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本編 第2章
第10話
「だから、どうか安心してください。あなたとヴィリバルトさんの仲を引き裂くことはありませんから」
苦笑を浮かべて告げると、ギードさんは何度か瞬きをした。
それから、プイっと顔を背ける。
「ふんっ! あなたごときが私とヴィリの絆を引き裂けるなど、思いあがらないでいただきたい!」
たぶん、人間だったら胸を張っているはずだ。そう思うほど、ギードさんの態度は自信満々だった。
(ギードさん、さっきヴィリバルトさんのことを『仕事上のパートナー』って言ったこと忘れたのね)
あれは完全に強がりだったということだろう。本当はヴィリバルトさんのことを誰よりも大切にしているんだってわかる。
「ギード。メリーナさんが一緒に住むこと、了承してくれますか?」
ヴィリバルトさんの問いかけに、ギードさんはもう一度ちらりと私を見た。
そして、大きくため息をつく。
「……構いませんよ。そもそも、ヴィリは一度決めたらなかなか曲げないでしょう」
「俺の性格、熟知してくれていて助かります」
ヴィリバルトさんが、ギードさんの脚を撫でる。うろこに覆われた脚。鋭くて大きな爪。
ドラゴンをここまで間近に見たのは、はじめて。……すごい、すごい!
「あの、私も触ってみていいですか?」
控えめに問いかけてみると、ヴィリバルトさんは驚いたように口を開けた。心なしかギードさんも驚いているように見える。
「お前、根性があるな。初対面のドラゴンに触れてみたいなど……」
「昔から、憧れていて。……好きで、たまらなくて」
それを両親はよく思わなくて、散々馬鹿にされた。それでも、この気持ちはずっと変わっていない。
「女の子がドラゴンに興味を持つな――なんてたくさん言われました。だけど、好きな気持ちはずっと昔から変わっていません!」
つい身を乗り出すと、ヴィリバルトさんに止められてしまった。これ以上前に行くなということらしい。
確かに、ドラゴンの攻撃力はすさまじい。ちょっとした戯れでも、人間にとっては大怪我につながるのものだ。
「怪我をしても知らんぞ」
「そこは自己責任ですから」
怪我をした場合、悪いのは注意を怠った私だ。ギードさんはなにも悪くない。
私の熱意に押されたのか、ギードさんは小さくため息をついて、脚を前に出してくれた。
手を伸ばして、うろこに触れてみる。うろこの一枚一枚は大きくて、予想以上に硬かった。
(うろこ自体もすっごくきれい! キラキラしているっていうか)
窓から差し込む光を浴びて、うろこは美しく輝いていた。同時に、私の瞳もキラキラしているはず。
「いつまで触っているつもりなんですか」
あまりにも長い間触れていたためか、ギードさんがあきれたような声を出す。
でも、念願のドラゴンに触れているのだ。もうちょっと、もうちょっと――。
「メリーナさん。すみませんが、そろそろいいでしょうか?」
私の肩にぽんっと手を置いたのはヴィリバルトさんだった。
「ギードさえよかったら、また今度触らせてもらいましょう」
ヴィリバルトさんはそう言うけど、私は納得できない。眉尻を下げていると、ギードさんは翼を広げた。
大きな翼にあっけに取られている間に、ギードさんが脚を引き抜いてしまう。
「……私としては、また来てくださって構いませんよ。ただし、一日一回にしてください」
「毎日来てもいいってことですか?」
「……私も暇なものでね」
多分、妥協するほうが早く終わると思ったのだろう。だけど、それでいい。
言質が取れたのだから、今はこれで十分。
「じゃあ、また明日来ますね!」
ギードさんに向かって笑いかけると、なぜか隣からため息が聞こえてきた。
……どうして?
苦笑を浮かべて告げると、ギードさんは何度か瞬きをした。
それから、プイっと顔を背ける。
「ふんっ! あなたごときが私とヴィリの絆を引き裂けるなど、思いあがらないでいただきたい!」
たぶん、人間だったら胸を張っているはずだ。そう思うほど、ギードさんの態度は自信満々だった。
(ギードさん、さっきヴィリバルトさんのことを『仕事上のパートナー』って言ったこと忘れたのね)
あれは完全に強がりだったということだろう。本当はヴィリバルトさんのことを誰よりも大切にしているんだってわかる。
「ギード。メリーナさんが一緒に住むこと、了承してくれますか?」
ヴィリバルトさんの問いかけに、ギードさんはもう一度ちらりと私を見た。
そして、大きくため息をつく。
「……構いませんよ。そもそも、ヴィリは一度決めたらなかなか曲げないでしょう」
「俺の性格、熟知してくれていて助かります」
ヴィリバルトさんが、ギードさんの脚を撫でる。うろこに覆われた脚。鋭くて大きな爪。
ドラゴンをここまで間近に見たのは、はじめて。……すごい、すごい!
「あの、私も触ってみていいですか?」
控えめに問いかけてみると、ヴィリバルトさんは驚いたように口を開けた。心なしかギードさんも驚いているように見える。
「お前、根性があるな。初対面のドラゴンに触れてみたいなど……」
「昔から、憧れていて。……好きで、たまらなくて」
それを両親はよく思わなくて、散々馬鹿にされた。それでも、この気持ちはずっと変わっていない。
「女の子がドラゴンに興味を持つな――なんてたくさん言われました。だけど、好きな気持ちはずっと昔から変わっていません!」
つい身を乗り出すと、ヴィリバルトさんに止められてしまった。これ以上前に行くなということらしい。
確かに、ドラゴンの攻撃力はすさまじい。ちょっとした戯れでも、人間にとっては大怪我につながるのものだ。
「怪我をしても知らんぞ」
「そこは自己責任ですから」
怪我をした場合、悪いのは注意を怠った私だ。ギードさんはなにも悪くない。
私の熱意に押されたのか、ギードさんは小さくため息をついて、脚を前に出してくれた。
手を伸ばして、うろこに触れてみる。うろこの一枚一枚は大きくて、予想以上に硬かった。
(うろこ自体もすっごくきれい! キラキラしているっていうか)
窓から差し込む光を浴びて、うろこは美しく輝いていた。同時に、私の瞳もキラキラしているはず。
「いつまで触っているつもりなんですか」
あまりにも長い間触れていたためか、ギードさんがあきれたような声を出す。
でも、念願のドラゴンに触れているのだ。もうちょっと、もうちょっと――。
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私の肩にぽんっと手を置いたのはヴィリバルトさんだった。
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「……私としては、また来てくださって構いませんよ。ただし、一日一回にしてください」
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「……私も暇なものでね」
多分、妥協するほうが早く終わると思ったのだろう。だけど、それでいい。
言質が取れたのだから、今はこれで十分。
「じゃあ、また明日来ますね!」
ギードさんに向かって笑いかけると、なぜか隣からため息が聞こえてきた。
……どうして?
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