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本編 第4章
歪んだ愛情
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「ヴェルディアナ、可愛い」
涙を零すヴェルディアナのことを、リベラトーレは「可愛い」と言う。その後、彼はヴェルディアナの涙を舌で舐めとった。それに驚きヴェルディアナが目を見開けば、彼は「美味しい」なんて言いながら口元を拭っていた。
「ヴェルディアナの身体、全部美味しい。……涙も、最高」
「……な、に、を」
「俺が泣かせたんだって、思えるから」
にっこりと笑ってリベラトーレはそう告げてくる。彼は歪んでいる。どうしようもないほど歪んでいて、どうしようもないほど残酷な人間なのだ。が、これは自分が招いた事案なのだと自分自身に言い聞かせ、ヴェルディアナはぐっと言葉を飲み込んだ。……本当に、自分が悪いのだ。彼を中途半端な形で拒絶するべきではなかったのだ。
(そうよ。もっと、しっかりと突き放せばよかったのよ)
あんな曖昧な突き放し方をするのではなかった。彼に情があるから、優しく突き放した。けれど、それはどうやら逆効果だったらしい。それを今更ながらに実感して、ヴェルディアナはぎゅっと手のひらを握る。……そうすれば、リベラトーレはその手に自身の手を重ねてきた。
「ヴェルディアナは、俺を愛して。俺だけを、愛して。……俺が一生愛してあげますから。だから、俺の側から離れないで」
リベラトーレの手は、ヴェルディアナの手をぎゅっと握りしめる。その力は強い。だけど、その声音は何処となく弱々しい。もしかしたら、彼はほんの少し不安なのかもしれない。ヴェルディアナに拒絶されて、傷ついているのかもしれない。そう思うが、彼は壊れてしまったヴェルディアナでも愛せるという。傷つくわけがない。
「……わた、し」
ゆっくりとリベラトーレの目を見つめ、ヴェルディアナは声を発する。そうすれば、彼はにっこりと笑ってヴェルディアナの侍女服を丁寧に戻していく。まるで、先ほどの行為などなかったかのように。
「今日の仕事は、終わりでいいですよ。部屋に浴室があると思うので、湯あみでもしてください。……あ、避妊薬を呑むのも忘れずに」
「……あ、あの」
「俺としては子供が出来てもいいんですけれど……今は、いろいろと面倒なので」
ヴェルディアナの言葉を聞くこともなく、リベラトーレは淡々とそう告げるとヴェルディアナの身体をまっすぐに立たせ、下着を手渡してくる。最後に「どうぞ」と零し、にっこりと笑う。
「皿とかは、俺が勝手に持っていくので」
「……ですが」
「ヴェルディアナの仕事は、俺の世話。主は俺。だから、俺が上がれって言ったら、仕事は終わり」
リベラトーレはほぼ一方的にそれだけを告げ、お茶に口をつける。そして、仕事の書類か何かの整理を始めた。
彼は王国が認めた優秀な魔法使いなのだ。彼の忙しさはヴェルディアナには想像できないし、計り知れない。でも、こんなにもあっさりと解放してくれるなんて。
(……わけが、わからないわ)
自分のことを乱暴に犯したかと思えば、こんな風に解放してくれる。気遣ってくれる。そんな彼の本心が、本当にわからない。そう思いヴェルディアナが下着を身に着けたあと呆然と立ち尽くしていれば、彼は不意にヴェルディアナの方に近づき、その内ももを優しく撫でる。
「……これ以上されたくなかったら、戻ってください。俺は別に構いませんけれど?」
「……失礼、いたします」
そこまで言われたら、戻るほかないじゃないか。心の中でそう零し、ヴェルディアナは一度だけ礼をして部屋を出て行く。
部屋を出れば、そこにはラーレがいた。彼女はヴェルディアナの顔を見て「何も、ありませんでしたか?」と問いかけてくる。そのため、ヴェルディアナは「特には」と端的に返す。少し髪の毛が乱れているのは、気にしない方向で行こう。
「だったら、よろしいのですが……。本日はもう上がりですよね。お部屋までご案内します」
「……お願い、します」
その言葉はきっと親切心から出た言葉なのだろう。それがわかるからこそ、ヴェルディアナはラーレの言葉にうなずいた。
歩くたびに、身体の奥に違和感を感じる。それは、リベラトーレがナカで欲を放ったからなのか。そう思いながら、ヴェルディアナは心の中だけで「はぁ」とため息をついた。
(私は、ここでやっていけるのかしら……?)
