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1年
魔物の森へ8
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ベリーだベリー、エンダルベリ~♪ まだちょっと満腹気味だったけど、でもベリーなら入る隙間はある。とりあえずはこのままのベリーを堪能しよう。マシューは数粒食べただけでリロイさんと少し離れた場所に行っちゃったよ。仕方ないなぁ、だからマシューの分も僕が食べてあげよう。
僕と一緒に来たミンツさんも数粒食べただけで、あとはニコニコしながら僕が食べる様子を見てただけだった。つまり沢山食べるのは僕だけ。皆僕に遠慮してるのかな? なら僕は遠慮無くいただこうっと。
少々思考がおかしくなってるけど、まあそこは気にしない方が良いよね。
ある程度ベリーを食べて満足した僕は、今度は小鍋にベリーを集め始めた。量としては小鍋にベリー山盛りくらい。加熱するとカサが減るからね。このくらいの量で丁度良いハズだ。
「今度は何をするんだい?」
「デザートを作ります。完成したら皆で食べましょう。楽しみにしててくださいね」
ミンツさんは興味深そうな顔をしつつも、黙って僕のやることを眺めていた。一応周りの気配に注意をしてるようだったけど、この場所はほとんど魔物がこない場所だからね。獣も小動物くらいしかこないような場所だよ。だから僕も安心してデザートが作れるってわけ。
この場は小川の側じゃないので一面草が生えてるんだ。でも火を使うには少々都合が悪いから、少しだけ草を抜いて地面が見えるようにした。抜いた草の中には薬草も混じってたから、もちろんそれは袋の中に入れたよ。そこらへんは抜かりは無い。
さっき同様土魔法で土台を作り、そこに炎球をセットして上に鍋、そしてグツグツいってカサが減った頃に砂糖を入れた。ミンツさんは僕が炎球を出した時点で何か叫んでたけど気にしない気にしない。ミンツさんの声に反応してリロイさんもこっちを見てたけど、マシューに何かを言われて見るのを止めたよ。諦めたとも言えるのかも。
時々スプーンでかき混ぜながらベリーを煮詰め、煮崩れてドロッとした状態になったところで水球の水を少しだけ鍋に加えた。味が濃いから少し水で薄めた方が丁度良いんだ。それから炎球を消し、風魔法で少し冷ました後、水魔法と言うか氷魔法で少しずつ鍋を冷やしそれから凍らせた。最初に風魔法で冷やしたのは鍋の寿命を縮めない為だよ。魔法が使いたかっただけじゃんって指摘されそうだけど、うん、それについては黙秘だよ。
鍋の中のベリーは氷にするつもりは無いから、時々スプーンでかき混ぜながらじっくりじっくり冷やしていった。少し寒くなっちゃったけど美味しいものを食べるためだもの、この際寒さは忘れることにしたんだ。寒さよりも僕の情熱の方が熱いからね、きっと大丈夫。
「完成! マシュー、デザートが出来たよー。休憩しない?」
大きな声で呼んだら、二人とも訓練を止めてこっちへ来た。今マシューとリロイさんが手にしてるのは手ごろな大きさの木の枝だ。あんなので訓練になるのかなぁとは思うものの、楽しそうだったから良いのか。
「何作ったんだ?」
「シャーベット! 身体を動かしたから丁度良いんじゃないの?」
そう答えながら皆の器にシャーベットを盛り分けた。ちょっとだけ僕の分が多いのはご愛敬ってことで。だって僕が食べたくてここに来たんだからね。
「冷たい。これって氷菓子の一種かい?」
「そうですよ。シャリシャリしてて美味しいでしょう? 真夏に食べるともっと美味しく感じるんです」
「どうやって……って、やっぱりこれも魔法か」
「えーっと、ハイ、そうですね」
リロイさんが諦めたような顔をしてたけど、きっと気にしないのが一番だと思うな。
それから少しの間、皆無言でシャーベットを堪能した。ミンツさんは大口で食べた直後額を押さえてて、その間にリロイさんにシャーベットを奪われてた。僕とマシューは行儀良く自分の分を食べたよ。まあさっきも言ったけど、僕の分が一番多いんだけど。
