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「檸檬」
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◆
「村上くん、運動会の班分けやリレーの順番を決めないといけないの」
香山さんが休み時間に僕の席に来て言った。
運動会が間近に迫っていた。気の進まない行事の一つだ。
僕は走るのが遅い。
「順番を決めるのを手伝ってくれる?」
はい、はい。それも委員の仕事だよね。それに香山さんに頼まれて断る人もそうそういないだろう。でも委員長の長田さんはどうなってるの?
「わかるでしょ。彼女、長田さんは何もしないの」
僕の顔を見て僕の考えてることがわかるかのように答えた。香山さんはやっぱりすごい。
しかし、なぜ何もしない子が委員長なんだ?
それに、こんなに仕事がてきぱきできそうな香山さんが副委員長だなんて世の中矛盾だ。
「先生に言いつけたら?」
「村上くん、世の中、甘く見たらダメよ」
そう言った香山さんの目が怖い。
怖いけれど、優しい。叔母さんとはまた違った女性の優しい目だった。
「そんなことして悪者になるのは私たちよ。文哉くんや修二くんはわかっていると思うけど、あと松下くんも」
香山さん、すごくわかっているな。
長田さんの家の誕生会に行ったことがずいぶん遠い昔のように思える。
長田さんという存在は一体何なのだろうか?
香山さんに訊いてもこの前と同じ答えが返ってくるだろう。
松下くんと修二と話した時のように只の花で人の心を動かしているのだろうか?
僕の身近にその疑問に答えてくれる人がいる気がした。
「仁美ちゃん、教室の壁に貼ってある絵、取替えなあかんねん。私、背が届かへん」
小川さんが数十枚の生徒が描いた絵を抱えて困ったよう顔をしている。
「僕が貼ってあげる。小川さんは低い所だけ貼って」
僕は小川さんの持っていた絵を受け取って脚立を使い壁に一枚一枚丁寧に貼っていく。
「村上くん、ありがとう」二人揃ってお礼を言われる。
誰かが見たら羨ましがるかもしれない光景だ。
「悠子、困ったことがあったら、どんどん言い。私も村上くんもおるんやから」
「うん」
村上くんもおるから・・か。いつのまにか僕もこの二人に頼られるようになっていたんだな。
「悠子は言いたいことがあっても、いっつも言わへんから」
「そんなことあらへん。私、ちゃんと言ってるよ」
香山さんの言葉が引っかかった。
小川さんは押し花をもらっていない。
なぜ? 貧乏だから? しかし、転校早々そんなことまで長田さんは知らなかったと思う。
長田さんは小川さんのどこを見て判断したのだろう?
小川さんはもらっても、そのことを言わないからではないだろうか?
◆
「陽ちゃん、お星さんが綺麗に見えてるわ」
叔母さんは縁側に腰掛けて庭先の方へ素足をだしてぶらんとさせている。
叔母さんの座っている横には湯呑みと小さなお団子が二つ小皿に置かれて爪楊枝が挿されている。
僕は宿題も終わっていたので叔母さんの横に同じように座った。
「叔母さん、どないしたん? 星なんか見て」
「秋は季節の中で空気が一番きれいから、星もよう見えるねん」
鈴虫がリーンリーンと鳴き続けている。
「確かにきれいや」
僕は夏から星座の名前を本で読んで少しづづ覚えていっている。
季節によっては見えない星座もある。
存在しているのに見ることができない・・
そんな当たり前のことを学んだのも叔母さんの言葉からだったような気がした。
「叔母さん、梶井基次郎の本、読んだから、あとで返す」
「あの本、陽ちゃんには少し難しかったかな?」
「そうでもなかった。面白かった」
梶井基次郎の本というのは前に叔母さんがスイカを食べながら「水分が多い本」と意味のわからないことを言っていた本だ。僕は叔母さんに借りてもう読んでいた。
それは短編集の構成の本で、その中の「檸檬(レモン)という話がわずが十四ページだったけれど面白かった。
「檸檬」は肺の病気を持つ主人公が本屋さんの本の平積みの上に一個のレモンを置いて外に出るだけという単純な話だ。
この話の最大の焦点は主人公が本屋にレモンを置くことを時限爆弾を置いたような気になった、ということだ。
なぜ、そう言う気になったのかはその前に心情描写が多く語られるのだけれど、その辺りは難しくてよくわからなかった。
僕も駅前の本屋さんで立ち読みを長時間していると店の人に怒られたりすることがあるから、店に対して何か仕返しをしてやれ、という気持ちなんだろうか?
