15 / 15
第1章 復活の帝王
14.渇望(sideロウ)
しおりを挟む
俺は、見た。
まだ、世間を知らず、絶望をも知らなかったあの頃を。
「ロウ、愛してるわ。」
笑顔で惜しげもなく、告げられる言葉。
そんなレイラに俺も、と俺は素っ気なく返したことを覚えている。
もう、言って貰えることのない言葉。
もう、見ることの出来ない笑顔。
もう、逢えることのない最愛の人。
あの時、ちゃんと伝えていれば良かった。
愛している、と。
後悔して、後悔して。
そして、全てを憎んだ。
それは、俺自身も含まれている。
「私は、あなたに生かされたまま生きるのは嫌よ。………私が生かされて、あなたが死ぬというのならば、私は誰かの為に命を投げ出し、救いながらも、死を目指すわ。だから、私の覚悟を踏みにじらないで、ロウ。」
あの時、俺はレイラにあんな言葉を言わせてしまった。
チカラがなかったから。
俺が弱かったから。
俺が強ければ、レイラは死ななかった。
だから。
俺は復讐を誓うと共に、何もかもを捨て去り強さを求めた。
ラースとの、絆さえ捨て去って。
俺はまだまだ、若かった。
ラースとの絆が、何よりもかけがえのないものだと、気づくことが出来なかった。
そういえば………
レイラと俺の縁を繋いだのも、お前だったな。
ラース。
レイラが竜の血を引く俺に怯えないことで、レイラも竜の血を引いていることが分かったのは、ラースと出会った魔法大学でのことだった。
気に留めてもいなかったクラスの人達の中で魔力が高く、異色な気配を放つレイラに気付いたのは、俺の気配でクラスの人達を怯えさせたとき。
僅かに古代の属性を感じたことがキッカケだった。
それだけならば、俺は気にも留めなかっただろう。
そんな人間もいるだろう、と。
そう思うだけだったはずだ。
だが、ラースは聞いた。
レイラに、理由を。
その答えが、先祖に竜がいるということ。
僅かな、竜の血が体内に流れているということだった。
そのことを聞いてから、俺はレイラを本当の意味で“視た”のだ。
その身に流れる竜の血を。
レイラの魂を。
レイラのチカラを。
レイラの心を。
視たのだ。
その時、俺の胸はトクン、と高鳴った。
本能が疼いた。
火照る頬。
熱くなる身体。
浅く速くなる息。
それら全てを押さえて、レイラと話した。
多分、あの時、恋に落ちたのだろう。
焼き焦げる炎のような恋に。
運命と呼ばれる、竜の恋に。
竜は番いを持つ。
本能で感じる決められた番いを。
番いは出会うと惹かれあい、恋に落ちる。
まるで運命のような恋をする。
それは普通、竜同士で一生で一頭。
たが、稀に異種族であったり、番いが共有されていることがある。
その場合、竜が番いを看取るか、番いを後で見つけた方が番いを持てないことが多い。
俺の母は、番いを共有されている竜の一頭でしかも番いが異種族だった。
二つの稀な場合が重なった、前例のない番いだった。
母は恋を成就させた。
相手の竜も、恋を成就させた。
つまり、俺の父は母と相手の竜の両方を娶ったのだ。
竜は、唯一の番いを大事にする。
他の女に手を出すことはしない。
だから、俺の、母方の祖父は激怒した。
相手の竜の父も、だ。
どちらかにしろ、と父に怒った。
だが、父は反対する竜達をぶちのめした。
そう、徹底的に。
父は、地上最強種と呼ばれる竜達を相手にしても、勝利する実力を持っていた。
俺は、母の血を確実に継いでいるらしい。
何故なら、レイラは竜の血が流れているとはいえ、人間なのだから。
俺はレイラに恋をした。
燃えるような、焦げるような、花のような、月光のような、夜空のような。
誰にも得ることのない、美しい恋に。
だが、その恋は終わりを告げて、復讐の炎に焼かれ、俺は駆けた。
渇望した。
レイラを求めた。
だが、もうレイラはおらず、番いもいない。
俺はラースに封印されて、数百年。
俺はもう一度、恋をした。
レイラの生き写しの少女に。
ラースの妹に。
新たな番いに恋をした。
その少女の名は。
レイチェル。
まだ、世間を知らず、絶望をも知らなかったあの頃を。
「ロウ、愛してるわ。」
笑顔で惜しげもなく、告げられる言葉。
そんなレイラに俺も、と俺は素っ気なく返したことを覚えている。
もう、言って貰えることのない言葉。
もう、見ることの出来ない笑顔。
もう、逢えることのない最愛の人。
あの時、ちゃんと伝えていれば良かった。
愛している、と。
後悔して、後悔して。
そして、全てを憎んだ。
それは、俺自身も含まれている。
「私は、あなたに生かされたまま生きるのは嫌よ。………私が生かされて、あなたが死ぬというのならば、私は誰かの為に命を投げ出し、救いながらも、死を目指すわ。だから、私の覚悟を踏みにじらないで、ロウ。」
あの時、俺はレイラにあんな言葉を言わせてしまった。
チカラがなかったから。
俺が弱かったから。
