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1-3 運命の赤い糸?
3-5
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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・どうすれば良いんだ?
これって俺は悪くないよな? 勝手に勇者が俺の頭の中見て勝手に・・・・・・な訳ないよなぁ。増幅されたとは言えああいった感情を持っていたって事だもんなぁ。
運転席から真ん中のナビシートに移動する。ビクッとする勇者。何にもしねーよ。
「なあ、勇者・・・・・・」
「・・・・・・クスン・・・・・・クスン・・・・・・」
はあ!? なんで? なんで泣くの!? ちょっと前まで耳まで真っ赤だったよね。感情の起伏激しすぎ!・・・・・・ってまだ上手く感情のコントロール出来ないんだっけ。ここは子供をあやす感じで。
「お、おい勇者、なんで泣くんだよ?」
「・・・・・・ルシア・・・・・・」
「・・・・・・ルシアって呼べばいいのか?」
勇者は膝に顔をうずめたままコクリと頷く。うん、まんま子供だな。感情の暴走で幼児退行でもしちゃったか?
「解ったよ。なあルシア、俺はどうすればいい? こんな事俺も初めてだから、どうしたら良いのか解らないんだよ」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・ルシアはどうしたいんだ?」
「・・・・・・一緒にいて欲しい・・・・・・」
・・・・・・まぁたこいつらは・・・・・・ストレート過ぎんだよ。
「今一緒にいるだろ」
「違う、ずっと」
だよな、誤魔化されないよな。
「あのな、ああいう事を考えてしまった事に対しては謝る。ルシアが余りにも魅力的だったからあんな事を考えてしまった。すまない。しかし、ミカにも言ったけど俺は結婚してるの。この場にはいないけどちゃんと奥さんいるし、子供もいるの。解る? 結婚してる人は新しくお嫁さん貰っちゃいけないの。な? ルシアは22歳だっけ? 大人だから解るだろ?」
「異世界人だから解んない」
「・・・・・・ほら、ザックなんかどうだ? あいつイケメンだし」
「あんなのヤダ」
「じゃあルードは? 俺と歳も大して変わらんだろう?」
「あんな筋肉ヤダ」
・・・・・・まあ気持ちは解るが。平八だしな。
「タカオがいい、タカオじゃなきゃヤダ」
・・・・・・どうすりゃいいんだよ。ミカといいルシアといい。なんでそこまでして俺に拘るんだ。遥がいればまた違うんだろうけど・・・・・・
遥、そうか遥がいる!! 説得は遥に任せよう! 遥なら一夫多妻なんか認める訳が無い。そうだ! そうしよう! 遥かに丸投げだけど、俺はこの二人を説得できる自信が無い! よし、名案だ! 困った時は夫婦で相談しないとな!
「解った。ミカからも同じような事を言われている。ミカも交えて話そう」
ルシアからの返事は無いが、トラックを走らせミカの元に向かった。
トラックをルード達の横に着ける・・・・・・お前ら真昼間から宴会かよ。ミカまで一緒になって何やってんだよ。トラックを降りてミカを呼びに行く。
「なあ、ルード。ちょっとミカを借りるぞ。ミカちょっといいか?」
「あ~タカオら~」
・・・・・・誰だよミカに飲ませたのは。ルードとザックを見ると二人でニヤついている
「儂等は飲ませておらんぞ? ミカが自分から飲み始めたのじゃ。勢いを付けるとか何とか」
本当かよ。まあいいや。ミカの手を引き運転席まで連れて行き
「ミカ、乗ってくれ」
「のれらい、タカオだっこ」
こいつ・・・・・・何でこんなに飲んでるんだよ。こっちはさっさと話を終わらせたいってのに。仕方がなく脇に手を入れ持ち上げる。
「ん、タカオはやっぱりエッチ。」
だから脇に手ぇ入れてんだろうが。ミカは無視して押し込む。
「やん、そこおしり」
はいはいそうですね。今は確かに触りましたよ。押し込む為に腰をな!
