大聖女と言われ転生しましたが、大きな仕事もせずに第二王子に愛されています。

文字の大きさ
50 / 111
第4章*隣国の王女

35瞳の色の秘密

しおりを挟む
 その夜。

 アンナが湯あみを済ませ寝室へ行くと兄の番を変わって貰ったバージルがいつものようにカウチに座りワインを飲んでいました。
 定位置であるバージルの膝に座り明日の食事会でデオドールに解毒剤を入れた食事を出す旨を伝えます。

「王女らは食事会で何か策を練っていると思うか?」
「ええ、その可能性はあります。魔女だと思われる侍女のリンダの動向にも注意が必要ですね」
「魔女まで連れて来るとはよっぽど嫁ぐのが嫌なんだろうな」
「そうですね、フェリーシア王女より二十一才も年上で側室も五人いる王の後妻だだとか」
「そんなに年が離れているのか」
「初日の晩餐の時に陛下が側室は持たず王妃様一筋と仰られていたでしょう?羨ましいと思われたと思いますよ。それとサロンで私に『お好きな方と一緒になれるなんて羨ましいわ』と行った時、とても寂しそうなお顔をしていましたもの」
「王家の定めと云え、やはり辛いよな」
「そうですね・・・」
「アンナが聖女で魔力持ちで良かったよ。そうでなければ私たちは結ばれないだろうからね」
「はい。側室を持たれる事も有りませんしね」
 魔力酔いの所為で側室を持つこともアンナ以外の誰かをも寵愛する事もないであろうとアンナは思わずクスッと笑ってしまう。

「お互いに魔力が無かったとしてもアンナに一目惚れはしていたよ。こんなに可愛い子を誰にも渡したくないと思ったからね。父上同様私はアンナ一筋だよ
 兄上はあんなだから次期国王として側室を持つかもしれないけど」

 王室とはそう云うものなのだ。妃を迎えても跡継ぎの男子が産まれなかったり、病気で死亡してしまう可能性を考え側室を迎え産ませるのだ。でもそれが原因で権力争いや王位継承争いも起こったりする。

「我が国の場合はたまたま母上が男子二人を産んでくれた。当然兄が次期国王になるけど、もし兄に男子が授からなければ、側室を迎えるか私たちの子供が王位継承者となるかもしれない」

「私とジル様の子供・・・」
「そうだよ、アンナ」
「そんな責任も考えなくてはいけないんですね」
「ああ、だけどまぁ、兄上に頑張ってもらえば済む事だしね(笑)」
「ふっ、デオドール様なら問題ないですね」
「王位継承は別として私も頑張るつもりだからね」
 バージルはアンナの頬を撫でながら憂いに満ちた瞳で見つめてきました。
「頑張るって何をですか?」
「決まってるじゃないか、僕らの愛の結晶の為に頑張るんだよ。あと二月でアンナも成人を迎える。楽しみだよ」
 そう言いながらアンナの目じりに口づけるとバージルの瞳が一瞬金色に輝きました。

「バ、バージル様、瞳の色が変わりました。今一瞬金色に光りました!」
 アンナはバージルの瞳を覗き込み確認します。

「以前より藍色が薄くなっていますよね?何かあったのですか?」
「アンナ、僕の瞳の色は元々金色だったんだ。ある日、十五の時だったと思う。魔力が強くなり始めるのと同時に色を失いそれから藍色に変わったんだ」
「そんな事が起きるなんて信じられない」
 食い入るように瞳を見つめられバージルは照れてしまう。
「でもね、アンナと知り合いこうして触れあっている内に変化が起きて来たんだ。アンナから流れてくる魔力の所為だと思う」
「私の魔力が・・・」
「そうだよ、僕の魔力の暴走を抑えてくれると前に言っただろう?」
「はい」
「安定した状態でこうして・・・」
 バージルはアンナに口づけをする。
「ジル様、話の途中で何をしてるんですか!」
 バージルを押し離し眉間に皺を寄せるアンナにバージルは笑いながら
「いいから、もう一度口づけをするからその後僕の目を見てごらん」
 と顔を近づけてきました。
「んっ」
 優しく口づけをされ、バージルの目を見ると
「えっ!」
 バージルの瞳がまた金色に輝いたのです。
「ふふ、判ったかい?君と口づけを交わすようになってから瞳の色が元に戻り始めたんだ。私もつい最近気付いて驚いた」
「そ、そんな事があるんでしょうか?」
「もう一度試して見るかい?」

「あっ、いいえ。大丈夫です・・・・」

 私の魔力が彼の中に流れ魔力を安定させている。その上口づけを交わすことにより変わってしまった瞳の色が元に戻り始めたなんて嘘みたいな話だわ。

「信じられないみたいだけど本当の事だよ。アンナは気付かなかったかもしれないけどダニエルは分かっていたからね」
「ダニエルさんが?」
「うん、アンナと会っていて抱きしめるだけで別れて来た時は何も言わないのに、口づけを交わしてきた時は、ニヤニヤと私の瞳を見て来るからね」

「うっ。。。」
 それってめくちゃくちゃ恥ずかしいやつじゃない!!!

「この前みたいな長い口づけをした後は金から藍に戻るまでの時間も長かった。このままいけば結婚式の時には元の色に戻るかもしれない」

「凄いです!深い藍色の瞳も素敵でしたけど金色なんてもっと素敵!」

 アンナがプラチナピンクの瞳を輝かせてバージルに抱き付くと彼もアンナを抱きしめながら耳元で甘く囁きます。

「元の色に戻すためににもたくさん口づけをしようね」

「えっ?」

 わたし何か間違ってしまいました?

 彼女がそう思うを遮るように彼女の唇を奪っていくバージルでした。

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

王女様は温かいごはんが食べたい ~冷えた王宮料理を変えたら、オープンキッチンと政略婚約がついてきました~

しおしお
恋愛
異世界の王女リリアーヌは、前世の記憶を持つ転生者。 豪華絢爛な王宮で暮らし始めた彼女だったが、ひとつだけどうしても耐えられないことがあった。 ――食事が、冷めているのだ。 どれほど立派な料理でも、ぬるいスープや冷めた肉ではホッとできない。 「温かいごはんが食べたい」 そのささやかな願いを口にしたことから、王宮ではなぜか大騒動が巻き起こる。 地下厨房からの高速搬送。 専用レーンを爆走するカートメイド。 扉の開閉に命をかけるオープナー。 ついには食堂に火を持ち込むオープンキッチンまで誕生して――!? 温かさは、ホッとさせてくれる。 それは料理だけではなく、人との距離まで少しずつ変えていくものだった。 冷えた王宮に湯気と笑顔を取り戻す、 食と温かさをめぐる宮廷日常コメディ! -

聖女の力を妹に奪われ魔獣の森に捨てられたけど、何故か懐いてきた白狼(実は呪われた皇帝陛下)のブラッシング係に任命されました

AK
恋愛
「--リリアナ、貴様との婚約は破棄する! そして妹の功績を盗んだ罪で、この国からの追放を命じる!」 公爵令嬢リリアナは、腹違いの妹・ミナの嘘によって「偽聖女」の汚名を着せられ、婚約者の第二王子からも、実の父からも絶縁されてしまう。 身一つで放り出されたのは、凶暴な魔獣が跋扈する北の禁足地『帰らずの魔の森』。 死を覚悟したリリアナが出会ったのは、伝説の魔獣フェンリル——ではなく、呪いによって巨大な白狼の姿になった隣国の皇帝・アジュラ四世だった! 人間には効果が薄いが、動物に対しては絶大な癒やし効果を発揮するリリアナの「聖女の力」。 彼女が何気なく白狼をブラッシングすると、苦しんでいた皇帝の呪いが解け始め……? 「余の呪いを解くどころか、極上の手触りで撫でてくるとは……。貴様、責任を取って余の専属ブラッシング係になれ」 こうしてリリアナは、冷徹と恐れられる氷の皇帝(中身はツンデレもふもふ)に拾われ、帝国で溺愛されることに。 豪華な離宮で美味しい食事に、最高のもふもふタイム。虐げられていた日々が嘘のような幸せスローライフが始まる。 一方、本物の聖女を追放してしまった祖国では、妹のミナが聖女の力を発揮できず、大地が枯れ、疫病が蔓延し始めていた。 元婚約者や父が慌ててミレイユを連れ戻そうとするが、時すでに遅し。 「私の主人は、この可愛い狼様(皇帝陛下)だけですので」 これは、すべてを奪われた令嬢が、最強のパートナーを得て幸せになり、自分を捨てた者たちを見返す逆転の物語。

我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。

たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。 しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。 そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。 ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。 というか、甘やかされてません? これって、どういうことでしょう? ※後日談は激甘です。  激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。 ※小説家になろう様にも公開させて頂いております。  ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。  タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~

