気になるあのこは宇宙人?!

はやしかわともえ

文字の大きさ
11 / 22
2

気になるあいつ

しおりを挟む
「わー、宿題わかんないー!!」

「それ教科書に例題載ってたやつじゃん」

「あれ、ホントだ」

俺は呆れてため息をついた。
4月になって、俺は無事高校生になった。
隣りに座っている本田カナタと同じ学校だ。
俺はずっとこいつが好きだ。
でも、ずっとそのことは黙っている。

だってカナタは男だ。
絶対受け入れてもらえない。
だからせめて友達というポジションを死守しようと思っている。

「倉沢、飽きた、お腹すいた」

「お前なぁ!」

今、カナタの家に遊びに来ている。
高校に入ってすぐに力試しのテストがあると聞いて慌てて勉強しに来たんだ。
勉強するのは主にカナタだけど。
こいつは本当ゆるいというか、ほわんとしているのでなんだか放っておけない。
よく高校生になれたと思う。
まぁ俺がヤマを張ってやって、それが的中しただけだ。
ラッキーだった。

「カナタ、あと五問解け。
そしたら休憩していい、でも五分な」

「え、倉沢、鬼?」

カナタを睨むと慌てて問題を解き始めた。
こいつ、やればできるのにやらないんだよな。
もったいないな、って毎回思う。
でも俺が言っても本気には受け取らない。
倉沢は僕を買い被ってる、なんて怒り始めるのが関の山だ。
俺は知らず知らずため息をついていた。

「倉沢、なんかあった?」

「お前に呆れてんの!
早く解けよ!」

「はーい」

カナタはまたノートに向き直る。
俺も復習くらいはしとこうと教科書を開いた。





「ふー!おわったー!」

「終わってねえから、夜は一人でやれよ」

「わかったよー!」

帰り際、こんなことを言い合う。
こいつは本当にわかってんのか?
カナタをじ、と見ると、カナタも俺を見上げてくる。このアングルは悪くないかもしれない。

「倉沢ー!ほらほら笑ってー」

カナタは俺の両頬をつまんで持ち上げた。
どこまでもこいつは。
カナタの好きなようにさせておいた。
カナタは俺の反応が意外だったのか首を傾げて
にや、と笑った。

「倉沢、怒らないんだねー」

「俺が怒ったらどうするつもりなんだ?」

カナタは途端に真面目な顔をする。

「倉沢が嫌がることはしないよー」

そんなことを言う。
お前、わかって言ってんのかよ。
そうゆうところに毎回やられてるってのに。
俺は悔し紛れに舌打ちした。
カナタは分かっているのかニヤニヤしている。
全く、こいつには振り回されてばっかりだ。

カナタに見送られて、俺は帰った。
俺の家はカナタの家から20分くらいかかる。
今となっては自転車で通学ができるけれど、小学生の頃は苦痛でしょうがなかった。

でもカナタがいたから毎日通えた。
カナタの母さんも俺にとてもよくしてくれて、おやつや夕飯を当たり前のように振る舞ってもらった。

ピコン、とスマホが鳴る。
何事かと思えばカナタからのメッセージだった。

(倉沢、忘れ物!)

そう書いてある。
今から引き返すのは少し面倒くさい。
明日取りにいく、と俺は返信した。
でもまたメッセージが届く。
なんだろう?

(そこにいて!)

俺はカナタの言うとおりにした。
しばらく待っていると、小さな光が近付いてくる。自転車のライトだろう。
カナタだ。

「倉沢!おまたせ!」

カナタはやってきて自転車を停めると俺に駆け寄ってきた。

「倉沢、教科書忘れてる!
あと、これ」

カナタが渡してきたもの。
それはピンクの封筒だった。
倉沢くんへ、と書いてある。


「ごめん、教科書に挟まっててさ、見つけちゃった」

「なんでお前が謝るんだよ?」

カナタは困ったように笑ってこう言う。

「多分本当に倉沢が好きで、倉沢に最初に見つけてもらいたかっただろうからさ」

お前は本当に優しいよな。
俺はカナタの頭を撫でた。
カナタは笑う。

「ありがとうな」

お前のこと、本当に大好きだよ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。 漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。 陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。 漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。 漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。 養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。 陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。 漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。 仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。 沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。 日本の漁師の多くがこの形態なのだ。 沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。 遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。 内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。 漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。 出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。 休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。 個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。 漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。 専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。 資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。 漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。 食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。 地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。 この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。 もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。 翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。 この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている

キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。 今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。 魔法と剣が支配するリオセルト大陸。 平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。 過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。 すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。 ――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。 切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。 全8話 お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c

同居人の距離感がなんかおかしい

さくら優
BL
ひょんなことから会社の同期の家に居候することになった昂輝。でも待って!こいつなんか、距離感がおかしい!

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

処理中です...