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第三章
3/ 二日酔いとちょっとその先
しおりを挟む翌日、番と離れている時間が長くなると少し不機嫌になる王太子が、長い時間会議室に拘束されているというのに何故か機嫌が良い。
宰相のカーニヴァルも補佐のファビアンも、何かあったのかと陰で囁き合っていた。
番が私の血を飲んでくれた。
竜の血など嫌だったろうに。
自分と長く居たいと思ってくれたのだと思うだけで、レオナルドは嬉しくて堪らなくなっていたのであった。
一方リディアはというと……王宮の自室でぐったりとしていた。
――これって俗にいう、二日酔い?
頭はガンガンするし、少しムカムカするのよね
「リディア様、食欲が無いようですが、具合がお悪いのですか?」
「もしかしたら昨日果実酒を一気に飲んだから二日酔いかも」
「あらら、それはお辛いですね。トラフィス先生にお願いしてお薬を頂いてきます」
小走りで部屋を後にしたリールーは、すぐに薬と水を持って戻って来た。
「ありがとう、リールー」
「いえいえ、まだお酒を飲み始めたばかりですので無茶はいけませんよ」
「は……い」
薬を飲んでソファに横になる。
「レニーには内緒にしておいてね」
「ふふ、わかりました。少しおやすみください」
「そうさせてもらうわ」
リディは静かに瞳を閉じる。
夕方になりレオナルドがリディアの私室に迎えに来た。
その頃にはリディアの二日酔いもすっかり良くなり、笑顔でレオナルドを迎えることが出来た。
「リディ、昨日は無理して飲んでくれたから、今日はやめておこうか」
食事前にレオナルドが気を遣い言ってくれる。
「ありがとう、レニー。そうね、一日置きに飲むことにする。夕べ、果実酒を一気に飲んでしまって少し頭が痛かったの。あっ、でも薬を飲んで直ぐに良くなったから心配しないで」
「食事前に煽ってしまったせいもあるが、アレを飲ませてしまったせいかもしれない。悪かった、リディ」
心配いらないと笑顔で答えたリディアに申し訳なさそうに額に口づけ、優しく髪を撫でてくるレオナルド。
「私の飲み方が悪かったのよ。レニーの所為じゃないわ」
と、お返しに頬に口づけた。
「ありがとう、リディ」
その夜は食前酒なしで和やかに食事を終え、お風呂に入り眠りについた二人であった。
そして翌日の晩。
リディアは先に一口果実酒を口に含んでから血のグラスを空け、また一口果実酒を飲んでみた。
「うん、こうやって飲むなら大丈夫そう」
「そうか、良かった」
――レニーが嬉しそうに笑っている。これを飲む度に私も少しずつレニーに近づいているようで嬉しい。
本当は全然血なんて美味しくないけど、頑張るわ。
リディも覚悟を決めていたのだった。
◇◆◇
その夜、床に入ったレオナルドがリディアを抱きしめながら、いつもより長く口づけをしてきた。
舌を絡ませ、時には甘く噛み唾液を流し込まれる。
「ん、レニー」
「リディ……今夜はもう少しだけ先に進ませて」
レオナルドはリディアの返事を待たずに、唇を口から耳へと移していく。
耳朶をなぞる様に舌を這わせるとリディアの体がぴくりと跳ねた。
「レ、レニー?」
寝着の上から胸を弄っていた手が薄い生地の上から頂の飾りを見つけくりくりと捏ねる。
「あっ、」
「リディ、どんな感じ?」
少し掠れた声でレオナルドが聞いて来た。
ぎゅっと瞑っていた目を開けると胸の上から紫の瞳がリディアを見つめている。
その瞳の中にいつもとは違う輝きを見た気がした。
「変な感じ、なんかぞくぞくする」
「ふふ、そうか」
レオナルドは口角を上げ嬉しそうに微笑むと、リディアの胸のリボンを解き始めた。
思わず両手で露わになった乳房を押さえるリディアだったが、いとも簡単にその手は外されてしまう。
「正面からリディの可愛い胸が見たい」
「いや、レニー恥ずかしい」
「大丈夫。 とてもキレイだよ」
露わになった双丘の頂には瑞々しい果実の飾りが二つ、ツンと主張している。
「ああ、リディア。なんて可愛い……」
レオナルドは乳房を両手で掴み、片方の果実をぺろりと舐めた。
「ひゃっ!」
何かが身体の中を走り抜けた。
「美味しそうだったから我慢が出来なかった」
彼はそれを口に含むと舌で転がし、時々軽く吸う。その度にリディアの体が小さく震えた。
「レニー、ダメ……んっ、あっ」
初めてリディアから甘い声が洩れて来た。
その声を聞きレオナルドの下半身が疼く。
「リディ、愛してる」
胸を揉みしだきながら、また舌を絡ませ翻弄してくるレオナルドに、リディアは抗うことが出来ない。
やっと離された口元には仄かな灯りに銀色の糸が光る。
そして乳房の周辺にまた唇を落とすとあちこちに赤い花を散らしていった。
「レニー、こんなに……」
「大丈夫、今日はこれ以上しないから」
涙目になっているリディアの目尻に口づけを落として優しく頬を撫でてくる。
初めての愛撫に呼吸を乱しているリディアは、レオナルドに「良い子だ」と背中を摩られいつの間にか眠りに落ちていった。
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