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1年
学園祭1
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秋と言えば、学園祭!
エンダル学園では晩秋に学園祭があるんだ。年に一度の大イベントで、実はこれも入学前から密かに楽しみにしていたイベントだ。
この学園祭は生徒主体で開催するのが基本で、文官科の生徒が企画運営、及び、イベントの進行等を担当するんだって。企画に関しては、交渉なんかが結構大変らしいよ。文官科はある意味本当の裏方で、何だかんだ言って一番大変なのだとか。
商科の生徒は模擬店を担当してて、売上は来年の運営費としてプールされるんだって。商科は仕入れからきっちりやって、利益が出なかった場合はペナルティがあるってのを聞いたよ。だからすっごく真剣に取り組むそうだ。学園祭準備段階からの帳簿付けが義務付けられていて、サボると成績に影響するらしい。ちょっと怖いね。
騎士科はほぼ全員が剣術大会に出場するって聞いてる。そこで良い成績を修めると、上級学園へのお声がかかってくるらしいよ。これの意味するところは、騎士としてスカウトされたのと同じってことみたい。上級学園の騎士科は、騎士団へ配属される前の合同訓練と位置付けられてるってのを、先日アルト君が教えてくれたんだ。他にも冒険者へのお誘いや、領主お抱えの憲兵としての話も出てくるとか……。卒業後の就職に関係してくるから、上級生はかなり真剣みたいだよ。騎士科は他には学園祭期間中の見回りも担当するそうだ。ハメをはずす人もいるからね。うん。
魔法科は一部の生徒が催しものをやるんだって。光球や炎球なんかを操ったショーで、ものすごく見ごたえがあるって話だよ。見るのが楽しみなんだ。土魔法を操って制限時間内にオブジェを作るコンテストもあるみたい。残りは後方支援で、他の科の助っ人なんかもやるらしい。ちなみに回復系は剣術大会中は治療要員として徴集されるって話だから、来年以降は僕もそうなるんじゃないかな。
この学園の学園祭は生徒主体で行うお祭りだけど、1年生だけは外部から来るお客さんと同じ扱いなんだ。2年からは開催側にまわるから、今のうちに客として楽しんでおけよってことかな? まあそんなワケで、今年は思いっきり楽しむ予定。
「マシューは何を見たい?」
「剣術大会だな。来年からはオレも強制出場だから見ておかないと」
「下級生は学年別の試合だけになるみたいだね」
「さすがに2年生が6年生とやったら負けるのが普通だからな」
「マシューなら勝てたりして」
「無理! 体格や筋力ってのは重要だぞ。オレの身体がもう少し成長するまでは、勝てる要素なんで全然無い」
「ふうん、そうなんだー」
まあ、実際は僕にも分かってたことだけどね。魔法があれば子供が大人に勝てる可能性が少しはあるけれど、純粋に剣術だけの試合ならほぼ無理だ。重い剣を受け止めようとしても、身体ごと吹っ飛ばされるのが普通だ。
でもそれに魔法が加わったら結果は変わってくると思う。剣で撃ち合いつつ風の刃を出せば、瞬時に反応できる人は少ないと思うもの。前世ではアルさんがジェラルドさんの風の刃を短剣で防いだりしてたけど、あれはアルさんが凄かったんだと思う。ふたりの手合わせは本当に凄かったなぁ。剣術大会でもあんなのが見れたら嬉しいな。
「剣術大会の団体戦は、魔法科の生徒も参加して良いらしいぞ。上級生になったら一緒に出てみるか?」
「えっ、ホント?」
「魔物の森のダンジョンへ入るのに、一部の魔法科の生徒も加わってるからな。何人かでチームを作ってるらしいぜ。団体戦はそのチーム単位でエントリーするのが一般的らしい」
「へぇ~。でも、対人戦と対魔物じゃ戦い方が違うと思うけど」
「遊びみたいなもんだからな、良いんじゃないか」
