末っ子第三王女は竜王殿下に溺愛される【本編完結】

文字の大きさ
41 / 60
第三章

3/ 二日酔いとちょっとその先

しおりを挟む

 翌日、番と離れている時間が長くなると少し不機嫌になる王太子が、長い時間会議室に拘束されているというのに何故か機嫌が良い。
 宰相のカーニヴァルも補佐のファビアンも、何かあったのかと陰で囁き合っていた。

 番が私の血を飲んでくれた。
 竜の血など嫌だったろうに。
 自分と長く居たいと思ってくれたのだと思うだけで、レオナルドは嬉しくて堪らなくなっていたのであった。

 一方リディアはというと……王宮の自室でぐったりとしていた。

――これって俗にいう、二日酔い?
 頭はガンガンするし、少しムカムカするのよね

「リディア様、食欲が無いようですが、具合がお悪いのですか?」
「もしかしたら昨日果実酒を一気に飲んだから二日酔いかも」
「あらら、それはお辛いですね。トラフィス先生にお願いしてお薬を頂いてきます」

 小走りで部屋を後にしたリールーは、すぐに薬と水を持って戻って来た。

「ありがとう、リールー」
「いえいえ、まだお酒を飲み始めたばかりですので無茶はいけませんよ」
「は……い」

 薬を飲んでソファに横になる。

「レニーには内緒にしておいてね」
「ふふ、わかりました。少しおやすみください」
「そうさせてもらうわ」

 リディは静かに瞳を閉じる。


 夕方になりレオナルドがリディアの私室に迎えに来た。
 その頃にはリディアの二日酔いもすっかり良くなり、笑顔でレオナルドを迎えることが出来た。

「リディ、昨日は無理して飲んでくれたから、今日はやめておこうか」

 食事前にレオナルドが気を遣い言ってくれる。

「ありがとう、レニー。そうね、一日置きに飲むことにする。夕べ、果実酒を一気に飲んでしまって少し頭が痛かったの。あっ、でも薬を飲んで直ぐに良くなったから心配しないで」

「食事前に煽ってしまったせいもあるが、アレを飲ませてしまったせいかもしれない。悪かった、リディ」

 心配いらないと笑顔で答えたリディアに申し訳なさそうに額に口づけ、優しく髪を撫でてくるレオナルド。

「私の飲み方が悪かったのよ。レニーの所為じゃないわ」
 と、お返しに頬に口づけた。

「ありがとう、リディ」

 その夜は食前酒なしで和やかに食事を終え、お風呂に入り眠りについた二人であった。



 そして翌日の晩。
 リディアは先に一口果実酒を口に含んでから血のグラスを空け、また一口果実酒を飲んでみた。

「うん、こうやって飲むなら大丈夫そう」
「そうか、良かった」

――レニーが嬉しそうに笑っている。これを飲む度に私も少しずつレニーに近づいているようで嬉しい。
 本当は全然血なんて美味しくないけど、頑張るわ。

 リディも覚悟を決めていたのだった。


◇◆◇


 その夜、床に入ったレオナルドがリディアを抱きしめながら、いつもより長く口づけをしてきた。
 舌を絡ませ、時には甘く噛み唾液を流し込まれる。

「ん、レニー」

「リディ……今夜はもう少しだけ先に進ませて」

 レオナルドはリディアの返事を待たずに、唇を口から耳へと移していく。
 耳朶をなぞる様に舌を這わせるとリディアの体がぴくりと跳ねた。

「レ、レニー?」

 寝着の上から胸を弄っていた手が薄い生地の上から頂の飾りを見つけくりくりと捏ねる。 

「あっ、」

「リディ、どんな感じ?」

 少し掠れた声でレオナルドが聞いて来た。
 ぎゅっと瞑っていた目を開けると胸の上から紫の瞳がリディアを見つめている。
 その瞳の中にいつもとは違う輝きを見た気がした。

「変な感じ、なんかぞくぞくする」
「ふふ、そうか」

 レオナルドは口角を上げ嬉しそうに微笑むと、リディアの胸のリボンを解き始めた。
 思わず両手で露わになった乳房を押さえるリディアだったが、いとも簡単にその手は外されてしまう。

