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1年
ギルド訓練場6
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思う存分魔法を使ってリロイさんたちと試合をする。本当にそんなことが出来るんだろうか? もし僕がやりたいと言っても信じてもらえないだろうし、そもそも子供が大人四人に勝てるワケがない。
やってみたいけど、やっぱりムリ。迷いつつも結局そんな結論に達した頃、既にマシューはリロイさんたちの所だった。僕に聞こえないように小声で話し合ってるみたい。いったい何と言って、マシューは話を持ち掛けてるんだろう?
話が終わったらしく、マシューが僕のところへ戻って来た。と同時に、リロイさんが訓練場を出て行った。
「決まったぞ。試合じゃなくゲームをすることになった」
「ゲーム?」
「おう。セイン対あの四人のな。オレは審判と言う名の見学だ」
「マシューはやらないの?」
「オレが入るとセインが不利になるぞ。それでも良いか?」
「うーん、内容による」
いったいどんなゲームをするんだろう? ちょっとドキドキしてきた。今ここにいるメンバーの中では、どちらかと言うと僕はオマケみたいなものだったんだ。それなのにいきなり主役に抜擢されたようなカンジで、なんか落ち着かない。
「それでどんなゲームなの?」
「リロイさんが戻って来てからな。今必要なものを借りに行ってる」
「ふうん」
試合じゃなくてゲームで、道具が必要で、僕は魔法が使える……。リロイさんが借りに行ったのは、防御用の魔道具かな?
「楽しみだねぇ。オレとクラスティは君の魔法は見てないからな。リロイから聞いて興味持ってたんだよ」
「知ってたんですか?」
「チーム内の情報共有だ。契約違反ではないぞ」
「あ、ハイ。それは大丈夫です」
「君の歳でかなり魔法が使えるってのは、あまり聞いたことがないな。小さい頃から修行したのかい?」
「あー、まあ、いろいろ……」
小さい頃がら修行したのは前々世の頃です……とは言えないよね。
そうこうしてるうちに、リロイさんが小さな箱を抱えて戻って来た。
「借りてきたぞー。マシュー君、お願いする」
「了解です。セイン、魔力籠めるの手伝って?」
箱の中には防御の魔道具と思われるものと、羽のついたリボンのようなものが入っていた。魔道具は魔力が空になったものを借りてきたんだって。だから借り賃は無し。ちゃっかりしてるね。でも、きっと僕もそうすると思う。
「この四つ?」
「そう。セインは二つお願い」
「分かった」
魔道具から外した魔石を二個渡されたので、右手と左手に一個ずつ持って魔力を入れていった。やり方はいろいろあるけど、僕はこうやって二個ずつやるのが好きなんだ。
「ハイ、終了」
「相変わらず速いなぁ」
「そぉ? マシューも二個ずつやったらいいのに」
「オレはそんな器用じゃない」
魔力制御の修行をしっかりやれば、左右の手から出す魔力を調整できるようになるんだよ。魔導師になるにはこれくらいは常識だ。
その後ゲームのルールとかを説明してもらった。マシュー以外の腕に羽付きのリボンを巻いて、チームの全員が羽を取られたらゲーム終了。羽を取られた人は、その時点で戦線離脱となるんだ。
話し合いの結果、マシューは僕のサポート役になったよ。僕の指示で動くんだ。マシューは最初からリボンをしないから、ゲーム中は戦線離脱することは無いんだよ。リロイさんがハンデにしてくれたの。
「魔法はどれを使っても良いの?」
「さすがに結界はダメだろう」
「うん、そうだね。それは僕も分かるよ」
「あとは何でも大丈夫じゃないか? リロイさんたちはベテラン冒険者だし」
「ははっ、分かった」
どの魔法を使っても良いってのは魅力的だね。どれにしようか迷っちゃうかも。とは言えゲームだからね、危険すぎるものは使わないつもりだよ。
「羽は沢山持ってきたからな。何回でも相手してやるぞ。オレたちに捕まらないように、しっかり逃げろよ」
「分かりました。よろしくお願いします」
「おう!」
きっと大したことないと思ってるんだよね? 大人と子供だから、普通に走って逃げても直ぐ捕まるからね。だからリロイさんたちは余裕なんだと思う。ちょっとした気分転換のゲーム、くらいの気持ちなんだろうな。そう考えると僕としては頑張りたくなっちゃうかも。うーん、どうやって攻略しようか?