考えてみればそうだよね。学園祭でやる大会で外部から観客が来るわけだし、出る方も見る方も、結局は楽しんだ者が一番ってことなのかも。
「団体戦はすっごく見たい!」
「だろうな」
「あはは、分かるよね。魔法科の生徒も参加するってことはさ、試合での魔法アリってことでしょ。どんな魔法が出るのかなぁ。楽しみだなぁ」
「ちなみに結界魔法だけは禁止だそうだ。試合にならないからな」
後で調べてみたところ、万が一対戦相手を死なせてしまった場合、試合は失格、その後学園を退学になるんだそうだ。欠損も同様。試合に使う剣は刃引きされてるからその可能性は低いけど、魔法の場合は可能性あるからね。やり方によっては腕や足を吹き飛ばすこともできるから、このルールはどちらかと言うと魔法科の生徒に対してだと思う。学園祭でのイベントの試合だもの、競うのは良いけど傷つけるのはダメってことだ。ちなみに回復魔法があるから、普通のケガや骨折は問題無いってことになってる。
「セインは何か興味持ったイベントはあったか?」
「魔法科のコンテストってのが興味あるかな」
「嗚呼、土魔法で何か作るヤツだろう?」
「お題があって、それを制限時間内に作り上げるんだよ。土魔法の精度も必要だけど、センスも重要ってヤツ。変なのを作り上げて観客に大笑いされる作品もあるんだってさ」
「面白そうだな。それは個人出場なのか?」
「ペアでやるみたい。片方は指示とかがメイン」
多分これの意図してるところは、土魔法を使う人が魔法の精度、指示する方がセンスを担当するんじゃないかな。二人の意思疎通が上手くいかないと難しいね。聞いた話だと、コンテスト会場で喧嘩するペアもいるらしいよ。
「いつかオレたちも出てみるか?」
「うーん、遠慮しとく」
「セインが魔法でオレが指示。上手くいくんじゃないか?」
「だって、マシューのセンスってさぁ……」
「セインがヒドイ」
ふたりして笑ってしまった。ちなみにマシューのセンスは悪くないよ。僕は……多分普通。だから今のは冗談だ。
「商科がやる模擬店は興味無いか?」
「串焼きとかじゃないの?」
「他にもいろいろあるぞ。ジャーン! 模擬店の一覧だ」
「そんなの出てたんだー!」
「学園の門のところで配ってる生徒がいたんだよ。たまたま見かけたんで貰って来た」
見せてもらったらいろんな種類があって驚いた。半数以上は食べ物関係だけど、残りは普通に商品を扱ってるんだ。中には冒険者が以前使ってた剣や盾なんてのを扱ってる店もあったよ。きっとこれ、商科か文官科の誰かが冒険者と交渉したんだろうね。
「魔道具の店もあるね」
「全部生徒が作ったものって書いてあるだろう? そのうちにセインが作ったものも売り場に並ぶかもな」
「あー、そう言えば上級生になったら魔道具の勉強もあったような……」
すっかり忘れてたけど、魔法科は上級生になると、魔法科と魔道具専科に分かれるんだ。もちろん魔法科の生徒が魔道具専科の授業を選択でとっても良いらしいよ。魔道具専科は、魔道具職人を目指す人の為の特別コースで、より専門的な授業を受けれるらしいんだ。
僕が前世の頃は魔道具ってのは一般的じゃなくて、晩年になった頃ようやく一部の貴族階級に流通し始めたんだ。だから魔道具ってほとんど知識が無くて、改めて考えると、今世は本当に便利になったと思うよ。
「魔道具買ってみたいな」
「ふうん」
「僕、魔道具職人を目指そうかな?」
「へっ?」
「うん、良い案かも。新しいことを勉強できるから、将来の目標としては最適かも」
「…………」
学園祭の話から何故かちょっと方向がズレて、安易に決めた将来の話をしていた僕をマシューがジト目で見ていたけれど、良い案に浮かれていた僕は全く気が付かなかった。
今みたいなセリフは、ちょくちょくあることなんだ。僕の悪い癖。思いつきで言っちゃうことが多いから、マシューもいちいち聞いてられないみたいだよ。それに本当にやりたいことはじっくり時間をかけて考えるタイプだから、それを知ってるマシューには分かるんだろうね。
