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第一章 初めての北海道
これがあの時計台?
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翌朝私たちは函館から札幌に向けて走り出した。函館の市街地を抜けるともう牧場が現れた。「先生、牧場が見える!」「やっぱり北海道といえば牧場だよね。」どこまでも真っ直ぐな道路の両脇に果てしなく広がる牧場。これこそ北海道の北海道たる景色。真っ直ぐな道で周りに何も無いと、ついついスピードが上がってしまう。それでも,周りの景色は全然変わらない。メーターの針は100を指しているのに、まるで同じところに留まっているような錯覚をしてしまうくらい景色が変わらない。
1時間近く走ってようやく地平線に起伏が現れた。その起伏はどんどん明確になって来て、やがてそれが山であることがわかった。どうやら、私たちは大沼国定公園に入ったようだ。ということは、目の前の山は駒ヶ岳。
大沼国定公園の駐車場にクルマをとめて少し辺りを散策することにした。沼のはるかむこうに駒ヶ岳が見える。「先生、私来て良かった!」と紫野が言った。雄大な北海道の景色を少しだけではあったが、楽しんで先を急ぐことにした。
駒ヶ岳の横を通り、さらに国道5号線を先に進めていく。ここからしばらく海沿いの道を2時間程走ると長万部町に着いた。道路脇にトウモロコシの直売所が目立って来た。「少し疲れたからトウモロコシでも食べようか?」と提案すると「私、トウモロコシ大好きです。」と返って来た。一件のお店にクルマを入れて、焼きたてのトウモロコシにかじりついた。「甘い!」「本当だね!」「こんな美味しいトウモロコシ食べたの初めてです!」「そだねー!!」眠気も覚めて再び出発。そこから内陸に向かって1時間程走ると蝦夷富士と呼ばれる「羊蹄山」が見えて来た。「先生、あの富士山みたいな山は何ですか?」「あれは羊蹄山だよ。綺麗な円錐形をしているので蝦夷富士とも呼ばれているんだよ。標高は1898mだって。」「北海道って山も多いんですね。」と紫野が言った。
ここまで来れば札幌は近い。明るいうちに見たいものがあったので、倶知安から山道を抜けて札幌に向かうことにした。原生林の中を通るカーブの多い道はすれ違うクルマが一台もない。キープレフトを意識しながらもついつい運転はラリーの練習のようになってしまう。隣の紫野のためにスピードをセイブしつつも軽快に走り抜ける運転に紫野も楽しそうにしていた。すると約100m前方に動くものが見えた、すぐにスピードを落として確認すると、鹿だ!しかもかなり大きい。「先生、鹿です!」紫野も気づいた。立派な角を持つオスの後をやや小ぶりのメスが続いて道路を横切って行く。その堂々たる姿に畏敬の念を抱きながら、私たちはクルマを止めて見入ってしまった。「自然の中の鹿って初めてです!」紫野が言った。私は若い頃からラリーの練習中にしばしば見かけたが、北海道なのであれが蝦夷鹿なんだろうかと思った。少しして原生林が切れて見晴らしの良い場所に出た。遠くにビルが見える。札幌に着いたらしい。時計台は確か市役所の近くだったはずなので地図で市役所を探して見た。このまま230号線を走れば着くことがわかった。札幌の市街地は大都会だ。ほどなく市役所を見つけたので、どこか車をとめる場所を探すことにした。少し離れたところのコインパーキングに入れて、歩くとこにした。「先生、ここに何があるんですか?」「さっき通り過ぎた場所だよ」「通り過ぎた?何かあったかな?」「まあ、近くまで行ってみよう」「はい。」「ここが札幌市役所だよ」「え、市役所を見に来たんですか?」「そうじゃなくてあれ!」といって道路の向かい側に見える森を指差した。「あそこに何があるの?」「まあ、行ってみよう。」と私たちはその森に近づいて行った。「あ、これか!有名な時計台って!」「そうだよ。これがあの有名な札幌時計台」「先生、これじゃ木に隠れて見えないです」「気づかずに通り過ぎてしまいますね!」「ということを聞いていたから、私も来れたんだ」
時計台の前に佇んでいるうちに札幌も夕暮れ時を迎えて来た。時計台を目に焼き付けて今夜のホテルに向かった。
ホテルはすすきのまで歩けるところにあったので、朝食だけ頼んで、夕食は外でとることにした。札幌といえばラーメンといいたいところだが、この年北海道は46年ぶりの暑さとのことで、あちこちの喫茶店の店先に「クーラーあります」と書かれた看板が置かれていたくらいだ。結局私たちは冷やし中華を食べてすすきのを少し歩くことにした。遠く離れた北海道の地で私たちは腕を組んで、まるで新婚旅行のようだった。すすきのといっても、私にとっては歌舞伎町のやや小振りなやつといった感じにしか見えなかったが、大事なことは隣に紫野がいるということだ。フランクフルトをかじりながら宛もなくぶらぶら歩いてホテルに戻った。