俺も乗り込みドアを閉める。奥にいる二人に向き直ると
「で、話は纏まったの?」
・・・・・・ミカ・・・・・・こいつ酔った振りかよ
「何? あれしきの酔いは解毒魔法ですぐに中和出来る。タカオも飲み過ぎたら言って」
「・・・・・・お前なあ、そんな事出来るなら乗せる前にやれよ」
「乗る前に素面に戻っていたら、タカオは乗せてくれなかったでしょ?」
「当たり前だ。まあいい、二人に俺の考えを言う前に、幾つか確認したい事がある」
二人は俺を見るが、流石に勇者、いやルシアは視線を合わせようとしない。
「ミカとルシアは俺の器に惹かれた。それは俺の事が好き。この認識でいいんだな?」
「ちょっと違う。“好き“ という言葉以上。タカオだって他人に対して、相性が合う合わないがある筈。器に惹かれるという事は、それ以上無いって言う位、相性が合う相手が見つかったという事。その人と結ばれれば確実に幸せになれる。盲目的にその人を愛し、死ぬまでその人と共に歩み続ける。そんな自分を幸せにしてくれる相手が見つかったのに、それをわざわざ逃がす? 」
「でもさ、ミカは俺の事好きって言ったよな?」
「あの時点でこんな説明して理解できた? 出来ないでしょ? だから好意を向けられていると解りやすくする為に好きって言った」
「でも今の言い方だと、男は女の器に惹かれたりはしないのか?」
「男には無い。女性特有の能力」
「ふーん、でもそれだと結婚詐欺とかありそうじゃないか?」
「結婚詐欺とは?」
「あーっと、例えば金持ちの男性の所に、器に惹かれましたって女性が来たとする。男性は器を感じられないから女性の言うままに結婚してしまった。暫く経って男性は急死した。犯人は女性なんだが、結婚後なので女性は男性が残した資産を全部自分の物に出来た。まあ簡単に言うとこんな感じだ。」
「それは大丈夫。まず結婚する時には審問官に審査される。その時に如何わしい事が判明すると結婚はしない。まれにそれでも結婚する人はいるけど、それは自己責任。次に神殿でお互いの器に誓いを立てる。引き返せるのはここまで。誓いを立てた後は死別と奴隷落ち以外に別れることは出来ない」
「審査って何をするんだ?」
「そういう魔導具がある」
「でもここには無いんだよな」
「無い。審査の件に関しては、私たちの言葉を信じてもらう意外には無い。でもタカオの言いたい事も解る。私たちがタカオと結婚して、まあ確実に有り得ないけどタカオを亡き者にしたとする。それで私たちが得るものは何?」
俺を殺して得られる物・・・・・・何だろう? 何かあるか?・・・・・・武器コレクションとか?
「んー、無いな」
「でしょ? 私たちは純粋にタカオを愛している。只それだけ」
「そうか。言ってる事は理解出来るけど、それって全部女性側の事だよな?男性側に、その、なんて言うか・・・・・・」
「選ぶ権利?」
「あー、まあそうだ。男として女性に言い寄られるのは、今言った様な裏が無い限り嬉しい事だと思う。だけど今迄の説明だと器に惹かれたら最後、あらゆる手段でその相手を篭絡するって事だろ? もし男が器に惹かれて来た女性を気に入らなかったら? 見た目とか性格とか立場とか、いろいろあるだろ? 好きになれるかどうかも解らないじゃないか」
「それも問題無い。サラニアの鎖で結ばれた人同士が惹かれるから」
「サラニアの鎖って?」
「ん? えっと、こっちの世界では何て言うのか・・・・・・遠く離れた場所にいても必ず二人は出会う、みたいな・・・・・・」
「ああ、運命の赤い糸か?」
「それはどんな物なの?」
「こっちの世界では、見えないけど小指に赤い糸が結んであるって言われていてな。糸の反対側も誰かに結ばれているんだ。その二人は深い縁で結ばれていてな、出会って結ばれたら決して離れる事は無い。って言う伝承だ」
「素晴らしい伝承だわ・・・・・・」
緑の瞳をキラキラさせて自分の小指を見つめながら、そう呟くルシア。
「そう、こっちの世界にも似たような話があるのね。その運命の赤い糸で結ばれた者同士は、見た目やその他で相手を選ぶ物なの?」
