君がすべてを教えてくれた。

春 ー出会いー

初めまして

この春、高校二年生となる「四宮瑠奈しのみやるな」は、この日を憂鬱に感じていた。新学期、新しいクラス、一つ下の後輩ができること、全てにおいてめんどくさく感じながらも、一年経って少しボロつきだした靴を履き、家を出た。
瑠奈はいつもの道を歩きながら、珍しく空を見上げ考えていた。高校二年生ともなれば悩みも付きものになるのだろう。瑠奈は、このまま引き返したい気持ちでいっぱいのまま、足を止めることなく進み続けていると音が聞こえた。
車の音、短くなるクラクションの音、音を認識した時には既に遅かった。足が止まらない。瑠奈は自分でも分からないうちに道に突っ込んでいた。


？？：おい危ないっ！！！


また聞こえた、知らない男の人の声。制服の襟を思いっきりつかまれて、首が一瞬締め付けられ、後ろへと引っ張られた。
あれ…今何が起こった？瑠奈はそう思いながらも、さっきまで見上げていた空の距離が遠くなって、鼓動が早くなっていた。


？？：あっ…！ごめん大丈夫！？

瑠奈：…あ、はい……すいません今凄いぼーっとして……というかすいません！助けてくださってありがとうございます！

？？：いや、びびったよ！？目の前で人が車に突っ込んでいくし！

瑠奈：あぁ……上ばっか見てて前意識してなくて（笑）

？？：上？……あ、綺麗だもんね

瑠奈：え？

？？：ほら、桜


道沿いにあった木は桜の木で、それは満開とまではなかったけど、綺麗に咲き始めていた。


？？：じゃあ俺はもう行こうかな…というか一緒に行く？

瑠奈：いえ、大丈夫ですよ（笑）一人で行けます

？？：でも、行く場所一緒だと思うんだよね。三野宮さんのみや高校

瑠奈：え？なんで？

新藤：制服、それ三野宮高校のでしょ？俺、今日からそこで働く新藤しんどうです。よろしくね


新任の先生の自己紹介を全校集会以外で聞くのは初めてで、しかも助けてくれたという展開に、瑠奈は一人ラブコメ要素を感じていた。そこからは、自然と先生と一緒に登校することとなり、瑠奈の新学期がスタートした。