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1年
学園祭3
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学園祭も今日で三日目が終了した。でもこれで半分なんだよ。ちょっと長すぎるような気もするけど、この学園祭がエンダル学園都市の一番のお祭りだから、これくらいの期間は必要なんだって。お祭りは学園の中だけだと思ってたけど、実は学園の外でも屋台が出たり、ダンス大会があったりといろいろやってるみたい。ちなみにそっちの方は学園祭が終わった後も二日程やってるらしいから、マシューを誘って行ってみようかと思ってる。学園の外はちょっとしか出たことが無いから楽しみかも。
学園祭の二日目は、剣術大会2年の部と3年の部、それに上級生部門の本戦があった。2年の部は「エイッ!」と言う掛け声が可愛かった。優勝したのは女の子なんだ。元気いっぱいってカンジで、おじさんのファンがたくさんできたみたい。
剣術大会の前、午後中は魔法科の生徒によるショーがあったよ。光球、炎球、水球を音楽に合わせて動かすんだ。沢山の球が複雑な、だけど息の合った動きをして、とても良かったよ。かなり練習したんじゃないかな。僕も挑戦してみたいかも。水球にはね、インクを垂らしてて、音楽に合わせて動く水色の球が綺麗だったよ。お日様の光もあってキラキラしてたし。ああ言うのは思い付きもしなかったから勉強になったかな。
三日目の今日は剣術大会では4年、5年、6年の部の予選だった。やっぱり上級生になると強いね。6年の部ではとても強い人がいたから、きっと彼が優勝するんじゃないかな。ちなみに上級生の部門では、女子の歓声がすごかったよ。応援隊とかがあるんだって。逆に騎士科の女生徒には男子による応援隊があるみたい。そう言えばひとつだけ野郎の怒声がすごい試合があったかな。僕には怒声に聞こえたけど、きっとあれは応援の歓声だったのかも。試合より迫力があったもの。
魔法科の出し物は土魔法によるオブジェ作成コンテストだ。これは剣術大会とは別の屋外訓練場が会場になってて、完成したオブジェは学園祭終了まで展示されてるんだ。一般からの投票を受け付けていて、明日の夕方に優勝ペアが発表されるそうだよ。
そして今は夜。僕は鼻歌を歌いながら、桶を手に自室に持ってきたところだ。
「どこ行ってたんだ?」
「ちょっと寮の外に出てた。土を集めてたの」
「土? はあ……。セインちょっと影響され過ぎ」
「え~、いいじゃん。僕もやってみたくなったんだもの」
「……で、何を作るのかな?」
「うーん、どうしよう?」
マシューには僕のやりたい事がすぐ分かっちゃったみたい。影響されすぎって言われるのも分かってたよ。でも僕も作ってみたくなっちゃったんだ。
今日のオブジェ作成コンテストのテーマは『動物』だった。一番大きかったのは馬かな。定番の犬や猫もあったし、フクロウってのもあったよ。ウサギを作ったペアは、でかウサギの周りにちびウサギを配置して、ウサギファミリーってタイトルにしてた。全部違うポーズを取らせてて、限られた時間ですごいなぁって思ったよ。もちろん僕はウサギファミリーに一票だ。
「セインって、土魔法で動物とか作ったことあるんか?」
「一度も無いよ。その時その場で必要なものを作るってカンジだったね。オブジェを作るとかって一度も考えたことが無かったかな」
「昔に比べて現代は、娯楽に魔法の要素が加わったってことか。平和だなぁ」
「あはは。今のセリフ、すっごい年寄りくさい」
「ひでぇ」
それだけ魔法が身近になったってことなんだろうね。僕が前世の頃は、この国の歴史の中でも一番魔術師が少ない頃だったんだ。魔法が使える人はごく一部の特権階級の人で、魔法自体はよく分からないがすごいものって認識だった。それから長い年月をかけて魔術師が増え魔導師が復活し、今では魔道具なんて便利なものまであって魔法が身近になったんだ。良いことだと思うよ。
そんなことを考えながら、陣を使った土魔法で桶の土をまとめて形作っていく。うん、初めてだからアレにしよう。
「完成?」
「うん」
「…………」
「初めて作ったんだけど。感想が欲しいな」
「あー……。コンテストにエントリーしなくて良かったな」
「えーっ、そんなにヒドイ?」
僕は一番簡単そうなネコを作ったんだよ。でもマシューに言わせると、『じゃがいもにさつまいもが連結してて、そのサツマイモの下にウインナーが生えてる』だって。ものすごく失礼だと思わない?