ゲーム開始は、お互いに離れた位置から。リロイさんたちとしては、僕が逃げやすいようにって配慮だろうね。
「マシューは適当にウロついて、チャンスがあったら羽を取ってくれる?」
「分かった。オレに攻撃するなよ」
「善処する。大丈夫だよ、当たってもちゃんと魔法で治すから」
ニッコリ笑った僕とは対照的に、マシューの顔は引き攣ってた。何故だろうね?
「開始の合図はそっちからくれー」
「あー、ハイ、分かりました。じゃあゲーム開始でーす」
何とも気の抜けたゲーム開始だけど、まあいいじゃないか。リロイさんたちは急ぐ素振りも見せず、等間隔に広がって、ゆっくりと僕の方へ向かってきた。逃がすつもりは無いってカンジだね。間をすり抜けようとしても、絶対捕まるってくらいの幅なんだ。
「逃げなくて良いのか? ほらほら、直ぐ捕まっちゃうぞー」
「あー……。じゃあ逃げますね。マシューは隙を見てヨロシク!」
「分かった。はしゃぎすぎるなよ」
「分かった!……とは言えないかも」
とりあえず大きめの水球を四つ、それぞれを彼らに向かって飛ばし、そのタイミングで風魔法で彼らの後ろの方へ移動した。四人のうち三人は水球を避けて、残るミンツさんだけが慌てて剣で切ってた。上手い具合にミンツさんが濡れたね。ハイ、お疲れ様でした~!
「ミンツさーん、魔石パース」
「えっ? ぎゃっ!」
「マシュー、ヨロシクー!」
前にいたハズの僕が突然後ろから声をかけたから、ミンツさんは少し慌てたみたい。だから咄嗟に僕の放った魔石をキャッチしちゃったんだ。濡れた手で……。
僕が魔石って言ったらもちろんアレだよ。何故か今日も持ってる、と言うか、授業以外では常に持ち歩いてる、マシューお仕置き用の魔石だよ。持ち歩くのがクセになってるから、ほとんど無意識なんだ。彫ってある陣は極々弱い雷の陣だけど、濡れた手のおかげで威力がかなり倍増されてると思う。事実ミンツさんは白目を剥いて倒れたからね。大丈夫かなぁ?
「マシュー、ミンツさんは大丈夫?」
「一応大丈夫だ。こっちで治癒魔法かけとく」
「うん、ありがとー」
大丈夫なのは分かってたけど、マシューにそう言って貰えて安心した。倒れたミンツさんは、マシューに引き摺られて訓練場の端にいるよ。もちろん腕の羽はマシューが回収済みだ。
リロイさん、ウィードさん、クラスティさんの三人は立ったまま動いてない。ミンツさんの状況に驚いたのと心配したのと、まあそんな理由だろう。でも良いのかな? 動かなかったら僕に羽を奪われちゃうよ。
「セイン君、今何をしたんだ?」
「あー、あの魔石は極弱い雷が出るようになってるんです」
「冒険者として再起不能とか言わないよな?」
「そんなヒドイことしません」
「何故ミンツを狙った?」
「ミンツさんだけが濡れちゃったので」
酷いとか、えげつないとか、容赦ねぇとかって単語が聞こえるけど、きっと気のせいだよね?
「ところで、ゲームはこのまま続けても良いですか?」
「あ、ああ、続行だ。オレたちもちょっと本気でいかせてもらうとしよう」
その言葉と共に、三人の纏う雰囲気が変わった。ここからが本番? ちょっと怖いなぁ。
※※※(補足)
セインですもの。やはり雷の魔石は外せません。
可愛い顔して攻撃はえげつない。それがセインなのです。回復魔法が使えるから、ケガは後できちんと治せるって考えが根底にあります。遥か昔の魔導師様は、実はセインよりも酷かった。だからセインの中では、自分はまだぬるい方だと思ってます。時代が変わったことに全く気が付いてません。
読者の皆さんはご存知だと思いますが、水+電気は危険です。マネする人はいないと思いますが……。
やってみたいけど、やっぱりムリ。迷いつつも結局そんな結論に達した頃、既にマシューはリロイさんたちの所だった。僕に聞こえないように小声で話し合ってるみたい。いったい何と言って、マシューは話を持ち掛けてるんだろう?
話が終わったらしく、マシューが僕のところへ戻って来た。と同時に、リロイさんが訓練場を出て行った。
「決まったぞ。試合じゃなくゲームをすることになった」
「ゲーム?」
「おう。セイン対あの四人のな。オレは審判と言う名の見学だ」
「マシューはやらないの?」
「オレが入るとセインが不利になるぞ。それでも良いか?」
「うーん、内容による」
いったいどんなゲームをするんだろう? ちょっとドキドキしてきた。今ここにいるメンバーの中では、どちらかと言うと僕はオマケみたいなものだったんだ。それなのにいきなり主役に抜擢されたようなカンジで、なんか落ち着かない。
「それでどんなゲームなの?」
「リロイさんが戻って来てからな。今必要なものを借りに行ってる」
「ふうん」
試合じゃなくてゲームで、道具が必要で、僕は魔法が使える……。リロイさんが借りに行ったのは、防御用の魔道具かな?
「楽しみだねぇ。オレとクラスティは君の魔法は見てないからな。リロイから聞いて興味持ってたんだよ」
「知ってたんですか?」
「チーム内の情報共有だ。契約違反ではないぞ」
「あ、ハイ。それは大丈夫です」
「君の歳でかなり魔法が使えるってのは、あまり聞いたことがないな。小さい頃から修行したのかい?」
「あー、まあ、いろいろ……」
小さい頃がら修行したのは前々世の頃です……とは言えないよね。
そうこうしてるうちに、リロイさんが小さな箱を抱えて戻って来た。
「借りてきたぞー。マシュー君、お願いする」
「了解です。セイン、魔力籠めるの手伝って?」
箱の中には防御の魔道具と思われるものと、羽のついたリボンのようなものが入っていた。魔道具は魔力が空になったものを借りてきたんだって。だから借り賃は無し。ちゃっかりしてるね。でも、きっと僕もそうすると思う。
「この四つ?」
「そう。セインは二つお願い」
「分かった」
魔道具から外した魔石を二個渡されたので、右手と左手に一個ずつ持って魔力を入れていった。やり方はいろいろあるけど、僕はこうやって二個ずつやるのが好きなんだ。
「ハイ、終了」
「相変わらず速いなぁ」
「そぉ? マシューも二個ずつやったらいいのに」
「オレはそんな器用じゃない」
魔力制御の修行をしっかりやれば、左右の手から出す魔力を調整できるようになるんだよ。魔導師になるにはこれくらいは常識だ。
その後ゲームのルールとかを説明してもらった。マシュー以外の腕に羽付きのリボンを巻いて、チームの全員が羽を取られたらゲーム終了。羽を取られた人は、その時点で戦線離脱となるんだ。
話し合いの結果、マシューは僕のサポート役になったよ。僕の指示で動くんだ。マシューは最初からリボンをしないから、ゲーム中は戦線離脱することは無いんだよ。リロイさんがハンデにしてくれたの。
「魔法はどれを使っても良いの?」
「さすがに結界はダメだろう」
「うん、そうだね。それは僕も分かるよ」
「あとは何でも大丈夫じゃないか? リロイさんたちはベテラン冒険者だし」
「ははっ、分かった」
どの魔法を使っても良いってのは魅力的だね。どれにしようか迷っちゃうかも。とは言えゲームだからね、危険すぎるものは使わないつもりだよ。
「羽は沢山持ってきたからな。何回でも相手してやるぞ。オレたちに捕まらないように、しっかり逃げろよ」
「分かりました。よろしくお願いします」
「おう!」
きっと大したことないと思ってるんだよね? 大人と子供だから、普通に走って逃げても直ぐ捕まるからね。だからリロイさんたちは余裕なんだと思う。ちょっとした気分転換のゲーム、くらいの気持ちなんだろうな。そう考えると僕としては頑張りたくなっちゃうかも。うーん、どうやって攻略しようか?
