召喚士なのに前に居る

マナ

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2章:駆け出しの冒険者

16話:初期値の弊害

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 武器と防具を売るお店にやってきた。名前はツインズ。双子の兄弟が営んでいて、兄が武器専門、弟が防具専門って感じで2種類のお店が合わさっているっていう、2つの意味でツインズなのだそう。おもしろいね。

「DEXが71って、レベル10でか」
「タークスのDEX値、抜かされてるじゃない」
「ってことはよ。さっき言ってたSTR値が1ってのも嘘じゃないってことか」
「DEX以外は全部1ですよ」

 防具を決めるにあたり、STR値っていうのは大事になるらしい。重いとDEXにマイナス補正がつくようだ。だいたいの人は優先して伸ばす能力値以外にも少しは数値を振るものらしい。極振りするのは合理的じゃないようだ。STRが1だと、布製の軽い服しか着られないらしい。荷物も大して持てないようだ。やっちゃったなぁ。

「私でもSTR値は20あるわよ」
「杖がけっこう重いんだよな」
「遠征する場合、大荷物になることも多い。どの冒険者もある程度は振ってるぞ」

 私の場合は自分の荷物すらまともに持てませんね。やらかしたな。ミケを持てるくらいの筋力はあるけど、たしかに一日中抱っこするってなると、きつそうだ。
 でもなぁ、いまさら他に数値を振るのはなんか、なんかやだ。荷物持ちに適した魔物と契約するしかないと思うんだよね。馬とか、牛とか、なんかいないかな。

「直近の問題は武器と防具だ。魔法系のヤツはだいたいローブを着るんだが、STR1で着られるか?」
「ちょっと試着させてもらいましょ」

 キャサリンさんに選んでもらったローブを着てみた。うん、なんか、感覚でマイナス補正かかってるのがわかる。なんか重いもん。肩と腰と膝に負担がのしかかる感じがする。

「ダメそうね」
「ダメそうだな」
「ステータスを見るまでもなさそうだな」

 3人から見てもダメだそうだ。防具の専門家も「やめとけ、体を悪くするぞ」って言われた。大人しく脱ぐ。

「嬢ちゃんはアレだな。暗殺者が着るようなぴっちぴちのペラい装備しか着らんねぇな」
「露出はなしの方向でお願いしたいです」
「初心者用の布の服くらいしか在庫ねぇよ」

 引っ張り出してきてもらったのは、ゲームとかでよく見るただの布の服だ。それと動きやすい柔らかい皮の靴。ファンタジー系のゲームの初期装備みたい。身につけていると、VIT値に1の補正が入った。
 在庫はこれしかないが、魔物の素材を持ってくればオーダーメイドも可能なようだ。私の装備ってなると、オーダーメイドしか方法はなさそう。正規品はどれもSTR5以上が必要そうなのだ。防具なだけあって、しっかり作られてるんだね。

「ウラナの防具は今後の課題だな」
「ドワーフの店とかに頼んだ方が良いかもしれないな」
「そうね。彼らは手先が器用だから、多少の無茶もお金を払えば何とかしてくれるわ」

 STR初期値は相当に修羅の道なようです。誰も数値を振れと言わないあたり、極振りに理解は示してくれてるのかな。
 聞いたら、異世界人はけっこう極振りする人がいたようだ。何を言っても極振りをやめず、極振りの強みをゴリ押しする人達だったので、伝説が色々と残っているらしい。私も異世界人だから、こだわりがあるんだろうと尊重してくれたようだ。ありがたいけど、異世界の人しか極振りする人いなかったんですね。それはそれでびっくりだよ。
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