まほカン

jukaito

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第118話 好事! プラモデルは少女に牙を剥く! (Cパート)

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「キズ程度ですんだのね……」
 カナミは完全に倒すつもりで撃ったのに、アスリオンの装甲にキズを与えただけだった。
「アスリオンの装甲は次元合金製で宇宙の真空や深海の水圧にも耐えられるようになっている、という設定らしいよ」
 マニィが携帯を持って言う。
「そりゃ硬いわね……」
「まあ、その装甲にキズをつける君の神殺砲も大したものだけどね」
「マニィが褒めてくれるのって、変な気分ね」
「ええい、こうなったら七つの特殊能力の四つ目! ジゲンビーム!!」
 アスリオンの両肩、両膝から砲身が伸びていき、ビームが発射される。
「わぁッ!?」
 カナミはビームを見切って、四発ともなんとかかわす。
「やるな! そこからがジゲンビームの本領だ!!」
「本領!」
 ジゲンビームが折れ曲がって、カナミに向かっていく。
「そんなのありッ!?」
 カナミは後ろから飛んでくるビームをカナミは跳んでかわす。
 しかし、ジゲンビームは折れ曲がって飛んでくる。
「や! あ! ほい! わい! ちょ!」
 カナミは跳んでかわす。
 上に、右に、左に、狭い路地裏を器用に跳び回ってかわしていく。
 しかし、所詮狭い路地裏なので跳び回ってかわすのには限界があった。

バァン!

 ビームがカナミの横腹に直撃する。
 大きな拳で思いっきりぶん殴られたような衝撃がカナミを襲う。
「あだッ!?」
 一度直撃すると、足が止まり、残り三発のビームも容赦なく襲いかかってくる。

バァン! バァン! バァン!

「ガハハハハハッ! どうだ、恐れ入ったか!?」
「く、いっつぅ……」
 プラッターの哄笑が傷口に響く。
『なにやってるのよ、カナミ!?』
 急に耳元で、みあの声がする。
「みあちゃん?どうしたの?」
『あんたがアスリオンもどきに苦戦してるっていうからいてもたってもいられなくなったのよ!?』
「も、もどきだとぉッ!?」
 みあの怒声を聞いたプラッターが憤慨する。
『まったく、そんなプラモに苦戦するなんて、どうかしてるんじゃないの!? あたしが紫織に止められてなかったら、いってすぐに片付けてやるのに!』
「う、うん……それはいいから、ベッドで大人しくしててよ。きるよ」
『あ、待ちなさい! メール、出したからアスリオンのことは全部わかるから!』
「そんなの読んでるヒマないわよ!」
『マニィに読んでもらいなさい!』
「というわけで、ボクにおハチが回ってくるわけだよ」
 マニィがぼやく。
「アニメでの活躍はもとより、設定資料も受け取ってるから情報はバッチリだよ」
『というわけだから絶対勝ちなさい! あとプラモも取り戻しておくように!!』
 通話はそこで切れる。
「みあちゃん、きついな……でも、あれだけ声援送ってくれるんだから負けるわけにはいかないわよね……!」
 カナミはステッキを構える。
「どこのどいつか知らねえが、好き勝手言いやがって! お前を叩きのめしたら次はそいつだ!!」
「みあちゃんに手出しさせない!」
「ほざくな! お前なんかこれで終わりだ! ジゲンビーム!!」
 再び両肩、両膝の四門の砲身からビームが発射される。
「プラマイゼロ・イレイザー!」
 カナミが放った魔法弾が、ビームと衝突する。
 それによって、四つのビームは爆発することなく消滅する。
「な、なにぃぃぃッ!?」
 プラッターはその様を見て、呆気にとられる。
 カナミはそれを好機とみて、魔法弾を撃ち放つ。

バァン! バァン! バァン! バァン! バァン! バァン!

