大聖女と言われ転生しましたが、大きな仕事もせずに第二王子に愛されています。

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第6章*聖女の派遣と新婚旅行

70*大聖女降臨?否、勇者?①

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「ど、どうして・・・歩けて・・・」
「私の術が?」
 ジョルジュの口から洩れてしまった言葉につられてセルゲイも呟いてしまう。
「大公たちよ。お主等は私によほどの恨みを持っていたのだな。バージル殿から術の内容を聞き恨みの深さを知ることが出来た。しかし、皇妃を一年以上苦しめた罪は重罪である。追って沙汰を申し付けるまで投獄する!」

「くそっ、私の国を占領し全てを奪いおって・・・許せなかった」
「カルバン、ダルクはお前の国であったが民の物でもあるのだ。山間にあり土地も貧しいというのに高額な税を課し民を苦しめていた。お前たちが潤う為に民があるのではない。ドルチェ帝国に入り今はどうだ。税率も下がり土地に見合った作物や鉱業を他領の支援により人並みの生活が出来るようになったではないか。その分お前たちの懐に入るものが減ったのは当然の事だ」
「くっ」

「シャービスお主は何が不満で私を貶めようとしたのだ」
「言わせて貰う。我々は敗戦国ではない。自らドルチェ帝国の傘下に入ったのだ。なのに何故敗戦占領国と同じ扱いをされなければないのだ」
「そんな事か。協定を結ぶ際私は言ったであろう。ドルチェ帝国内の領は全て平等だと。一つの家族なのだ。だから私はお主等を領主とせず身内として大公とした。それが不満であるなら何故傘下に入ると申し出たのだ」
「それは娘がお前に輿入れすると思っていたからだ・・・なのに己が見初めた我が娘ルイザの気持ちを弄びながら皇妃と婚姻を結びおって。娘からお主を奪った皇妃も許せない!!!」
「私はお主の娘を見初めた事も弄んだこともないぞ。ルイザと言ったか、お前の娘とは協定を結ぶ際にお主と共に顔を合わせた一度きりだしな」
「そんな筈はない!娘は皇帝と内密に逢瀬を重ね妃に迎えると言われたのにと嘆いておるのだぞっ」
「確かに手紙は届いておった。しかしその度に丁寧に断りの返事は出させてある。逢瀬などある訳が無かろうに」
「そんな馬鹿な事が」
 がっくりと肩を落とすシャービスに隣にいたセルゲイが冷たい目であざ笑うように言った。
「あはは!アンタの娘は皇帝に一目惚れしたが相手にされずにいたんだ。自分が妃になれないのは皇妃がいるからだと思い皇妃が死ねば皇帝の目は自分に向けられると信じその魔法を俺に掛けるよう言ってきたんだ。愚かな親子だぜ」
「セルゲイ貴様!」
 セルゲイは主に向かい吐き捨てるように言うと皇帝に向き直った。
「しかし皇妃には複数の術を掛けられていた。どうして私だと断言できるのですか?」

「ここに居られるバージル殿下は自らも魔力を持ち他の者が作った術式を解術することが出来る。ジョルジュとセルゲイお主達が隠密で皇妃の懐妊に協力すると見せかけ体を蝕むような魔術を掛けたのはもう分っておるのだ」
「そんな事出来る訳が・・・」

 バージルが立ち上ると皇帝の隣に並び二人の術師を見下ろしながら口を開きました。

「私は術式を解術する時にそれぞれの使い手による癖も見ることが出来る。指紋みたいなものだな。指紋は本人以外誰とも一致する事がないのはご存知ですよね?先ほどあなた達が術を披露した際に現れた術式にその指紋をはっきりと確認できました。ジョルジュがナリス様に掛けたのは体の組織を徐々に蝕んでいく術ですね。それととセルゲイ。お前のには身体は勿論心まで無きものにする術の他にもお二人に向けた恨みの呪い魔法まで組込んであった」
 バージルの指摘に身体をわなわなと震わせるジョルジュ。
「そんな、術の内容まで判るなんて信じられない」
 セルゲイは苦虫を潰した様な顔のままバージルを睨みつけていた。
「お前たちへの沙汰は追って申し付けるまでも無い。この場で聖女マリーとジュリアンナ妃によりお前たちの魔力を永久に封じて頂く」
 そう告げ皇帝はアンナの方見る。

「はい」
 とジュリアンナは立ち上がるとマリーの元へ行き耳元で何かささやいた。
 と、同時に足元が急に揺れ始めました。
 見るとセルゲイの身体が炎に包まれ拘束した縄は焼け落ち身体から魔力を放出しはじめていた。
「魔力封じなんて冗談じゃない。ここまで来たら俺がお前を殺し皇帝になってやる!」
 そう叫ぶと全身から上がった炎から火花が飛びリ辺りに落ちて行く。

