51 / 57
41二人の気持ち
しおりを挟む
「少し冷えて来たみたい」
「ん?そうだな。キャンちゃんの中に移動するか」
「じゃぁ、グラスだけ持って……」
そう言って立ち上がるとシリウスに腕を掴まれ引き寄せられてストンと彼の膝の上に座らせてしまった。
「ああ、本当だ。すっかり湯冷めして体が冷えて来ているな」
緩く抱きしめられながら耳元で言われ友梨香の頬が熱を持つ。
「体が冷えて来ているのに頬は熱くなってるぞ、どうしてかな?」
「なっ、シリウスの所為でしょう!離して」
頬を撫で態と意地悪な事を言ってくるシリウスの顔を見上げれば鼻先が触れ、あっという間に唇を奪われてしまった。
そしてそまま抱き上げられ開けたままのキャンちゃんの狭い扉を器用にすり抜け車内へと上がっていく。
「わ、ワインが零れちゃう」
「暴れなければ大丈夫だ」
シリウスはそのまま後部のベッドに行き友梨香を静かに降ろすと、彼女の持っていたグラスを取り上げ残っていたワインを一息に飲み干した。口の端から少し零れた液体を親指で拭う一連の仕草を友梨香はまるで映画の一シーンのように頬を赤らめたまま無言で眺めている。
「ユリカ 今夜はここで一夜を明かす」
「へっ?」
友梨香の隣に腰を下ろし頬を撫でながら言われた言葉に自分の思考が追い付いてかない。
「キャステルたちに明日まで迎えに来るなと言ってある」
「えっ、えっ、それは……ここで眠るという事でしょうか」
「ああ、いや眠らせてやれないかもしれない」
少し酔っているのかもしれないシリウスのアイスブルーの瞳がきらりと光るのを見て友梨香の背中に冷や汗のような物が流れていく。
――えっ、それって今夜なの?そんな急に言われても……
「もう婚約もしたし、妃に決まったのだから良いだろう。だめか友梨香?」
――だ、ダメではない。ダメではないけどまだ心の準備がぁ~
そう心で叫びながら何時ぞやのような甘い口づけに翻弄され徐々にとろけていく友梨香を見て、シリウスの唇が微かに震えククッと喉を鳴らすのが分かった。
「ふふ、可愛いな。安心しろ流石にここではな。友梨香を抱く時はやはりあの部屋のベッドの上が良い。今夜は久しぶりに添い寝がしたい」
トロンとした顔のままだった友梨香がハッと我に返る。
「えっ、ああそうなの?はぁー。びっくりした……うん、シリウスとの初めてはわたしもちゃんとしたお部屋が良いかも。
何か申し訳ないけど少しほっとした。最近ちゃんと会えなかったし二人きりで話も出来なかったからちょっと不安だった。シリウスに触れたいとも思っていたけど、いざとなったら……あはは、処女でも無いのにね」
横になり向き合ったまま苦笑する友梨香の頭を自分の胸に抱き寄せシリウスは優しく撫でながら
「そのような事を気にしているのか?前の世界の事は私に関係ない。こちらの世界に来てからはユリカは乙女のままであろう。だから私も初夜は大切にしたいと思っているのだ」
と自分の思いを静かに優しく告げるシリウスの胸に友梨香は自分の額をスリスリと押し付けた。
「シリウス……ありがとう」
「愛しているぞ、ユリカ」
「うん、あたしも」
そうして二人は食むような口づけを何度も交わしそのまま眠りにつくのだった。
「ん?そうだな。キャンちゃんの中に移動するか」
「じゃぁ、グラスだけ持って……」
そう言って立ち上がるとシリウスに腕を掴まれ引き寄せられてストンと彼の膝の上に座らせてしまった。
「ああ、本当だ。すっかり湯冷めして体が冷えて来ているな」
緩く抱きしめられながら耳元で言われ友梨香の頬が熱を持つ。
「体が冷えて来ているのに頬は熱くなってるぞ、どうしてかな?」
「なっ、シリウスの所為でしょう!離して」
頬を撫で態と意地悪な事を言ってくるシリウスの顔を見上げれば鼻先が触れ、あっという間に唇を奪われてしまった。
そしてそまま抱き上げられ開けたままのキャンちゃんの狭い扉を器用にすり抜け車内へと上がっていく。
「わ、ワインが零れちゃう」
