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本編 第1章
第6話
(っていうか、竜騎士……?)
その単語に引っ掛かって、もう一度彼の身分証明書を見つめる。この身分証明書は特殊な加工がされており、偽装とかは出来ないようになっている。つまり、彼が竜騎士であるということは間違いなくて……。
「信用、していただけたでしょうか?」
彼がポリポリと頬を掻きつつ、そう問いかけてくる。……確かに、これを出されると信用せざる終えない。
……ただ、その。
「……あの、ヴィリバルトさんは、竜騎士……なの、ですか?」
恐る恐るそう問いかける。
竜騎士とは、その名の通り『竜に乗る騎士』のことだ。竜とはドラゴン。この世で最強とも呼ばれている存在。
ただ、その分とても気難しくて、人間になつくことはほとんどない。なので、手懐けるだけでも一苦労。さらには、そこから訓練を重ねて、信頼関係を結んで、ようやく人を乗せることを許してくれる。
というわけで。簡潔に言えば、なるのがかなり大変であり、数が少ない職業の人なのだ。
「えぇ、そうです。ただ、今はパートナーのドラゴンがけがをしていて、休みをもらっているんですが」
先ほど彼が「休職中」と言った意味が、よくわかった。確かにドラゴンがけがをしていたら、竜騎士として働くことは出来ない。無理してドラゴンを動かすことは信頼関係の破壊にもつながるわけだし……。
「あ、あの……」
「はい」
少し前のめりになって、私はヴィリバルトさんにぐいっと顔を近づけた。
その行動に驚いてか、彼が後ろにのけ反る。しかし、興奮しきった私にはそんなこと気にもならなくて。
「わ、私、ドラゴンに憧れているんです……!」
「……ドラゴンに、ですか?」
少し驚いたように言葉を返された。そのため、私はこくこくと首を縦に何度も振る。
「はい! 幼い頃、偶然竜騎士の訓練を見学出来て。そのときの竜騎士の方にドラゴンと交流させてもらったのです」
あれは、私にとってとても大切な思い出だ。
竜騎士の訓練を見学できたのは、本当に偶然だった。兄が竜騎士に興味があったので、両親が必死に頼み込んだのだ。結果的に私もお供として連れて行ってもらえることになり、そこで出逢ったドラゴンに圧倒された。
「あれ以来、私、本当にドラゴンの虜で……」
正直、ドラゴンに憧れるのは圧倒的に男が多い。だからなのか、両親には渋い顔をされていた。けど、私の中のドラゴンへの憧れは、色あせることはなく。ずっと、ずっと間近でドラゴンと交流したいと、願い続けていたのだ。
「そのバカにされることを承知のうえで言うのですが、私、将来ドラゴンと暮らしたくて……」
両親に幼い頃に語った夢。彼らは「バカを言うな」と蹴り飛ばしたけれど、私にとっては大切な大切な夢。
「そうですか。……別に、バカにするつもりはありませんよ」
私の言葉を聞いたヴィリバルトさんは、特に気にした風もなく口元を緩めていた。
「俺も、同じですから。……ずっと、ドラゴンに憧れていて。だから、竜騎士になったんです」
「まぁ……!」
とはいっても、「だから」という理由なんかじゃなれないほど、竜騎士はすごい職業だ。
彼の熱意は、それだけすごかったということなんだとも、思う。
「どうせですし、俺のパートナーと交流してみますか?」
「え……」
「とはいっても、明日になりますが……」
少し申し訳なさそうな声だった。……ドラゴン、交流。頭の中の天秤がグラグラと揺れる。
初対面の人についていくのが危ないっていうのは、子供でもわかる。しかし、彼は騎士だし。それに、ドラゴンと交流させてもらえるし……。
「……お願い、します」
結局、私は折れた。決め手はやっぱりドラゴンだった。……この人が騎士っていうのも、もちろん関係してるんだけど。
その単語に引っ掛かって、もう一度彼の身分証明書を見つめる。この身分証明書は特殊な加工がされており、偽装とかは出来ないようになっている。つまり、彼が竜騎士であるということは間違いなくて……。
「信用、していただけたでしょうか?」
彼がポリポリと頬を掻きつつ、そう問いかけてくる。……確かに、これを出されると信用せざる終えない。
……ただ、その。
「……あの、ヴィリバルトさんは、竜騎士……なの、ですか?」
恐る恐るそう問いかける。
竜騎士とは、その名の通り『竜に乗る騎士』のことだ。竜とはドラゴン。この世で最強とも呼ばれている存在。
ただ、その分とても気難しくて、人間になつくことはほとんどない。なので、手懐けるだけでも一苦労。さらには、そこから訓練を重ねて、信頼関係を結んで、ようやく人を乗せることを許してくれる。
というわけで。簡潔に言えば、なるのがかなり大変であり、数が少ない職業の人なのだ。
「えぇ、そうです。ただ、今はパートナーのドラゴンがけがをしていて、休みをもらっているんですが」
先ほど彼が「休職中」と言った意味が、よくわかった。確かにドラゴンがけがをしていたら、竜騎士として働くことは出来ない。無理してドラゴンを動かすことは信頼関係の破壊にもつながるわけだし……。
「あ、あの……」
「はい」
少し前のめりになって、私はヴィリバルトさんにぐいっと顔を近づけた。
その行動に驚いてか、彼が後ろにのけ反る。しかし、興奮しきった私にはそんなこと気にもならなくて。
「わ、私、ドラゴンに憧れているんです……!」
「……ドラゴンに、ですか?」
少し驚いたように言葉を返された。そのため、私はこくこくと首を縦に何度も振る。
「はい! 幼い頃、偶然竜騎士の訓練を見学出来て。そのときの竜騎士の方にドラゴンと交流させてもらったのです」
あれは、私にとってとても大切な思い出だ。
竜騎士の訓練を見学できたのは、本当に偶然だった。兄が竜騎士に興味があったので、両親が必死に頼み込んだのだ。結果的に私もお供として連れて行ってもらえることになり、そこで出逢ったドラゴンに圧倒された。
「あれ以来、私、本当にドラゴンの虜で……」
正直、ドラゴンに憧れるのは圧倒的に男が多い。だからなのか、両親には渋い顔をされていた。けど、私の中のドラゴンへの憧れは、色あせることはなく。ずっと、ずっと間近でドラゴンと交流したいと、願い続けていたのだ。
「そのバカにされることを承知のうえで言うのですが、私、将来ドラゴンと暮らしたくて……」
両親に幼い頃に語った夢。彼らは「バカを言うな」と蹴り飛ばしたけれど、私にとっては大切な大切な夢。
「そうですか。……別に、バカにするつもりはありませんよ」
私の言葉を聞いたヴィリバルトさんは、特に気にした風もなく口元を緩めていた。
「俺も、同じですから。……ずっと、ドラゴンに憧れていて。だから、竜騎士になったんです」
「まぁ……!」
とはいっても、「だから」という理由なんかじゃなれないほど、竜騎士はすごい職業だ。
彼の熱意は、それだけすごかったということなんだとも、思う。
「どうせですし、俺のパートナーと交流してみますか?」
「え……」
「とはいっても、明日になりますが……」
少し申し訳なさそうな声だった。……ドラゴン、交流。頭の中の天秤がグラグラと揺れる。
初対面の人についていくのが危ないっていうのは、子供でもわかる。しかし、彼は騎士だし。それに、ドラゴンと交流させてもらえるし……。
「……お願い、します」
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