俺が強ければ、レイラは死ななかった。
だから。
俺は復讐を誓うと共に、何もかもを捨て去り強さを求めた。
ラースとの、絆さえ捨て去って。
俺はまだまだ、若かった。
ラースとの絆が、何よりもかけがえのないものだと、気づくことが出来なかった。
そういえば………
レイラと俺の縁を繋いだのも、お前だったな。
ラース。
レイラが竜の血を引く俺に怯えないことで、レイラも竜の血を引いていることが分かったのは、ラースと出会った魔法大学でのことだった。
気に留めてもいなかったクラスの人達の中で魔力が高く、異色な気配を放つレイラに気付いたのは、俺の気配でクラスの人達を怯えさせたとき。
僅かに古代の属性を感じたことがキッカケだった。
それだけならば、俺は気にも留めなかっただろう。
そんな人間もいるだろう、と。
そう思うだけだったはずだ。
だが、ラースは聞いた。
レイラに、理由を。
その答えが、先祖に竜がいるということ。
僅かな、竜の血が体内に流れているということだった。
そのことを聞いてから、俺はレイラを本当の意味で“視た”のだ。
その身に流れる竜の血を。
レイラの魂を。
レイラのチカラを。
レイラの心を。
視たのだ。
その時、俺の胸はトクン、と高鳴った。
本能が疼いた。
火照る頬。
熱くなる身体。
浅く速くなる息。
それら全てを押さえて、レイラと話した。
多分、あの時、恋に落ちたのだろう。
焼き焦げる炎のような恋に。
運命と呼ばれる、竜の恋に。
竜は番いを持つ。
本能で感じる決められた番いを。
番いは出会うと惹かれあい、恋に落ちる。
まるで運命のような恋をする。
それは普通、竜同士で一生で一頭。
たが、稀に異種族であったり、番いが共有されていることがある。
その場合、竜が番いを看取るか、番いを後で見つけた方が番いを持てないことが多い。
俺の母は、番いを共有されている竜の一頭でしかも番いが異種族だった。
二つの稀な場合が重なった、前例のない番いだった。
母は恋を成就させた。
相手の竜も、恋を成就させた。
つまり、俺の父は母と相手の竜の両方を娶ったのだ。
竜は、唯一の番いを大事にする。
他の女に手を出すことはしない。
だから、俺の、母方の祖父は激怒した。
相手の竜の父も、だ。
どちらかにしろ、と父に怒った。
だが、父は反対する竜達をぶちのめした。
そう、徹底的に。
父は、地上最強種と呼ばれる竜達を相手にしても、勝利する実力を持っていた。
俺は、母の血を確実に継いでいるらしい。
何故なら、レイラは竜の血が流れているとはいえ、人間なのだから。
俺はレイラに恋をした。
燃えるような、焦げるような、花のような、月光のような、夜空のような。
誰にも得ることのない、美しい恋に。
だが、その恋は終わりを告げて、復讐の炎に焼かれ、俺は駆けた。
渇望した。
レイラを求めた。
だが、もうレイラはおらず、番いもいない。
俺はラースに封印されて、数百年。
俺はもう一度、恋をした。
レイラの生き写しの少女に。
ラースの妹に。
新たな番いに恋をした。
その少女の名は。
レイチェル。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
兄様達の愛が止まりません!
桜
恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。
そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。
屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。
やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。
無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。
叔父の家には二人の兄がいた。
そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
【完結】冷徹執事は、つれない侍女を溺愛し続ける。
たまこ
恋愛
公爵の専属執事ハロルドは、美しい容姿に関わらず氷のように冷徹であり、多くの女性に思いを寄せられる。しかし、公爵の娘の侍女ソフィアだけは、ハロルドに見向きもしない。
ある日、ハロルドはソフィアの真っ直ぐすぎる内面に気付き、恋に落ちる。それからハロルドは、毎日ソフィアを口説き続けるが、ソフィアは靡いてくれないまま、五年の月日が経っていた。
※『王子妃候補をクビになった公爵令嬢は、拗らせた初恋の思い出だけで生きていく。』のスピンオフ作品ですが、こちらだけでも楽しめるようになっております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる