大聖女と言われ転生しましたが、大きな仕事もせずに第二王子に愛されています。

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第4章*隣国の王女

37解毒薬の効き目は?

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「次は皆様の前でお作りさせて頂きます」

 アンナがそう言うとビオラがワゴンを運んできました。
 魔道具のコンロの上には浅い鍋が乗っており蓋がしてありました。その蓋を開けると中には下処理をした鯛が一匹丸々鎮座しています。
「わっ、お魚さん!」
 多分マリーは魚を切り身でしか見た事しか無かったのだと思います。
「図鑑で見たのと一緒です!」
 すぐ傍まで寄って来て目を輝かせながら鯛を観察し始めました。

「きゃぁ、お魚の目が怖いですわ、デオドール様」
 王女がデオドールの腕に縋りついてきました。
「大丈夫ですよ、生きてはいませ・・・ん・・?」
・・・我は何を・・・
 恋心を抱いた姫に何をしたんだ?心の中で自問自答するデオドール。
 無意識のうちに王女が絡みついて来た腕を振り解いていたのです。
 王女もまさか振り解かれると思っていなかったのでポカンとデオドールの顔を見ています。

 アンナはその姿を見てよしよしと!後ろにいるビオラとも念話を交わしました。
『効いて来たみたいね。デオドール様の顔つきも少し変わったわ』
 しめしめと思いながら料理に取り掛かりました。

「マリー様これから火を使いますのでご覧になるなら少し離れてくださいね」
 アンナがマリーに声を掛けるとダニエルが直ぐにやってきて少し離れたところからでも上から調理が見えるようにマリーを抱き上げました。

「ダニエルさんありがとうございます」
 アンナはダニエルにお礼を言いうと、一度鯛を取り出し、鍋にオリーブオイルを引きニンニクを入れ卓上コンロに魔法で火を点けます。
 ニンニクの香りが漂ってくるとそれだけで食欲がそそされますね。
 香りが出たらニンニクをとり出し軽く塩を取コショウ振った鯛を鍋に入れ両面に焼き色付ける。
 マリーは鯛に火が通り色が変わっていくのを不思議そうに見ています。

 次に白ワインを回し入れアルコールを飛ばしたら水とピンクペッパーを加えました。
 アサリ、ミニトマト、ピーマン、パプリカを順に入れて蓋をして煮込みます。
 鯛に火が通り貝が開いたら出来上がり。
 後はスープの味を見て塩気が足りなければ少し足します。

 蓋を開けた瞬間「おー!」「まあ♪」と声が上がりました。
 パセリをふりそれぞれのお皿に取り分けお出しすると王妃様を筆頭にみんなほっこり笑顔になりました。『嬉しいわ。この顔をが見たいのよね』アンナからも笑顔が零れます。
 でもその中で「美味しいですね」と言いながらもデオドールの笑顔はぎこちなく王女を気遣いながら会話をしていますがやはり前とは明らかに違ってみえます
『ウーロン茶の分も薬が効いてきて自分の気持ちに戸惑ってるのね』
 私はジル様とアイコンタクト取りビオラにはウィンクをして見せました。

『最後の仕上げだわ』
 リゾットに粉チーズを掛けて配膳します。

「この粒つぶがライスと云うのですね」
 王女の言葉にデオドールも
「少し固めの気もするがチーズが良いね。王女もお好きですか?」
「はい、このお料理好きです」
 先ほど腕を振り解かれ少しショックを受けていた王女でしたがデオドールに話し掛けられまた気持ちを持ち直したようで笑顔で答えています。が、呼び方が姫から王女と変わっている事には気づいていないようです。

 デオドール様が少しずつ王女様と微妙な距離を取り始めているわ。
 二人の正面に座り見ていると薬が効いて解毒されてきたのが分かります。
 デザートを食べ終える頃にはすっかり解毒できているように感じました。

 最後のお茶を出そうとビオラが準備を始めると王女がアンナを呼び止めます。

「ジュリアンナ様今日は私の我儘を聞いて下さりありがとうございました。どれも本当に美味しかったですわ。お礼として最後のお茶は我が国の物をお出しさせて下さい」
「侍女殿のハーブティーですか?」
 バージルが侍女リンダの顔を横目で見ながら王女に問います。
「はい、バージル殿下もご存じですのね。香りも良くカラダに良いものをご用意させて頂きました。バージル殿下の則近の方とジュリアンナ様の侍女の方もご一緒致しましょう」
「まぁ。それは楽しみですわね」
 王妃の言葉で侍女リンダが動き始めました。

 リンダは持ってきた茶筒を取り出しハーブ類をティーポットに入れお湯を注ぎ蒸らしていきます。
 その様子をじっと見つめるバージルとアンナ、そしてダニエルとビオラ。
 ワゴンの上のカップに注ぐ為背を向けた魔女リンダ。

『きっとやるわよ』
 ビオラから念話が送られてきました。
『見逃さないでね』
 魔女リンダがポット支えるように添えるふりをし、袖口に仕込んであった小瓶から一つのカップにだけ液体を数的入れました。

『何か入れたわ』
 アンナの方から死角になり見えなかったが、ビオラはしっかりと見ていました。
『お茶を運んでいる隙に入れ替えるわね』
『頼んだわビオラ』

 魔女リンダはまず最初に王妃の所へとトレイに乗せ持って行く。
 液体は王女に持って行った隣のカップだから順番からすると次はデオドールの番ね。
 王女に向かって歩き出した魔女リンダがビオラに背を向ける形になった隙に注ぎデオドールに行くと思われるカップと自分の所に来るであろうカップとを魔法で入れ替えた。
 予想通り次のカップはデオドールの元に運ばれ順にバージル、マリー、アンナそして、王女のとこへと配られた。
 残りのカップ二つはサイドテーブルに座るダニエルとビオラに出されました。
 液体を垂らしたお茶はビオラの手元に来ています。

「ハーブティーはゆっくりと飲む宜しいと言われてますわ。どうぞ皆様」

『やったわよアンナ』
『流石ビオラだわ』

 皆が少しずつお茶を飲み始めました。
「良い香りですわね。なんだか落ち着きますわ」
 王妃も満足している様子だ。
「デオドール殿下如何ですか?」
 王女はデオドールに寄り添うように聞いてきます。
「あ、ああ母上の云う通り良い香りだと思いますよ」
 周りにはそっけない返事に聞こえるが王女は魅了薬入りのお茶を彼が飲んでいると信じているのでうっとりとした表情で見つめています。

 デオドールはお茶を飲みながら昨日までの自分を思い出していました。
 我は一体何をしていたのだろう。
 王女が来てからずっと一緒にいたのか?
 花も毎日送っていた気がする。
 なぜそのような事になっていたんだ?

「そうですか良かったですわ」
 王女に潤んだような目で見つめられているのに気付き、ギョッとするが作り笑いで誤魔化しました。
 その様子を見てバージルとアンナはホッとする。

「いよいよ明日帰国となってしまいましたがアデライトは如何でしたか?」
 王妃の問いに
「ええ、皆様に良くして頂いてとっても楽しく過ごすことが出来ました」
「それは何よりですね。陛下もお喜びになりますわ。フェリーシア王女の訪問は両国にとっても良い友好関係の礎となるでしょう」
「ありがとうございます。王妃陛下。短い時間でしたが皆様とお別れするのが名残惜しいです」
 ホロリと涙を流す王女。
「まあまあ、そんな風に思って頂けるなんて」
 王妃様迄涙ぐんでおられます。

 その時魔女リンダが軽く咳ばらいをしました。

「デオドール様、わたくし帰りたくありませんわ。」
 
           
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