 アスリオンの装甲は硬いものの、さっきの神殺砲の直撃で開いたキズに当たって、有効打になった。
「うおおおおおおおお、アスリオンのジゲン合金にキズがあああああああッ!?」
 プラッターの悲鳴とともに、アスリオンの装甲が軋む音が響く。
「もう少し!」
「こうなったら! アスリオン、七つの特殊能力の五つ目! アナザーディメンション!!」
 プラッターが叫んだ途端、アスリオンが光り輝く。

プォォォォォォン!!

 その光とともにアスリオンの形をした真っ黒な影が出現する。
 やがて、影が色づいていき、もう一体のアスリオンになる。
「アスリオンがもう一体!? どういうこと!?」
「ハハハハ、アナザーディメンションは次元の壁を打ち破って、別次元からもう一体のアスリオンを呼び寄せるのだ!!」
「なんて、面倒な特殊能力よ!?」
「ハハハハ、そういうわけで、二体でタコ殴りだ! ディメンションパンチ!!」
 カナミが呆気にとられているうちに、拳打が飛び込んでくる。
「あいた!?」
 一つのうちはなんとか対処できたけど、二つだとさすがにタイミングが読めない。
 二つの微妙にズレたタイミングで、どこに飛んでくるかわからない攻撃に対応しきれない。

ゴツン! ゴツン! ゴツン! ゴツン!

 カナミはいいように殴られていく。
 一発受けるたびに、金属バットで殴られた固い衝撃を受ける。
「く……! どうしたら!?」
 二体になったアスリオンは絶え間なく拳を繰り出してくるせいで、反撃もおぼつかない。
「アナザーディメンションには弱点がある」
 マニィが携帯をもってカナミに言う。
「別次元のアスリオンをこの次元を留めておくには膨大なエネルギーが必要になる。つまり、制限時間があるんだよ」
「制限時間? それは何秒?」
「――三分だよ」
「三分ッ!? あたぁッ!?」
「三分が過ぎると、エネルギー切れを起こして、この次元に留まることが出来ずに、元の次元にかえるんだ」
「それはありがたい情報だけど、三分って長すぎない!?」
「残り二分三十秒だよ」
「そう言われると余計に長く感じるわね」
「アナザーディメンションの弱点くらい俺だって知っている! 三分のエネルギー切れが起こる前にお前を倒す。」
 二体のアスリオンが両肩、両膝の砲身を出して構える。
 合計八門のビームがカナミに向けられることになる。
(八個もビーム撃ち込まれたら、相殺しきれない!)
 それに今の身体の状態――神殺砲の反射、ディメンションビームの直撃、ディメンションパンチの殴打と蓄積したダメージ、でビームの直撃を受けたら、立っていられるかわからない。
「それだったら!」
 カナミは跳び上がって、二体のアスリオンの間に立つ。
「これで同士討ちになるでしょ!」
「それはまっすぐ進むだけのビームの話だろ! 構わず撃ってやる、ジゲンビーム!!」

バァン! バァン! バァン! バァン!

 それぞれ四門のビームが放たれる。

ズゴォォォォォン!!