「いや、選ばないだろうな」
「じゃあそれと一緒。サラニアの鎖で繋がれた者同士も、見た目なんかで判断しない。運命によって繋がれているんだから。イグナスの女性はそれが見えるだけ。自分が幸せになる為の道が見えているのに、それを手繰り寄せて手に入れないのは愚か者のすることじゃない?」
「・・・・・・そうだな・・・・・・」
「私もルシアもタカオの器に惹かれた、繋がっていると確信した。だからここまで言っている。ルードやザック、他の人には間違っても言わない。言う価値も無い。私とルシアはタカオ、あなたと結婚したい。一緒に暮らしたい、抱かれたい、タカオの子供を産みたい」
「わっわったもだっだかっ!だkれ・・・・・・」
いいから無理すんなルシア、顔真っ赤だぞ・・・・・・
「そうか・・・・・・ミカとルシアの気持ちは解った。じゃあ次だ。俺は結婚しているって事と、一人の妻と二人の息子がいるって事は言ってあるよな。息子たちはともかく妻の遥はどうするつもりなんだ?」
「それこそ何の問題にもならない」
「なんで? それこそ大問題だろう? ここはそっちの世界と違って一夫一婦制なんだぞ。もう意識下に常識として刷り込まれているんだ。そっちの常識を簡単に認められる訳がないだろう」
「その事については私達女性の問題。タカオは気にしなくていい」
「いや、気にしなくていいって言ったってさあ」
「男は大きく構えて女達を平等に愛していればそれだけでいいの。何人増やしてもいい、ただ平等に扱うだけ。格付けだけはしては駄目。同じように会話をして、同じように笑い、同じように悲しみ、同じように抱く。ただそれだけ。簡単でしょ?」
「・・・・・・」
「・・・・・・タカオ、私を見て」
ミカは俺の両手を取り、真っ直ぐ眼を見ながら言う。
「主神フリージアよ。私、ミカ・クリンゲル・サガは、スズキタカオと器の誓約を交わします。艱難辛苦を分かち合い、共に笑い、泣き、怒り、悲しむ。死が二人を分かつまでスズキタカオだけを愛し、尽くすと、私ミカ・クリンゲル・サガは誓います」
「あ、わ、私も」
ルシアはそう言いながら近づいて来て俺の手を取り眼を合わす。おい、イモシアとやらは大丈夫なのか?
「主神フリージアよ。私、ルシア・アナ・メイシールドは、スズキタカオと器の誓約を交わします。艱難辛苦を分かち合い、共に笑い、泣き、怒り、悲しむ。死が二人を分かつまでスズキタカオだけをあ、愛し、ちゅくすと、私ルシア・アナ・メイシールドは誓います」
・・・・・・ちょっと噛んでいたが集中している時? は発動しない様だ。良かった。
・・・・・・で、どうする? アイスブルーの瞳を持つミカ、ライトグリーンの瞳を持つルシア。二人ともタイプは違うが美人だ。そんな二人に同時に求婚された。もうどうしていいか解らない。ああ、そりゃあ正直言うと嬉しいさ。でも俺には遥が・・・・・・
「タカオ?」
「ああ、すまん。二人の気持ちは本当に嬉しい。これは隠しようのない事実だ。でもな・・・・・・」
「ハルカの事なら本当に心配しないで。タカオは私とルシアを受け入れてくれるだけでいい。後は私とルシアでやる」
「・・・・・・もう俺が何を言っても、俺の事を諦めるって選択肢は無いんだよな?」
「「ない」です」
「そうか、解った。俺は二人を受け入れる」
俺がそう言った途端、二人に握られている両手が、淡い光を放つ。
「タカオ、ルシア、これで誓約は交わされたわ」
ルシアは花が咲いたような笑顔を見せ、ミカは・・・・・・ミカ!? 何で泣いてるんだ? ミカのアイスブルーの瞳から涙が零れ落ちている。
「お、おい、ミカ! 何で泣く!? 受け入れるって言っただろう?」
「ミ、ミカ? どうしたの?」
ルシアも驚いている。
「ふふ・・・・・・ごめんなさい。余りにも嬉しくて涙を抑えきれなかった。前世も入れて123年、やっと器に惹かれる相手の物になったのが信じられなくて・・・・・・」
