せっかく転生したので思いきってブランド起業してみました!

はやしかわともえ

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打ち上げ

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僕たちは異次元飛躍装置でライアにやって来ている。イベント中、イブ社長からメールが来て、夕飯に誘われたのだ。元々打ち上げをするつもりでいたので、そのことを伝えたら、イブ社長がご馳走すると言ってくれた。お店も予約してくれる、とのことだったので、楽しみだった。ライアに着くと、すぐにお迎えの車がやって来て、僕たちをピックアップしてくれた。やっぱり大都市だ。恐ろしいまでに。ネオンが眩しい。
お店の中に入るといい匂いがする。この匂いは!

「焼肉じゃないか!」

レイチェルが嬉しそうな声を上げる。奥の個室に通されるとイブ社長がいた。

「お疲れ様、みんな。茜、ちゃんと出来たか?」

「イブもお疲れ様。俺、どうだった?マオレイさん」

茜さんに問われて僕は頷いた。

「はい、茜さんは誘導も上手で助かりました」

良かったとイブ社長と茜さんがホッとしたように笑う。さあ食べようということになり、僕たちは席に着いた。

「通販、来週には始まりますよ」

「わぁ、嬉しいです」

次元が違ってもメールや通販で買った商品はちゃんと届く。今まで深く考えたことはなかったけれど、それってすごいことだ。通信技術と物流に関して、僕は知っておかなければいけない。

「おぉ、美味い」

レイチェルが珍しく美味しいと言いながらお肉を食べている。この人はとにかく舌が肥えているのだった。ずっと大事にされてきたから余計だろう。イブ社長は端末を操作していた。仕事のメールかな。

「マオレイさん、今日エライブから声を掛けられたでしょう?」

ん?と僕は固まった。そういえば。
僕は今日もらった名刺を取り出した。よく見ると、エライブ広報、ノース・ザエギフと書かれている。あのスーツの女性か。

「イブ社長、お知り合いなんですか?」

「エライブはウチの取引先だから」

「へえ」

何を取引しているんだろう?と思っていたら、イブ社長が何かを取り出す。それは鳥の形のキーホルダーだ。素敵なデザインに僕は見惚れた。

「エライブには、ふくにゃんのグッズを頼んでいるんだ」

「え!それなのにローズキャットとコラボなんて!」

僕がエライブさんに宣戦布告をしてしまったんじゃ…とビクビクしていると、イブ社長は首を横に振る。

「いや、エライブからオススメしてきて」

「え?」

どうやらイブ社長が言うには、エライブさんがローズキャットを目に留めてくれたらしい。そして実力を測るために、コラボを勧めてきたのだそうだ。

「エライブはいいデザイナーを常に欲しがっているからマオレイさんも繋がりを持っておいて損はないと思うよ」

イブ社長の言うことは最もだ。

「ねぇイブ。明日はふくにゃんのリニューアルオープンの日なんだよ?」

茜さんが甘えるように言う。

「あぁ、マオレイさんもよろしくお願いします」

「はい」

明日僕は戦場に行くのだ。死地にするつもりはないんだけどね。
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