さあ、明日はいよいよ稚内を目指します。
1時間近く走ってようやく地平線に起伏が現れた。その起伏はどんどん明確になって来て、やがてそれが山であることがわかった。どうやら、私たちは大沼国定公園に入ったようだ。ということは、目の前の山は駒ヶ岳。
大沼国定公園の駐車場にクルマをとめて少し辺りを散策することにした。沼のはるかむこうに駒ヶ岳が見える。「先生、私来て良かった!」と紫野が言った。雄大な北海道の景色を少しだけではあったが、楽しんで先を急ぐことにした。
駒ヶ岳の横を通り、さらに国道5号線を先に進めていく。ここからしばらく海沿いの道を2時間程走ると長万部町に着いた。道路脇にトウモロコシの直売所が目立って来た。「少し疲れたからトウモロコシでも食べようか?」と提案すると「私、トウモロコシ大好きです。」と返って来た。一件のお店にクルマを入れて、焼きたてのトウモロコシにかじりついた。「甘い!」「本当だね!」「こんな美味しいトウモロコシ食べたの初めてです!」「そだねー!!」眠気も覚めて再び出発。そこから内陸に向かって1時間程走ると蝦夷富士と呼ばれる「羊蹄山」が見えて来た。「先生、あの富士山みたいな山は何ですか?」「あれは羊蹄山だよ。綺麗な円錐形をしているので蝦夷富士とも呼ばれているんだよ。標高は1898mだって。」「北海道って山も多いんですね。」と紫野が言った。
ここまで来れば札幌は近い。明るいうちに見たいものがあったので、倶知安から山道を抜けて札幌に向かうことにした。原生林の中を通るカーブの多い道はすれ違うクルマが一台もない。キープレフトを意識しながらもついつい運転はラリーの練習のようになってしまう。隣の紫野のためにスピードをセイブしつつも軽快に走り抜ける運転に紫野も楽しそうにしていた。すると約100m前方に動くものが見えた、すぐにスピードを落として確認すると、鹿だ!しかもかなり大きい。「先生、鹿です!」紫野も気づいた。立派な角を持つオスの後をやや小ぶりのメスが続いて道路を横切って行く。その堂々たる姿に畏敬の念を抱きながら、私たちはクルマを止めて見入ってしまった。「自然の中の鹿って初めてです!」紫野が言った。私は若い頃からラリーの練習中にしばしば見かけたが、北海道なのであれが蝦夷鹿なんだろうかと思った。少しして原生林が切れて見晴らしの良い場所に出た。遠くにビルが見える。札幌に着いたらしい。時計台は確か市役所の近くだったはずなので地図で市役所を探して見た。このまま230号線を走れば着くことがわかった。札幌の市街地は大都会だ。ほどなく市役所を見つけたので、どこか車をとめる場所を探すことにした。少し離れたところのコインパーキングに入れて、歩くとこにした。「先生、ここに何があるんですか?」「さっき通り過ぎた場所だよ」「通り過ぎた?何かあったかな?」「まあ、近くまで行ってみよう」「はい。」「ここが札幌市役所だよ」「え、市役所を見に来たんですか?」「そうじゃなくてあれ!」といって道路の向かい側に見える森を指差した。「あそこに何があるの?」「まあ、行ってみよう。」と私たちはその森に近づいて行った。「あ、これか!有名な時計台って!」「そうだよ。これがあの有名な札幌時計台」「先生、これじゃ木に隠れて見えないです」「気づかずに通り過ぎてしまいますね!」「ということを聞いていたから、私も来れたんだ」
時計台の前に佇んでいるうちに札幌も夕暮れ時を迎えて来た。時計台を目に焼き付けて今夜のホテルに向かった。
ホテルはすすきのまで歩けるところにあったので、朝食だけ頼んで、夕食は外でとることにした。札幌といえばラーメンといいたいところだが、この年北海道は46年ぶりの暑さとのことで、あちこちの喫茶店の店先に「クーラーあります」と書かれた看板が置かれていたくらいだ。結局私たちは冷やし中華を食べてすすきのを少し歩くことにした。遠く離れた北海道の地で私たちは腕を組んで、まるで新婚旅行のようだった。すすきのといっても、私にとっては歌舞伎町のやや小振りなやつといった感じにしか見えなかったが、大事なことは隣に紫野がいるということだ。フランクフルトをかじりながら宛もなくぶらぶら歩いてホテルに戻った。
さあ、明日はいよいよ稚内を目指します。
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