「生で食べたエンダルベリーは最高に美味いと思ってたが、こうやって加工したのはそれ以上に美味いな」
「そうですね。昔はエンダルベリーのジャムを使ったお菓子は、とても人気があったそうですよ」
「らしいな。オレが学園に入学した頃はエンダルベリーが絶滅間近と言われてて、ジャムは高級品過ぎて一度も食べたことが無かったんだ。ジャムとは少し違うが、まさか今こうやって食べれるとはなぁ……」
「エンダルベリーのジャムは、焼いた肉のソースにもなるんです。絶品だそうです」
「食べてみたいねぇ。と言うか、セイン君は何でそんなに物知りなんだ?」
「えー……、毎日大図書館に通ってるから……かな?」
前世ではよく食べてましたなんて、さすがに言えないよね。リロイさんは質問はしたものの、別に答えが気になるってワケじゃなかったみたい。
その後は他愛ない話をしつつのんびりしたよ。さすがに僕もお腹いっぱいで、暫くは動きたくなかった。でも少しは動いた方が良いのかな? そうすれば帰る前にもう一度ベリーを食べれるよね。うーん、悩むなぁ……。
「どうしたんだ、難しい顔をして?」
「ん? 少し動いた方が良いか迷ってるとこ。そしたら帰る前にまたベリーを食べれるよね」
「おまえは本当に。はぁぁぁ……」
そんなに大きなため息をつかなくても良いじゃないか。でもまあ、前世の僕はここまで食い意地ははってなかったと思うよ。ホントにベリーの呪いか何かだろうか……。
リロイさんたちは僕らのやりとりをニコニコしながら見てた。と言うか、僕の食い意地に内心呆れてるのを笑顔で胡麻化してるのかも。うん、実際そうだとしても否定できないや。
「それで……どうする? まだ少し時間はあるぞ。このままのんびりしても良いし、もし何かやりたいことがあるなら言ってくれ」
リロイさんのその言葉に、全員の視線が僕に集まった。マシューも僕を見てるよ。そう言えば僕が契約主なんだもんね。どうしようかなぁ……。
「もう少し休んだら帰ります」
「そうか」
「キノコは探さなくても良いのかい?」
「あれは、たまたま見つけたんですよ」
「いやいや、君なら出来る!」
ミンツさんの茶化しにちょっと苦笑い。
魔物の森を出た後は冒険者ギルドへ向かい、そこで契約完了の手続きを行った。全部初めてのことだったから、ちょっとだけ緊張したよ。それから集めた薬草の換金をしてもらって完了。リロイさんにはちゃっかりしてるって言われたし。でも目の前に薬草があったら、集めたくなるのは普通だと思うんだよね。僕は冒険者じゃないけど、ギルドに持ってったら換金してくれるのは前回しっかり確認済みだもの。うーん、ちゃっかりしてるのは認めた方が良いのかなぁ。
一応フィラー先生にも報告しなきゃいけないけど、今日は休日だから明日に延期だ。先生は学園の外に住居を構えてるんだよ。
「満足したか?」
「うん! ベリーは食べれたし、少しだけど魔法が使えたし。とっても満足」
「そっか。良かったな」
「付き合ってくれてありがとう」
「そりゃあセインのためだからな」
「うん……」
僕がこの学園でのびのびやっていけるのは、きっとマシューが一緒だからだと思うんだ。何だかんだ言いながらも、マシューはさりげなく僕をサポートしてくれるんだ。今回だってマシューに言われなきゃ、こうやって堂々と魔物の森に入れなかったしね。僕はいろんな失敗をやらかしちゃうけど、そんな僕をマシューが見捨てることは無いんだ。だから僕は安心できるんだと思うな。本当に心から、今世もずーっとマシューと一緒にいたい。
「君たちいったい何をやったんだい? リロイ氏たちは守秘義務があるからって何も話してくれなかったけど、君たちのことだ、きっと何かをやってるハズなんだよ。私には話してくれないかなぁ? あー、こんなことになるのなら、契約者を私にするべきだった。あー悔やまれる」
放課後、フィラー先生の部屋に行ったらすごい勢いでまくし立てられた。うん、守秘義務とは言った。でももう少し上手くごまかして欲しかったよ。
先生にはあそこでベリーを食べまくっただけだと言ったよ。でもそれだけじゃ納得してくれなくて、仕方なくもう一個話した。鍋を持って行ってスープを作ったってこと。以前からやってみたかったからやれて楽しかったって話したら、まあまあ何とか納得してくれた。野営のマネ事だと思ってくれたみたい。
まったく先生は、僕に興味持ちすぎだと思うな。
※※※
セインは思った以上にやらかしてますが、本人はそこまでとは思ってません。
僕と一緒に来たミンツさんも数粒食べただけで、あとはニコニコしながら僕が食べる様子を見てただけだった。つまり沢山食べるのは僕だけ。皆僕に遠慮してるのかな? なら僕は遠慮無くいただこうっと。
少々思考がおかしくなってるけど、まあそこは気にしない方が良いよね。
ある程度ベリーを食べて満足した僕は、今度は小鍋にベリーを集め始めた。量としては小鍋にベリー山盛りくらい。加熱するとカサが減るからね。このくらいの量で丁度良いハズだ。
「今度は何をするんだい?」
「デザートを作ります。完成したら皆で食べましょう。楽しみにしててくださいね」
ミンツさんは興味深そうな顔をしつつも、黙って僕のやることを眺めていた。一応周りの気配に注意をしてるようだったけど、この場所はほとんど魔物がこない場所だからね。獣も小動物くらいしかこないような場所だよ。だから僕も安心してデザートが作れるってわけ。
この場は小川の側じゃないので一面草が生えてるんだ。でも火を使うには少々都合が悪いから、少しだけ草を抜いて地面が見えるようにした。抜いた草の中には薬草も混じってたから、もちろんそれは袋の中に入れたよ。そこらへんは抜かりは無い。
さっき同様土魔法で土台を作り、そこに炎球をセットして上に鍋、そしてグツグツいってカサが減った頃に砂糖を入れた。ミンツさんは僕が炎球を出した時点で何か叫んでたけど気にしない気にしない。ミンツさんの声に反応してリロイさんもこっちを見てたけど、マシューに何かを言われて見るのを止めたよ。諦めたとも言えるのかも。
時々スプーンでかき混ぜながらベリーを煮詰め、煮崩れてドロッとした状態になったところで水球の水を少しだけ鍋に加えた。味が濃いから少し水で薄めた方が丁度良いんだ。それから炎球を消し、風魔法で少し冷ました後、水魔法と言うか氷魔法で少しずつ鍋を冷やしそれから凍らせた。最初に風魔法で冷やしたのは鍋の寿命を縮めない為だよ。魔法が使いたかっただけじゃんって指摘されそうだけど、うん、それについては黙秘だよ。
鍋の中のベリーは氷にするつもりは無いから、時々スプーンでかき混ぜながらじっくりじっくり冷やしていった。少し寒くなっちゃったけど美味しいものを食べるためだもの、この際寒さは忘れることにしたんだ。寒さよりも僕の情熱の方が熱いからね、きっと大丈夫。
「完成! マシュー、デザートが出来たよー。休憩しない?」
大きな声で呼んだら、二人とも訓練を止めてこっちへ来た。今マシューとリロイさんが手にしてるのは手ごろな大きさの木の枝だ。あんなので訓練になるのかなぁとは思うものの、楽しそうだったから良いのか。
「何作ったんだ?」
「シャーベット! 身体を動かしたから丁度良いんじゃないの?」
そう答えながら皆の器にシャーベットを盛り分けた。ちょっとだけ僕の分が多いのはご愛敬ってことで。だって僕が食べたくてここに来たんだからね。
「冷たい。これって氷菓子の一種かい?」
「そうですよ。シャリシャリしてて美味しいでしょう? 真夏に食べるともっと美味しく感じるんです」
「どうやって……って、やっぱりこれも魔法か」
「えーっと、ハイ、そうですね」
リロイさんが諦めたような顔をしてたけど、きっと気にしないのが一番だと思うな。
それから少しの間、皆無言でシャーベットを堪能した。ミンツさんは大口で食べた直後額を押さえてて、その間にリロイさんにシャーベットを奪われてた。僕とマシューは行儀良く自分の分を食べたよ。まあさっきも言ったけど、僕の分が一番多いんだけど。
「生で食べたエンダルベリーは最高に美味いと思ってたが、こうやって加工したのはそれ以上に美味いな」
「そうですね。昔はエンダルベリーのジャムを使ったお菓子は、とても人気があったそうですよ」