​『5階にトラック突撃!?ポンコツ女神の使役権と地球通販を得た医学生、辺境の村でワスプ薙刀と現代医療を駆使し最強防衛ライフを始める』

月神世一
ファンタジー
マンションの5階でカレーを作っていたら、なぜかトラックが突っ込んできた件。 ​外科医を目指す医学生・中村優太(24)は、特製の絶品バターチキンカレーを食べる寸前、マンションの「5階」に突撃してきた理不尽なトラックによって命を落としてしまう。 ​目を覚ますと、そこはコタツでカップ麺を啜るジャージ姿の駄女神・ルチアナの部屋だった。 「飲み会があるから定時で帰りたい」と適当な理由で異世界転移をさせられそうになる優太だったが、怒りのガラポン抽選でユニークスキル【地球ショッピング】と【女神ルチアナこき使い権】を引き当てる! ​かくして、ポンコツ女神を強制連行して剣と魔法の世界『アナステシア』に降り立った優太。 しかし、彼にはただのチートスキルだけではない、元SEALs直伝の「CQB(近接戦闘術)」、有段者の「薙刀術」、そして何より「現代医療の知識」があった――! ​降り立った辺境のポポロ村で彼を待っていたのは、クセが強すぎる住人たち。 ​キャルル: マッハの飛び蹴りを放つ、ファミレス大好きなウサ耳村長。 ​リーザ: タダ飯とポイ活に命を懸ける、図太すぎる地下アイドル人魚。 ​ルナ: 善意で市場や生態系を破壊する、歩く大災害の天然エルフ。 ​ルチアナ: 優太のポイントでソシャゲ課金と酒を目論む、労働拒否の駄女神。 ​優太は【地球ショッピング】で召喚した現代物資と、自身のサバイバル能力&薙刀術で野盗や魔物を無双! さらには特製のスパイスカレーで異世界人の胃袋を完全に掌握していく。 ​そして、村人に危機が迫った時。 優太の「絶対に命を救う」という善意の心が、奇跡の黄金ガチャを引き起こす……! ​「俺は医者だ。この村の命も、平和な日常も、俺の戦術(スキル)で全部守り抜く!」 ​現代の【医療・戦術・料理】×【理不尽ギャグ】×【異世界サバイバル】! 凶悪な「ワスプ薙刀」を振るい、ヤバすぎる仲間たちと送る、最強医学生のドタバタ辺境防衛ライフが今始まる!

捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。

蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。 これで、貴方も私も自由です。 ……だから、もういいですよね? 私も、自由にして……。 5年後。 私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、 親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、 今日も幸せに子育てをしています。 だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。 私のことは忘れて……。 これは、すれ違いの末に離れ離れになった夫婦の物語。 再会したとき、二人が選ぶのは「離婚」か、それとも「再構築」か。 妻を一途に想い続ける夫と、 その想いを一ミリも知らない妻。 ――攻防戦の幕が、いま上がる。

そのご寵愛、理由が分かりません

秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。 幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに—— 「君との婚約はなかったことに」 卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り! え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー! 領地に帰ってスローライフしよう! そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて—— 「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」 ……は??? お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!? 刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり—— 気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。 でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……? 夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー! 理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。 ※毎朝6時、夕方18時更新! ※他のサイトにも掲載しています。

身代わりで呪いの公爵に嫁ぎましたが、聖女の力で浄化したら離縁どころか国一番の溺愛妻になりました〜実家が泣きついてももう遅い〜

しょくぱん
恋愛
「お前のような無能は、死神の生贄にでもなっていろ」 魔力なしの無能と蔑まれ、家族に虐げられてきた伯爵令嬢レティシア。 彼女に命じられたのは、近づく者すべてを病ませるという『呪いの公爵』アレクシスへの身代わり結婚だった。 鉄格子の馬車で運ばれ、たどり着いたのは瘴気に満ちた死の城。 恐ろしい怪物のような男に殺される――。 そう覚悟していたレティシアだったが、目の前の光景に絶望よりも先に別の感情が湧き上がる。 (な、何これ……汚すぎるわ! 雑巾とブラシはどこ!?) 実は、彼女が「無能」と言われていたのは、その力が『洗浄』と『浄化』に特化した特殊な聖女の魔力だったから。 レティシアが掃除をすれば、呪いの瘴気は消え去り、枯れた大地には花が咲き、不気味だった公爵城はまたたく間にピカピカの聖域に塗り替えられていく。 さらには、呪いで苦しんでいたアレクシスの素顔は、見惚れるほどの美青年で――。 「レティシア、君は一体何者なんだ……? 体が、こんなに軽いのは初めてだ」 冷酷だったはずの公爵様から、まさかの執着と溺愛。 さらには、呪いが解けたことで領地は国一番の豊かさを取り戻していく。 一方で、レティシアを捨てた実家は、彼女の『浄化』を失ったことで災厄に見舞われ、今さら「戻ってきてくれ」と泣きついてくるが……。 「私は今、お城の掃除と旦那様のお世話で忙しいんです。お引き取りくださいませ」 これは、掃除を愛する薄幸令嬢が、その愛と魔力で死神公爵を救い、最高に幸せな居場所を手に入れるまでのお話。

お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~

みつまめ つぼみ
ファンタジー
 17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。  記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。  そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。 「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」  恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!

処理中です...