きみウタ~たった3年間の歌春~

ヒヤ4ンス

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第一章~出会い~

grandioso

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いきなりですが俺は今、の部室にいます。
なぜかって?
それは…





ホームルームが終わって俺は帰ろうと教室のドアを開けた。
すると、目の前に見知らぬ女子生徒が立っていた。

「ねぇ、君さ。」
「は、はい…」
「合唱部!入らない?」
「…へ!?」
「合唱部!楽しいよ!行こ!」
「…はい!?」





ということで俺は今ここに居るってわけだ。
うん、自分でも意味が分からない。
こんなにとんとんと事が進むのってあるんだな。

そんな風に考えていると。

「ごめんね!おまたせ!」
「あ、いえ。大丈夫です。」
「皆揃ったかなー。よし!」

自分をここに連れてきた女子生徒が入ってきた。
鼻息荒く、その女子生徒は部室の中にポツンとある四角い台の前に立った。

「皆!朗報です!今年は新入部員を10人確保出来たよ!」
『おー!』
伊澄いずみさん、今年は豊作ですね。」
「でしょう!皆で学校中走り回って宣伝したおかげよ!ありがとうね綾香ちゃん。」
「男子も入ってくれてるし今年こそは上。目指せるんじゃない?」
「うん!今年こそは過去最高の地区大会金賞獲得。そして目指せ全国だよ!」
「そうだね。私も指揮頑張らなきゃだわ。」
「頼むよ、みゆ!」
「任せて!」

部室がすごい盛り上がっている。
目指せ全国と言っている。

ちょっと待て。

俺…合唱なんてしたことないぞ!
そりゃ、中学校の合唱コンクールとかあったけどそんなに本気でしたことなんてないし。
というかだ。
というか!

「誰が入るって言ったー!」
「ちょっと!大きな声出してどうしたの!」
「そりゃ大声出しますよ!俺は別に入るだなんて言ってませんから!」
「え、うそだ!はい!って言ったじゃん!」
「あ、あれは肯定の意味で言ったわけじゃ…」
「そんなの知らないよー。はい!ってちゃんと自分の耳で聞いたもーん。」
「そんな理不尽な…」

帰宅部生活が…一瞬で砕け散るだなんて…

「葵翔くんだっけ?ごめんね、うちの伊澄が。こいつ人の話聞かないタイプだからさ。」
「ちょっとー?それ失礼じゃなーい?」
「本当のことでしょう。私を誘う時だって騙して入れたじゃないの。」
「え、そうだっけ?」
「はぁ…覚えてないんだ。私の時もそんな風に理不尽に口説いて入れたのに。」
「てへっ!でも、楽しいでしょ?みゆも。」
「…そうね。今となっては入って良かったと思えるわ。」
「でしょでしょ!」
「だから、葵翔くんも入ってみない?騙されたと思ってさ。きっと後悔はしないから!」
「は、はぁ…」
「あ、伊澄さん!せっかくですから新入部員の皆さんの為にコンクールで歌う曲を歌いませんか?」
「ナイスアイデア!綾香ちゃん!」
「そうね、じゃあ皆!位置について。」

先輩達が一斉に散らばり、凛とした姿勢で立っている。
みゆ先輩が伊澄先輩の後ろにあった四角い台の上に立ち、棒を手に静止した。

…その瞬間、空気が張り詰めるのを感じた。
これまでに感じたことの無い空気だ。

少し間を開けて、みゆ先輩が棒を振り始める。





そこからの5、自分は何も考えられなかった。
ただただ目の前から押し寄せる音圧迫力に圧巻されていた。

そんな風に俺が呆気にとられていると。

「葵翔くん!どうだったかな!私たちの演奏。」

伊澄さんが元気よく声をかけてきた。

「すごかったです…なんというか言葉に表せない感じで…」
「うんうん!私も最初そうだったよ!初めて先輩の演奏を聞いた時、感動しすぎて泣いたもん!」
「先輩もすごいですね。普段の声と違ってて、なんというか…かっこよかったです。」
「本当!?嬉しいなー…ソロパートいつも練習してるからね!」
「伊澄はよく通る声質だからね。個人練の時に、別の教室にいてもすぐそばにいると錯覚するくらいよ。」
「え!?そんなに聞こえてたの!?皆の邪魔じゃなかったかな…」
「大丈夫よ、皆慣れ切っているから。」
「それは嬉しいんだか悲しいんだか…」
「まぁ、それは置いといてよ。葵翔くん。」
「は、はい…」
「私たちと一緒に合唱。してみない?」

俺は少し間をとってゆっくり深呼吸した。
そして…





「一緒に合唱してみたいです。」

ここから、俺の壮大な青春物語が始まる…はずだよな…
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