「正面からリディの可愛い胸が見たい」
「いや、レニー恥ずかしい」
「大丈夫。  とてもキレイだよ」

 露わになった双丘の頂には瑞々しい果実の飾りが二つ、ツンと主張している。

「ああ、リディア。なんて可愛い……」
 レオナルドは乳房を両手で掴み、片方の果実をぺろりと舐めた。

「ひゃっ!」

 何かが身体の中を走り抜けた。

「美味しそうだったから我慢が出来なかった」

 彼はそれを口に含むと舌で転がし、時々軽く吸う。その度にリディアの体が小さく震えた。

「レニー、ダメ……んっ、あっ」

 初めてリディアから甘い声が洩れて来た。
 その声を聞きレオナルドの下半身が疼く。

「リディ、愛してる」

 胸を揉みしだきながら、また舌を絡ませ翻弄してくるレオナルドに、リディアは抗うことが出来ない。
 やっと離された口元には仄かな灯りに銀色の糸が光る。
 そして乳房の周辺にまた唇を落とすとあちこちに赤い花を散らしていった。

「レニー、こんなに……」

「大丈夫、今日はこれ以上しないから」


 涙目になっているリディアの目尻に口づけを落として優しく頬を撫でてくる。

 初めての愛撫に呼吸を乱しているリディアは、レオナルドに「良い子だ」と背中を摩られいつの間にか眠りに落ちていった。






しおりを挟む
感想 46

あなたにおすすめの小説

【完結】2番目の番とどうぞお幸せに〜聖女は竜人に溺愛される〜

雨香
恋愛
美しく優しい狼獣人の彼に自分とは違うもう一人の番が現れる。 彼と同じ獣人である彼女は、自ら身を引くと言う。 自ら身を引くと言ってくれた2番目の番に心を砕く狼の彼。 「辛い選択をさせてしまった彼女の最後の願いを叶えてやりたい。彼女は、私との思い出が欲しいそうだ」 異世界に召喚されて狼獣人の番になった主人公の溺愛逆ハーレム風話です。 異世界激甘溺愛ばなしをお楽しみいただければ。

【完結】番(つがい)でした ~美しき竜人の王様の元を去った番の私が、再び彼に囚われるまでのお話~

tea
恋愛
かつて私を妻として番として乞い願ってくれたのは、宝石の様に美しい青い目をし冒険者に扮した、美しき竜人の王様でした。 番に選ばれたものの、一度は辛くて彼の元を去ったレーアが、番であるエーヴェルトラーシュと再び結ばれるまでのお話です。 ヒーローは普段穏やかですが、スイッチ入るとややドS。 そして安定のヤンデレさん☆ ちょっぴり切ない、でもちょっとした剣と魔法の冒険ありの(私とヒロイン的には)ハッピーエンド(執着心むき出しのヒーローに囚われてしまったので、見ようによってはメリバ?)のお話です。 別サイトに公開済の小説を編集し直して掲載しています。

番が見つけられなかったので諦めて婚約したら、番を見つけてしまった。←今ここ。

三谷朱花
恋愛
息が止まる。 フィオーレがその表現を理解したのは、今日が初めてだった。

何年も相手にしてくれなかったのに…今更迫られても困ります

Karamimi
恋愛
侯爵令嬢のアンジュは、子供の頃から大好きだった幼馴染のデイビッドに5度目の婚約を申し込むものの、断られてしまう。さすがに5度目という事もあり、父親からも諦める様言われてしまった。 自分でも分かっている、もう潮時なのだと。そんな中父親から、留学の話を持ち掛けられた。環境を変えれば、気持ちも落ち着くのではないかと。 彼のいない場所に行けば、彼を忘れられるかもしれない。でも、王都から出た事のない自分が、誰も知らない異国でうまくやっていけるのか…そんな不安から、返事をする事が出来なかった。 そんな中、侯爵令嬢のラミネスから、自分とデイビッドは愛し合っている。彼が騎士団長になる事が決まった暁には、自分と婚約をする事が決まっていると聞かされたのだ。 大きなショックを受けたアンジュは、ついに留学をする事を決意。専属メイドのカリアを連れ、1人留学の先のミラージュ王国に向かったのだが…

旦那様、政略結婚ですので離婚しましょう

おてんば松尾
恋愛
王命により政略結婚したアイリス。 本来ならば皆に祝福され幸せの絶頂を味わっているはずなのにそうはならなかった。 初夜の場で夫の公爵であるスノウに「今日は疲れただろう。もう少し互いの事を知って、納得した上で夫婦として閨を共にするべきだ」と言われ寝室に一人残されてしまった。 翌日から夫は仕事で屋敷には帰ってこなくなり使用人たちには冷たく扱われてしまうアイリス…… (※この物語はフィクションです。実在の人物や事件とは関係ありません。)

夫に顧みられない王妃は、人間をやめることにしました~もふもふ自由なセカンドライフを謳歌するつもりだったのに、何故かペットにされています!~

狭山ひびき
恋愛
もう耐えられない! 隣国から嫁いで五年。一度も国王である夫から関心を示されず白い結婚を続けていた王妃フィリエルはついに決断した。 わたし、もう王妃やめる! 政略結婚だから、ある程度の覚悟はしていた。けれども幼い日に淡い恋心を抱いて以来、ずっと片思いをしていた相手から冷たくされる日々に、フィリエルの心はもう限界に達していた。政略結婚である以上、王妃の意思で離婚はできない。しかしもうこれ以上、好きな人に無視される日々は送りたくないのだ。 離婚できないなら人間をやめるわ! 王妃で、そして隣国の王女であるフィリエルは、この先生きていてもきっと幸せにはなれないだろう。生まれた時から政治の駒。それがフィリエルの人生だ。ならばそんな「人生」を捨てて、人間以外として生きたほうがましだと、フィリエルは思った。 これからは自由気ままな「猫生」を送るのよ! フィリエルは少し前に知り合いになった、「廃墟の塔の魔女」に頼み込み、猫の姿に変えてもらう。 よし!楽しいセカンドラウフのはじまりよ!――のはずが、何故か夫(国王)に拾われ、ペットにされてしまって……。 「ふふ、君はふわふわで可愛いなぁ」 やめてえ!そんなところ撫でないで~! 夫(人間)妻(猫)の奇妙な共同生活がはじまる――

【完結】お前を愛することはないとも言い切れない――そう言われ続けたキープの番は本物を見限り国を出る

堀 和三盆
恋愛
「お前を愛することはない」 「お前を愛することはない」 「お前を愛することはない」  デビュタントを迎えた令嬢達との対面の後。一人一人にそう告げていく若き竜王――ヴァール。  彼は新興国である新獣人国の国王だ。  新獣人国で毎年行われるデビュタントを兼ねた成人の儀。貴族、平民を問わず年頃になると新獣人国の未婚の娘は集められ、国王に番の判定をしてもらう。国王の番ではないというお墨付きを貰えて、ようやく新獣人国の娘たちは成人と認められ、結婚をすることができるのだ。  過去、国の為に人間との政略結婚を強いられてきた王族は番感知能力が弱いため、この制度が取り入れられた。  しかし、他種族国家である新獣人国。500年を生きると言われる竜人の国王を始めとして、種族によって寿命も違うし体の成長には個人差がある。成長が遅く、判別がつかない者は特例として翌年の判別に再び回される。それが、キープの者達だ。大抵は翌年のデビュタントで判別がつくのだが――一人だけ、十年近く保留の者がいた。  先祖返りの竜人であるリベルタ・アシュランス伯爵令嬢。  新獣人国の成人年齢は16歳。既に25歳を過ぎているのに、リベルタはいわゆるキープのままだった。

最初で最後の我儘を

みん
恋愛
獣人国では、存在が無いように扱われている王女が居た。そして、自分の為、他人の為に頑張る1人の女の子が居た。この2人の関係は………? この世界には、人間の国と獣人の国と龍の国がある。そして、それぞれの国には、扱い方の違う“聖女”が存在する。その聖女の絡む恋愛物語。 ❋相変わらずの、(独自設定有りの)ゆるふわ設定です。メンタルも豆腐並なので、緩い気持ちで読んでいただければ幸いです。 ❋他視点有り。 ❋気を付けてはいますが、誤字脱字がよくあります。すみません!

処理中です...