「なんだよ。受け入れるって言っただろ。こんな話の時に嘘なんかつかねーよ。それにしても123年か。そりゃあ長かったなって123年!? はあ? 何が123年?」
「あら? 言って無かった? 私は魔導を極める為に104年生きた体を捨てて、記憶を残したまま転生したのよ」
「はあ!? ミカ、お前19歳って言ってなかったか? 本当は123歳の婆さんなのか!?」
「違う!! 今は正真正銘の19歳!! 体だってぴちぴちの19歳!! 子供だって産める!!おばあさんじゃない!! それに処女!!」
ミカは両手を握り締め力説する。
「え? でも。んん? 何が? あれ?・・・・・・あれだよな? 19歳の体の中に精神年齢123歳のばあさ「撃つよ」・・・・・・はい、すいません」
こいつ両手に光の塊出しやがった。そんな物撃とうとするなよ。
しかし、とんでもない事実が判明した。だからミカは話し上手と言うか交渉上手と言うか、半分以上も年下の娘と話している感じがしなかったのか。知識、経験が豊富な年配者と話している気分だったしな。
「今の私は19歳。ルシアは22歳。私の方が3歳も若い。アデルとジゼルには負けるけど、彼女達はまだ子供。だから私は19歳なの。タカオ解った?」
何がだからなのか良く解らないが、ここは頷いておこう。その光球が何かは解らないが撃たれたく無いしな。横でルシアは苦笑いしてるし。ミカに年齢の話はタブーなんだな。
「あ、ああ、解った。よーく理解した。ミカは19歳でルシアは22歳なんだよな? オーケー解った」
そうしてミカは 「解れば良いのよ」と言って手の平の光球を消した。
これって俺は悪くないよな? 勝手に勇者が俺の頭の中見て勝手に・・・・・・な訳ないよなぁ。増幅されたとは言えああいった感情を持っていたって事だもんなぁ。
運転席から真ん中のナビシートに移動する。ビクッとする勇者。何にもしねーよ。
「なあ、勇者・・・・・・」
「・・・・・・クスン・・・・・・クスン・・・・・・」
はあ!? なんで? なんで泣くの!? ちょっと前まで耳まで真っ赤だったよね。感情の起伏激しすぎ!・・・・・・ってまだ上手く感情のコントロール出来ないんだっけ。ここは子供をあやす感じで。
「お、おい勇者、なんで泣くんだよ?」
「・・・・・・ルシア・・・・・・」
「・・・・・・ルシアって呼べばいいのか?」
勇者は膝に顔をうずめたままコクリと頷く。うん、まんま子供だな。感情の暴走で幼児退行でもしちゃったか?
「解ったよ。なあルシア、俺はどうすればいい? こんな事俺も初めてだから、どうしたら良いのか解らないんだよ」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・ルシアはどうしたいんだ?」
「・・・・・・一緒にいて欲しい・・・・・・」
・・・・・・まぁたこいつらは・・・・・・ストレート過ぎんだよ。
「今一緒にいるだろ」
「違う、ずっと」
だよな、誤魔化されないよな。
「あのな、ああいう事を考えてしまった事に対しては謝る。ルシアが余りにも魅力的だったからあんな事を考えてしまった。すまない。しかし、ミカにも言ったけど俺は結婚してるの。この場にはいないけどちゃんと奥さんいるし、子供もいるの。解る? 結婚してる人は新しくお嫁さん貰っちゃいけないの。な? ルシアは22歳だっけ? 大人だから解るだろ?」
「異世界人だから解んない」
「・・・・・・ほら、ザックなんかどうだ? あいつイケメンだし」
「あんなのヤダ」
「じゃあルードは? 俺と歳も大して変わらんだろう?」
「あんな筋肉ヤダ」
・・・・・・まあ気持ちは解るが。平八だしな。
「タカオがいい、タカオじゃなきゃヤダ」
・・・・・・どうすりゃいいんだよ。ミカといいルシアといい。なんでそこまでして俺に拘るんだ。遥がいればまた違うんだろうけど・・・・・・
遥、そうか遥がいる!! 説得は遥に任せよう! 遥なら一夫多妻なんか認める訳が無い。そうだ! そうしよう! 遥かに丸投げだけど、俺はこの二人を説得できる自信が無い! よし、名案だ! 困った時は夫婦で相談しないとな!