ゲーム開始は、お互いに離れた位置から。リロイさんたちとしては、僕が逃げやすいようにって配慮だろうね。
「マシューは適当にウロついて、チャンスがあったら羽を取ってくれる?」
「分かった。オレに攻撃するなよ」
「善処する。大丈夫だよ、当たってもちゃんと魔法で治すから」
ニッコリ笑った僕とは対照的に、マシューの顔は引き攣ってた。何故だろうね?
「開始の合図はそっちからくれー」
「あー、ハイ、分かりました。じゃあゲーム開始でーす」
何とも気の抜けたゲーム開始だけど、まあいいじゃないか。リロイさんたちは急ぐ素振りも見せず、等間隔に広がって、ゆっくりと僕の方へ向かってきた。逃がすつもりは無いってカンジだね。間をすり抜けようとしても、絶対捕まるってくらいの幅なんだ。
「逃げなくて良いのか? ほらほら、直ぐ捕まっちゃうぞー」
「あー……。じゃあ逃げますね。マシューは隙を見てヨロシク!」
「分かった。はしゃぎすぎるなよ」
「分かった!……とは言えないかも」
とりあえず大きめの水球を四つ、それぞれを彼らに向かって飛ばし、そのタイミングで風魔法で彼らの後ろの方へ移動した。四人のうち三人は水球を避けて、残るミンツさんだけが慌てて剣で切ってた。上手い具合にミンツさんが濡れたね。ハイ、お疲れ様でした~!
「ミンツさーん、魔石パース」
「えっ? ぎゃっ!」
「マシュー、ヨロシクー!」
前にいたハズの僕が突然後ろから声をかけたから、ミンツさんは少し慌てたみたい。だから咄嗟に僕の放った魔石をキャッチしちゃったんだ。濡れた手で……。
僕が魔石って言ったらもちろんアレだよ。何故か今日も持ってる、と言うか、授業以外では常に持ち歩いてる、マシューお仕置き用の魔石だよ。持ち歩くのがクセになってるから、ほとんど無意識なんだ。彫ってある陣は極々弱い雷の陣だけど、濡れた手のおかげで威力がかなり倍増されてると思う。事実ミンツさんは白目を剥いて倒れたからね。大丈夫かなぁ?
「マシュー、ミンツさんは大丈夫?」
「一応大丈夫だ。こっちで治癒魔法かけとく」
「うん、ありがとー」
大丈夫なのは分かってたけど、マシューにそう言って貰えて安心した。倒れたミンツさんは、マシューに引き摺られて訓練場の端にいるよ。もちろん腕の羽はマシューが回収済みだ。
リロイさん、ウィードさん、クラスティさんの三人は立ったまま動いてない。ミンツさんの状況に驚いたのと心配したのと、まあそんな理由だろう。でも良いのかな? 動かなかったら僕に羽を奪われちゃうよ。
「セイン君、今何をしたんだ?」
「あー、あの魔石は極弱い雷が出るようになってるんです」
「冒険者として再起不能とか言わないよな?」
「そんなヒドイことしません」
「何故ミンツを狙った?」
「ミンツさんだけが濡れちゃったので」
酷いとか、えげつないとか、容赦ねぇとかって単語が聞こえるけど、きっと気のせいだよね?
「ところで、ゲームはこのまま続けても良いですか?」
「あ、ああ、続行だ。オレたちもちょっと本気でいかせてもらうとしよう」
その言葉と共に、三人の纏う雰囲気が変わった。ここからが本番? ちょっと怖いなぁ。
※※※(補足)
セインですもの。やはり雷の魔石は外せません。
可愛い顔して攻撃はえげつない。それがセインなのです。回復魔法が使えるから、ケガは後できちんと治せるって考えが根底にあります。遥か昔の魔導師様は、実はセインよりも酷かった。だからセインの中では、自分はまだぬるい方だと思ってます。時代が変わったことに全く気が付いてません。
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