本当に爆弾を置くわけにはいかないから、レモンを爆弾に見立てたということなんだろう。
「やっぱり『檸檬』が一番面白かったんとちゃう?」
「うん」
正直に言うと『檸檬』以外の他の短編は全くわからなかった。僕にはまだ早い。
「叔母さん、あの本のどこが水分が多いんや?」
「えっ? 私、そんなこと言うた?」
「言うた、言うたっ、忘れたんか?」思いっきり叔母さんに問う。
「私、よく直感で言うから、あとで思い出せへん時、よくあるねん」
「叔母さん、あれから僕、ずっとそれについて考えとったんや」
「ごめん、ごめん。はい、陽ちゃん、お団子」
叔母さんは目の前に楊枝を挿した団子を差し出した。
鈴虫が鳴き止んだ。
直接お団子にかぶりつこうかと思ったけど楊枝を掴んで手に取った。
「形が似てるからちゃう?」
「何の形?」お団子を食べながら叔母さんに訊ねる。
「ほら、檸檬って縦にすると水滴に見えへん?」
たぶん叔母さんは今、話を作ったな。
水分が多い、と言った理由を忘れて言い訳のように叔母さんは別の話をしている。
「この話の男はレモンを爆弾に見立てたんやで」
レモンが水滴、水滴が爆弾?
「問題は、レモンを置かれた本屋さんはレモンをどう思うたかやね」
叔母さんもお団子を口に入れて、湯呑みを手にとった。
「爆弾に見立てて置かれたとは誰も思わんやろな」
そう言いながら僕は別のことが頭に浮かんだ。
長田さんの押し花のことだ。
「そうそう、運動会、ねえちゃんと見に行くことになったから」
えっ?僕、走るの遅いのに。
叔母さんに格好悪いところ見られるのイヤだな。
「来んといて、っていう顔してるよ」叔母さんは静かに湯呑みを置く。
「わ、わかるんか?」
鈴虫がまた鳴き始めた。
「わかる、わかる。陽ちゃん、顔に出るタイプやもん」
今年は格好悪いところ、母にも叔母さんにも見られ、香山さんや小川さんにまで見られる。四年生の時にはそんなに意識していなかったことが急に意識されるようになる。
「陽ちゃんの走るところ、叔母さん、応援したげるからね」
なんで、世の中に運動会なんてものがあるんだ。
僕は気を紛らわそうとお団子のお皿の横の湯呑みを手にとって、ぐいと飲んだ。
「陽ちゃん、それ、私の湯呑み茶碗よ」
しまった!叔母さんが口をつけた飲みかけの茶碗や。
「ご、ごめん」ここはひたすら謝るしかない。
「ええよ。気にせんでも。陽ちゃんやし」
陽ちゃんやし、ってどういう意味にとったらええんや。
叔母さんの向こうには欠けた月が見えている。かけた部分もちゃんと存在しているのに今は見えない。
「陽ちゃんのお茶、忘れとったわ。とってくる」と言って叔母さんは台所に向かった。
そっか・・お団子は初めから二個あったし。ここで僕と二人でお団子を食べるつもりで用意して僕を待っていたんだ。
「陽ちゃん、ごめん、仕事の続きをするの忘れてた」
台所から戻って僕の前にお茶を置いてそう謝った。
「陽ちゃん、星、私の代わりに見とって」
叔母さんはよく編集の仕事の続きを家から持ってきてこの家でしたりしている。
母が自分の家でやればいいのに、とよく言っているが、叔母さんは「この家の方が仕事がはかどるねん。ねえちゃん、邪魔もん扱いせんといて」と言って笑っている。
「僕もお茶を飲んだら、部屋で本でも読む」
「運動会、私も走りたいな!」
そう言って叔母さんはワンピースの裾を翻して部屋に戻った。
今、なんて言った?叔母さん、運動会に出るつもり?
そんなことを考えながら部屋に戻ってラジオカセットのラジオを点けると「ガロ」というフォークソンググループの「学生街の喫茶店」が流れてきた。
「君とよくこの店にきたものだ・・」と歌詞が流れる。
学生はそんなによく喫茶店にいくものなんだろうか?
喫茶店は以前、叔母さんの住む町で一度行ったきりだ。
あの時は叔母さんが結婚を考えているという男の人と一緒だった。
家の近くにも喫茶店がある。北の方の大学に通じる道の途中にあるから、まさしく「学生街の喫茶店」なのだけれど行ったことがない。
喫茶店は駅前に行けばもっとある。
今度喫茶店に行く時には叔母さんと二人だけがいい。
そういえば、叔母さんはあの男の人とどうなったのだろうか?