 カナミは咄嗟にとんでかわしたことで、ビームは二体のアスリオンにそれぞれ命中する。つまり同士討ちになった。
「ぐああああああッ!? なんてことだ!? どうしてジゲンビームが曲がらない!?」
「曲げるにはそれなりの距離が必要になる。短い距離なら曲げることができずに同士討ちを狙えるかもしれない。って、みあのメールに書かれていた」
 カナミはマニィから聞いたその情報にかけた。
 かもしれない、という不確実な方法だったけど、それを試すしか無いほどに、カナミも追い詰められていたということだった。
「ちくしょう、そんなことアニメでなかったのに……!」
「アニメだと空だったり、宇宙空間だったり、異次元空間だったり、広い場所で戦うことしかしていないから、こんな狭い場所で戦うデータは足りていないみたいだったね。みあのメールにはアニメの設定はもとより、設定資料やそれに基づいた考察までことまでことこまかに書かれていたよ」
「みあちゃん、すごくいっぱい調べてたんだね……」
「そのおかげで助かったけど……」
「ぬぐぐぐぐ、そんなことまで考察しているということはよっぽどのマニアだな! 負けるわけにはいかねえッ!! 俺はこのプラモをはじめとした独自に作り上げた俺だけの軍団を作って世界征服をすることが夢なんだぞッ!!」
 怒りで盛り上がったプラッターは、その壮大な夢を叫ぶ。
「世界征服……そんなすごすぎる夢、やめたほうがいいんじゃない?」
 カナミは呆れつつも提案する。
「やめたほうがいい、だと!? そんなこと勝手なこと言うなんて許さねえぞ!!」
「勝手言ってるのはどっちよ!? いい加減、プラモ返しなさいよ!!」
「あん!? このプラモはもう俺のもんだろうが!? こんだけ俺が使いこなしてるんだろうからな!!」
「使いこなしてるとかそういう問題じゃないでしょ!? お店の物なんだからちゃんとお金払って買いなさいよ!!」
「お金だあ!? そんなの知るかあッ!?」
「知っておきなさいよ! アニメ見て何を学んだのよッ!?」
「力とロマンと夢だ!!」
 プラッターがそう堂々と答えるものだから、カナミは頭を抱える。
「やっぱり怪人とはわかりあえない……」
「だったら、さっさと倒すべきだね」
「そうなんだけど……その前にまだあの二体が倒せていない!」
 カナミは二体のアスリオンを見据える。
 ビームで同士討ちになったとはいえ、まだ致命的なダメージには至っていない。
「でも、今がチャンス!」
 とはいえ、同士討ちによるダメージは確実にある。
 今攻めきるしかない。
 カナミは魔法弾を連射する。

バァン! バァン! バァン! バァン! バァン! バァン!

 一旦、体勢を崩した二体のアスリオンは魔法弾を受けて、防御で精一杯になる。
 一体――カナミと最初から戦っていたアスリオンの方は、神殺砲の直撃や魔法弾を受け続けていたダメージで装甲が剥がれていき、特に防御している右腕は外れかけている。
「うおおおおお、なんてことをッ!?」
 プラッターの悲鳴が轟く。
「このままじゃ、押し切られる! こうなったら、アスリオン、七つの特殊能力の六つ目! ジゲンリペア!!」
 二体のアスリオンが揃って、光り輝く。
「神殺砲!!」
 カナミはステッキを砲台へ変化させる。
 何かをする前に一気に押し切る。
 そう判断したカナミの魔力の充填は早かった。
「ボーナスキャノン!!」

バァァァァァァァン!!

 砲弾を二体まとめて飲み込む。
「ぐああああああ、なんてことをしやがる!? せっかくジゲンリペアでやられたダメージから元通り完全回復しようとしてたのに!?」
 プラッターは吠える。
 爆煙からボロボロのアスリオンが現れる。
 神殺砲が直撃する前の光が消えていた。
「そうだったのね、今完全回復されたら負けてたところだった」
「ぐぬぬぬぬ、ジゲンリペアが使えなくなった今このダメージと不利を覆せねえ! こうなったら、七つの特殊能力の七つ目! 最終手段だ!!」
「最終手段!?」
「カナミ、まずいよ」
「まずいって?」
「最終手段は自爆だよ。それもこの辺り一帯を吹き飛ばす大爆発を引き起こす、らしい」
「ええッ!? そんな威力じゃ、プラマイゼロでも相殺できないわよ!? どうするの!?」
「どうするもこうするも爆発させるわけにはいかないよ」
「そりゃそうだけど!」
「七つ目の特殊能力――自爆は自身に蓄えられた膨大なエネルギーを爆発力に変換する。それには時間がかかるんだ」
「時間がかかるって?」
「一分」
「みじかッ!? せめて一時間は欲しいわよ!?」
「そんなこといっても仕方ないよ、そう言っているうちに、五十秒」
「あああああ、仕方ないわね! こうなったら、リュミィ!!」
『はーい』
 リュミィが呼びかけに応じて、カナミの元へ飛び込んでいく。
 リュミィは光になって、カナミの羽へと変化する。
「フェアリーフェザー!」
 カナミは自分の体の一部となった妖精の羽を羽ばたかせて、アスリオンへ突撃する。
「やあああああああッ!!」
 カナミはアスリオンを抱えて飛び上がる。
「おおおッ!?」
 プラッターの驚く声が聞こえてくる。けど、そんなことは気にしていられない。
 意外にもアスリオンの躯体は軽々と持ち上がり、ものの数十秒でビルよりも高く飛び上がることができた。
「あとは――神殺砲!!」
 カナミはアスリオンを羽ばたきの勢いで押し出して、ステッキを砲身に変える。
「大気圏まで吹っ飛べ! ボーナスキャノン!!」
 カナミは押し出したことでさらに跳び上がったアスリオンへ向けて砲弾を撃ち放つ。