「解った。ミカからも同じような事を言われている。ミカも交えて話そう」
ルシアからの返事は無いが、トラックを走らせミカの元に向かった。
トラックをルード達の横に着ける・・・・・・お前ら真昼間から宴会かよ。ミカまで一緒になって何やってんだよ。トラックを降りてミカを呼びに行く。
「なあ、ルード。ちょっとミカを借りるぞ。ミカちょっといいか?」
「あ~タカオら~」
・・・・・・誰だよミカに飲ませたのは。ルードとザックを見ると二人でニヤついている
「儂等は飲ませておらんぞ? ミカが自分から飲み始めたのじゃ。勢いを付けるとか何とか」
本当かよ。まあいいや。ミカの手を引き運転席まで連れて行き
「ミカ、乗ってくれ」
「のれらい、タカオだっこ」
こいつ・・・・・・何でこんなに飲んでるんだよ。こっちはさっさと話を終わらせたいってのに。仕方がなく脇に手を入れ持ち上げる。
「ん、タカオはやっぱりエッチ。」
だから脇に手ぇ入れてんだろうが。ミカは無視して押し込む。
「やん、そこおしり」
はいはいそうですね。今は確かに触りましたよ。押し込む為に腰をな!
俺も乗り込みドアを閉める。奥にいる二人に向き直ると
「で、話は纏まったの?」
・・・・・・ミカ・・・・・・こいつ酔った振りかよ
「何? あれしきの酔いは解毒魔法ですぐに中和出来る。タカオも飲み過ぎたら言って」
「・・・・・・お前なあ、そんな事出来るなら乗せる前にやれよ」
「乗る前に素面に戻っていたら、タカオは乗せてくれなかったでしょ?」
「当たり前だ。まあいい、二人に俺の考えを言う前に、幾つか確認したい事がある」
二人は俺を見るが、流石に勇者、いやルシアは視線を合わせようとしない。
「ミカとルシアは俺の器に惹かれた。それは俺の事が好き。この認識でいいんだな?」
「ちょっと違う。“好き“ という言葉以上。タカオだって他人に対して、相性が合う合わないがある筈。器に惹かれるという事は、それ以上無いって言う位、相性が合う相手が見つかったという事。その人と結ばれれば確実に幸せになれる。盲目的にその人を愛し、死ぬまでその人と共に歩み続ける。そんな自分を幸せにしてくれる相手が見つかったのに、それをわざわざ逃がす? 」
「でもさ、ミカは俺の事好きって言ったよな?」
「あの時点でこんな説明して理解できた? 出来ないでしょ? だから好意を向けられていると解りやすくする為に好きって言った」
「でも今の言い方だと、男は女の器に惹かれたりはしないのか?」
「男には無い。女性特有の能力」
「ふーん、でもそれだと結婚詐欺とかありそうじゃないか?」
「結婚詐欺とは?」
「あーっと、例えば金持ちの男性の所に、器に惹かれましたって女性が来たとする。男性は器を感じられないから女性の言うままに結婚してしまった。暫く経って男性は急死した。犯人は女性なんだが、結婚後なので女性は男性が残した資産を全部自分の物に出来た。まあ簡単に言うとこんな感じだ。」
「それは大丈夫。まず結婚する時には審問官に審査される。その時に如何わしい事が判明すると結婚はしない。まれにそれでも結婚する人はいるけど、それは自己責任。次に神殿でお互いの器に誓いを立てる。引き返せるのはここまで。誓いを立てた後は死別と奴隷落ち以外に別れることは出来ない」
「審査って何をするんだ?」
「そういう魔導具がある」
「でもここには無いんだよな」
「無い。審査の件に関しては、私たちの言葉を信じてもらう意外には無い。でもタカオの言いたい事も解る。私たちがタカオと結婚して、まあ確実に有り得ないけどタカオを亡き者にしたとする。それで私たちが得るものは何?」
俺を殺して得られる物・・・・・・何だろう? 何かあるか?・・・・・・武器コレクションとか?
