂上付近を指差され、航は目を凝らした。なにか建物があるのが見える。
「あそこに何かありそうなの」
「そうだな、人間なら多分、金が目的だろうし、アシモをどこかで誰かに引き渡すはずだ」
「悪しきは罰さないとだよね!」
「でもどうする?普通に歩いてたらその引き渡しにとても間に合わないぞ?」
エマが軽やかに笑った。
「ワタルくん、ラシカーンで魔法の絨毯買ったのもう忘れちゃったの?」
「そういや、あったな!」
航はアイテム欄から魔法の絨毯を取り出した。かなり大きな代物だが軽い。
「アシモを乗せるぞ!手伝ってくれ!」
「はい!」
航たちは絨毯にアシモを乗せることに成功していた。
「よし、皆も乗るんだ!行くぞ!」
絨毯はぐいぐいとスピードを出す。
迫りくる木々の間を器用にすり抜け、とうとう頂上付近に到着していた。建物に近付くと、何かがいる気配がする。何が出てきても構わないように慎重に表側に回る。航がドアを蹴破ると、首を繋がれたアシモたちがいた。皆切なげに鳴いている。
「アシモ!良かった!!」
「平介、まだだ」
「はい」
航たちは身構えた。
「ライブラリ、アシモの魔力を探せる?」
ライブラリはボディである球を震わせ頷いた。すぐさま解析を始める。ライブラリの解析は速やかだった。アシモの足跡が青白く光って現れたのである。
「よし、これを追えば行けそうだな」
「ありがとう、ライブラリ」
平介に労られて、ライブラリは球を小刻みに震わせている。どうやら照れているらしい。その瞬間だった。ライブラリが光り出す。
「ライブラリ?」
「進化するんだね」
ホームズが悟ったように呟いた。ウインドウが表示される。
【ライブラリはアナリスタに進化した】と。
アナリスタは人間の女性の姿をしていた。雰囲気はライブラリの時とあまり変わらない。どうやら変わらず物静かな性格らしい。
「アナリスタ、よろしくね」
「主、よろしくお願いします」
アナリスタにそう声を掛けられて、平介は感激したらしい。ぎゅっとアナリスタに抱き着いた。アナリスタも冷静に平介(クランニ)の背中を撫でている。
「よし、行くか!」
「はい!」
一行は足跡を追って進んだ。その足跡は山道に続いている。所々に人らしき足跡も残っている。
「どうも犯人は人間みたいだな」
「ですね。許せません。可愛いアシモを!」
平介が怒りに震えている。そんな中、エマが叫んだ。
「あれ、アシモじゃない?」
「え?」
航たちが駆け寄ると怪我をして弱ったアシモだった。ふかふかの黄色い羽毛に包まれた可愛らしいモンスターである。
「足が折れてる…」
「とにかく添え木をしましょう」
ホームズと平介(クランニ)が素早くアシモの怪我の処置を行う中、航とエマは先に続く足跡を探っていた。
「ね、ワタルくん。あれ見える?」
エマに山の頂上付近を指差され、航は目を凝らした。なにか建物があるのが見える。
「あそこに何かありそうなの」
「そうだな、人間なら多分、金が目的だろうし、アシモをどこかで誰かに引き渡すはずだ」
「悪しきは罰さないとだよね!」
「でもどうする?普通に歩いてたらその引き渡しにとても間に合わないぞ?」
エマが軽やかに笑った。
「ワタルくん、ラシカーンで魔法の絨毯買ったのもう忘れちゃったの?」
「そういや、あったな!」
航はアイテム欄から魔法の絨毯を取り出した。かなり大きな代物だが軽い。
「アシモを乗せるぞ!手伝ってくれ!」
「はい!」
航たちは絨毯にアシモを乗せることに成功していた。
「よし、皆も乗るんだ!行くぞ!」
絨毯はぐいぐいとスピードを出す。
迫りくる木々の間を器用にすり抜け、とうとう頂上付近に到着していた。建物に近付くと、何かがいる気配がする。何が出てきても構わないように慎重に表側に回る。航がドアを蹴破ると、首を繋がれたアシモたちがいた。皆切なげに鳴いている。
「アシモ!良かった!!」
「平介、まだだ」
「はい」
航たちは身構えた。
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