バァァァァァァァン!!

 砲弾を受けたアスリオンはカナミの言葉通り、大気圏まで跳び上がってから、砲弾よりも遥かに大きな大爆発を引き起こす。
「はああああああ、危なかった……」
 今のが7つ目の特殊能力による爆発だと悟り、カナミは空中で大きく安堵の息をつく。

ポン!

 上から何か落ちてくる。
 カナミはそれを両の手の平で受け止める。
 それはボロボロになったアスリオンのプラモだった。
 自爆したことでダークマターの魔法が解けて、こうしてただのプラモに戻ったというわけだ。
 それを見ているうちに徐々にプラッターへ怒りがこみ上げてくる。
「こんな危ないものをよくも作ってくれたわね!」
 カナミは地上へと舞い戻る。
 プラッターはさっきの路地裏から離れていた。
 アスリオンが大気圏で爆発したことで、敗北を悟ったのだろう。
 しかし、カナミが逃がすわけが無かった。
 プラッターが向かう先に降りる。
「ぐぬぬぬッ!?」
「逃すわけないでしょ、あんたが怪人だったら必ず退治してやるわよ」
「ちくしょう! お前さえいなければ! あのアスリオンを筆頭にしたプラモ軍団で世界征服できたというのに!!」
 プラッターは負け惜しみを言う。
「それは無理ね」
 カナミは断言する。
「何ッ!?」
「私がいなくてもあんたを絶対に許さない人がいるから阻止されるわよ」
 それは、みあかもしれないし、社長かもしれない。
 と、カナミは心中で呟く。
「神殺砲! ボーナスキャノン!!」
 カナミは容赦なく神殺砲の砲弾をプラッターへ撃ち込む。
「ぬおおおおおおおおおおッ!!?」

バァァァァァァァン!!

 プラッターは砲弾に飲み込まれて、断末魔とともに爆発する。
「ダークマターの魔法は手強かったけど、本人はそれほどじゃなかったわね」
「一発で容赦なく倒しておいて、そのコメントは酷いね」
 マニィが言う。
「さんざん苦しめられたから仕方ないでしょ。ダークマターで本物アニメと同じ設定で襲いかかってくるなんてとんでもなさすぎるわよ。……あ」
 カナミは手に持ったアスリオンに目をやって、絶句する。
 このプラモ、かなりボロボロになっていた。
「ね、ねえ、マニィ? このプラモ治すことってできない?」
 カナミはダメ元で訊いてみる。
「できない」
 ダメだった。



