自由を求めて僕らは

RyugaMaki

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望み

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カイが話せる状態になるまでレナは、一言も喋らずカイを待っていた。

「…ありがとうな、レナ」
「もう、大丈夫?」
「あぁ」

レナはカイが喋るとほぼ同時に顔を上げ、微笑んだ。それを見たカイは、少し困ったような笑顔を浮かべた。

「悪かったな。かっこ悪いところ見せて…」
「カイはいっつも大人ぶろうとしてんだから、たまにはこういうとこがあった方が丁度いい」

レナは少し冷たく言い放つ。

「お前って、彼女より、姉貴みてぇだよな」
「それはあんたがガキだからでしょ!!」
「…俺、そんなガキっぽい?」

カイはレナを拍子抜けしたような表情で見た。レナもそんな顔を見て少し驚いたようだった。

「…いつもバカみたいなことやってるし、バカなことしてはバカ笑いして、そこら辺の男よりよっぽど子供っぽい」
「…そっか…そうなんだな」

ふっと笑うカイ。兄が死んでから無意識に兄の面影を自分に求めていたのがわかっていたカイにとっては、その言葉が嬉しかった。

「…やっぱお前、最高だよ」
「なっ…何いきなり変なこと言ってんの!バカじゃないの!?」

顔を真っ赤にして強気な発言をするレナ。カイはそんな彼女を今はとても愛しく思えた。

「ほんっとバカ。バカなんだから……っ…」
「レナ…?」

レナは泣いていた。
それでも、レナは強気な態度を変えようとはしなかった。

「早く、早く外へ行っちゃえばいいんだよ!それで、早くこっちに戻ってくれば、何の問題もないんだから!」

レナはそう言い放って、そっぽを向いてしまった。彼女の握りしめた手は、震えていた。

「…うん。そうだな、早く、戻ってくるよ」
「っ帰る!」

レナはカイの顔をチラッと見ると、振り返って部屋から出ようとした。カイに、自分の弱気な姿を見せたくなかったのだろう。
レナには、この空気、空間が、もうこれ以上耐え切れなかった。



「レナ」
「何…!」

レナはイラついた声色で返事をし、振り返る。

「大好きだよ。ありがとな」

カイの言葉にレナは再度顔を真っ赤にし、堪えていた涙が溢れ出た。そんな彼女を、カイは優しく見つめた。


「私だって…!同じだけ、っ好きなんだから!変なこと急に、言わないでよね!…じゃあ、今度会うときは、あんたが帰ってきた時だから!じゃあね!」

涙を隠すかのように早口で喋り、ドタバタと出て行ったレナ。

カイは降っていた手を静かに下ろし、顔をゆがませた。

「…帰って、きてぇなぁ…」


部屋に1人、そんな弱音をポツリとこぼした。


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