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「あのっ……」
ミュンタルは顔色を伺いながらつぶらな瞳で俺に話しかける。
「?」
「私が怖くないの?」
ミュンタルは小さく震えている。
「何で?」
俺は質問の意図が全く汲み取れずキョトンとした顔でそう答えた。
「だってこんな化け物……」
「え?何言ってんの。カッコいいと可愛い併せ持つとか最強すぎでしょ」
「か、可愛い……。でもでも私は化け物なんだよ?皆びっくりして逃げちゃう酷い子なんだよ?」
「俺を……襲うのか?」
「そ、そんな……!!」
首をブンブンと振って否定をするミュンタル。どの方面から見ても悪い子には見えない。
「今助けてくれたのはなんでだ?」
「……私のためにこれ以上傷つくのがつらかったから」
「自分が辛いのに俺を助けてくれたんだよな。それを何で俺が怖がるんだよ。寧ろ、ありがとう、だよ。ミュンタルは本当に優しいんだな」
結局自分じゃ力不足だったってことを認識してしまう事にもなった。
「初めて……初めてそんな優しい言葉を貰えた……こんな暖かい気持ちになるのは初めて……だよ……」
ミュンタルの瞳はウルウルと潤み、ぽたぽたと雫を溢した。
ずっと一人で背負ってきたんだろうか。味方も何もいなくてつらかったんだろうか。
俺は無意識に彼女の頭を優しくなでる。
何でこんな子が悪に染まってんだ?何でみんな未知を敵だと思い込む……。それまでに自分の価値観に固執するんだ。
こんな可愛くて優しいただの女の子なのに。竜という言葉だけで敵だと認識する……。
ミュンタルは頬を紅潮させて俺を見上げる。
そんな姿にハッとしてバッと手を離した。
「ご、ごめん!嫌だったよね?勝手に同情して頭撫でてきもいよな!」
「ええ?そんな事ないよー?……嬉しかったよ。ありがとう」
ミュンタルは涙を拭い可愛らしく笑って見せた。
『纏焔』
まだ戦いは終わってはいない。
黒壁白星は折れた刃から炎を燃やし剣を作る。
「何を余所見しているッ!!」
怒りに飲み込まれた彼女の剣は躊躇いなくミュンタルの体を狙う。
それに対しミュンタルは平然と黒壁白星の方へ向き直り息をフッと噴き出す。
『絶え堕えなる息吹』
ミュンタルのその一息で炎は跡形もなく消え去った。
「それで勝ったと思うなっ!火軍烈士!!」
新たなスキル技だろうか、黒壁白星がそう吠えると地面のそこら中から真っ赤に光る魔法陣が顔を出す。
ミュンタルは俺を守る様に前へと出た。
この子はまた後悔の無いように女の人と戦うんだろうか。俺はまた見てるだけ。……そんなのは嫌だ。それでこの子が死んだら俺は!!
俺はミュンタルの横に断固として居座った。
「一緒に……戦ってくれるの?」
「当然」
「何で……、なんでそこまでして……」
「一緒だよ」
「え?」
「君と気持ちは一緒だよ」
ミュンタルはまたウルウルと瞳を熱くさせる。
おととそんなつもりじゃなかったんだけどな……。
それに動揺しながらも俺は敵を前に構えた。
「ッは!私が悪か?いいだろう……。どう捉えようが貴様らの勝手だ。私は私の敵となるものを全て潰す……。私の正しさを証明するためにもっ!!」
全員の覚悟が揃った。
「隊長!撤退命令です!」
その時だった。一人の兵士は俺たちの間に割って入り、そう告げた。
「何゛!!??」
黒壁白星は魔法の発動を辞め、その一人の兵士に怒りの矛先を変える。
ミュンタルは顔色を伺いながらつぶらな瞳で俺に話しかける。
「?」
「私が怖くないの?」
ミュンタルは小さく震えている。
「何で?」
俺は質問の意図が全く汲み取れずキョトンとした顔でそう答えた。
「だってこんな化け物……」
「え?何言ってんの。カッコいいと可愛い併せ持つとか最強すぎでしょ」
「か、可愛い……。でもでも私は化け物なんだよ?皆びっくりして逃げちゃう酷い子なんだよ?」
「俺を……襲うのか?」
「そ、そんな……!!」
首をブンブンと振って否定をするミュンタル。どの方面から見ても悪い子には見えない。
「今助けてくれたのはなんでだ?」
「……私のためにこれ以上傷つくのがつらかったから」
「自分が辛いのに俺を助けてくれたんだよな。それを何で俺が怖がるんだよ。寧ろ、ありがとう、だよ。ミュンタルは本当に優しいんだな」
結局自分じゃ力不足だったってことを認識してしまう事にもなった。
「初めて……初めてそんな優しい言葉を貰えた……こんな暖かい気持ちになるのは初めて……だよ……」
ミュンタルの瞳はウルウルと潤み、ぽたぽたと雫を溢した。
ずっと一人で背負ってきたんだろうか。味方も何もいなくてつらかったんだろうか。
俺は無意識に彼女の頭を優しくなでる。
何でこんな子が悪に染まってんだ?何でみんな未知を敵だと思い込む……。それまでに自分の価値観に固執するんだ。
こんな可愛くて優しいただの女の子なのに。竜という言葉だけで敵だと認識する……。
ミュンタルは頬を紅潮させて俺を見上げる。
そんな姿にハッとしてバッと手を離した。
「ご、ごめん!嫌だったよね?勝手に同情して頭撫でてきもいよな!」
「ええ?そんな事ないよー?……嬉しかったよ。ありがとう」
ミュンタルは涙を拭い可愛らしく笑って見せた。
『纏焔』
まだ戦いは終わってはいない。
黒壁白星は折れた刃から炎を燃やし剣を作る。
「何を余所見しているッ!!」
怒りに飲み込まれた彼女の剣は躊躇いなくミュンタルの体を狙う。
それに対しミュンタルは平然と黒壁白星の方へ向き直り息をフッと噴き出す。
『絶え堕えなる息吹』
ミュンタルのその一息で炎は跡形もなく消え去った。
「それで勝ったと思うなっ!火軍烈士!!」
新たなスキル技だろうか、黒壁白星がそう吠えると地面のそこら中から真っ赤に光る魔法陣が顔を出す。
ミュンタルは俺を守る様に前へと出た。
この子はまた後悔の無いように女の人と戦うんだろうか。俺はまた見てるだけ。……そんなのは嫌だ。それでこの子が死んだら俺は!!
俺はミュンタルの横に断固として居座った。
「一緒に……戦ってくれるの?」
「当然」
「何で……、なんでそこまでして……」
「一緒だよ」
「え?」
「君と気持ちは一緒だよ」
ミュンタルはまたウルウルと瞳を熱くさせる。
おととそんなつもりじゃなかったんだけどな……。
それに動揺しながらも俺は敵を前に構えた。
「ッは!私が悪か?いいだろう……。どう捉えようが貴様らの勝手だ。私は私の敵となるものを全て潰す……。私の正しさを証明するためにもっ!!」
全員の覚悟が揃った。
「隊長!撤退命令です!」
その時だった。一人の兵士は俺たちの間に割って入り、そう告げた。
「何゛!!??」
黒壁白星は魔法の発動を辞め、その一人の兵士に怒りの矛先を変える。
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