まあ何はともあれ、学園祭はとても楽しみだ。
エンダル学園では晩秋に学園祭があるんだ。年に一度の大イベントで、実はこれも入学前から密かに楽しみにしていたイベントだ。
この学園祭は生徒主体で開催するのが基本で、文官科の生徒が企画運営、及び、イベントの進行等を担当するんだって。企画に関しては、交渉なんかが結構大変らしいよ。文官科はある意味本当の裏方で、何だかんだ言って一番大変なのだとか。
商科の生徒は模擬店を担当してて、売上は来年の運営費としてプールされるんだって。商科は仕入れからきっちりやって、利益が出なかった場合はペナルティがあるってのを聞いたよ。だからすっごく真剣に取り組むそうだ。学園祭準備段階からの帳簿付けが義務付けられていて、サボると成績に影響するらしい。ちょっと怖いね。
騎士科はほぼ全員が剣術大会に出場するって聞いてる。そこで良い成績を修めると、上級学園へのお声がかかってくるらしいよ。これの意味するところは、騎士としてスカウトされたのと同じってことみたい。上級学園の騎士科は、騎士団へ配属される前の合同訓練と位置付けられてるってのを、先日アルト君が教えてくれたんだ。他にも冒険者へのお誘いや、領主お抱えの憲兵としての話も出てくるとか……。卒業後の就職に関係してくるから、上級生はかなり真剣みたいだよ。騎士科は他には学園祭期間中の見回りも担当するそうだ。ハメをはずす人もいるからね。うん。
魔法科は一部の生徒が催しものをやるんだって。光球や炎球なんかを操ったショーで、ものすごく見ごたえがあるって話だよ。見るのが楽しみなんだ。土魔法を操って制限時間内にオブジェを作るコンテストもあるみたい。残りは後方支援で、他の科の助っ人なんかもやるらしい。ちなみに回復系は剣術大会中は治療要員として徴集されるって話だから、来年以降は僕もそうなるんじゃないかな。
この学園の学園祭は生徒主体で行うお祭りだけど、1年生だけは外部から来るお客さんと同じ扱いなんだ。2年からは開催側にまわるから、今のうちに客として楽しんでおけよってことかな? まあそんなワケで、今年は思いっきり楽しむ予定。
「マシューは何を見たい?」
「剣術大会だな。来年からはオレも強制出場だから見ておかないと」
「下級生は学年別の試合だけになるみたいだね」
「さすがに2年生が6年生とやったら負けるのが普通だからな」
「マシューなら勝てたりして」
「無理! 体格や筋力ってのは重要だぞ。オレの身体がもう少し成長するまでは、勝てる要素なんで全然無い」
「ふうん、そうなんだー」
まあ、実際は僕にも分かってたことだけどね。魔法があれば子供が大人に勝てる可能性が少しはあるけれど、純粋に剣術だけの試合ならほぼ無理だ。重い剣を受け止めようとしても、身体ごと吹っ飛ばされるのが普通だ。
でもそれに魔法が加わったら結果は変わってくると思う。剣で撃ち合いつつ風の刃を出せば、瞬時に反応できる人は少ないと思うもの。前世ではアルさんがジェラルドさんの風の刃を短剣で防いだりしてたけど、あれはアルさんが凄かったんだと思う。ふたりの手合わせは本当に凄かったなぁ。剣術大会でもあんなのが見れたら嬉しいな。
「剣術大会の団体戦は、魔法科の生徒も参加して良いらしいぞ。上級生になったら一緒に出てみるか?」
「えっ、ホント?」
「魔物の森のダンジョンへ入るのに、一部の魔法科の生徒も加わってるからな。何人かでチームを作ってるらしいぜ。団体戦はそのチーム単位でエントリーするのが一般的らしい」
「へぇ~。でも、対人戦と対魔物じゃ戦い方が違うと思うけど」
「遊びみたいなもんだからな、良いんじゃないか」
考えてみればそうだよね。学園祭でやる大会で外部から観客が来るわけだし、出る方も見る方も、結局は楽しんだ者が一番ってことなのかも。
「団体戦はすっごく見たい!」
「だろうな」
