君がすべてを教えてくれた。

美桜

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春 ー出会いー

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瑠奈は今、心がほんわかしている。ついさっきまで交通事故に遭いかけたというのに。助かったという安心感からなのか、初めて会ったこの先生が、何だか初めまして感がないからなのか、分からないまま気づけば学校に着いていた。
玄関先には人だかりができていて、みんなクラス分けが記載された掲示板を見ていた。


新藤:ほら、君も見てきな。

瑠奈:そーですね。憂鬱ですけど(笑)

新藤:後ろ向きすぎでしょ(笑)


一番後ろで掲示板を見に行く気もなく新藤先生と瑠奈が話をしている時、前からズンズンと足音立てながらこちらへ向かってきた。それは見ずとも音で分かる。瑠奈の唯一の友達、古本杏美ふるもとあみだ。


杏美:遅い!

瑠奈:はい、すいません。

杏美:今日来ないかと思ったよ!?……ん、誰?

瑠奈:えーーっと、新任の先生…たぶん

新藤:多分じゃなくて、新任の新藤です。友達いるならそんなにネガティブしてないで早く見てきな

杏美:へーーまぁよく分かんないけどよろしくお願いします!よし本題ね!瑠奈さん、やりましたよー!今年も一緒のクラスです!

瑠奈:えーーまじで!?離れてる気しかしなかった……よかったーーー


一安心したところで、隣を見ると、もう新藤先生はいなくなっていた。また後で会うだろうし、その時にちゃんとお礼を言おうと瑠奈は思い、杏美と教室へ向かった。教室では早速席が決められていて、担任の先生の紹介から今後の学校生活について簡単に話が終わると、すぐに体育館へと向かった。いろんな先生の話を聞くのも憂鬱の1つではあるものの、これが終われば下校できると思えば、皆気は楽であった。しかし、一時間以上に及ぶこの全校集会は、新入生はともかく、何度も経験している皆からすれば退屈極まりないものであった。


杏美:あと何分?

瑠奈:今の校長先生の話が終わって新任の先生の紹介で会は終了ー。校長先生も長いけど十何人の先生の自己紹介でもっと時間取るだろうね

杏美:えーーもう無理、限界。抜けたーい


そんな会話をしていると、丁度校長先生の話は終わり、次々と壇上に先生たちが上がっていった。その中には今朝瑠奈にとって大変お世話になった新藤先生もいた。その時、少しだけ皆の…というか女子列の空気が変わった。


やばくない?……一人レベル違いすぎ!……断トツ一番でしょ……今朝掲示板の所にいた人じゃない??


これらの声が嫌でも瑠奈の耳に入ってきて、その対象となっているのが、新藤先生の挨拶の時に確信へと変わった。


新藤:初めまして、新藤なぎと言います。皆さんとは社会の授業で関わると思います。部活動でも関わっていきたいと思いますので、よろしくお願いします。


ほぼ下を向いていた生徒が顔を上げ、目を輝かせていた。みんな何かの主人公のようにこの出会いを恋模様へと変えていた。瑠奈は思った。確かに思い返せば、顔は整っているほうだし、爽やかさもある。みんなが好きそうなタイプだった。
そして会が終わった後は、新藤先生の話で盛り上がっており、男子は少し面白くなさそうな顔で教室に戻っていった。


杏美:何だか人気者になりそう…というか既に人気者か(笑)

瑠奈:私たちが関わること少なそうだけどねー

杏美:えーーー!瑠奈も気になる側だったの!?何だか残念そうな顔しちゃってーー(笑)

瑠奈:違うよ(笑)お礼を言いたいけど、言うタイミングなさそうだなって

杏美:何かしてもらったの?


そんな話をしていると、目の前に一枚の紙で覆われ、瑠奈は足を止められた。驚く間に振り替えると、瑠奈のよく知る先輩が透かした顔で少し怒っていた。


杏美:あ、お疲れ様です!ゆう先輩!

瑠奈:いきなり何ですか?

悠:何じゃないだろ、新入生の勧誘の件でお前に任せてただろ?部員からは俺で、マネージャーからは瑠奈でさ

瑠奈:あーーそうえば会が終わったら話すんだった。

悠:だったじゃねーよ。サッカー部の存続掛かってんだ、クラス会終わったら俺の教室来いよ


神田かんだ悠、サッカー部の瑠奈たちの先輩であり、部員の中でもエース的立場で女子からも人気がある。瑠奈と杏美はサッカー部のマネージャーであり、頼りになる先輩である。しかし、実力はあっても少し透かした先輩のことを瑠奈は苦手意識を持っていた。それもあって、瑠奈にとってまた憂鬱な時間が幕を開ける。
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