「村上くん、運動会の班分けやリレーの順番を決めないといけないの」
香山さんが休み時間に僕の席に来て言った。
運動会が間近に迫っていた。気の進まない行事の一つだ。
僕は走るのが遅い。
「順番を決めるのを手伝ってくれる?」
はい、はい。それも委員の仕事だよね。それに香山さんに頼まれて断る人もそうそういないだろう。でも委員長の長田さんはどうなってるの?
「わかるでしょ。彼女、長田さんは何もしないの」
僕の顔を見て僕の考えてることがわかるかのように答えた。香山さんはやっぱりすごい。
しかし、なぜ何もしない子が委員長なんだ?
それに、こんなに仕事がてきぱきできそうな香山さんが副委員長だなんて世の中矛盾だ。
「先生に言いつけたら?」
「村上くん、世の中、甘く見たらダメよ」
そう言った香山さんの目が怖い。
怖いけれど、優しい。叔母さんとはまた違った女性の優しい目だった。
「そんなことして悪者になるのは私たちよ。文哉くんや修二くんはわかっていると思うけど、あと松下くんも」
香山さん、すごくわかっているな。
長田さんの家の誕生会に行ったことがずいぶん遠い昔のように思える。
長田さんという存在は一体何なのだろうか?
香山さんに訊いてもこの前と同じ答えが返ってくるだろう。
松下くんと修二と話した時のように只の花で人の心を動かしているのだろうか?
僕の身近にその疑問に答えてくれる人がいる気がした。
「仁美ちゃん、教室の壁に貼ってある絵、取替えなあかんねん。私、背が届かへん」
小川さんが数十枚の生徒が描いた絵を抱えて困ったよう顔をしている。
「僕が貼ってあげる。小川さんは低い所だけ貼って」
僕は小川さんの持っていた絵を受け取って脚立を使い壁に一枚一枚丁寧に貼っていく。
「村上くん、ありがとう」二人揃ってお礼を言われる。
誰かが見たら羨ましがるかもしれない光景だ。
「悠子、困ったことがあったら、どんどん言い。私も村上くんもおるんやから」
「うん」
村上くんもおるから・・か。いつのまにか僕もこの二人に頼られるようになっていたんだな。
「悠子は言いたいことがあっても、いっつも言わへんから」
「そんなことあらへん。私、ちゃんと言ってるよ」
香山さんの言葉が引っかかった。
小川さんは押し花をもらっていない。
なぜ? 貧乏だから? しかし、転校早々そんなことまで長田さんは知らなかったと思う。
長田さんは小川さんのどこを見て判断したのだろう?
小川さんはもらっても、そのことを言わないからではないだろうか?
◆
「陽ちゃん、お星さんが綺麗に見えてるわ」
叔母さんは縁側に腰掛けて庭先の方へ素足をだしてぶらんとさせている。
叔母さんの座っている横には湯呑みと小さなお団子が二つ小皿に置かれて爪楊枝が挿されている。
僕は宿題も終わっていたので叔母さんの横に同じように座った。
「叔母さん、どないしたん? 星なんか見て」
「秋は季節の中で空気が一番きれいから、星もよう見えるねん」
鈴虫がリーンリーンと鳴き続けている。
「確かにきれいや」
僕は夏から星座の名前を本で読んで少しづづ覚えていっている。
季節によっては見えない星座もある。
存在しているのに見ることができない・・
そんな当たり前のことを学んだのも叔母さんの言葉からだったような気がした。
「叔母さん、梶井基次郎の本、読んだから、あとで返す」
「あの本、陽ちゃんには少し難しかったかな?」
「そうでもなかった。面白かった」
梶井基次郎の本というのは前に叔母さんがスイカを食べながら「水分が多い本」と意味のわからないことを言っていた本だ。僕は叔母さんに借りてもう読んでいた。
それは短編集の構成の本で、その中の「檸檬(レモン)という話がわずが十四ページだったけれど面白かった。
「檸檬」は肺の病気を持つ主人公が本屋さんの本の平積みの上に一個のレモンを置いて外に出るだけという単純な話だ。
この話の最大の焦点は主人公が本屋にレモンを置くことを時限爆弾を置いたような気になった、ということだ。
なぜ、そう言う気になったのかはその前に心情描写が多く語られるのだけれど、その辺りは難しくてよくわからなかった。
僕も駅前の本屋さんで立ち読みを長時間していると店の人に怒られたりすることがあるから、店に対して何か仕返しをしてやれ、という気持ちなんだろうか?