「あはは、分かるよね。魔法科の生徒も参加するってことはさ、試合での魔法アリってことでしょ。どんな魔法が出るのかなぁ。楽しみだなぁ」
「ちなみに結界魔法だけは禁止だそうだ。試合にならないからな」
後で調べてみたところ、万が一対戦相手を死なせてしまった場合、試合は失格、その後学園を退学になるんだそうだ。欠損も同様。試合に使う剣は刃引きされてるからその可能性は低いけど、魔法の場合は可能性あるからね。やり方によっては腕や足を吹き飛ばすこともできるから、このルールはどちらかと言うと魔法科の生徒に対してだと思う。学園祭でのイベントの試合だもの、競うのは良いけど傷つけるのはダメってことだ。ちなみに回復魔法があるから、普通のケガや骨折は問題無いってことになってる。
「セインは何か興味持ったイベントはあったか?」
「魔法科のコンテストってのが興味あるかな」
「嗚呼、土魔法で何か作るヤツだろう?」
「お題があって、それを制限時間内に作り上げるんだよ。土魔法の精度も必要だけど、センスも重要ってヤツ。変なのを作り上げて観客に大笑いされる作品もあるんだってさ」
「面白そうだな。それは個人出場なのか?」
「ペアでやるみたい。片方は指示とかがメイン」
多分これの意図してるところは、土魔法を使う人が魔法の精度、指示する方がセンスを担当するんじゃないかな。二人の意思疎通が上手くいかないと難しいね。聞いた話だと、コンテスト会場で喧嘩するペアもいるらしいよ。
「いつかオレたちも出てみるか?」
「うーん、遠慮しとく」
「セインが魔法でオレが指示。上手くいくんじゃないか?」
「だって、マシューのセンスってさぁ……」
「セインがヒドイ」
ふたりして笑ってしまった。ちなみにマシューのセンスは悪くないよ。僕は……多分普通。だから今のは冗談だ。
「商科がやる模擬店は興味無いか?」
「串焼きとかじゃないの?」
「他にもいろいろあるぞ。ジャーン! 模擬店の一覧だ」
「そんなの出てたんだー!」
「学園の門のところで配ってる生徒がいたんだよ。たまたま見かけたんで貰って来た」
見せてもらったらいろんな種類があって驚いた。半数以上は食べ物関係だけど、残りは普通に商品を扱ってるんだ。中には冒険者が以前使ってた剣や盾なんてのを扱ってる店もあったよ。きっとこれ、商科か文官科の誰かが冒険者と交渉したんだろうね。
「魔道具の店もあるね」
「全部生徒が作ったものって書いてあるだろう? そのうちにセインが作ったものも売り場に並ぶかもな」
「あー、そう言えば上級生になったら魔道具の勉強もあったような……」
すっかり忘れてたけど、魔法科は上級生になると、魔法科と魔道具専科に分かれるんだ。もちろん魔法科の生徒が魔道具専科の授業を選択でとっても良いらしいよ。魔道具専科は、魔道具職人を目指す人の為の特別コースで、より専門的な授業を受けれるらしいんだ。
僕が前世の頃は魔道具ってのは一般的じゃなくて、晩年になった頃ようやく一部の貴族階級に流通し始めたんだ。だから魔道具ってほとんど知識が無くて、改めて考えると、今世は本当に便利になったと思うよ。
「魔道具買ってみたいな」
「ふうん」
「僕、魔道具職人を目指そうかな?」
「へっ?」
「うん、良い案かも。新しいことを勉強できるから、将来の目標としては最適かも」
「…………」
学園祭の話から何故かちょっと方向がズレて、安易に決めた将来の話をしていた僕をマシューがジト目で見ていたけれど、良い案に浮かれていた僕は全く気が付かなかった。
今みたいなセリフは、ちょくちょくあることなんだ。僕の悪い癖。思いつきで言っちゃうことが多いから、マシューもいちいち聞いてられないみたいだよ。それに本当にやりたいことはじっくり時間をかけて考えるタイプだから、それを知ってるマシューには分かるんだろうね。
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