フツメン高校生から超絶美人なお姫様に転生して国を開拓する話

はやしかわともえ

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復興のお手伝い

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僕達が帰ると、クーが飛びついてきた。

「お帰り!いつか!」

「ただいま、クー」

「クーね、晩ご飯の用意お手伝いしたよ」

「そうなんだ、ありがとう」

クーはどんどんできることが増えているなあ。
クーにぐいと腕を引っ張られる。

「いつか、みてみて!はやくはやく」

それは大きなボウルに入ったサラダだった。
赤や黄色、そして鮮やかな緑、いろいろな野菜が入っている。

「わあ、美味しそう」

「クーが混ぜたんだよ!」

クーがぴょんぴょん跳ねながら言うのが可愛くて、僕はほっこりした気持ちになった。
クーがお母さんとも仲良くなれたなら、なおいいんだけど。

それからみんなで晩ご飯をご馳走になった。

うさぎの肉でできたシチューはとても美味しかった。
途中でクーのお父さんも帰ってきて一緒にお茶を飲んだ。
彼は人間に扮して仕事に行っているらしい。

「逸花様、なにからなにまで」

クロさんが頭を下げるので慌てて止めた。

「やめてください。まだこれからです」

「その通りじゃ。我々の村をなんとか復興させよう」

クロさんの言葉に僕たちは頷いた。


夜、僕たちはここに泊まることになった。
ルビーとサファイアは仕事があるらしい、【調合】のスキルで作った移動玉を渡した。

「逸花、俺と同じ部屋で大丈夫か?」

隣に座るトキが心配そうに言う。
僕も少し恥ずかしかったけど、トキとちゃんと話したかった。
クーはもう寝てしまっている。

「私は大丈夫。心配なのはクーのこと」

「ん?なんで心配なんだ?」

「クーはここで暮らすべきなのかなって」

「逸花」

ぎゅうと後ろから抱きしめられる。

「クーはお前のそばにいたいんだよ。俺と同じだ」

「トキ様」


顎を掴まれてキスされる。

「逸花、もうすぐ誕生日だな」

「うん」

忙しくてすっかり忘れていた。

「俺は誕生日じゃないけど、お前が欲しいよ」

「!」

トキの言葉をなんとなく理解して恥ずかしくなる。
でも嫌じゃなかった。

「逸花、欲しい時は欲しいって言っていいんだぞ」

「わかった」

トキはずっとまっすぐ僕を見てくれる。

「トキ様、ありがとう」

僕が彼に抱き付くと、トキも抱き返してくれた。
クーやトキとずっと一緒に暮らしたい。
それが僕の希望なんだけど。


次の日も村で片づけを手伝った。
がれきは少しずつなくなってきている。
問題としていたがれきの処理は僕のスキルで召喚した魔リスという魔物の餌になった。
魔リスは、住宅を造る際に重宝する。
彼らは器用にあらゆる飾りを完成させてしまう。大工さん顔負けだ。

「お昼にしましょう!」

「いつかー!」

クーたちがやって来る。

シートを敷いてお昼を食べ始めた。

「わあ、美味しい!」

シズクが一口食べて声をあげる。玄米のおにぎりだ。持ってみると少し硬い。

「クーも食べるー」

「待ってね」

笹の葉でくるまれたおにぎりをクーに渡すと大きな口でそれを頬張った。
リスみたいだ。可笑しい。

「おいひい」

「よかった」

クーのお母さんもほっとしたようだ。
僕も食べてみる。
歯ごたえがあって美味しい。
つけものも食べてみる。
塩気があってますますおにぎりが進む。

「逸花様、今お茶を」

「ここでなにやってんだ」

僕は振り返った。男の人がざっと10人。ドラゴンだろうか。

「人間をこんなところに入れてどういうつもりだ?」

「違うんです」

クーのお母さんが立ち上がって言う。

「彼らは私達の村を助けてくれました」

その言葉に彼らはどよめいた。

「祠がなくなっているぞ」

「本当だ」

「がれきもなくなっている」

クーが突然がばりと立ち上がった。

「クーたち悪い子じゃないもん!お母さんをいじめないで!」

「クーフェリア様?」

「たまごは盗まれたんじゃ?」


「皆の者、静まるのじゃ。訳を話そう」

それからクロさんに僕達は紹介された。
そのあと結局みんなで宴になってしまった。
村の復興をこれから頑張るというお題目でだ。

「クー様はクーフェリア様そっくりですな」

「くーふぇりあって誰ー?」

クーもいつの間にかドラゴン達になじんでいる。
僕も気になったので彼に聞いてみた。

「誰なのか教えてください」

「ああ、クー様のひいおばあ様ですよ」

「おばあちゃん?いつかみたいにクーにもおばあちゃんがいるの?」

クーはそれがよほど嬉しかったらしい。
何度も繰り返し聞いていた。

「クー、お兄さん困ってるよ」

「はあーい」

がれきは魔リスの力によってほとんどなくなった。
満腹になっている彼らの召喚を解除する。

「あとは我々だけでも大丈夫です。逸花様、本当にありがとうございます」

「よかったです。またなにかあればクーに伝えてください」

「わかりました」

次の日僕達は泰に帰ることにした。

「お母さん、また来るね!」

クーはいつまでもお母さんたちに手を振っていた。



「いつか、今日お誕生日だね」

にっこりとクーが言う。

「よく覚えていたね」

驚いて聞き返すとクーは得意そうに笑った。

「クー、プレゼントあるよ」

「え?」

クーが差し出してきたのはポプリだった。それはとても可愛らしかった。

「ドラゴンの村でしか咲いていないハーブでできたポプリだよ。お母さんが縫ってくれたの。逸花に種もあげる」

「わあ、すごい。ありがとう、クー」

「ふふ」

クーの気持ちが嬉しかった。
泰に帰るともう夜中だった。
みんなはもう寝ているらしい、すごく静かだった。

「いつか、みて!」

食堂でクーが騒いでいる。どうしたんだろう?
食堂は綺麗に飾り付けがされていた。お誕生日おめでとうの文字が飛び交っている。
すごく嬉しかった。

次の日、僕はみんなにお祝いをしてもらった。
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