「暴れなければ大丈夫だ」
シリウスはそのまま後部のベッドに行き友梨香を静かに降ろすと、彼女の持っていたグラスを取り上げ残っていたワインを一息に飲み干した。口の端から少し零れた液体を親指で拭う一連の仕草を友梨香はまるで映画の一シーンのように頬を赤らめたまま無言で眺めている。
「ユリカ 今夜はここで一夜を明かす」
「へっ?」
友梨香の隣に腰を下ろし頬を撫でながら言われた言葉に自分の思考が追い付いてかない。
「キャステルたちに明日まで迎えに来るなと言ってある」
「えっ、えっ、それは……ここで眠るという事でしょうか」
「ああ、いや眠らせてやれないかもしれない」
少し酔っているのかもしれないシリウスのアイスブルーの瞳がきらりと光るのを見て友梨香の背中に冷や汗のような物が流れていく。
――えっ、それって今夜なの?そんな急に言われても……
「もう婚約もしたし、妃に決まったのだから良いだろう。だめか友梨香?」
――だ、ダメではない。ダメではないけどまだ心の準備がぁ~
そう心で叫びながら何時ぞやのような甘い口づけに翻弄され徐々にとろけていく友梨香を見て、シリウスの唇が微かに震えククッと喉を鳴らすのが分かった。
「ふふ、可愛いな。安心しろ流石にここではな。友梨香を抱く時はやはりあの部屋のベッドの上が良い。今夜は久しぶりに添い寝がしたい」
トロンとした顔のままだった友梨香がハッと我に返る。
「えっ、ああそうなの?はぁー。びっくりした……うん、シリウスとの初めてはわたしもちゃんとしたお部屋が良いかも。
何か申し訳ないけど少しほっとした。最近ちゃんと会えなかったし二人きりで話も出来なかったからちょっと不安だった。シリウスに触れたいとも思っていたけど、いざとなったら……あはは、処女でも無いのにね」
横になり向き合ったまま苦笑する友梨香の頭を自分の胸に抱き寄せシリウスは優しく撫でながら
「そのような事を気にしているのか?前の世界の事は私に関係ない。こちらの世界に来てからはユリカは乙女のままであろう。だから私も初夜は大切にしたいと思っているのだ」
と自分の思いを静かに優しく告げるシリウスの胸に友梨香は自分の額をスリスリと押し付けた。
「シリウス……ありがとう」
「愛しているぞ、ユリカ」
「うん、あたしも」
そうして二人は食むような口づけを何度も交わしそのまま眠りにつくのだった。
50
あなたにおすすめの小説
元貧乏貴族の大公夫人、大富豪の旦那様に溺愛されながら人生を謳歌する!
楠ノ木雫
恋愛
貧乏な実家を救うための結婚だった……はずなのに!?
貧乏貴族に生まれたテトラは実は転生者。毎日身を粉にして領民達と一緒に働いてきた。だけど、この家には借金があり、借金取りである商会の商会長から結婚の話を出されてしまっている。彼らはこの貴族の爵位が欲しいらしいけれど、結婚なんてしたくない。
けれどとある日、奴らのせいで仕事を潰された。これでは生活が出来ない。絶体絶命だったその時、とあるお偉いさんが手紙を持ってきた。その中に書いてあったのは……この国の大公様との結婚話ですって!?
※他サイトにも投稿しています。
目が覚めたら異世界でした!~病弱だけど、心優しい人達に出会えました。なので現代の知識で恩返ししながら元気に頑張って生きていきます!〜
楠ノ木雫
恋愛
病院に入院中だった私、奥村菖は知らず知らずに異世界へ続く穴に落っこちていたらしく、目が覚めたら知らない屋敷のベッドにいた。倒れていた菖を保護してくれたのはこの国の公爵家。彼女達からは、地球には帰れないと言われてしまった。
病気を患っている私はこのままでは死んでしまうのではないだろうかと悟ってしまったその時、いきなり目の前に〝妖精〟が現れた。その妖精達が持っていたものは幻の薬草と呼ばれるもので、自分の病気が治る事が発覚。治療を始めてどんどん元気になった。
元気になり、この国の公爵家にも歓迎されて。だから、恩返しの為に現代の知識をフル活用して頑張って元気に生きたいと思います!
