フツメン高校生から超絶美人なお姫様に転生して国を開拓する話

はやしかわともえ

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幸せになりたかった

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僕は雪を踏みしめながら前へ歩いていた。
なにより寒いし、手袋をしているのに、手がものすごく冷たい。
耳は冷たくなりすぎて痛かった。

「トキ、クー」

二人の名前を呼んで自分を励ます。
僕はここで死ぬわけにはいかなかった。
お母さんをあんなに泣かせて、傷付けたんだから、今度こそ生きてみせる。

ふと、歌が聞こえた。
それはあの子守唄だった。
僕はそちらに向かった。
彼女の歌声が泣いているようだったから。

歩いているうちにわかったことだけど、ここはダンジョンの中のようだった。
ダンジョンはもともと、人間が入れるように作られたものだとなにかの文献で読んだ。
それは、神に祈りを捧げるために行う試練のようなもの。
僕は壁をつたいながら歌声が聞こえてくる方角を探した。
そして。
ようやく歌声の主がいる部屋に辿り着いた。
歌は止まない。
僕を呼んでいるのかな。

【いつか きたのね】

彼女の声が頭に響く。
彼女は人間ではないようだった。
青い透き通った肌にしろい瞳。

「君は誰?」

【わたしはアクア。いつかを守るためにいるの】

僕を守るために?
彼女に敵意は感じられない。
僕は彼女に近付いた。

【いつかをまもるためにうまれたかった。
でもわたしはうまれなかった】

「アクア、君は?」

【ほんとうなら、いつかの守護精霊としてうまれるはずだった。でもあなたの祖父、義一に邪魔されたわ】

「おじいさまが」

【義一は知っていた。あなたが転生した特別な存在であることを。
それを彼は許せなかった】

だからおじいちゃんは僕に強く当たったのか。

【わたしは復讐に駆られている。
ダンジョンを産み出している。呪いを世界中にかけてしまう。わたしもいつかのそばにいたかった!】

アクアは苦しんでいるようだ。

「アクア、もう苦しまなくていいよ。僕の中に入りなよ」

【いつか?何を言って?】

僕はアクアを抱きしめた。
僕はずっと僕の中にいる逸花をうかがっていた。
彼女を大切にしたかったから。
違う、命をまた手に入れるのが怖かったんだ。

でも逸花はまぎれもない僕自身だった。

「僕は逸花。もう逸也じゃない」

【いつか!】

アクアは僕の中に入っていった。
新しいスキルが加わる。
それは【浄化】だった。
僕はそのスキルを発動させた。

お願い。みんな、元に戻って。
僕の大好きな世界になって。

ダンジョンが消えていく。あれだけ積もっていた雪もとけてなくなっていく。

「いつかー!!!」

向こうから飛んでくるのはクーだった。
トキのバイクも見える。

「おーい!」

僕は手を振って自分の居場所を知らせた。
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