「んー、無いな」
「でしょ? 私たちは純粋にタカオを愛している。只それだけ」
「そうか。言ってる事は理解出来るけど、それって全部女性側の事だよな?男性側に、その、なんて言うか・・・・・・」
「選ぶ権利?」
「あー、まあそうだ。男として女性に言い寄られるのは、今言った様な裏が無い限り嬉しい事だと思う。だけど今迄の説明だと器に惹かれたら最後、あらゆる手段でその相手を篭絡するって事だろ? もし男が器に惹かれて来た女性を気に入らなかったら? 見た目とか性格とか立場とか、いろいろあるだろ? 好きになれるかどうかも解らないじゃないか」
「それも問題無い。サラニアの鎖で結ばれた人同士が惹かれるから」
「サラニアの鎖って?」
「ん? えっと、こっちの世界では何て言うのか・・・・・・遠く離れた場所にいても必ず二人は出会う、みたいな・・・・・・」
「ああ、運命の赤い糸か?」
「それはどんな物なの?」
「こっちの世界では、見えないけど小指に赤い糸が結んであるって言われていてな。糸の反対側も誰かに結ばれているんだ。その二人は深い縁で結ばれていてな、出会って結ばれたら決して離れる事は無い。って言う伝承だ」
「素晴らしい伝承だわ・・・・・・」
緑の瞳をキラキラさせて自分の小指を見つめながら、そう呟くルシア。
「そう、こっちの世界にも似たような話があるのね。その運命の赤い糸で結ばれた者同士は、見た目やその他で相手を選ぶ物なの?」
「いや、選ばないだろうな」
「じゃあそれと一緒。サラニアの鎖で繋がれた者同士も、見た目なんかで判断しない。運命によって繋がれているんだから。イグナスの女性はそれが見えるだけ。自分が幸せになる為の道が見えているのに、それを手繰り寄せて手に入れないのは愚か者のすることじゃない?」
「・・・・・・そうだな・・・・・・」
「私もルシアもタカオの器に惹かれた、繋がっていると確信した。だからここまで言っている。ルードやザック、他の人には間違っても言わない。言う価値も無い。私とルシアはタカオ、あなたと結婚したい。一緒に暮らしたい、抱かれたい、タカオの子供を産みたい」
「わっわったもだっだかっ!だkれ・・・・・・」
いいから無理すんなルシア、顔真っ赤だぞ・・・・・・
「そうか・・・・・・ミカとルシアの気持ちは解った。じゃあ次だ。俺は結婚しているって事と、一人の妻と二人の息子がいるって事は言ってあるよな。息子たちはともかく妻の遥はどうするつもりなんだ?」
「それこそ何の問題にもならない」
「なんで? それこそ大問題だろう? ここはそっちの世界と違って一夫一婦制なんだぞ。もう意識下に常識として刷り込まれているんだ。そっちの常識を簡単に認められる訳がないだろう」
「その事については私達女性の問題。タカオは気にしなくていい」
「いや、気にしなくていいって言ったってさあ」
「男は大きく構えて女達を平等に愛していればそれだけでいいの。何人増やしてもいい、ただ平等に扱うだけ。格付けだけはしては駄目。同じように会話をして、同じように笑い、同じように悲しみ、同じように抱く。ただそれだけ。簡単でしょ?」
「・・・・・・」
「・・・・・・タカオ、私を見て」
ミカは俺の両手を取り、真っ直ぐ眼を見ながら言う。
「主神フリージアよ。私、ミカ・クリンゲル・サガは、スズキタカオと器の誓約を交わします。艱難辛苦を分かち合い、共に笑い、泣き、怒り、悲しむ。死が二人を分かつまでスズキタカオだけを愛し、尽くすと、私ミカ・クリンゲル・サガは誓います」
「あ、わ、私も」
ルシアはそう言いながら近づいて来て俺の手を取り眼を合わす。おい、イモシアとやらは大丈夫なのか?
