君がすべてを教えてくれた。

美桜

文字の大きさ
8 / 23
春 ー出会いー

勧誘

しおりを挟む
この日は部活動紹介であり、これまで悠と瑠奈が考えたことがついに発揮される日であった。
そのため瑠奈は、午前中も午後の授業もいつも話を聞いていないが、特に聞く耳を持っていなかった。
そして放課後、体育館に全校生徒が集まり、新入生は待ちに待ったようにワクワクした顔でいた。


杏美:うわぁ…こんなに大勢の前で勧誘挨拶するの??緊張しちゃうじゃん

瑠奈:私たちはマネージャーのことについて話すだけだけど…先輩たちはボール使った披露があるからね…

悠:まぁ任せとけって!トリは俺が飾って、新入生も驚いてカッコいいー!ってオチよ

瑠奈:ハードル上げすぎですよ…(笑)


そんな話を裏でしている中、次々と運動部の部活紹介が始まり、毎年バスケ部は盛大な盛り上がりを見せ、ついにサッカー部の番が来た。瑠奈たちマネージャーは、簡単にマイクでサッカー部について話し、あとは悠たちに託すという流れで、見事に先輩たち、というよりかは、やはり悠のプレーは一際目立ち、会場を湧かせていた。しかし、最も会場を盛り上げたのはその後だった。


亜美:ありがとうございました!最後に......あ、顧問の先生を紹介して終わりたいと思います。

瑠奈:っ........!(そんなのあったっけ.....?)


瑠奈は亜美の言葉に疑問を持ったが、大勢の人を目の前にして、中断させることができなかった。亜美の言葉通り、瑠奈も一年生の時からお世話になっている顧問の先生が前に出て一言言い、そして副顧問でもある新藤がマイクを取った。


新藤:えーーーっと、今年からサッカー部の副顧問として関わっていきます、新藤です。高校の時にサッカーをして以来ですが、精一杯サポートしていきます。新入生の皆さん、どうぞよろしくお願いします。


まさかの新藤がサッカー部の副顧問をするということに、再び会場はざわつき、あっという間に悠たちのプレーを持っていく形となってしまった。しかし、今年の部活動紹介はサッカー部の話題で持ち切りとなったおかげで、その日の見学者は歴代一位のレベルとなった。その後の部活も忙しくなりながらも、瑠奈は亜美に部活動紹介での話を聞き出した。


瑠奈:亜美、先生の紹介とか聞いてなかったんだけど....

亜美:あーー!あれね!実は直前に先輩たちに頼まれたんだよねー新藤先生が副顧問だって話せば大盛り上がりだろうからって

瑠奈:それ絶対マネージャー目当てじゃん....どうすんのよ大量に希望出されたら.....

亜美:んーーでも新藤先生って男子からも人気あるし、大丈夫じゃない?(笑)

瑠奈:いやいや、それでもマネージャーに10人とか20人、あるいはそれ以上来られても制限かけて止めさせるからね?


ため息を着く瑠奈に、亜美も''確かに''とやっと理解したようで、今後の部活に戸惑いを隠しきれずにいた。しかし思いのほか、次の日も、その次の日もマネージャー希望はあがらなかった。一方心配をよそに、部員の方は着々と集まっており、部活動の申請期限が締切となった。


瑠奈:よかったーー私たちの学年みたいに数人とかじゃなくて

亜美:マネージャーも取らなかったし、というか、希望ゼロだったらしいし。

瑠奈:ホント不思議。新藤先生の紹介があったからてっきり女子が大勢押しかけると思ったのに

亜美:先輩たちの作戦は不戦に終わったかー(笑)まぁ、今年も私たちで頑張ろうね!


そんな話を部活中に二人でしていると、様子を見に来た新藤が現れた。


新藤:二人ともお疲れ様ー!あ、部員結構入ってよかったね

瑠奈:はい、お陰様で

亜美:先輩たちはマネージャーの方に期待してたみたいですけどねーまさか一人も入らないとは(笑)

新藤:いや?今年はサッカー部のマネージャーが特に希望が多くて他の部活が困ってたみたいだけど

瑠奈:え、でもそんな話何にも......

新藤:まぁ........その希望を全部神田が切ってたからなー

亜美:え、悠先輩が?!

新藤:あまりにも希望が多くて、ホントはマネージャーの二人に決めてもらうんだと思ってたんだが、俺がとりあえずマネージャーの仕事について説明するって神田が言い出したんだよ。そしたら、後からやっぱり辞めますってみんな言い出してな(笑)


その信じられない言葉に瑠奈と亜美は益々気になり、新藤に詳しく聞くこととなった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

追放された悪役令嬢はシングルマザー

ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。 断罪回避に奮闘するも失敗。 国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。 この子は私の子よ!守ってみせるわ。 1人、子を育てる決心をする。 そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。 さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥ ーーーー 完結確約 9話完結です。 短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

皇太子夫妻の歪んだ結婚 

夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。 その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。 本編完結してます。 番外編を更新中です。

処理中です...