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試練
試合当日
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遂に、この日がやってきた。悠を始め、皆が一丸となって頑張ってきたことが今日発揮される。そんな大事な日に、瑠奈は心の内に試合とは別に考えていることがあった。悠への返事だ。あれからふと考えてしまい、答えが出ずじまいだった。
亜美:あ、瑠奈ー!こっちー!
会場までのバス乗り場に亜美たちはもう着いていて、そこには先輩たちもいた。
瑠奈:ごめん!もうちょっと早く来るはずだったんだけど.........
亜美:.........ま、いろいろ考えてもしょうがないって
瑠奈は驚いた。まるで心の名を見透かされているような気がした。亜美は分かっているよと言わんばかりの顔をしていて、それだけでも安心した。
瑠奈:...........ありがと。
悠:じゃー皆揃ったし行くか
その時、瑠奈は一瞬悠と目が合ったような気がして、どんな顔をしていいのか分からなかった。悠も何も言うことなくバスに乗り、会場に着くまでに、選手はイメトレや緊張しすぎないようにリラックスを心掛けていた。そして、会場に着くと他校の選手がずらりと並んでおり、緊張感が増した。
新藤:おーーい、顔引きつってんぞ!気持ちで負けてたら初戦敗退だな!
瑠奈:...........新藤先生........
悠:.............俺らの目標は関東大会だ。こんな所で終わってたまるか、だよな!
その言葉に他の選手たちも刺激を貰い、さっきまでの靄がかかったような雰囲気がなくなった。
瑠奈:さすが新藤先生ですね。
新藤:ん?何が?
瑠奈:あんなに暗かったのに、あの一言でほら、皆気合いが入りました
新藤:俺たちも試合前は酷かったからな(笑)でも、当時はマネージャーがガツンと背中押してくれたんだよ。それ思い出してさ。
その表情、瑠奈にとって見るのは二回目だった。練習中に当時のマネージャーの話をした時、新藤が浮かべていた表情を今もしていた。瑠奈はまた、胸が痛くなった。
亜美:瑠奈?
瑠奈:...........え、あ.......ん?
亜美:悠先輩たちもう行っちゃうから応援しに行こうと思って
瑠奈:そっか........もうそんな時間か
気づけば新藤はもう居なくなっており、瑠奈たちは悠たちの元へと駆け寄った。
瑠奈:もう試合始まるんですね、すいません時間確認してなくて
悠:試合開始までには時間あるんだけどな、準備があるからもう行かないと。..............じゃあ
瑠奈:悠先輩!.............一回戦敗退なんて冗談は勘弁してくださいね。
悠:............明日。その日を迎えるまではお前とは顔合わせらんねぇわ。
どんな言葉をかけていいか分からずにいた瑠奈が伝えられた精一杯の言葉に、悠も全力で返した。そして、試合が始まった。一回戦の相手は去年県大会で三位の相手だった。初戦から中々の相手であっても悠たちは動じることなくプレイをした。そして先輩たちのシュートで初戦突破を成し遂げた。
亜美:やったー!初戦突破!
瑠奈:うん!よかったー!
新藤:よくやった!いいプレイだったぞ!
その声が聞こえたのか、悠たちはまずは一勝と気合を入れ、次の試合相手が決まるまで昼食を取りながら待っていた。
''結構長いよな.............相手誰だろうな''
''二回戦も勝てたら準々決勝、はぁ、道のりが長ぇ''
悠:県大会は三日間だ、体力勝負もかかってるから、相手が誰だろうと今のうちに飯食っとけよ
''とか言って、口に頬張ってばっかで喉通ってねぇじゃねぇか!(笑)''
そのやり取りに、後輩たちの緊張もほぐれ、場が和んだように感じた。その光景に、たった今対戦相手が決まった試合を見に行っていた瑠奈たちが、控え室の前で見守るようにしていた。
亜美:何だ、バキバキに緊張してると思ったけど、何とかなってるみたいだね
瑠奈:............先輩たちってあんなに頼りになってたんだね
亜美:ちょっと、それは失礼すぎ(笑)今まで何見てきたのよー
瑠奈:だって、いっつもふざけてるし、人が大変な時もからかってばっかだし(笑)
亜美:まぁ........ねぇ......(笑)でも、やっぱりよく見てるんだよ。ま!これなら次の対戦相手伝えても大丈夫そうだね
瑠奈:.............たぶん.......ね。
その対戦相手はすぐに決着が着くような強豪ではなかったものの、今年の期待値が最も高いと言われている学校だった。なかなかの試合で延長戦が続いたため、午後からもまだ時間に余裕があった。その事を亜美は気合を入れながら説明すると、先程までの威勢が段々と無くなっているのに気づいた時にはもう遅かった。
亜美:あ、瑠奈ー!こっちー!
会場までのバス乗り場に亜美たちはもう着いていて、そこには先輩たちもいた。
瑠奈:ごめん!もうちょっと早く来るはずだったんだけど.........
亜美:.........ま、いろいろ考えてもしょうがないって
瑠奈は驚いた。まるで心の名を見透かされているような気がした。亜美は分かっているよと言わんばかりの顔をしていて、それだけでも安心した。
瑠奈:...........ありがと。
悠:じゃー皆揃ったし行くか
その時、瑠奈は一瞬悠と目が合ったような気がして、どんな顔をしていいのか分からなかった。悠も何も言うことなくバスに乗り、会場に着くまでに、選手はイメトレや緊張しすぎないようにリラックスを心掛けていた。そして、会場に着くと他校の選手がずらりと並んでおり、緊張感が増した。
新藤:おーーい、顔引きつってんぞ!気持ちで負けてたら初戦敗退だな!
瑠奈:...........新藤先生........
悠:.............俺らの目標は関東大会だ。こんな所で終わってたまるか、だよな!
その言葉に他の選手たちも刺激を貰い、さっきまでの靄がかかったような雰囲気がなくなった。
瑠奈:さすが新藤先生ですね。
新藤:ん?何が?
瑠奈:あんなに暗かったのに、あの一言でほら、皆気合いが入りました
新藤:俺たちも試合前は酷かったからな(笑)でも、当時はマネージャーがガツンと背中押してくれたんだよ。それ思い出してさ。
その表情、瑠奈にとって見るのは二回目だった。練習中に当時のマネージャーの話をした時、新藤が浮かべていた表情を今もしていた。瑠奈はまた、胸が痛くなった。
亜美:瑠奈?
瑠奈:...........え、あ.......ん?
亜美:悠先輩たちもう行っちゃうから応援しに行こうと思って
瑠奈:そっか........もうそんな時間か
気づけば新藤はもう居なくなっており、瑠奈たちは悠たちの元へと駆け寄った。
瑠奈:もう試合始まるんですね、すいません時間確認してなくて
悠:試合開始までには時間あるんだけどな、準備があるからもう行かないと。..............じゃあ
瑠奈:悠先輩!.............一回戦敗退なんて冗談は勘弁してくださいね。
悠:............明日。その日を迎えるまではお前とは顔合わせらんねぇわ。
どんな言葉をかけていいか分からずにいた瑠奈が伝えられた精一杯の言葉に、悠も全力で返した。そして、試合が始まった。一回戦の相手は去年県大会で三位の相手だった。初戦から中々の相手であっても悠たちは動じることなくプレイをした。そして先輩たちのシュートで初戦突破を成し遂げた。
亜美:やったー!初戦突破!
瑠奈:うん!よかったー!
新藤:よくやった!いいプレイだったぞ!
その声が聞こえたのか、悠たちはまずは一勝と気合を入れ、次の試合相手が決まるまで昼食を取りながら待っていた。
''結構長いよな.............相手誰だろうな''
''二回戦も勝てたら準々決勝、はぁ、道のりが長ぇ''
悠:県大会は三日間だ、体力勝負もかかってるから、相手が誰だろうと今のうちに飯食っとけよ
''とか言って、口に頬張ってばっかで喉通ってねぇじゃねぇか!(笑)''
そのやり取りに、後輩たちの緊張もほぐれ、場が和んだように感じた。その光景に、たった今対戦相手が決まった試合を見に行っていた瑠奈たちが、控え室の前で見守るようにしていた。
亜美:何だ、バキバキに緊張してると思ったけど、何とかなってるみたいだね
瑠奈:............先輩たちってあんなに頼りになってたんだね
亜美:ちょっと、それは失礼すぎ(笑)今まで何見てきたのよー
瑠奈:だって、いっつもふざけてるし、人が大変な時もからかってばっかだし(笑)
亜美:まぁ........ねぇ......(笑)でも、やっぱりよく見てるんだよ。ま!これなら次の対戦相手伝えても大丈夫そうだね
瑠奈:.............たぶん.......ね。
その対戦相手はすぐに決着が着くような強豪ではなかったものの、今年の期待値が最も高いと言われている学校だった。なかなかの試合で延長戦が続いたため、午後からもまだ時間に余裕があった。その事を亜美は気合を入れながら説明すると、先程までの威勢が段々と無くなっているのに気づいた時にはもう遅かった。
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