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12陛下の思惑と側近たちの……
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※本日2話目の投稿となります。昨日の続きの方は1話お戻りくださいませ。
**********
◆シリウス
――ユリカに付けた侍女メアリーアンが報告に来た。
どうやら客室に顔を洗う為の桶を持って来て貰うのが申し訳ないと言って、三日目から向かいの給湯室に洗いに行っているという。それも寝着にガウンを羽織った姿で。
現在、迎賓フロアの客室の階に他の客は滞在してない。
だからと言って、そのような姿で廊下を歩くなど……
彼女の部屋には浴室が付いているが、洗面台はなかったな。
それがあるのは亡き母の希望で付けられた王家専用の部屋だけだ。
あの部屋を使わせるか。
そうなると周りからは婚約者と思われる事は必須。
キャステルや周りのもは反対すると思われるが構わない。
彼女には不自由をさせたくないのが第一ではあるが、周りが勘違いすれば妃選びの面倒な牽制にもなるだろう。
そんな思惑で、ユリカの部屋を私の隣室である王妃の部屋に移動させる事にしたのだったが、許可を取りに行った大叔父の言葉に私の心は揺れ始めていた。
*ー*ー*
メアリーアンがお茶の用意をしてくれる間、応接セットに腰を下ろして待つシリウス。
彼の横に立つキャステルが問いかけた。
「陛下、そういうおつもりでユリカ嬢をあの部屋に招かれたのですか?」
「いや、まだそこまでは考えていない。ただ大事な客人であるユリカの希望に沿った部屋が、あの部屋であったという事だ」
「さようでご座いますか。しかし、あの部屋を使わせるという事は、将来そうなる事もあると考えて宜しいのですよね?」
「……あのような小娘がか?」
そう言いながらほんの少しシリウスの耳が赤くなるのをキャステルは見逃していない。
「考えて見ろ、私は妃候補の縁談でうんざりしている。そこへ異世界人のユリカが来た。暫くは国王がその異世界人を傍に置く事にした。
それで、大臣たちや貴族の娘たちに対して牽制できると思わないか?」
「今までだって、誰かにその様な契約で婚約者になって貰う事は可能でしたのに、それをしなかったではないですか。それを今回突然行動に出るとは……はぁー、本人無自覚なんですね。まあ、そうすればユリカ嬢を護ることも出来るので懐に入れて置けば陛下にとっては一石二鳥ですけどね。でも彼女は貴方に利用されるんですよ?分かってますか?」
キャステルが言葉を崩し、呆れるように幼馴染の口調になる。
「ああ、大叔父にも言われた」
「それではその前提で話を進めますが……今一度確認いたします。
彼女をこの部屋で囲うとなれば、妃候補の婚約者と周りに思われても良いという事ですね?」
「ああ、面倒な縁談から逃れる、それも目的だからな。元々誰でも良いと思っていたが、まだ妃を貰う気にならなかっただけだ。私はこの先も独り身で良いし、メビウスたちの子に継がせてもいいと思っている。
たとえ私の婚約者と仮になってもユリカが何か自分でやりたいことが出来、好きな男でも出来たらこの部屋から出て行けば良いだけのことだ。
そうなったとしても貴族の令嬢のような柵もないだろう?」
「はぁ、そんな事をお考えになっていたんですか。ユリが嬢と出会ってまだ数日ですが、彼女が陛下の元を離れても宜しいと」
キャステルが大きく息を吐く。
「彼女の意思を尊重するまでだ」
「では彼女が妃になると言えば?」
「ユリカがそう願うなら受け入れいる。さっきも言っただろう?お飾りの妃なら誰でも良いと……」
「お飾りね……やっぱりコイツは無自覚なんだな」
キャステルはシリウスに聞こえないくらい小さな声で呟いた。
「分かりました。ドラフクター殿もご承知の上ならば、私達もその様に対処させて頂きます。ユリカ嬢を陛下の妃候補、婚約者として。
メアリーアン」
「はい、キャステル様」
メアリーアンがお茶をセットしている手を止めて、背筋を伸ばす。
「そういう事だから今以上にユリカ嬢の事を頼む。これから敵が増えるぞ」
「分かりました。ユリカ様はわたくしと妹が、必ず女狐たちからお守りいたします」
「女狐って……」
「陛下の妃の座を狙っている女狐たちは大勢おりますわ。きっと陰湿な事を仕掛けて参りますよ」
「うっ、、、よろしく頼むメアリーアン。あと、この事は本人には内密にして欲しい。自分が利用されてると知れば面白くないだろう」
「ここまでしておいて良く言うよ。正直にカモフラージュとして婚約者になってくれと言った方が良いんじゃないのか?」
「いやそれは……もしかしたら妃にとなる可能性も無い訳では……」
「ククッ、なんだそれ(笑)
それと、ユリカ嬢がその気になる迄あの扉の鍵は絶対に掛けたままだぞ。シリウス殿」
「そんな事は分かっておる!」
おささな馴染みであるキャステルの言葉に当然だとばかりに答える陛下でありました。
結局、リディアは荷物運びながらクローディアとルードに聞いてもあの雰囲気の謎は解けなかった。
「良いお部屋で良かったですね、ユリカ様」(ルードさん)
「洗面台が付いているお部屋なんてあったんですね」(クローディア)
そんな言葉で終わってしまったのだ。
