大聖女と言われ転生しましたが、大きな仕事もせずに第二王子に愛されています。

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第6章*聖女の派遣と新婚旅行

51*聖女の派遣?

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 数日後早朝から執行部に召集が掛けられバージルも早々に着替えを済ませ出掛けて行きました。

「隣国のドルチェ帝国から使者が参りました」

 ドルチェ帝国とは五つの国を統一した帝国でサミュエル・キャメロンは三十七才の若き皇帝だ。
 ドルチェは先に二国を占領し残りの二国は占領の手が伸びる前に自らドルチェの傘下になることを決めた。それ程サミュエル・キャメロンの率いる軍隊は強かった。
 隣国になるアデライト王国は聖女がいる限り結界は維持されているので戦争を仕掛けられることは無かったが、アンナが転生した時の様に聖女が逝き瘴気に覆われた状態の時に責められれば脆いともいえる。なので今は軍隊にも力を入れている。あくまでも自己防衛の為の軍隊である。
 ドルチェ帝国には魔術師は存在するが聖女はいないのでアデライト王国には一目置いており友好関係も良好といえるだろう。



「ドルチェは何と申してきたのだ」
「はい、掻い摘みますと聖女の貸し出しを願いたいと」
「はぁ?」
 宰相トルウェインの言葉に陛下が似合わぬ声を上げました。
「どういうことだ」
「皇妃が原因不明の病に伏せて居りあらゆる手立てを施しても回復が望めない故我が国の聖女殿の癒しを受けさせて欲しいとの事です」
「なんと、原因不明の病とな」
「はい、勿論条件付きで構わないとの事ですが如何致しましょう」
「マリーは聖女とは故まだ九つだ。他国に行かせるのはどうしたものか」
 陛下は頭を抱えてしまいました。
「前聖女の時にも一度他国へ行ったことがありましたのでその旨を知っている長老が助言したのでありましょう」
「うむ。デオドールはどう思う?」
 陛下に聞かれデオドールは今まで外交を中心に動いてきた立場から意見を述べた。
「ここ数年でドルチェは占領国とは別に二国を傘下に入れた勢いのある帝国です。傘下に入った国は我が国とも交易が盛んな国でありました。サミュエル皇帝は文化、交易などは元の国の行ってきたことを尊重し、制御は致しておりません」
「ふむ」
「そのお陰で現在も変わらず我が国が外交による輸出入で潤っているのも事実です。出来れば今まで交易が無かった占領国の資源など我が国に輸出して貰う事を条件に付けては如何でしょう」
「しかし、聖女が皇妃の病を治せなかったら」
「そこは聖女はまだ幼い故に治せると確約するものでないとはっきり申し上げるべきだと思います」
「確かにそうじゃな」
「それでは、聖女と共にドルチェ帝国へ向かう人選をデオドールお主に任せる。早急に決めて報告せよ」
「はい」
「トルウェインは執行部と交換条件の概要を直ちに作成せよ」
「御意」

 その夜デオドールの執務室に呼ばれたバージルは突拍子もない事を言われる。

「バージル、新婚旅行に行きたくはないか?」

「兄上、それは私とアンナに帝国へ行けと云う事ですか?」
「あはは、その通りだ。マリーを行かせるなら心を開いているアンナちゃんを同行させたいんだよ。大人ばかりじゃマリーも初めての外国で不安だろう?」
「確かにそうですが」
「もちろん我も良くよ」
「えっ、王子が二人国を留守にするのは如何なものでしょう」
「父上だってまだまだ現役だ、トルウェインが付いていれば大概の事はなんとかなる。お前たちはマリーと共に皇妃の病の方を頼みたい。我は帝国の資源を視察し交渉に持ち込む。どうだろう私の考えは?」
 バージルはふぅと息を吐き
「兄上の強かさには敵いませんね。分かりました」
 と答えるとデオドールがニヤリと笑いました。


 廊下を歩きながらバージルは考えていました。
「ダニエル、マリーの力で皇妃陛下の病を治せると思うか?」
「そんな事は行ってみなきゃ分からないだろう。でもお嬢が一緒なら何とかなるんじゃないか?」
「うむ。昼にでもアンナとビオラに相談してみよう」
「それがいい。新婚旅行を兼ねてなら喜んできてくれると思うぜ」
 外交はいつも兄に任せていたのでバージルにとっても久しぶりの国外だ。それもアンナと行けるなら嬉しいに決まっていた。ただ大聖女の魂を持つアンナをあまり人前に晒したくないとも心のどこかで思っていたのです。


「バージル様」
 朝の散歩であろうか庭園の方からアンナがビオラを伴って歩いて来た。
「アンナ、ちょうど君に使いを出そうと思っていたところだ」
 バージルはアンナをハグして軽く口づける。
「大事な話があるからランチを一緒に取りのだが何か予定はあるかい?」
「いいえ、今日は何もありませんわ」
「では、久しぶりにバラの庭園でいいかな」
「もちろんです」
 アンナの了解を取るとバージルはダニエルと共に執務へと戻って行きました。

「大事な話って何かしら?」
「何でしょうね、少し難しい顔をしてましたね。殿下」
「でも今考えてもしょうがないわね、取敢えず部屋に戻りましょう」
「はい、ジュリアンナ様」

 部屋に戻ったアンナは机の上の封書の数を見て溜息を吐く。
「毎日よくこれだけ謁見を伴うお茶会のお誘いが来るもんだわね」
「しょうがないわよ。少しでもお近づきになって色々と便宜を図らってもらいたいとみんな思っているんだもの」
「私に頼んでもしょうがないのね。侍女長あっ、女官長を呼んで本当に必要なお茶会を絞ってくれるようにお願いして」
「はーい」

 アンナは椅子をくるりと回し窓の外の景色を眺めながら早くデオドールが妃を迎えてくれないかと考えていました。そうすれば公務もこういった面倒事も半分になると思うにと。


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