「ついでに言うと、尻尾が無いぞ」
「あっ」
うん。尻尾は重要だね。
その後マシューは溜息つきつつもネコの絵を描いてくれて、僕はそれを参考にもう一度作り直した。でも何か上手くいかないんだよね。微妙に違うって言うか……。ちなみに、マシューの絵はとても上手だった。
「うーん……」
「セイン、諦めろ」
「えー……」
「あまり言いたくは無いが、センスってものにはいろんな分野があってだな、セインにはいろんなセンスが沢山あるが、まあ、そう言うことだ」
「ヒドイよ、マシュー」
「いやいや、オレはそんなセインが大好きだぞ」
そう言いながら僕を抱きしめてきたマシュー。ギュってされると嬉しいけど、何か胡麻化されてるようで納得いかないなぁ。
寝る時間になっちゃったからこの日はこれでオシマイにしたけど、暫くの間は毎晩何かを作る練習をしたよ。そのかいあって、小鳥なら何とか普通に作れるようになったんだ。ただしマシューには脚が太すぎるって指摘されたけどね。でも細くすると安定しなくて直ぐ転んじゃうんだよ。
三年後、つまり僕が4年生になったとき、是非オブジェコンテストに出たいと思ったんだ。目指すは優勝。今から地道に努力したら可能性あると思わない? マシューは芸術の才能云々言ってるけど、きっと努力は報われる、報われたらいいな、うん、報われたい。
学園祭の二日目は、剣術大会2年の部と3年の部、それに上級生部門の本戦があった。2年の部は「エイッ!」と言う掛け声が可愛かった。優勝したのは女の子なんだ。元気いっぱいってカンジで、おじさんのファンがたくさんできたみたい。
剣術大会の前、午後中は魔法科の生徒によるショーがあったよ。光球、炎球、水球を音楽に合わせて動かすんだ。沢山の球が複雑な、だけど息の合った動きをして、とても良かったよ。かなり練習したんじゃないかな。僕も挑戦してみたいかも。水球にはね、インクを垂らしてて、音楽に合わせて動く水色の球が綺麗だったよ。お日様の光もあってキラキラしてたし。ああ言うのは思い付きもしなかったから勉強になったかな。
三日目の今日は剣術大会では4年、5年、6年の部の予選だった。やっぱり上級生になると強いね。6年の部ではとても強い人がいたから、きっと彼が優勝するんじゃないかな。ちなみに上級生の部門では、女子の歓声がすごかったよ。応援隊とかがあるんだって。逆に騎士科の女生徒には男子による応援隊があるみたい。そう言えばひとつだけ野郎の怒声がすごい試合があったかな。僕には怒声に聞こえたけど、きっとあれは応援の歓声だったのかも。試合より迫力があったもの。
魔法科の出し物は土魔法によるオブジェ作成コンテストだ。これは剣術大会とは別の屋外訓練場が会場になってて、完成したオブジェは学園祭終了まで展示されてるんだ。一般からの投票を受け付けていて、明日の夕方に優勝ペアが発表されるそうだよ。
そして今は夜。僕は鼻歌を歌いながら、桶を手に自室に持ってきたところだ。
「どこ行ってたんだ?」
「ちょっと寮の外に出てた。土を集めてたの」
「土? はあ……。セインちょっと影響され過ぎ」
「え~、いいじゃん。僕もやってみたくなったんだもの」
「……で、何を作るのかな?」
「うーん、どうしよう?」
マシューには僕のやりたい事がすぐ分かっちゃったみたい。影響されすぎって言われるのも分かってたよ。でも僕も作ってみたくなっちゃったんだ。
今日のオブジェ作成コンテストのテーマは『動物』だった。一番大きかったのは馬かな。定番の犬や猫もあったし、フクロウってのもあったよ。ウサギを作ったペアは、でかウサギの周りにちびウサギを配置して、ウサギファミリーってタイトルにしてた。全部違うポーズを取らせてて、限られた時間ですごいなぁって思ったよ。もちろん僕はウサギファミリーに一票だ。
「セインって、土魔法で動物とか作ったことあるんか?」
「一度も無いよ。その時その場で必要なものを作るってカンジだったね。オブジェを作るとかって一度も考えたことが無かったかな」
「昔に比べて現代は、娯楽に魔法の要素が加わったってことか。平和だなぁ」
「あはは。今のセリフ、すっごい年寄りくさい」
「ひでぇ」
それだけ魔法が身近になったってことなんだろうね。僕が前世の頃は、この国の歴史の中でも一番魔術師が少ない頃だったんだ。魔法が使える人はごく一部の特権階級の人で、魔法自体はよく分からないがすごいものって認識だった。それから長い年月をかけて魔術師が増え魔導師が復活し、今では魔道具なんて便利なものまであって魔法が身近になったんだ。良いことだと思うよ。
そんなことを考えながら、陣を使った土魔法で桶の土をまとめて形作っていく。うん、初めてだからアレにしよう。
「完成?」
「うん」
「…………」
「初めて作ったんだけど。感想が欲しいな」
「あー……。コンテストにエントリーしなくて良かったな」
「えーっ、そんなにヒドイ?」
僕は一番簡単そうなネコを作ったんだよ。でもマシューに言わせると、『じゃがいもにさつまいもが連結してて、そのサツマイモの下にウインナーが生えてる』だって。ものすごく失礼だと思わない?
「ついでに言うと、尻尾が無いぞ」
「あっ」
うん。尻尾は重要だね。
その後マシューは溜息つきつつもネコの絵を描いてくれて、僕はそれを参考にもう一度作り直した。でも何か上手くいかないんだよね。微妙に違うって言うか……。ちなみに、マシューの絵はとても上手だった。
「うーん……」
「セイン、諦めろ」
「えー……」
「あまり言いたくは無いが、センスってものにはいろんな分野があってだな、セインにはいろんなセンスが沢山あるが、まあ、そう言うことだ」
「ヒドイよ、マシュー」
「いやいや、オレはそんなセインが大好きだぞ」
そう言いながら僕を抱きしめてきたマシュー。ギュってされると嬉しいけど、何か胡麻化されてるようで納得いかないなぁ。
寝る時間になっちゃったからこの日はこれでオシマイにしたけど、暫くの間は毎晩何かを作る練習をしたよ。そのかいあって、小鳥なら何とか普通に作れるようになったんだ。ただしマシューには脚が太すぎるって指摘されたけどね。でも細くすると安定しなくて直ぐ転んじゃうんだよ。
三年後、つまり僕が4年生になったとき、是非オブジェコンテストに出たいと思ったんだ。目指すは優勝。今から地道に努力したら可能性あると思わない? マシューは芸術の才能云々言ってるけど、きっと努力は報われる、報われたらいいな、うん、報われたい。
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