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ダンジョン破壊班
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家の中は思っていたより質素な造りだった。
でも大きな暖炉が部屋の中央にあって暖かい。
ぱちぱちと火がはぜる音がする。
やっぱり山の上は、気温が低いんだろう。
知らないうちに体が冷えていたようだ。
ドラゴンの家といっても、彼等と僕達人間に、ほとんど差はない。
だから僕にクーを育てることができたんだ。
クーのお母さんはお茶とお菓子を僕達に振る舞ってくれた。
お茶がほんのり甘いし、だんだん体がポカポカしてきた。
「お菓子美味しい」
一口食べたらすごく美味しかった。
ふんわりとした生地にまろやかで甘いクリームがたっぷり挟まっている。
なんだかおしゃれだ。
「ワッフルっていうんですよ」
「へえ」
「クー、もう一個食べたいー」
「半分あげるよ」
僕はクーにワッフルを割って差し出した。
「いつか、ありがとう」
「どういたしまして」
その様子をお母さんはじっと見ている。
「逸花様は本当にクーの母親ですわ。私ではだめですね」
彼女にはクーを育てられない事情があったし、クーもそれは承知している。
「お母さん、クーには二人のお母さんがいるんだよ」
「クー」
彼女が泣きだしてしまう。
「クー、私達がダンジョンを壊している間、ここにいて?お母さんを守ってあげて」
「わかった」
クーが力強く頷いてくれる。
「そろそろ行きましょうか、皆さん」
僕たちはダンジョンが現れたという元・ドラゴン村に向かった。
その途中、何度か魔物に遭遇した。
彼らは僕達を見ると必ず襲いかかってくる。
僕は後衛にいるだけなのに、だんだん疲れてきた。
村が心配だ。
「逸花様、もうすぐですじゃ」
「よかった」
そこにはがれきの山があった。あちこちに散らばっている。
これは。
雨で流されたもともと家だったものだろう。
これでは復興する気力が削がれるのも無理はない。
ドラゴンたちが諦めて村を捨てるのもわかる。
そして、ダンジョンはここから確認できるだけで五ヶ所もある。
また魔物が飛びかかってきた。
僕は端末を取り出した。
なるべく早く壊そう、それしかない。
魔物と戦い続けるのには限界がある。
「危ない!逸花!」
僕の体を掴む鋭い爪。いつの間にか僕は空にいた。
捕まっちゃった?
「お姉ちゃんを離せ!」
ルビーが炎の槍を投げる。
それは頭上の魔物に命中したようだ。
魔物が焼ける匂いがする。
僕はスキル【飛行】を新しく得ていた。
地面にゆっくり降り立つ。
「逸花!頼む!」
「うん!」
端末でダンジョンを1箇所壊す。
ダンジョン作成スキルがこんなふうに役立つなんて。
それから苦戦を強いられながらも、僕たちは確実にダンジョンを破壊していった。
「逸花!」
「うん!」
最後のダンジョンを破壊する。
こうして、すべてのダンジョンを壊すことに成功した。
ダンジョンは破壊されると何も残らないらしい。
村の復興の邪魔にならなくてよかった。
あとはがれきがなんとかなれば。
なにか使えるスキルがあればなあ。
そう思って自分のスキルを見てみる。
ん?【召喚】ってなんだ?
僕はそれを発動してみることにした。
魔法陣が現れる。
大きな影、ゴーレムだ!
「グオオオオ」
両腕を振り上げたゴーレムは咆哮を上げた。
「お願い、がれきをどけるの手伝って」
「オウ」
ゴーレムはこくりと頷くと作業を始めてくれた。
召喚便利だなあ。
僕も小さいがれきを拾って一か所に集める。
いつの間にかみんなで作業していた。
赤い光が村に差し込んでくる。
もう夕方だった。
作業は完全には終わらなかったけど、少し見通しが付いた。
「逸花様、片付けまでやってもらってしまって申し訳ない」
クロさんが言う。
「僕たちにできることはわずかですが、またお手伝いさせてください」
「あたいらもやるぜ」
「わたくし達、ご近所さんですもの」
「ありがとう」
ルビーとサファイアがそう言ってくれるとすごく頼もしい。
ゴーレムは召喚を解除すると消えた。
これでいつでも呼べるのかな。
「逸花、なにか聞こえないか?」
トキが言う。
「え?」
それは歌だった。迷宮の歌姫?