でも、あれ? この世界には私の知る食材はないはずなのに、どうして食事にこの四角くて白い〝コレ〟が出てきたの……!?
※他の投稿サイトにも掲載しています。
転生したので推し活をしていたら、推しに溺愛されました。
ラム猫
恋愛
異世界に転生した|天音《あまね》ことアメリーは、ある日、この世界が前世で熱狂的に遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気が付く。
『煌めく騎士と甘い夜』の攻略対象の一人、騎士団長シオン・アルカス。アメリーは、彼の大ファンだった。彼女は喜びで飛び上がり、推し活と称してこっそりと彼に贈り物をするようになる。
しかしその行為は推しの目につき、彼に興味と執着を抱かれるようになったのだった。正体がばれてからは、あろうことか美しい彼の側でお世話係のような役割を担うことになる。
彼女は推しのためならばと奮闘するが、なぜか彼は彼女に甘い言葉を囁いてくるようになり……。
※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
【完結】身分を隠して恋文相談屋をしていたら、子犬系騎士様が毎日通ってくるんですが?
エス
恋愛
前世で日本の文房具好き書店員だった記憶を持つ伯爵令嬢ミリアンヌは、父との約束で、絶対に身分を明かさないことを条件に、変装してオリジナル文具を扱うお店《ことのは堂》を開店することに。
文具の販売はもちろん、手紙の代筆や添削を通して、ささやかながら誰かの想いを届ける手助けをしていた。
そんなある日、イケメン騎士レイが突然来店し、ミリアンヌにいきなり愛の告白!? 聞けば、以前ミリアンヌが代筆したラブレターに感動し、本当の筆者である彼女を探して、告白しに来たのだとか。
もちろんキッパリ断りましたが、それ以来、彼は毎日ミリアンヌ宛ての恋文を抱えてやって来るようになりまして。
「あなた宛の恋文の、添削お願いします!」
......って言われましても、ねぇ?
レイの一途なアプローチに振り回されつつも、大好きな文房具に囲まれ、店主としての仕事を楽しむ日々。
お客様の相談にのったり、前世の知識を活かして、この世界にはない文房具を開発したり。
気づけば店は、騎士達から、果ては王城の使者までが買いに来る人気店に。お願いだから、身バレだけは勘弁してほしい!!
しかしついに、ミリアンヌの正体を知る者が、店にやって来て......!?
恋文から始まる、秘密だらけの恋とお仕事。果たしてその結末は!?
※ほかサイトで投稿していたものを、少し修正して投稿しています。
『異世界転生してカフェを開いたら、庭が王宮より人気になってしまいました』
ヤオサカ
恋愛
申し訳ありません、物語の内容を確認しているため、一部非公開にしています
この物語は完結しました。
前世では小さな庭付きカフェを営んでいた主人公。事故により命を落とし、気がつけば異世界の貧しい村に転生していた。
「何もないなら、自分で作ればいいじゃない」
そう言って始めたのは、イングリッシュガーデン風の庭とカフェづくり。花々に囲まれた癒しの空間は次第に評判を呼び、貴族や騎士まで足を運ぶように。
そんな中、無愛想な青年が何度も訪れるようになり――?
子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました
もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!
神の子扱いされている優しい義兄に気を遣ってたら、なんか執着されていました
下菊みこと
恋愛
突然通り魔に殺されたと思ったら望んでもないのに記憶を持ったまま転生してしまう主人公。転生したは良いが見目が怪しいと実親に捨てられて、代わりにその怪しい見た目から宗教の教徒を名乗る人たちに拾ってもらう。
そこには自分と同い年で、神の子と崇められる兄がいた。
自分ははっきりと神の子なんかじゃないと拒否したので助かったが、兄は大人たちの期待に応えようと頑張っている。
そんな兄に気を遣っていたら、いつのまにやらかなり溺愛、執着されていたお話。
小説家になろう様でも投稿しています。
勝手ながら、タイトルとあらすじなんか違うなと思ってちょっと変えました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる