目立たず静かに大人しく?

ふゆの桜

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1年

回復系の役割3

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 後日大図書館でダンジョンについて詳しく調べてみた。

 昔は百年毎に魔素溜まりが爆発的に増える『魔素氾濫』と言うのが発生してたけど、ダンジョンが発生するに従って魔素溜まりの発生が減っていってたみたいなんだ。書物によると他国でも同様なんだって。昔からダンジョンがあった国は一度も魔素溜まりが発見されたことが無いって書いてたよ。つまり魔素溜まりとダンジョンって、何らかの関係があるのかもしれないね。
 ダンジョンの核は大きな魔石みたいなもので、大きさはダンジョンの規模に準ずるみたい。色は赤とこげ茶の中間くらいだって書いてあったから、何となく想像できるかな。これに『浄化』をかけると徐々に薄まり、最後は灰色になるらしいよ。ここまできたらあとは砕いて終了。以降はダンジョンとしての機能は無くなり、魔物が生まれることは無いそうだ。

 ダンジョンの核がどうやって出来るのか、その核がどうやってダンジョンを作っているのか、どのような仕組みで魔物を発生させているのか、いろいろな疑問はあるけれど、現時点では何ひとつ解明できてるものは無いそうだ。そもそも核って魔石みたいなものってことは無機物だよね? なのに生きて知能を持ってダンジョンを作ってるような気がするのは何故なんだろう? 何年も何年もいろんな人が調べて分からないことだから、最近知った僕に答えが出せるワケは無いんだけど気になるよね。
 それにしても核は最奥の地面か壁か天井に埋まってるってのはすごいよ。核のありかを探る手立ては無いから、地道に、もしくは勘に従って掘るしか無いそうなんだ。なんかとっても空しいけれど、核を見つけた人には国から莫大な報奨金が出るそうだよ。回復系がいない冒険者チームはその核を、いる場合は『浄化』して砕いた核の欠片を証拠として提出すれば良いんだって。報奨金とかには興味は無いけど、その核だけは見て見たいなぁ。


「……で? その話をオレにしたってことは、将来は冒険者になりたいってことか?」

 調べものをしたその夜、僕はマシューにダンジョンについていろいろ話をしたんだ。マシューはダンジョンってもの自体は知ってたけれど、僕が話す詳しいことは初めて聞いたみたいだ。

「そう言うワケじゃないよ。あくまで僕の希望は、畑をやりながらマシューとのんびり暮らすってことだから」
「いやいやいや、セインの性格だからなぁ……。のんびり暮らすと言いながら、結局ガマンできずに突っ走っちゃうんじゃないかぁ?」
「え~、僕そんなことしないよ」
「どの口が言ってるんだか」
「うー、うーううー。……マシュー、痛いよぉ」

 口を尖らせたら思いっきり掴まれてしまったし。何でかなぁ、僕ってあんまりマシューに信用無いのかも。ちょくちょく失敗してるからなのかな、やっぱり。

「イビラ地下遺跡って、イビラ遺跡のところだろう?」
「うん! 地下が発見されたんだって。正確には地下がダンジョン化して魔物が溢れ出て分かったみたい。地下の途中までは遺跡で、それ以降はダンジョンが成長した場所って書いてあったよ」
「あそこはちょくちょく魔素溜まりが発生してたからな。魔素溜まりが多発してた場所がダンジョン化したってことなのかもな」
「そうだね。そう考えたら魔物の森にダンジョンがあるってのも分かるような気がする」
「魔物の森かぁ……。オレたちが魔物の森に入れるのは4年生になってからだっけ?」

 前世の僕たちは、魔素氾濫の年に魔物の森に入ったんだよ。でもあの頃は徘徊する魔物がたくさんいたから最奥までは行ってないんだ。だから森の奥に遺跡があるってのも知らなかったんだ。ダンジョンが出来たせいなのか、魔物の森を徘徊してる魔物の数は昔に比べるとかなり少ないらしいんだ。だから中級の冒険者ならその遺跡まで普通に行けるらしいよ。
 騎士や冒険者を目指す4年生以上の子は、魔物の森のダンジョンに行けるんだって。もちろん先生の許可が下りた子だけで、しかも行く前に誓約書を書かされるらしい。当たり前だけど生徒だけで入るのは絶対ダメで、冒険者の引率付きだ。だからこの街の冒険者は引率を専門にやってるチームもいるらしいよ。

「そのうちにこっそり入ってみるか?」
「こっそり?」
「こっそり魔物の森へ侵入。ダンジョンまでは無理だが、森の途中までくらいなら行けるんじゃないか?」
「入口は一か所だよ。ムリだと思うな」
「セインの魔法で土壁を越えれるだろう。とは言えまだオレの身体が出来てないからな、やっぱり数年はムリか」

 魔物の森は書類上ではエンダル学園の所有ってことになってるんだ。森への入り口は一か所、そこ以外は魔法で作った大きな土壁で囲ってあるんだよ。加えて一定間隔で魔石を設置して、常にシールドの魔法を起動させてるってウワサだった。入口脇には管理用の小屋があって、出入りはそこでチェックされてるんだって。予定を大幅に過ぎても戻ってこない学生がいた場合、そこから学校へ連絡して捜索隊が組まれるってことだった。冒険者の付き添いがいるからそうなることは滅多にないよ。これまでに三回だけだ。

「それで結局セインは何が言いたかったんだ?」
「ダンジョンのことを知らなかったから、分かったことを話したかったんだよ。それもそうだけど、結局は『前世の頃とはだいぶ変わったんだね』ってのをマシューと分かち合いたいって思ったんだ」
「まあ……、そうだな」
「でしょ?」
「おう。お互い身体は九歳だが頭の中はじじいだからな」
「それは……!」

 図星すぎて、顔を見合わせて苦笑いするしかなかった。
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