「ふーん……」
 みあは腕組みして鼻息一つ鳴らす。
「事情は全部そこのマスコットから訊いてるから細かいことは訊かないけど……――なんで、これがこんなにボロボロになってるわけ?」
 これというのはテーブルに置かれたボロボロのアスリオンのプラモのことだった。
「それはこいつが自爆して……」
「自爆する前にあんた、神殺砲撃ち込んだじゃない?」
 そんなことまで説明していたの、と、かなみは少し恨めしげにマニィに念を送る。
「でも、でも、そうしないとこいつ自爆して街一帯が吹っ飛んでたから!」
「まあ、たしかにそうね。もしアニメの設定通りだったら、街一帯吹っ飛ばす爆発力だったかもしれないから、とっさの判断としてはまあまあだったわね」
「でしょでしょ!」
 かなみはみあに迫る。
「近いって!」
 みあは退く。
「それで、そのボロボロのアスリオンのプラモを買ったの?」
「あ、いえ……ボロボロになったプラモを持って店に戻って、カウンターにいた店長さんに謝ったら、『取り返そうとしてくれてありがとう』って逆にお礼を言われて、もらったの」
「はあ、親切な店長だったのね。今度から贔屓にしましょう」
 みあはため息一つついてぼやく。
「それで、その、みあちゃん……許してくれる?」
「許すも何も……あんたってそういうトラブルによく巻き込まれるもんだから、しょうがないかって気分になってきたわ」
「巻き込まれるもんって……でも、許してくれてありがとう」
「それに――」
 みあはボロボロのアスリオンのプラモをじっと観察する。
「本当に戦った跡みたいなボロボロ具合も悪くないわね。こういうのって作ろうと思っても作り物くさくなるから中々難しいし」
「ボロボロなのがいいの?」
「当たり前でしょ。そうした方が戦い続けた歴戦の戦士って感じでかっこいいのよ。そういうのも人気があるからわざわざボロボロバージョンのプラモも出てるくらいなのよ」
「へ、へえ……」
「ま、これはこれで貴重だからいいわ」
「みあちゃんがいいのならよかった……」
 かなみはホッと一安心する。
「それにしても。そのプラモを盗んで戦わせた怪人ってとんでもないわね」
「そうね、とんでもない奴だったわ」
「話に聞く限り、アニメの方も詳しかったみたいだし、まあ、詳しくなかったら昔のアニメのプラモなんて手に入れようとしないか」
「その怪人もみあちゃんと同じくらいアニメに詳しかったんだね」
 かなみにそう言われて、みあは顔をしかめる。
「そんなわけないでしょ! そいつはアニメ観てるだけだったから、アニメで描かれてることまでしかわかってなかったって話じゃない!」
「うん、そうだね」
 マニィが言う。
「君が送ってくれたメールの中にあった設定資料集に書かれていたことまでは知らなかった様子だったよ」
「あたしは設定資料集まで目を通してた! 格が違うのよ!」
「そ、そうね……」
 かなみはごまかし笑いで答える。
「第一グッズを盗む奴と同類扱いされて欲しくないわね!」
「あ、ごめん……」
「わかればいいのよ!」
 みあはフンと鼻息を鳴らす。
「あ、それで、その怪人のことなんだけど……」
 一区切りついたところでマニィが話題を切り出してくる。
「みあが言うようにアニメに詳しいみたいだったし、プラモ軍団を作って世界征服するって豪語してたみたいだから今回の件が初犯じゃない可能性があると思って、鯖戸に調べてもらったんだ」
「え、それって他にもプラモを盗んでたってこと?」
「そうなるね」
「はあ……そういう怪人なわけね……!」
 みあの怒りの火が徐々につきはじめてきた。
「……というわけで、彼のコレクションがダークマターの魔法で一人でに動き出さないとも限らないから調査してきてほしいって」
「調査してきほしいって、それって……」
「そう、社命だよ」
「ボーナスは?」
「十万くらいかな」
「なんでそんな少ないの? 窃盗犯じゃないの?」
「窃盗犯だからだよ」
「でも仕事だって言うんなら仕方ないわね」
 またアスリオンみたいな厄介なプラモが出てきませんようにと思いながら、かなみは了承した。
「そういうことなら、かなみにだけ任せておけないわね」
「任せておけないって、みあちゃん、まさか……?」
「当然、あたしもついていくわ!」
 みあは元気よくあげてくる。
「みあさん、まだ熱が引いたばかりですよ」
 紫織は心配そうに言う。
「もう完全に治ったわよ! プラモのアジトっていうんならあたしの出番よ!」
「そうなんですか?」
 紫織はかなみに訊く。
「そうみたい……」
 かなみは苦笑いで答える。
「ハァハァ、お嬢が言い出したら聞かないからなあ、というわけで次回に続くぞ」
 イシィがそういったことで、かなみは内心これ続くの!? と驚いた。
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