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2章:2章:侯爵令嬢4歳から10歳の成長録

2−1話:お母様がご懐妊よ!

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 うふふふ。時は流れて、今日は私の3歳の最後の日なの!

『春待ちの月』が3月だけれどもその間に本邸にお引越しを済ませたわ。
 離れは……これからもこまめにお掃除をして維持する予定よ。

 オクトルザース様のミラトーウス家もまた、本邸にお引越しを済ませたようね?
 それとオクトルザース様は学びの意欲を高めたみたい。ただ、面白いことに書物で得られる知識、つまりは学問に関しては私からの通信講座によって、知識の口上をはかるという方向に変えたみたい。
 まあ、その方が私とのいちゃいちゃを堪能できるというのだから、それでいいのかも知れないわね?

 そうそう、白風しらかぜの月――2月――の贈り物の返礼品はちょうど1ヶ月後に来たわ。

 ささやかなものなんだけれどね? オクトルザース様の愛が詰まった一品。それについては私だけの秘密とさせてね?

 芽生えの月――4月――にもなって、今日の朝からお母様の調子が最近悪いみたい。
 いや、顔色はそこまでは悪くはないの……。ただ、吐き気とか……しているみたいだけれど……。

「おとうさま父様? おかあさま母様においしゃ医者さんはびましたの? ちょっとうれしいほうこく報告けるかもれないわ?」

 そうね。お母様にお医者を呼びましょうよ。絶対に弟か妹が来るあれよ! まあね、白風しらかぜの月――2月――とかは余りにも忙しすぎて、ヤルことも出来なかったみたいだし。
 落ち着いた春待ちの月――3月――の時はまたお盛んになったみたいだから、出来るかなぁと思ったのよねぇ。

「うむ? メリナ? もしかして……、そういうことか? そうか! そうなのか!? よし! セルヴィス! ちょっと医者を呼んでくれ! これはもしかするかも知れないぞ!」

 あら? お父様も気付いたみたいね。お母様は今、自室で少しお休みしているからね。

「かしこまりました。旦那様」

 ということでお父様の侍従さんがお医者さんを呼びに行ったわね。

 それからは私はお母様の元にべったりよ。

「おかあさま母様? ちょうし調子わるそうね? でも、おかあさま母様にはりゆう理由がわかっているんでしょう?」

「う~ん。そうね。確か……、メリナがお腹にきた時もそういうことが……、って! そういうことなの?!」

 あら? お母様も気付いたかしら? その原因に?

「それをたしかめるためにおいしゃ医者さんをんだわ? だから、ちょっとっていてくださいね?」

「そうなの? ありがとうね? メリナ」

 いえいえ。弟か妹……、多分、弟だと思うけれども、慶事ですもの。本当にそれがそうならばね?
 ということはお姉様になるんですよ? 私は?
 頑張るよりほかないと思うわ?

 おや? コンコンと扉を叩く音がするわね?
 さて、お医者さんが来たみたいね?

 白衣を着た年嵩としかさのある女医さんね。そうね。産婦人科医さんとでも言うのかしら?
 助手の若い女性もまた産婦人科のお医者さんのようね?

「エルナン? 流石さすがにお昼からエルナンに私の秘部を見られるのは恥ずかしいわ……。もし、理由が理由ならこれからしばらくはお預けよね」

「そ、そうか。そうだよな。いやあ。うん。わかった。それとお預けとはいってもさ? メリナがお腹にいた時もミリーの手で出してもらっていたけれど、たまに頼めるか? 口でもいいから……」

 お父様とお母様がお父様の性欲処理について話しているけれども……。
 真っ昼間からなんて話をしているのかしら……。仲が良すぎるってのも考えものね……。

「はいはい。話はここまでです。侯爵様? 男子禁制なのでお外でお待ちください」

「ああ、承知した。ではミリーのこと宜しく頼む」

 すぱっと女医さんが話を打ち切ってお父様を追い出していったわ。

 女医さんが持っているのは魔道具なのかしら? それで女医さんはお母様の陰部から上にかけて診察しているわ?

 しばらくの診察を終えて、お母様は下着を着けて元の格好になったわ。今日は薄赤茶色のシックなドレスよ。全部、仕立て直したわ。
 それとお父様のお母様、つまりはお祖母様の着ていたドレスは全部、売りました。それだけで大分だいぶいい額になったわ。

「さて、診察結果は侯爵様も一緒に聞いてもらいましょう。メイリーナ様かな? 呼んできてくださるかしら?」

 とってもいい笑顔ね? これは嬉しい結果の報告ね? じゃあ、急いで呼びましょう!

「はい!」

 私はとってもいい笑顔で返事しながら、お父様を呼びに行くわ! 青のドレスを着ている私は走らないけれども、足をスイスイと速く動かして歩みを進めていくわ?

 お父様は……、扉のすぐそばにいたわね!

「おとうさま父様! おいしゃさま医者様がおとうさま父様んでって! おいしゃさま医者様がとってもえがお笑顔だったわよ!」

「そうか! 今すぐ行くぞ!」

 って、お父様! いくら嬉しいからと言って、いきなり私を抱えあげないで!

「きゃっ!」

 私も軽く悲鳴をあげるしかないじゃないの!

「あら? あらあら? エルナンったらもう……」

 お母様も呆れ顔よ? でも、生暖かい目ね? 本気で呆れているというわけではないのね?

 お父様は椅子を持ってきて、お母様のベッドのそばに置いたわ。そして、そこに座ったわ。私? お父様のお膝の上よ?

「ということで侯爵様も同席しているので、簡潔に診察結果を言いますね?」

 お医者さんが笑顔でお父様とお母様の顔を見回して、笑顔で語ってくれたわ?
 ちょっとタメを作りすぎでないかしら?

「おめでとうございます! ご懐妊です! 年内に生まれるでしょう。性別は夏頃にはわかると思いますよ?」

 満面の笑みで語られたその結果。それはやはり私の予想通りだったわね。

「そうか! そうか! ミリー! でかした! ありがとうございます!」

「うふふふ! あるがとう! エルナン! メリナもお姉さんになるのよ!」

 お父様もお母様も大喜びね! 本当に……1日早いお誕生日プレゼントよね? そう言えば……、私が目覚めた時の願いを有言実行してくれたのね?

 そうか……。私もお姉様か。これはこれからも頑張るより他ないわね?
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