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1年
ギルド訓練場5
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リロイさんたちによるミンツさんへの扱きは、まだまだ続いてる。もちろん僕たちの素振りもだ。ただし、マシューは頑張ってるけど僕は自主休憩中。今の僕にはこれ以上はキツイんだもの。回復魔法をかけたらもっと頑張れるけどね、でもそれをやったら逆に自分で自分の首を絞めるような気がするんだ。だから今のところ魔法は無しだよ。
「ひい~、もうムリッ、ムリだからぁ~」
「遠慮しなくて良いぞ。オレは寛大だからな」
「だからもぉぉぉ、はっ、ほいっ、休憩させてくれー」
「話せる余裕があるうちは大丈夫だ」
「うそぉ~」
マシューも疲れたみたいで、僕の隣の地面に座り込んだ。二人で仲良く四人の練習風景?を見学だ。聞こえてくるのはミンツさんの情けない声と、楽しそうな三人の声。リロイさんの宣言通り、ミンツさんはしっかりと激励されてるようだ。
「そろそろミンツさんが限界だね」
「いや、もう少しイケる。他の三人がミンツさんの疲れ具合に合わせてるからな。たぶん限界までやるんじゃないか?」
「うわあ……」
リロイさんたち『刃の光』のメンバーは、かなりスパルタな人たちだったみたい。ミンツさん亡き後の、僕たちの運命が偲ばれる……なんてね。
「よし。これくらいにしておいてやろう。しっかり休憩しとけよ」
「うー……」
「ほれっ。これでも飲んどけ」
「ぃ~っす」
ミンツさんはヘロヘロな様子で、休憩になった途端そのまま地面に仰向けになっちゃった。最後の方はフラフラになってたからね、かなり疲れたと思う。さっきも思ったけど、このチームはかなりスパルタだ。
でもあの四人の中で疲れてるのは、ミンツさんだけなんだよ。リロイさんたちはまだまだ余裕ってカンジ。と言うことは……、今度は僕たちの番だ。
「スマンスマン。ちょっとはしゃぎ過ぎた。待たせたな」
「お疲れ様です。休憩しなくても良いんですか?」
「休憩しながら教えるから大丈夫だ。マシュー君はオレが相手だな。セイン君は、ウィード! お願いできるか?」
「りょーかい。じゃあセイン君こっち来て」
「あ、ハイ。お願いします!」
ウィードさんは僕に素振りをさせて、それを見ながらちょっとしたクセとかを指摘してくれた。ほんの僅かだけど重心が左に寄ってるんだって。自分では全然気付かなかった。クセ自体は直ぐには治らないけど、これから気を付けることで無くなるんじゃないかな。今後は時々マシューに確認してもらおうって思った。
素振りの次は打ち込み。ウィードさんの木剣に向かって、僕が打ち込むんだ。指示された型、向きで打ち込んで、しっかり出来たら次の型ってカンジ。たぶん2年生になったら最初に習うことなんだろうね。基礎の基礎って言ってたもの。
前世では一応第5騎士団に所属してたけど、こうやって基礎を習ったことは無かったんだ。当時あそこは平民が入れる唯一の騎士団だったからね、入団してから実力が付いたってカンジかな。先輩とか強い人は沢山いたけど、そのほとんどが我流だったんだ。
「そろそろ休憩するかい? 腕が疲れただろう」
「いいですか? すいません。授業で使ってる剣より重いんで、結構キツイです」
「木剣とは言え大人用だからね。よく頑張ったと思うよ」
「ありがとうございます」
マシューはまだ頑張ってるよ。僕は基礎の基礎だったけど、マシューはその先のことをやってるみたい。リロイさんとマシューだと実力的には雲泥の差だけど、マシューがちょこまか動くからやり難いみたい。でも楽しそうだよ。
「セイン君は魔法科だっけ? 魔法は何系統の素質持ち?」
「回復、防御、風、水です」
「四系統! すごいねぇ。四系統ってかなり珍しいんじゃないか?」
「そうですね。いないわけじゃないけど少ないですね」
「魔力量は?」
「多いですよ。おかげで全免除の特待生になれました」
「だよねぇ。将来的には魔術塔に呼ばれるかもしれないね」
ウィードさんは学園の卒業生だし、今も契約冒険者として学園に関わってるから、特待生の条件とかは知ってるみたい。全免除はとても少ないんだよ。ただその条件が僕の実力ってワケじゃなく、単なる素質ってのが微妙だよね。その代わり極端に成績が落ちた場合、全免除が無くなる可能性はあるらしいよ。
「おっ、ミンツが復活したみたいだな」
「ホントだ」
ウィードさんの言葉に振り向くと、ミンツさんとクラスティさんが打ち合いを始めたところだった。さっきまであんなにヘロヘロだったのに、回復力がすごい。もしかして慣れてるのかも。
「セイン君はもう少し休憩してて。オレはあっちに参戦してくる」
「あ、ハイ!」
