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第一章
34 *
しおりを挟む夜も更けているのに外がほんのり明るいのは、月の光とは別に<世界樹>が放つ優しい光もあるからかもしれない。自室からでも目視できるほどの大樹は、まるでこの世界の道しるべのようだ。
窓辺に立って遠くに見える<世界樹>を眺めていると、コンコンと控えめなノックがした。僕の応答を聞いて扉を開けたのは、来訪の約束をしていたルークだ。
「ユイ?灯りも付けずにどうしたの?」
「あぁ、こうしていると月がより明るくみえるから…」
「そう…。ほら、こっちに来て?窓辺だと冷えるよ」
ルークは僕の手を取ってベッドに座るように促すと、机に置いてあったランプに火を灯して僕の隣に座った。
「誕生日おめでとう、ユイ」
そう言ってルークが差し出してきたのは、綺麗に装飾された銀色の耳飾りだった。二つのイヤーカフが小さくて細かなチェーンで繋がって、その片方には二つの石が嵌め込まれ、その周りに蔦のような模様が彫られていた。
「綺麗……」
「気に入ってくれた?」
「うん…。本当に貰っていいの?」
「もちろん。ユイのために作ったんだから」
僕が耳飾りを見ながら感嘆していると、ルークは嬉しそうな顔をした。
「よければ、俺に着けさせてくれない?」
「うん、お願い」
ルークは僕の髪をかき上げると、右耳に着けてくれた。着けているような感覚がほとんどなく、まるで初めから自分の身体の一部だったかのように馴染んだ。
「ありがとう。大切にするね」
僕は指先でそっとそれに触れながら言った。
「水やお湯に濡れても劣化しないような魔法を付与したから、外さなくても大丈夫だよ。村の外に出るときは、これが見えるように髪を結ってね」
「?……分かった。でも──」
──なんで?
そう聞こうとしたとき、机のランプがふっと消えた。どうやらロウソクが切れたようだ。それが合図だったかのように、ルークの長い指がするっと僕の指に絡んできた。
「……消えちゃったね」
「うん…。でもユイが今どんな顔をしているのか、よく分かるよ」
ルークが僕の頬に手を添え、鼻先が触れ合うほどに顔を近づけた。ルークの手は、いつ触れられても心地よく、僕は思わず頬を擦り寄せた。
「へぇ?どんな顔?」
「…キスしたくて、たまらないって顔──」
小さく囁きながら、絡めていた手を腰に回して唇を重ねてきた。すぐに熱くなっている舌を咥内に忍ばせてきて、くちゅくちゅと音をたてながら僕の舌に絡めた。
「…ふぅ…ん……はぁ…」
ルークのキスはいつも気持ちよくて、甘く痺れるような快感が全身を襲う。それが、だんだん腰の辺りに集まってきて、ゾクゾクする感覚に変わった。その感覚が気持ちよくて、気が付けば寝間着のボタンが半分以上外されて、片肩が露わになっていた。
「っん……ルークっ…!ここじゃ……っ」
「今日だけ…ね?外に音が漏れないようにするから……」
ルークは首筋や鎖骨下にキスをしながら、敏感な部分を避けつつゆっくり肌を撫でる。その焦らすような触れ方に、身体に熱が次第に籠もっていく。
「…っ、ルーク……」
「ん…?どうしたの…?」
ルークが僕をゆっくり押し倒しながら、白々しく問いかけてくる。
「…っもう、いじわるしないで…っ」
「じゃあ…、どうしてほしいのか言って?」
なおも焦らそうとするルークに少しむっとして、そんな彼を翻弄したいという衝動に駆られた。僕はルークの首に腕を回して頭を引き寄せると、耳元で囁いた。
「…もっと、きもちよくなりたい……。……おねがい…ルーク」
自分の方が年上だという変なプライドもあって、持てる限りの色気を声に込めた。どうやらそれは、ルークの理性が揺らぐくらいの効果はあったらしい。
「…っ、そんな言い方して、どうなるか分かってる……?」
ルークは熱くなった自身を布越しに僕のモノに擦りつけながら、胸の敏感なところをふたつ同時に刺激し始めた。
「んんっ…、あっ……ルークっ。そんなに…されると、こえっ…ガマンできなっ…!」
「うん…、もっと聞かせて…?」
ルークの片手は徐々に下の方に降りていき、僕のズボンをゆっくり脱がせる。脱ぎ終えた時には僕のモノは先走った欲が溢れて、先端を濡らしていた。
ルークは僕の身体への刺激を止めると、僕の後孔の縁をなぞりながら言った。
「ユイ……。ここでも、気持ちよくなろうね…?」
自分の上着から小瓶を取り出して蓋を開けると、トロトロした液体を僕のモノから後孔にかけて垂らし始めた。ヌチヌチと淫靡な音を立てながら僕のモノを上下に刺激すると、やがてルークの長い指がゆっくり僕のナカに入ってきた。
「ひぁっ…!ん……んあっ……はぁっ…」
僕の身体はこの1年半余り、ルークの愛撫を受け続け、今ではナカだけでイクことを覚えた。ルークもそれを分かっていて、僕が一番感じるところを執拗に責めてくる。
「あぁんっ…!ルークっ…そこ、だめっ……イっ…!」
「いいよ…っ、もっと、よくなって……!」
ルークは僕のモノを同時に扱き始め、快感が下半身に一気に集中した。
「ああっ……!…んっ……はぁっ…んんっ…あっ──!」
与えられる快感が頂点に達して、頭が真っ白になりながら僕は果てた。
深く息を吐きながら身体をくたりとさせていると、ルークにくるっと身体を反転させられて、お尻を突き出すような体勢になった。
「ひゃあっ…!?」
「ユイっ…。足、ぴったりくっつけてて…っ」
ルークは僕の腰を掴むと、自身を太腿の隙間に勢いよく挿し込んで、速度を上げながら抽挿を繰り返した。
「…くっ、ユイっ……ユイっ…!」
「っ……はぁ、ルークっ…あんっ…ルーク……っ!」
名前を呼び合いながらの行為は、欲情をより掻き立てられた。
ルークの硬くなったモノで自身の裏側を擦られて、果てたばかりなのにまた反り勃ってきた。それに気づいたルークが小刻みに抽挿しながら、再び僕のモノを扱く。
「あっ…もうっ……!ルークぅ…っ」
抱えきれなくなった快感が涙になって溢れ、僕はルークと一緒に達した。ベッドにへたり込んでいると、ルークが背中から抱きしめた。そして、そっと顔を近づけて深く口づけてくれた。
そのあと、ルークと何か話をした気がするけど、自分が何を言っているのか分からないくらい、快感の余韻で頭がふわふわしていた。
ふと、ぱらぱらと聞こえる雨の音で目が覚めた。僕はいつの間にか身体をきれいにされて、寝間着を着ていた。シーツも湿った感じがしないところを見ると、僕が寝落ちしたあとルークが清めてくれたんだろう。
僕を抱きしめるように眠るルークは、寝息を立てて安心しきったような顔をしている。
寝顔は、出会った頃とあまり変わらないな……。
あれから2年経ったけど、昨日のことのように憶えてる。
あの時、もしルークが見つけてくれなかったら、僕はきっと今のような幸せな日々を送っていなかっただろう。そう思うと、たとえ聞こえていなくても、今この胸に溢れる温かな想いを伝えずにはいられなかった。
「……ルーク、僕────…」
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