そして陛下たちの待つ部屋に戻り、お茶を飲んで解散となった。
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◆シリウス
――ユリカに付けた侍女メアリーアンが報告に来た。
どうやら客室に顔を洗う為の桶を持って来て貰うのが申し訳ないと言って、三日目から向かいの給湯室に洗いに行っているという。それも寝着にガウンを羽織った姿で。
現在、迎賓フロアの客室の階に他の客は滞在してない。
だからと言って、そのような姿で廊下を歩くなど……
彼女の部屋には浴室が付いているが、洗面台はなかったな。
それがあるのは亡き母の希望で付けられた王家専用の部屋だけだ。
あの部屋を使わせるか。
そうなると周りからは婚約者と思われる事は必須。
キャステルや周りのもは反対すると思われるが構わない。
彼女には不自由をさせたくないのが第一ではあるが、周りが勘違いすれば妃選びの面倒な牽制にもなるだろう。
そんな思惑で、ユリカの部屋を私の隣室である王妃の部屋に移動させる事にしたのだったが、許可を取りに行った大叔父の言葉に私の心は揺れ始めていた。
*ー*ー*
メアリーアンがお茶の用意をしてくれる間、応接セットに腰を下ろして待つシリウス。
彼の横に立つキャステルが問いかけた。
「陛下、そういうおつもりでユリカ嬢をあの部屋に招かれたのですか?」
「いや、まだそこまでは考えていない。ただ大事な客人であるユリカの希望に沿った部屋が、あの部屋であったという事だ」
「さようでご座いますか。しかし、あの部屋を使わせるという事は、将来そうなる事もあると考えて宜しいのですよね?」
「……あのような小娘がか?」
そう言いながらほんの少しシリウスの耳が赤くなるのをキャステルは見逃していない。
「考えて見ろ、私は妃候補の縁談でうんざりしている。そこへ異世界人のユリカが来た。暫くは国王がその異世界人を傍に置く事にした。
それで、大臣たちや貴族の娘たちに対して牽制できると思わないか?」
「今までだって、誰かにその様な契約で婚約者になって貰う事は可能でしたのに、それをしなかったではないですか。それを今回突然行動に出るとは……はぁー、本人無自覚なんですね。まあ、そうすればユリカ嬢を護ることも出来るので懐に入れて置けば陛下にとっては一石二鳥ですけどね。でも彼女は貴方に利用されるんですよ?分かってますか?」
キャステルが言葉を崩し、呆れるように幼馴染の口調になる。
「ああ、大叔父にも言われた」
「それではその前提で話を進めますが……今一度確認いたします。
彼女をこの部屋で囲うとなれば、妃候補の婚約者と周りに思われても良いという事ですね?」
「ああ、面倒な縁談から逃れる、それも目的だからな。元々誰でも良いと思っていたが、まだ妃を貰う気にならなかっただけだ。私はこの先も独り身で良いし、メビウスたちの子に継がせてもいいと思っている。
たとえ私の婚約者と仮になってもユリカが何か自分でやりたいことが出来、好きな男でも出来たらこの部屋から出て行けば良いだけのことだ。
そうなったとしても貴族の令嬢のような柵もないだろう?」
「はぁ、そんな事をお考えになっていたんですか。ユリが嬢と出会ってまだ数日ですが、彼女が陛下の元を離れても宜しいと」
キャステルが大きく息を吐く。
「彼女の意思を尊重するまでだ」
「では彼女が妃になると言えば?」
「ユリカがそう願うなら受け入れいる。さっきも言っただろう?お飾りの妃なら誰でも良いと……」
「お飾りね……やっぱりコイツは無自覚なんだな」
キャステルはシリウスに聞こえないくらい小さな声で呟いた。
「分かりました。ドラフクター殿もご承知の上ならば、私達もその様に対処させて頂きます。ユリカ嬢を陛下の妃候補、婚約者として。
メアリーアン」
「はい、キャステル様」
メアリーアンがお茶をセットしている手を止めて、背筋を伸ばす。
「そういう事だから今以上にユリカ嬢の事を頼む。これから敵が増えるぞ」
「分かりました。ユリカ様はわたくしと妹が、必ず女狐たちからお守りいたします」
「女狐って……」
「陛下の妃の座を狙っている女狐たちは大勢おりますわ。きっと陰湿な事を仕掛けて参りますよ」
「うっ、、、よろしく頼むメアリーアン。あと、この事は本人には内密にして欲しい。自分が利用されてると知れば面白くないだろう」
「ここまでしておいて良く言うよ。正直にカモフラージュとして婚約者になってくれと言った方が良いんじゃないのか?」
「いやそれは……もしかしたら妃にとなる可能性も無い訳では……」
「ククッ、なんだそれ(笑)
それと、ユリカ嬢がその気になる迄あの扉の鍵は絶対に掛けたままだぞ。シリウス殿」
「そんな事は分かっておる!」
おささな馴染みであるキャステルの言葉に当然だとばかりに答える陛下でありました。
結局、リディアは荷物運びながらクローディアとルードに聞いてもあの雰囲気の謎は解けなかった。
「良いお部屋で良かったですね、ユリカ様」(ルードさん)
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そんな言葉で終わってしまったのだ。
そして陛下たちの待つ部屋に戻り、お茶を飲んで解散となった。
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