「らしいな。オレが学園に入学した頃はエンダルベリーが絶滅間近と言われてて、ジャムは高級品過ぎて一度も食べたことが無かったんだ。ジャムとは少し違うが、まさか今こうやって食べれるとはなぁ……」
「エンダルベリーのジャムは、焼いた肉のソースにもなるんです。絶品だそうです」
「食べてみたいねぇ。と言うか、セイン君は何でそんなに物知りなんだ?」
「えー……、毎日大図書館に通ってるから……かな?」
前世ではよく食べてましたなんて、さすがに言えないよね。リロイさんは質問はしたものの、別に答えが気になるってワケじゃなかったみたい。
その後は他愛ない話をしつつのんびりしたよ。さすがに僕もお腹いっぱいで、暫くは動きたくなかった。でも少しは動いた方が良いのかな? そうすれば帰る前にもう一度ベリーを食べれるよね。うーん、悩むなぁ……。
「どうしたんだ、難しい顔をして?」
「ん? 少し動いた方が良いか迷ってるとこ。そしたら帰る前にまたベリーを食べれるよね」
「おまえは本当に。はぁぁぁ……」
そんなに大きなため息をつかなくても良いじゃないか。でもまあ、前世の僕はここまで食い意地ははってなかったと思うよ。ホントにベリーの呪いか何かだろうか……。
リロイさんたちは僕らのやりとりをニコニコしながら見てた。と言うか、僕の食い意地に内心呆れてるのを笑顔で胡麻化してるのかも。うん、実際そうだとしても否定できないや。
「それで……どうする? まだ少し時間はあるぞ。このままのんびりしても良いし、もし何かやりたいことがあるなら言ってくれ」
リロイさんのその言葉に、全員の視線が僕に集まった。マシューも僕を見てるよ。そう言えば僕が契約主なんだもんね。どうしようかなぁ……。
「もう少し休んだら帰ります」
「そうか」
「キノコは探さなくても良いのかい?」
「あれは、たまたま見つけたんですよ」
「いやいや、君なら出来る!」
ミンツさんの茶化しにちょっと苦笑い。
魔物の森を出た後は冒険者ギルドへ向かい、そこで契約完了の手続きを行った。全部初めてのことだったから、ちょっとだけ緊張したよ。それから集めた薬草の換金をしてもらって完了。リロイさんにはちゃっかりしてるって言われたし。でも目の前に薬草があったら、集めたくなるのは普通だと思うんだよね。僕は冒険者じゃないけど、ギルドに持ってったら換金してくれるのは前回しっかり確認済みだもの。うーん、ちゃっかりしてるのは認めた方が良いのかなぁ。
一応フィラー先生にも報告しなきゃいけないけど、今日は休日だから明日に延期だ。先生は学園の外に住居を構えてるんだよ。
「満足したか?」
「うん! ベリーは食べれたし、少しだけど魔法が使えたし。とっても満足」
「そっか。良かったな」
「付き合ってくれてありがとう」
「そりゃあセインのためだからな」
「うん……」
僕がこの学園でのびのびやっていけるのは、きっとマシューが一緒だからだと思うんだ。何だかんだ言いながらも、マシューはさりげなく僕をサポートしてくれるんだ。今回だってマシューに言われなきゃ、こうやって堂々と魔物の森に入れなかったしね。僕はいろんな失敗をやらかしちゃうけど、そんな僕をマシューが見捨てることは無いんだ。だから僕は安心できるんだと思うな。本当に心から、今世もずーっとマシューと一緒にいたい。
「君たちいったい何をやったんだい? リロイ氏たちは守秘義務があるからって何も話してくれなかったけど、君たちのことだ、きっと何かをやってるハズなんだよ。私には話してくれないかなぁ? あー、こんなことになるのなら、契約者を私にするべきだった。あー悔やまれる」
放課後、フィラー先生の部屋に行ったらすごい勢いでまくし立てられた。うん、守秘義務とは言った。でももう少し上手くごまかして欲しかったよ。
先生にはあそこでベリーを食べまくっただけだと言ったよ。でもそれだけじゃ納得してくれなくて、仕方なくもう一個話した。鍋を持って行ってスープを作ったってこと。以前からやってみたかったからやれて楽しかったって話したら、まあまあ何とか納得してくれた。野営のマネ事だと思ってくれたみたい。
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