まだ少ししか経っていないのに、心をむしばんでいくのは不安。リベラトーレの専属侍女として、彼を満足させられるのだろうか? そんなことを考えるたびに、何処となく自分に嫌悪感が生まれていく。後悔が生まれる。やっぱり、十年前に選択を間違えたのだろう。
(……後悔しても無駄だってわかっているわ。だけど)
後悔する気持ちが、止まらない。
その所為なのか、ヴェルディアナの歩くスピードが落ちてしまう。それにラーレは素早く気が付いたらしく、「ヴェルディアナ様?」と怪訝そうに声をかけてくれた。そのため、ヴェルディアナはその声に対し笑みを浮かべ、「少し、考え事をしていたの」と返すことしかできなかった。
涙を零すヴェルディアナのことを、リベラトーレは「可愛い」と言う。その後、彼はヴェルディアナの涙を舌で舐めとった。それに驚きヴェルディアナが目を見開けば、彼は「美味しい」なんて言いながら口元を拭っていた。
「ヴェルディアナの身体、全部美味しい。……涙も、最高」
「……な、に、を」
「俺が泣かせたんだって、思えるから」
にっこりと笑ってリベラトーレはそう告げてくる。彼は歪んでいる。どうしようもないほど歪んでいて、どうしようもないほど残酷な人間なのだ。が、これは自分が招いた事案なのだと自分自身に言い聞かせ、ヴェルディアナはぐっと言葉を飲み込んだ。……本当に、自分が悪いのだ。彼を中途半端な形で拒絶するべきではなかったのだ。
(そうよ。もっと、しっかりと突き放せばよかったのよ)
あんな曖昧な突き放し方をするのではなかった。彼に情があるから、優しく突き放した。けれど、それはどうやら逆効果だったらしい。それを今更ながらに実感して、ヴェルディアナはぎゅっと手のひらを握る。……そうすれば、リベラトーレはその手に自身の手を重ねてきた。
「ヴェルディアナは、俺を愛して。俺だけを、愛して。……俺が一生愛してあげますから。だから、俺の側から離れないで」
リベラトーレの手は、ヴェルディアナの手をぎゅっと握りしめる。その力は強い。だけど、その声音は何処となく弱々しい。もしかしたら、彼はほんの少し不安なのかもしれない。ヴェルディアナに拒絶されて、傷ついているのかもしれない。そう思うが、彼は壊れてしまったヴェルディアナでも愛せるという。傷つくわけがない。
「……わた、し」
ゆっくりとリベラトーレの目を見つめ、ヴェルディアナは声を発する。そうすれば、彼はにっこりと笑ってヴェルディアナの侍女服を丁寧に戻していく。まるで、先ほどの行為などなかったかのように。
「今日の仕事は、終わりでいいですよ。部屋に浴室があると思うので、湯あみでもしてください。……あ、避妊薬を呑むのも忘れずに」
「……あ、あの」
「俺としては子供が出来てもいいんですけれど……今は、いろいろと面倒なので」
ヴェルディアナの言葉を聞くこともなく、リベラトーレは淡々とそう告げるとヴェルディアナの身体をまっすぐに立たせ、下着を手渡してくる。最後に「どうぞ」と零し、にっこりと笑う。
「皿とかは、俺が勝手に持っていくので」
「……ですが」
「ヴェルディアナの仕事は、俺の世話。主は俺。だから、俺が上がれって言ったら、仕事は終わり」
リベラトーレはほぼ一方的にそれだけを告げ、お茶に口をつける。そして、仕事の書類か何かの整理を始めた。
彼は王国が認めた優秀な魔法使いなのだ。彼の忙しさはヴェルディアナには想像できないし、計り知れない。でも、こんなにもあっさりと解放してくれるなんて。
(……わけが、わからないわ)
自分のことを乱暴に犯したかと思えば、こんな風に解放してくれる。気遣ってくれる。そんな彼の本心が、本当にわからない。そう思いヴェルディアナが下着を身に着けたあと呆然と立ち尽くしていれば、彼は不意にヴェルディアナの方に近づき、その内ももを優しく撫でる。
「……これ以上されたくなかったら、戻ってください。俺は別に構いませんけれど?」
「……失礼、いたします」
そこまで言われたら、戻るほかないじゃないか。心の中でそう零し、ヴェルディアナは一度だけ礼をして部屋を出て行く。
部屋を出れば、そこにはラーレがいた。彼女はヴェルディアナの顔を見て「何も、ありませんでしたか?」と問いかけてくる。そのため、ヴェルディアナは「特には」と端的に返す。少し髪の毛が乱れているのは、気にしない方向で行こう。
「だったら、よろしいのですが……。本日はもう上がりですよね。お部屋までご案内します」
「……お願い、します」
その言葉はきっと親切心から出た言葉なのだろう。それがわかるからこそ、ヴェルディアナはラーレの言葉にうなずいた。
歩くたびに、身体の奥に違和感を感じる。それは、リベラトーレがナカで欲を放ったからなのか。そう思いながら、ヴェルディアナは心の中だけで「はぁ」とため息をついた。
(私は、ここでやっていけるのかしら……?)
まだ少ししか経っていないのに、心をむしばんでいくのは不安。リベラトーレの専属侍女として、彼を満足させられるのだろうか? そんなことを考えるたびに、何処となく自分に嫌悪感が生まれていく。後悔が生まれる。やっぱり、十年前に選択を間違えたのだろう。
(……後悔しても無駄だってわかっているわ。だけど)
後悔する気持ちが、止まらない。
その所為なのか、ヴェルディアナの歩くスピードが落ちてしまう。それにラーレは素早く気が付いたらしく、「ヴェルディアナ様?」と怪訝そうに声をかけてくれた。そのため、ヴェルディアナはその声に対し笑みを浮かべ、「少し、考え事をしていたの」と返すことしかできなかった。
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