「またダンジョンが現れるのか?」
僕も気配を探る。でも変わった様子はなかった。
「もう日が暮れます。
村に戻りましょう」
クロさんの言葉に僕達は従った。
でも大きな暖炉が部屋の中央にあって暖かい。
ぱちぱちと火がはぜる音がする。
やっぱり山の上は、気温が低いんだろう。
知らないうちに体が冷えていたようだ。
ドラゴンの家といっても、彼等と僕達人間に、ほとんど差はない。
だから僕にクーを育てることができたんだ。
クーのお母さんはお茶とお菓子を僕達に振る舞ってくれた。
お茶がほんのり甘いし、だんだん体がポカポカしてきた。
「お菓子美味しい」
一口食べたらすごく美味しかった。
ふんわりとした生地にまろやかで甘いクリームがたっぷり挟まっている。
なんだかおしゃれだ。
「ワッフルっていうんですよ」
「へえ」
「クー、もう一個食べたいー」
「半分あげるよ」
僕はクーにワッフルを割って差し出した。
「いつか、ありがとう」
「どういたしまして」
その様子をお母さんはじっと見ている。
「逸花様は本当にクーの母親ですわ。私ではだめですね」
彼女にはクーを育てられない事情があったし、クーもそれは承知している。
「お母さん、クーには二人のお母さんがいるんだよ」
「クー」
彼女が泣きだしてしまう。
「クー、私達がダンジョンを壊している間、ここにいて?お母さんを守ってあげて」
「わかった」
クーが力強く頷いてくれる。
「そろそろ行きましょうか、皆さん」
僕たちはダンジョンが現れたという元・ドラゴン村に向かった。
その途中、何度か魔物に遭遇した。
彼らは僕達を見ると必ず襲いかかってくる。
僕は後衛にいるだけなのに、だんだん疲れてきた。
村が心配だ。
「逸花様、もうすぐですじゃ」
「よかった」
そこにはがれきの山があった。あちこちに散らばっている。
これは。
雨で流されたもともと家だったものだろう。
これでは復興する気力が削がれるのも無理はない。
ドラゴンたちが諦めて村を捨てるのもわかる。
そして、ダンジョンはここから確認できるだけで五ヶ所もある。
また魔物が飛びかかってきた。
僕は端末を取り出した。
なるべく早く壊そう、それしかない。
魔物と戦い続けるのには限界がある。
「危ない!逸花!」
僕の体を掴む鋭い爪。いつの間にか僕は空にいた。
捕まっちゃった?
「お姉ちゃんを離せ!」
ルビーが炎の槍を投げる。
それは頭上の魔物に命中したようだ。
魔物が焼ける匂いがする。
僕はスキル【飛行】を新しく得ていた。
地面にゆっくり降り立つ。
「逸花!頼む!」
「うん!」
端末でダンジョンを1箇所壊す。
ダンジョン作成スキルがこんなふうに役立つなんて。
それから苦戦を強いられながらも、僕たちは確実にダンジョンを破壊していった。
「逸花!」
「うん!」
最後のダンジョンを破壊する。
こうして、すべてのダンジョンを壊すことに成功した。
ダンジョンは破壊されると何も残らないらしい。
村の復興の邪魔にならなくてよかった。
あとはがれきがなんとかなれば。
なにか使えるスキルがあればなあ。
そう思って自分のスキルを見てみる。
ん?【召喚】ってなんだ?
僕はそれを発動してみることにした。
魔法陣が現れる。
大きな影、ゴーレムだ!
「グオオオオ」
両腕を振り上げたゴーレムは咆哮を上げた。
「お願い、がれきをどけるの手伝って」
「オウ」
ゴーレムはこくりと頷くと作業を始めてくれた。
召喚便利だなあ。
僕も小さいがれきを拾って一か所に集める。
いつの間にかみんなで作業していた。
赤い光が村に差し込んでくる。
もう夕方だった。
作業は完全には終わらなかったけど、少し見通しが付いた。
「逸花様、片付けまでやってもらってしまって申し訳ない」
クロさんが言う。
「僕たちにできることはわずかですが、またお手伝いさせてください」
「あたいらもやるぜ」
「わたくし達、ご近所さんですもの」
「ありがとう」
ルビーとサファイアがそう言ってくれるとすごく頼もしい。
ゴーレムは召喚を解除すると消えた。
これでいつでも呼べるのかな。
「逸花、なにか聞こえないか?」
トキが言う。
「え?」
それは歌だった。迷宮の歌姫?
「またダンジョンが現れるのか?」
僕も気配を探る。でも変わった様子はなかった。
「もう日が暮れます。
村に戻りましょう」
クロさんの言葉に僕達は従った。
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