異世界で王城生活~陛下の隣で~

文字の大きさ
19 / 57

13露天風呂計画

しおりを挟む
 翌日の午後、女官長とういう人が訪ねて来た。

「わたくしは女官長のフランソワ・マクベスと申します」

「初めましてユリカ・タサキです」

「タサキ様にはこれから我が国の歴史やマナー、習慣などを学んで頂きたいと思っております」

「お勉強ですか?」

「ええ、少しでも早くこの国に馴染んで頂きたいと、陛下より承っております。お嫌でしょうか?」

「あっ、いえ、そんな事はありません。こちらでお世話になる以上は、色んな事が知りたいですし。宜しくお願いします」

 私はぺこりと頭を下げる。

「良かったです。では、明日から午前中の二時間ほど、お時間を頂戴させて頂きます」

「はい、分かりました」

 とても綺麗なお辞儀をして女官長さんが退室すると、

「女官長は侯爵の血筋なのでちょっと厳しい方ですけど、まだ一人前でないわたしにも優しくお声を掛けて下さるお方です」とマクベス女官長の人となりをクローディアが教えてくれた。
「これから先も王宮で過ごさられるのですから、淑女教育も含まれますよ」
 メアリーアンの言葉に「ふむ」と考える。
「そうなのね、女官長さんの事は分かったわ。あっ、こちらの淑女教育ってお決まりだけどダンスとかも教わるのかな~」

「必須ですよ、ユリカ様」

「そうなんだ、私 ワルツくらい踊れるわよ」

 えっ、と驚いた顔をする侍女ズ。

「あのね、我が家はお付き合いもそれなりにあってね。乗馬は子供頃からやってるし、習い事は他にもいろいろとやらせされたの。だから兄と一緒に社交ダンスも習わされったワケ。その反動がアウトドアなのよ。祖父と父も好きだったって事もあるけど。ドライブもストレス解消になったしね」

「では、ユリカ様は、令嬢教育を受けられていると」

「こっちのとはもちろん内容が違うでしょうけど」

「ああ、それでテーブルマナーの所作もお綺麗だったのですね。足を出されてしていたので、てっきりわたくし庶民……失礼いたしました」
 メアリーアンが申し訳なそうに頭を下げる。

「あはは、気にしないで。お転婆なのには変わりないから」
 
 私が大口を開けて笑うと、二人は釣られて慎ましく笑ったのでした。


 部屋とキャンちゃんとの往復しかしていない私だが、その道のりですれ違う人たちの目がイタイ、イタイ。
 それって、部屋を移動してから余計に感じるのよね。異世界人と聞いているのか、他国からの客人と聞いているのかは、私も陛下に聞いていないので分からないけれど、何故か居たたまれない気持ちになってしまうのだ。
 もし、声を掛けられたらどう対処して良いのかも分からないから、後で確認して置かなくちゃ。

 ルードさんに送られてキャンちゃんのところまで来ると、車庫代わりの小屋の隣に何か工事をはじめようとしてる?
 あっ、陛下とキャステルさんもいる。

「陛下、何をしているの?」
 振り向いた殿下はめちゃくちゃ笑顔だ!

「ユリカ来たのか。キャンちゃんの小屋はかなり古いから、隣に新しく建てようかと計測してるところだ」
「ええ、そうなの?」
「ああ、キャンちゃんはユリカの大切な自国の物だろう?」
「うんうん、ありがとう。出来たら希望を言っていい?」

 私の国から一緒に来たキャンちゃんを陛下も大切だと思ってくれていたのを知り、私は嬉しくて何も考えずに彼に抱き付いてしまった。
 陛下は一瞬驚いたような声を上げたが、嫌がるそぶりも見せず腕の中にいる私の頭をポンと叩く。

「なんだ、何でも言ってくれてよいぞ」

「キャンちゃんの周りは壁で囲んで欲しくないの。それに場所も移動出来たら良いんだけど」
「えっ、場所を?」
「うん、あの遠くに見える湯気が出ているところ、クローディアが温泉が湧いてるって教えてくれたの」
「ああ、そうだが」
「その近くにキャンちゃんを移動させたら駄目?」
「いや、構わないが」
「ありがとう陛下♪」
 私は抱き付いたままだった背中に回していた腕にぎゅっと力を入れた。
 そんな私の頭を陛下は優しく撫でてくれている。