本当に爆弾を置くわけにはいかないから、レモンを爆弾に見立てたということなんだろう。
「やっぱり『檸檬』が一番面白かったんとちゃう?」
「うん」
正直に言うと『檸檬』以外の他の短編は全くわからなかった。僕にはまだ早い。
「叔母さん、あの本のどこが水分が多いんや?」
「えっ? 私、そんなこと言うた?」
「言うた、言うたっ、忘れたんか?」思いっきり叔母さんに問う。
「私、よく直感で言うから、あとで思い出せへん時、よくあるねん」
「叔母さん、あれから僕、ずっとそれについて考えとったんや」
「ごめん、ごめん。はい、陽ちゃん、お団子」
叔母さんは目の前に楊枝を挿した団子を差し出した。
鈴虫が鳴き止んだ。
直接お団子にかぶりつこうかと思ったけど楊枝を掴んで手に取った。
「形が似てるからちゃう?」
「何の形?」お団子を食べながら叔母さんに訊ねる。
「ほら、檸檬って縦にすると水滴に見えへん?」
たぶん叔母さんは今、話を作ったな。
水分が多い、と言った理由を忘れて言い訳のように叔母さんは別の話をしている。
「この話の男はレモンを爆弾に見立てたんやで」
レモンが水滴、水滴が爆弾?
「問題は、レモンを置かれた本屋さんはレモンをどう思うたかやね」
叔母さんもお団子を口に入れて、湯呑みを手にとった。
「爆弾に見立てて置かれたとは誰も思わんやろな」
そう言いながら僕は別のことが頭に浮かんだ。
長田さんの押し花のことだ。
「そうそう、運動会、ねえちゃんと見に行くことになったから」
えっ?僕、走るの遅いのに。
叔母さんに格好悪いところ見られるのイヤだな。
「来んといて、っていう顔してるよ」叔母さんは静かに湯呑みを置く。
「わ、わかるんか?」
鈴虫がまた鳴き始めた。
「わかる、わかる。陽ちゃん、顔に出るタイプやもん」
今年は格好悪いところ、母にも叔母さんにも見られ、香山さんや小川さんにまで見られる。四年生の時にはそんなに意識していなかったことが急に意識されるようになる。
「陽ちゃんの走るところ、叔母さん、応援したげるからね」
なんで、世の中に運動会なんてものがあるんだ。
僕は気を紛らわそうとお団子のお皿の横の湯呑みを手にとって、ぐいと飲んだ。
「陽ちゃん、それ、私の湯呑み茶碗よ」
しまった!叔母さんが口をつけた飲みかけの茶碗や。
「ご、ごめん」ここはひたすら謝るしかない。
「ええよ。気にせんでも。陽ちゃんやし」
陽ちゃんやし、ってどういう意味にとったらええんや。
叔母さんの向こうには欠けた月が見えている。かけた部分もちゃんと存在しているのに今は見えない。
「陽ちゃんのお茶、忘れとったわ。とってくる」と言って叔母さんは台所に向かった。
そっか・・お団子は初めから二個あったし。ここで僕と二人でお団子を食べるつもりで用意して僕を待っていたんだ。
「陽ちゃん、ごめん、仕事の続きをするの忘れてた」
台所から戻って僕の前にお茶を置いてそう謝った。
「陽ちゃん、星、私の代わりに見とって」
叔母さんはよく編集の仕事の続きを家から持ってきてこの家でしたりしている。
母が自分の家でやればいいのに、とよく言っているが、叔母さんは「この家の方が仕事がはかどるねん。ねえちゃん、邪魔もん扱いせんといて」と言って笑っている。
「僕もお茶を飲んだら、部屋で本でも読む」
「運動会、私も走りたいな!」
そう言って叔母さんはワンピースの裾を翻して部屋に戻った。
今、なんて言った?叔母さん、運動会に出るつもり?
そんなことを考えながら部屋に戻ってラジオカセットのラジオを点けると「ガロ」というフォークソンググループの「学生街の喫茶店」が流れてきた。
「君とよくこの店にきたものだ・・」と歌詞が流れる。
学生はそんなによく喫茶店にいくものなんだろうか?
喫茶店は以前、叔母さんの住む町で一度行ったきりだ。
あの時は叔母さんが結婚を考えているという男の人と一緒だった。
家の近くにも喫茶店がある。北の方の大学に通じる道の途中にあるから、まさしく「学生街の喫茶店」なのだけれど行ったことがない。
喫茶店は駅前に行けばもっとある。
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