大聖女と言われ転生しましたが、大きな仕事もせずに第二王子に愛されています。

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第4章*隣国の王女

32解決策?

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 デオドール専用のハーブティーに『魅了』の魔法が掛けられていたことから、ユリの花事件も王女フェリーシアの仕業であると結論付けられる。
 話を聞いていたバージルは信じられないという顔をしてアンナの顔を見つめています。

「兄上に魔法をかけたお茶を飲ませて魅了させていたという事か」

「そんな事許されないだろう」

 ダニエルも怒りをあらわにしてテーブルに拳を叩きつけました。
「徐々に効くように仕掛ける事で自然にデオドール様が王女様の事を好きになったと思わせるつもりだったのだと思います。そう考えると昨日の私を呼びつけ『殿下もまんざらではない』と言ってきたのも私にそう思い込ませようとしたのだと思いますし」
「なるほど、しかしそこまでして兄上に気に入られなればならない理由はなんだ?」
「それは、、、王女様が『デオドール様と恋をしたい』と仰っていたとジル様に報告したままだと思います。お国に帰れば隣国の王に後妻として嫁がされるかもしれないと。もし、殿下が王女を欲しいと言えばそれは阻止できると思われたのではないでしょうか」
「それが目的か・・・気の毒だとは思うがそれも王族としての定めでもあるからな」
「ええ、王女様もそれは自覚されていました。たぶんデオドール様が外交でエスメラルダへ行ってなければそのまま隣国へ嫁がれていたんだと思います」
「そうね、王女は言われるままに政略結婚する気だったのにデオドールに出逢って気持ちが変わってしまったのね」
 ビオラも納得したように腕組みをして頷いた。

 整理してみる。
 ユリの香りの呼び水は場内の者に王女に対して好意的に思わせる効果を持っていた。魔力が強いアンナとバージル、それとたぶんではあるが聖女であるマリーにはそれが効かなかった。が、デオドールは勿論、彼の取り巻き令嬢たちには効果があった。だからデオドールは王女に対し嫌悪感が無くなり好意さえ持つようになる。令嬢たちもまた同じように悪口を言わなくなり好意的に思うようになった。
 そして次は個人的にデオドールに魔法をかけたお茶を飲ませ徐々に気持ちを動かしていったのだ。

「ん-。でもこのお茶から摂取する量でそこまでデオドールの気持ちを動かせる気がしないんだけど」
 先ほどのお茶の成分から見た魅了の量はごく少なめであったのを思い出しビオラが首を傾げる。
 アンナはふと思い出した。
「ねぇ、デオドール様から香って来るハーブの香りも関係があるんじゃないかしら?」
「ああ、アンナはそれも気にしていたよな」
「ええ、ラベンダーが含まれているのは確かなの、それとカモミール?」
「そうね、それだとリラックスや安眠効果ね。寝る前にそれに近いものを飲ませられているのかしら?でも翌日それが匂うことは無いと思うわ」

「・・・アロマオイルとかポプリはどう?」
 アンナは学生の時友人から北海道のお土産でラベンダーのポプリを貰ったことを思い出した。
「アンナ、それよ!ポプリにも魔法を掛けて寝る時に枕元に置けば安眠できて魔法も掛かり易くなるわよ」

 女性二人の会話についていけないバージルとダニエルです。
「魔法なら解毒できるわよね。ビオラは魅了の解毒薬を作ってくれる?」
「アイアイサー」
 時々出て来るビオラの承諾の返事は何故アイアイサーなのか、未だに分からないアンナではあるが何百年も生きていると何処から聞いたことがるのだろうと思う事にした。

「ジル様、デオドール様に報告にいきますか?それかビオラの解毒薬を待って分からないように服用させるとか・・・」
 バジルは暫く考えていた。

 ここで兄に報告しても魅了の魔法が効いて来ている今、彼女を疑うことが出来ないかもしれない。仮に我々の事を信じたとしたら自分が騙されていたことに憤慨して王女に詰める寄る可能性もある。
 国が関与している可能性は無いと思われる。と云うより王女の個人的な思いから侍女であるリンダと二人で起こした行動だと思われるからだ。だったら兄には言わず解毒してしまえば良い事だ。ビオラの作った解毒薬が効けば自然と王女への思いも覚める訳だからな。
 バージルは自分が責任を持つ覚悟でアンナに告げた。

「兄上には言わないで置く。ビオラ早急に解毒薬を頼む」
「任せて置いて。これからすぐに薬草と材料を集めに行ってくるわ。でも作るのはアンナよ」
「えっ、あたし?」
「そう、私は魔女じゃないから直接は作れないわ。材料が揃ったら後はアンナに作り方と解毒の呪文を教えるからね」

「そういえばアンナの癒しの力では解毒できないのか?」

 もっともな質問がバージルの口から出た。
「アンナの大っ、、、、聖女の癒しの力は毒薬で苦しむ者には使えるけれど自分本位の娯楽や快楽の為に人の心を変えた事には使えない。だから恋だの愛だのには使えないの!」
「そ、そうなのか。聖女の力とはそういうものなのか。理解した」
「分かったならあたしは行くわ。エスメラルダにしかない物もあるからね。明日の昼までは戻るわ」
「よろしくね、ビオラ」
 ビオラは敬礼をして光とともに消えて行きました。

「さて我々はどうしたものかな」
「そうね、お昼にデオドール様にお会いした時、私たちの言葉で自分の気持ちに気付いてしまわれたでしょう?毎日お昼前にお花を届けに行ってるらしいのよね。魔法の効果も出始めているみたいだし、まさかとは思うけど夜に王女様のお部屋を訪問なんてこと・・・」

 バージルとダニエルがぎょっとした顔をする。

「まさか恋心が募って夜這いとかあるまいな」
「バージルだって毎夜お嬢の所へ行ってるだろうが。媚薬ではないが、惚れた女に会いに行くという事は無いとは言えないぞ。既成事実を作られたどうしようもない。」
 ダニエルの言葉にアンナが真っ赤になった。
「わ、わたしはアンナと話をしているだけだ。やましい事はしていない!」
 バージルも顔を赤らめ目的が違うと否定する。
「添い寝なんかしちゃってるお前が良く言うよ」
 これには反論出来ないバージルでした。
「と、とにかく兄上の行動を監視しなくては。ダニエル今夜は兄上と飲んで部屋から出さないようにするぞ」
「えっ、俺も?」
「当たり前だ。アンナ済まない、今夜は添い寝もできない。寂しいだろうが我慢してくれ!」

「あっ、は・・・・・・い?」

 アンナはバージルの勢いに押され返事をしてしまう。

「バージル、馬鹿かお前。そんな事わざわざお嬢に言うか?ていうか自分が寂しいだけだろう」
「煩いダニエル!」
 二人の会話に呆気にとられるアンナです。
 バージルは勢いよくアンナに近寄りぎゅっと抱きしめると額にキスをしダニエルの事を睨み付けながら
「いくぞ、ダニエル」
 と声をあげスタスタと出口に向かっていってしまった。

 暫し呆然とするアンナとダニエル。

「あーあ、ガキみたいな奴が相手でお嬢も苦労するね。アレでお嬢より五つも年上なんだぜ」
 そう言いながらアンナの頭を撫でてバージルの後を追いかけていきました。
 外で待っていたアンナの護衛がバージルが勢いよく出て来て何事かと驚いている姿を見てダニエルは

「心配ないからね。ジュリアンナ嬢を部屋まで頼むよ」
 と声を掛けて去って行ったのでした。



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