「んんっ」

 誰かの咳払いで「あっ!」と慌てて陛下から離れた。
 周りの目が生暖かい……陛下に抱き付くなんて不敬だよね。スイマセン。けれど、陛下も平然としているからまっ、良いか。

 それより、ヤッター!なのですよ。

 実は昨日窓から見えた川から薄っすらと上がる湯気が気になって、クローディアに聞いたら温泉が混ざった川だと教えてくれたのだ。あの近くにキャンちゃんを移動させて露天風呂を作りたい!
 どう、最高でしょう♪
 私は陛下に説明をして、早々にその場所を見に行く。
 川のすぐ横には木の板で囲われた井戸のような物があり、中央の穴からは確かに温泉が湧き出ていた。
 ワァオ!乳白色の濁り湯だよ!
 溢れ出ている湯は横にある五十センチ四方の穴に落ちて行く。落ちた先は先日教えてくれた地下道らしい。この下っていったいどうなっているんだろう?王城内全域に地下道が張り巡らせてあるって事?
 凄すぎる……

 温泉の方は、こんなのが城壁の中や外にいくつか点在しているという。
 温泉王国だね。
 
 お城の城壁の中だというのに広くて自然が豊富なんだなー。周りの景色も美しい。
 皇居と同じくらい?それよりもっと広いのかな。全然わからないや。

 露天風呂の説明には、殿下もキャステルさんもド肝を抜かれたみたいだった。
 でも、お風呂を囲むように高い塀を作り、周りからの視線を遮断すればいいのだと説明すると、渋々ながら承諾してくれた。
 川の近くにキャンピングカー。横には露天風呂。アウトドアですよ!バーベキューも出来るようにしよう。
 うふふ~楽しみ♪
 第二の人生「温泉王城ライフ」満喫するぞ!!!

 だけど、露天風呂の概要を簡単な図面にして渡しすと問題があると言われてしまう。
 川面より一メートルくらい岸が高いので、そのままヒノキ風呂的な箱を置けば良いと思っていたんだ。
 だけど、それでは川向こう岸にあるお湯溜まりに入りに来たシカとかが浅い川を渡り乱入する恐れがあるのだと。

 シカだよ鹿!角で刺されたり蹴られたりしたら死ぬわ!

 そんな訳で、川から少し離し三メートルほど高い位置に作る事となった。
 使用してない時は全体を囲むよう様に封鎖し、屋根は魔道具で開閉できるようにする。何だか大掛かりな工事になってしまい申し訳なくなってしまう。
 それでも工事が始まり、毎日見に行くこと職人さん達は楽しそうに作業をしてくれていて、私も嬉しくなる。
 石造りの露天風呂の深さを確認して、ルードさんとタンデムでキャンちゃんへ戻る。


しおりを挟む
感想 23

あなたにおすすめの小説

元貧乏貴族の大公夫人、大富豪の旦那様に溺愛されながら人生を謳歌する!

楠ノ木雫
恋愛
 貧乏な実家を救うための結婚だった……はずなのに!?  貧乏貴族に生まれたテトラは実は転生者。毎日身を粉にして領民達と一緒に働いてきた。だけど、この家には借金があり、借金取りである商会の商会長から結婚の話を出されてしまっている。彼らはこの貴族の爵位が欲しいらしいけれど、結婚なんてしたくない。  けれどとある日、奴らのせいで仕事を潰された。これでは生活が出来ない。絶体絶命だったその時、とあるお偉いさんが手紙を持ってきた。その中に書いてあったのは……この国の大公様との結婚話ですって!?  ※他サイトにも投稿しています。