「あーあ、やっぱり普通に終わらなかったわね」
 ビオラがアンナの顔をしょうがないわねと見て来ました。
「私の出番ね」
 そう言うとアンナは魔法で自分の身体を包みあっという間にドレスからアンナ式の戦闘服へと着替えのです。

 着替えたアンナの姿を見て貴賓席の全員が目を見開き声も出せず固まってしまいました。
 アンナの衣装は前世で見た漫画に出て来る女の子の勇者をイメージしたもので鎧で出来たビスチェとホットパンツそしてニーハイブーツで、マントは羽織っているが太腿が露わになっている。

「あ、アンナ・・・」
 バージルは口元を抑え青ざめている。
「アンナちゃん、大胆だね~」
 デオドールは頭の先からつま先まで目線を動かし嬉しそうに眺めています。
「お姉さま素敵♪」
 マリーが感嘆の声を上げて拍手をします。
「良いのか?バージル殿下!」
 サミュエル皇帝も唖然としながらバージルに問うてきました。

「アンナ、そんなに露出して。私以外に肌を見せては駄目だ!魔術師の格好で良かろうに。。。」
 バージルは慌てて駆け寄りアンナの前に立ちはだかるとみんなの視線を遮ります。
「前の世界の本の中の勇者とかのスタイルなの。一度着てみたかったんだもん。何と言われようとこれで行きます!」
 そんな事をしている間にもセルゲイは放出した魔力をまた貯め直しメラメラと炎を上げてきている。 
 アンナはバージルを退けバルコニーの先端へと移動します。
 手すりの上に上がり両手を広げるとふわっと身体が浮き上がりマントを翻しながらそのままゆっくりと二階の貴賓席からコロシアムの中央へと下りて行きまました。
 その姿を見た観客は息を呑んで見守っていた。

《うふ、昨夜から魔法で一生懸命作っていたのよね》
《ビオラ何故止めなかったのだっ!》
《あらだって可愛いじゃない。ねっ、フォルヴァ?》
《我と国中を周っていたジュリアーナも似たような格好であったぞ》
《フォルヴァまで・・・そんな》
《これが終わったらアタシあれを貰うわ》
《ああ、ドロップ、アンナが二度とアレを着ないように取り上げて、否。貰ってくれ》
 バージルは一人頭を抱えるのでありました。 

 セルゲイの頭上に術式が浮かび上がるのを見たバージルは気を取り直しアンナとセルゲイに集中します。
《アンナ、なんにでも展開できる術式を送るから好きなように使っていいよ》
 バージルはアンナに念話を送ると心の中で呪文を唱えアンナに送ります。
 アンナの前にバージルが組んだ術式が浮かび上がりました。
「何だ小娘、怪我をする前に失せろ」
「そんなこと言わないで下さい。私も魔術師だし悪い事は止めないとならないんです」
 自信と余裕に満ち溢れた態度のセルゲイにアンナはまずは初歩的な攻撃を仕掛けます。
「傲慢な者へ矢を放て」
 術式に魔力を送り投げるようなしぐさで腕を前に出すと無数の矢が放たれセルゲイに向かって飛んで行く。
 彼は笑いながら魔法を発動させ盾を作り矢を全部弾き飛ばします。

《随分ちょろいので攻撃したわね》
 ビオラから冷やかしの声が届きます。
《だって、最初からやっちゃったら懲らしめられないじゃない》
 アンナが答えると念話が通じているバージル、フォルヴァ、ドロップがクスリと笑いました。

「なんだそんなもの。もう少し手応えがないと面白くないぞ」
 セルゲイが魔法を発動させる体勢を取るとバージルから警告届きます。
《アンナ、先ほどの炎塊が飛んでくるぞ、気を付けろ》
《了解》
 相手が炎塊を放つの同時にアンナは氷の壁を作り防御する。
《いいタイミングだアンナ》
 氷の壁に当たった炎塊はジュっと音を立てて消えていく。
「くっ、氷魔法も使えるのか。生意気な!」
 アンナも反撃に出ます。
 術式に魔力を送ると目の前の氷の壁が砕け幾百の氷の矢となり飛んで行った。
 セルゲイは炎を操り氷の矢を縛り溶かす。
《ビオラ、奴は火魔法しか使えないのか?》
《主な属性は火だけど他のも使えるみたいね》
《伊達に偉ぶるだけの事はあるのだな》
《面倒臭いから早くやっつけちゃえば》
 ドロップが横やりを入れてきます。
《もう少し遊ばせてよ、いちいち術式に魔力を送って発動させるの面倒だから勝手にやっていい?》

《もうアンナったら~いいわ好きにやっちゃって!》
 ビオラが嬉しそうに親指を立てました。


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