「主神フリージアよ。私、ルシア・アナ・メイシールドは、スズキタカオと器の誓約を交わします。艱難辛苦を分かち合い、共に笑い、泣き、怒り、悲しむ。死が二人を分かつまでスズキタカオだけをあ、愛し、ちゅくすと、私ルシア・アナ・メイシールドは誓います」
・・・・・・ちょっと噛んでいたが集中している時? は発動しない様だ。良かった。
・・・・・・で、どうする? アイスブルーの瞳を持つミカ、ライトグリーンの瞳を持つルシア。二人ともタイプは違うが美人だ。そんな二人に同時に求婚された。もうどうしていいか解らない。ああ、そりゃあ正直言うと嬉しいさ。でも俺には遥が・・・・・・
「タカオ?」
「ああ、すまん。二人の気持ちは本当に嬉しい。これは隠しようのない事実だ。でもな・・・・・・」
「ハルカの事なら本当に心配しないで。タカオは私とルシアを受け入れてくれるだけでいい。後は私とルシアでやる」
「・・・・・・もう俺が何を言っても、俺の事を諦めるって選択肢は無いんだよな?」
「「ない」です」
「そうか、解った。俺は二人を受け入れる」
俺がそう言った途端、二人に握られている両手が、淡い光を放つ。
「タカオ、ルシア、これで誓約は交わされたわ」
ルシアは花が咲いたような笑顔を見せ、ミカは・・・・・・ミカ!? 何で泣いてるんだ? ミカのアイスブルーの瞳から涙が零れ落ちている。
「お、おい、ミカ! 何で泣く!? 受け入れるって言っただろう?」
「ミ、ミカ? どうしたの?」
ルシアも驚いている。
「ふふ・・・・・・ごめんなさい。余りにも嬉しくて涙を抑えきれなかった。前世も入れて123年、やっと器に惹かれる相手の物になったのが信じられなくて・・・・・・」
「なんだよ。受け入れるって言っただろ。こんな話の時に嘘なんかつかねーよ。それにしても123年か。そりゃあ長かったなって123年!? はあ? 何が123年?」
「あら? 言って無かった? 私は魔導を極める為に104年生きた体を捨てて、記憶を残したまま転生したのよ」
「はあ!? ミカ、お前19歳って言ってなかったか? 本当は123歳の婆さんなのか!?」
「違う!! 今は正真正銘の19歳!! 体だってぴちぴちの19歳!! 子供だって産める!!おばあさんじゃない!! それに処女!!」
ミカは両手を握り締め力説する。
「え? でも。んん? 何が? あれ?・・・・・・あれだよな? 19歳の体の中に精神年齢123歳のばあさ「撃つよ」・・・・・・はい、すいません」
こいつ両手に光の塊出しやがった。そんな物撃とうとするなよ。
しかし、とんでもない事実が判明した。だからミカは話し上手と言うか交渉上手と言うか、半分以上も年下の娘と話している感じがしなかったのか。知識、経験が豊富な年配者と話している気分だったしな。
「今の私は19歳。ルシアは22歳。私の方が3歳も若い。アデルとジゼルには負けるけど、彼女達はまだ子供。だから私は19歳なの。タカオ解った?」
何がだからなのか良く解らないが、ここは頷いておこう。その光球が何かは解らないが撃たれたく無いしな。横でルシアは苦笑いしてるし。ミカに年齢の話はタブーなんだな。
「あ、ああ、解った。よーく理解した。ミカは19歳でルシアは22歳なんだよな? オーケー解った」
そうしてミカは 「解れば良いのよ」と言って手の平の光球を消した。
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そして、孤児達の成長と日常、たまに恋愛がある物語である。
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
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