目が覚めたら異世界でした!~病弱だけど、心優しい人達に出会えました。なので現代の知識で恩返ししながら元気に頑張って生きていきます!〜

楠ノ木雫
恋愛
 病院に入院中だった私、奥村菖は知らず知らずに異世界へ続く穴に落っこちていたらしく、目が覚めたら知らない屋敷のベッドにいた。倒れていた菖を保護してくれたのはこの国の公爵家。彼女達からは、地球には帰れないと言われてしまった。  病気を患っている私はこのままでは死んでしまうのではないだろうかと悟ってしまったその時、いきなり目の前に〝妖精〟が現れた。その妖精達が持っていたものは幻の薬草と呼ばれるもので、自分の病気が治る事が発覚。治療を始めてどんどん元気になった。  元気になり、この国の公爵家にも歓迎されて。だから、恩返しの為に現代の知識をフル活用して頑張って元気に生きたいと思います!  でも、あれ? この世界には私の知る食材はないはずなのに、どうして食事にこの四角くて白い〝コレ〟が出てきたの……!?  ※他の投稿サイトにも掲載しています。

転生したので推し活をしていたら、推しに溺愛されました。

ラム猫
恋愛
 異世界に転生した|天音《あまね》ことアメリーは、ある日、この世界が前世で熱狂的に遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気が付く。  『煌めく騎士と甘い夜』の攻略対象の一人、騎士団長シオン・アルカス。アメリーは、彼の大ファンだった。彼女は喜びで飛び上がり、推し活と称してこっそりと彼に贈り物をするようになる。  しかしその行為は推しの目につき、彼に興味と執着を抱かれるようになったのだった。正体がばれてからは、あろうことか美しい彼の側でお世話係のような役割を担うことになる。  彼女は推しのためならばと奮闘するが、なぜか彼は彼女に甘い言葉を囁いてくるようになり……。 ※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。

有能女官の赴任先は辺境伯領

たぬきち25番
恋愛
お気に入り1000ありがとうございます!! お礼SS追加決定のため終了取下げいたします。 皆様、お気に入り登録ありがとうございました。 現在、お礼SSの準備中です。少々お待ちください。 辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26) ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。 そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。 そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。   だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。 仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!? そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく…… ※お待たせしました。 ※他サイト様にも掲載中

異世界に落ちて、溺愛されました。

恋愛
満月の月明かりの中、自宅への帰り道に、穴に落ちた私。 落ちた先は異世界。そこで、私を番と話す人に溺愛されました。

【完結】身分を隠して恋文相談屋をしていたら、子犬系騎士様が毎日通ってくるんですが?

エス
恋愛
前世で日本の文房具好き書店員だった記憶を持つ伯爵令嬢ミリアンヌは、父との約束で、絶対に身分を明かさないことを条件に、変装してオリジナル文具を扱うお店《ことのは堂》を開店することに。  文具の販売はもちろん、手紙の代筆や添削を通して、ささやかながら誰かの想いを届ける手助けをしていた。  そんなある日、イケメン騎士レイが突然来店し、ミリアンヌにいきなり愛の告白!? 聞けば、以前ミリアンヌが代筆したラブレターに感動し、本当の筆者である彼女を探して、告白しに来たのだとか。  もちろんキッパリ断りましたが、それ以来、彼は毎日ミリアンヌ宛ての恋文を抱えてやって来るようになりまして。 「あなた宛の恋文の、添削お願いします!」  ......って言われましても、ねぇ?  レイの一途なアプローチに振り回されつつも、大好きな文房具に囲まれ、店主としての仕事を楽しむ日々。  お客様の相談にのったり、前世の知識を活かして、この世界にはない文房具を開発したり。  気づけば店は、騎士達から、果ては王城の使者までが買いに来る人気店に。お願いだから、身バレだけは勘弁してほしい!!  しかしついに、ミリアンヌの正体を知る者が、店にやって来て......!?  恋文から始まる、秘密だらけの恋とお仕事。果たしてその結末は!? ※ほかサイトで投稿していたものを、少し修正して投稿しています。

『異世界転生してカフェを開いたら、庭が王宮より人気になってしまいました』

ヤオサカ
恋愛
申し訳ありません、物語の内容を確認しているため、一部非公開にしています この物語は完結しました。 前世では小さな庭付きカフェを営んでいた主人公。事故により命を落とし、気がつけば異世界の貧しい村に転生していた。 「何もないなら、自分で作ればいいじゃない」 そう言って始めたのは、イングリッシュガーデン風の庭とカフェづくり。花々に囲まれた癒しの空間は次第に評判を呼び、貴族や騎士まで足を運ぶように。 そんな中、無愛想な青年が何度も訪れるようになり――?

処理中です...