【完結】あなたのいない、この異世界で。

Mhiro

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第一章

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収穫祭が終わると冬支度が始まり、村は以前のような長閑さを取り戻しつつあった。
アランも、祭での事はまるでなかったかのように、これまでどおり接していた。

いつものように朝起きてみんなと食事をして、掃除と洗濯が終わったら子ども達と勉強をする。それから、教会で村の人たちの話し相手になったり子どもたちと遊んだりして、夜は礼拝堂でピアノを弾きながらルークと過ごす。
そんな穏やかな毎日を過ごしているうちに季節は巡り、僕がこの世界に来て2年が経とうとしていた。



「ユイとはもう随分長い間、一緒にいる気がする」

僕を後ろから抱き込むような体勢で、ソファに座っていたルークがぽつりと呟いた。

「僕にはこの2年間がすごく早く感じたよ。初めは戸惑ったけど、こんなに穏やかな時間を過ごすことができるなんて、思ってもみなかった」

僕は背中を預けるようにルークにもたれかかって、彼の首筋に頭を擦り寄せた。
もうすぐ18歳になるルークは僕の身長をゆうに追い越し、身体も逞しくなって今では魔法を使わなくても僕を抱きかかえられるほど力が強くなっていた。

「ユイが幸せに過ごせたなら、それだけで嬉しい」

僕を抱きしめる腕に力が入り、目が合うと示し合わせたように互いの唇を重ねた。
<秘密基地>のことを教えてもらったあの日以来、ルークと二人で過ごす時間が格段に増えた。

「……はぁ、早く誕生日が来ればいいのに…」
「あと半年くらいでしょ?」

ここで想いを伝え合ったあと、僕はルークとある約束をした。
ルークがそう漏らすのは、僕との約束をちゃんと守ろうとしてくれているからだ。



僕らがその約束をしたのは、になった時のことだった。
僕がルークを押し倒すように覆い被さって深く口づけると、彼の手が腰からお尻へ這うように伸びてきた。そのとき、僕はハッとして唇を離した。

『ねぇ…っ、ルークっ。1つお願いが、あるんだけど……』
『んっ?何?心配しなくても、ユイにつらくないようにするよ?』
『それはっ、嬉しいけどそうじゃなくて!その……、僕…にれるの、君が18歳になるまで待ってほしんだっ』

『………………なんで?』

ルークが目を見開いて一瞬固まり、一呼吸おいて彼は理由を尋ねてきた。

『ほらっ、僕って教会に仕えている身だし、…君も孤児院で生活してるじゃない?』
『………それがなにか?』
『だから…、もし僕とルークがになったってことが知られて、教会に対して悪いイメージがつくことになったら……』

身寄りもなく、行く当てもない転移者である僕を、温かく迎えてくれた司祭様と院長に迷惑をかけたくない。それに、ルークが成人して孤児院を出た後なら、僕たちの関係に誰も口出しできないだろう。
そんな僕の思いを汲み取ってくれたのか、ルークは大きな溜息をつきながらも了承してくれた。

『分かった、ユイの頼みなら仕方ない。──なら、俺からも1ついい?』
『何?』
『ユイのをならすの、俺にさせて?』

ルークが僕のお尻の谷間に沿ってゆっくり指を這わせながら、妖しい笑みを浮かべて言った。

『………っっ!!』
『大丈夫。ちゃんとナカでイけるように、じっくり優しく開いていくから……』
『──っ、…わかった。約束ね』



そういうワケで、ルークとは互いに触れ合うものの、まだ身体を繋げていない。僕がそうしてもらったように、僕も未成年であるルークを大切にしたかったからだ。
とはいえ、ルークも十代後半の多感なお年頃だ。そんな彼に、最後までシないという苦行を強いるからには、僕も彼の望みを受け入れるべきだろう。正直、ルークにお尻を弄られるのは、ものすごく恥ずかしいけど……。
でも、気持ちが昂ぶりすぎて、一度だけ礼拝堂でられそうになった時もあった。その時は、何とか理性を働かせて寸前で止められたが、心臓が爆発するかと思うくらいドキドキした。

「でも俺の前に、まずはユイの誕生日だね」

ルークの声が、僕の思考を中断させた。

「…うん。自分がもう20歳だなんて、信じられない」

この世界は、僕が元いた世界の時間の流れと同じように感じるけど、本当にそうなのかは実際のところ分からない。だから僕の誕生日は、この世界に転移してきた日と司祭様と院長が定めてくれた。

「今年のプレゼント、もうすぐ出来上がるから楽しみにしてて」
「うん。ありがとう、ルーク」

この世界に来て一度目の誕生日に、ルークは自作のマジックバッグをプレゼントしてくれた。既存のウエストバッグに、空間魔法と入れる物の時を止める時空魔法が付与されたものだ。僕の部屋ほどの容量があり、おまけに僕以外には開けられない盗難防止の魔法もかけてくれている。
大層な贈り物に尻込みしたけど、ルークは「今あげられるものはこれしかない」と言って、悲しそうな顔をしていた。だから、ありがたく受け取ることにした。

「錬金術師からのプレゼントなんて、本当に贅沢だね」
「まだ見習いだよ」

錬金術師といえば魔法薬を生成したり、色々な物質を組み合わせて新たな物質を創り出すような研究者のイメージが強い。でもこの世界では、魔法具を作ったり、既存の道具に魔法効果を付与することも錬金術師が行うらしい。

「僕から見たら、あれだけの物をつくれる人は、もう立派な錬金術師だよ」
「いつか自分の工房を持って、ユイを養えるようになるね」
「…………うん…?」

なんか今…、さらっとプロポーズみたいなことを言われた気が……。

結局その時は、ソファに押し倒されるように唇を塞がれてしまって、ルークの真意を確かめることができなかった。


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