「水の行方」~ 花言葉の裏側で(水シリーズ②)

小原ききょう(TOブックス大賞受賞)

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秋雨

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 僕の通う小学校の校舎は大きな白い船が浮かんでいるように見える。
 この校舎は昔、西洋の有名な建築家が設計したものらしい。神戸、麻耶山の山腹にある有名な観光ホテルを設計した人と同じ人物だそうだ。
 だから、塀にも船室のような丸い穴が連なっていたり、教室の窓も西洋風にアーチ状になっていたりする。
 ステンドグラスとかが似合いそうな感じの大きな窓だ。何も気にせず通っているとそんなことには気づかない。
 だって僕たち子供は毎日が勉強や遊びに明け暮れて目まぐるしい時間を過ごしているのだから、校舎の石壁の模様だとか、植木の配置だとか、講堂のカーテンの質とかが他の学校の校舎とは一線を画していることなど誰が考えるだろう。
 それに他の学校を見たことがなければ、この校舎が普通だと思うようになる。
 僕も校舎の作り等を考えて過ごしているわけではないけれど、講堂に通じる重厚感溢れる大きな扉とか、廊下にずっと並ぶ天井まである大きな窓とかを見ていると僕の体が小さく感じてしまう。それほど校舎は大きく天井の位置も高かった。

 校舎の二階にある音楽室の扉も大きく天井まで届くような高さだ。
 観音開きで開ける時もぎぎいっと音を立てるくらい重い。重く分厚い扉だから中の演奏の音も外に漏れない。
 けれど、音楽室の窓が開いていて、外の廊下の窓も開いていると演奏が風に乗って聞こえてきたりする。
 昼休み、教室のゴミを焼却炉に持っていく時に音楽室の前を通るとピアノの音が聞こえてきたのもそのせいだった。
 音楽の先生が弾いているのだろうか?
 ピアノは普段は使われることはなく、使われるのはオルガンばかりだ。耳にする曲も先生の弾く「猫ふんじゃった」とかよく知っている童謡ぐらいしかない。
 でも、その時に聞こえてきた曲は今までに聞いたことのない感じの曲で一つのテーマを持って創られているように思えた。
 ピアノには誰かに聞いて欲しい・・聞いて自分の思いをわかって欲しい。そんな思いが込められている気がした。
 窓の外の空は黒い雲で覆われだした。
 ・・もうすぐ雨が降る。
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