ミンツさんたちを見て、ウィードさんはウズウズしちゃったみたい。木剣から刃を潰した剣に持ち替えて、ミンツさんに向かってったよ。ウィードさんからしたら僕の相手は休憩みたいなものなんだろうね、気力十分ってカンジだった。
それはリロイさんも同じみたいで、唐突にマシューの訓練が終わったよ。マシューに短い言葉を呟いて、それからウィードさんと同じようにミンツさんに向かって行ったんだ。すごいなぁ。ちょっと呆れるレベルかも。
「お疲れ、マシュー。突然終わった風に見えたけど?」
「おう。『スマン、とりあえずここまでだ』だってさ。彼らにしてみれば、ミンツさんが回復するまでの時間潰しみたいなもんだろう? オレたちにとっては、いろいろ教えて貰えてありがたいけどな」
「そうだね。こうやって基礎から教えて貰えるなんて、思ってもみなかったよ」
どんな理由であれ無償で教えて貰えるなんて普通は無いことだから、本当にありがたいと思う。
僕とマシューはのんびり休憩しながら、お互いに指摘されたことを教えあった。お互いがお互いの改善点を知っておけば、ふと見たときに指摘し合えるからね。上達したいなら必要なことだ。今後は僕もマシューみたいに、時々は寮の部屋で素振りした方が良いのかも。
「なあ……、セインもあの中の誰かと試合してみないか?」
「えっ、無理だよ。僕はまだ素振りの人だよ」
リロイさんたちを見ながら、マシューはとんでもないことを提案してきた。基礎の基礎を教えてもらってる僕が剣の達人と試合なんて、できるわけないよね。もしやったとしても、試合開始と同時に終了だよ。たぶん頭に大きなタンコブが出来るんじゃないかな。
「セインには魔法があるじゃん」
「魔法を披露するってこと?」
「せっかくのチャンスだし、たまには伸び伸びと魔法を使いたいだろう? リロイさんたちならお願いしたら黙っててくれそうじゃん。と言うか、言えないと思う」
「え~、どうしよう……」
「とか言いながら顔がニヤけてるぞ」
そりゃニヤけるよね。僕が魔法を使えるのは今は内緒なんだもの。内緒にしてるのが苦しいとかってのは無いけど、たまには自由に魔法を使いたいって思うことはあるよ。
「ひい~、もうムリッ、ムリだからぁ~」
「遠慮しなくて良いぞ。オレは寛大だからな」
「だからもぉぉぉ、はっ、ほいっ、休憩させてくれー」
「話せる余裕があるうちは大丈夫だ」
「うそぉ~」
マシューも疲れたみたいで、僕の隣の地面に座り込んだ。二人で仲良く四人の練習風景?を見学だ。聞こえてくるのはミンツさんの情けない声と、楽しそうな三人の声。リロイさんの宣言通り、ミンツさんはしっかりと激励されてるようだ。
「そろそろミンツさんが限界だね」
「いや、もう少しイケる。他の三人がミンツさんの疲れ具合に合わせてるからな。たぶん限界までやるんじゃないか?」
「うわあ……」
リロイさんたち『刃の光』のメンバーは、かなりスパルタな人たちだったみたい。ミンツさん亡き後の、僕たちの運命が偲ばれる……なんてね。
「よし。これくらいにしておいてやろう。しっかり休憩しとけよ」
「うー……」
「ほれっ。これでも飲んどけ」
「ぃ~っす」
ミンツさんはヘロヘロな様子で、休憩になった途端そのまま地面に仰向けになっちゃった。最後の方はフラフラになってたからね、かなり疲れたと思う。さっきも思ったけど、このチームはかなりスパルタだ。
でもあの四人の中で疲れてるのは、ミンツさんだけなんだよ。リロイさんたちはまだまだ余裕ってカンジ。と言うことは……、今度は僕たちの番だ。
「スマンスマン。ちょっとはしゃぎ過ぎた。待たせたな」
「お疲れ様です。休憩しなくても良いんですか?」
「休憩しながら教えるから大丈夫だ。マシュー君はオレが相手だな。セイン君は、ウィード! お願いできるか?」
「りょーかい。じゃあセイン君こっち来て」
「あ、ハイ。お願いします!」
ウィードさんは僕に素振りをさせて、それを見ながらちょっとしたクセとかを指摘してくれた。ほんの僅かだけど重心が左に寄ってるんだって。自分では全然気付かなかった。クセ自体は直ぐには治らないけど、これから気を付けることで無くなるんじゃないかな。今後は時々マシューに確認してもらおうって思った。
素振りの次は打ち込み。ウィードさんの木剣に向かって、僕が打ち込むんだ。指示された型、向きで打ち込んで、しっかり出来たら次の型ってカンジ。たぶん2年生になったら最初に習うことなんだろうね。基礎の基礎って言ってたもの。
前世では一応第5騎士団に所属してたけど、こうやって基礎を習ったことは無かったんだ。当時あそこは平民が入れる唯一の騎士団だったからね、入団してから実力が付いたってカンジかな。先輩とか強い人は沢山いたけど、そのほとんどが我流だったんだ。
「そろそろ休憩するかい? 腕が疲れただろう」
「いいですか? すいません。授業で使ってる剣より重いんで、結構キツイです」
「木剣とは言え大人用だからね。よく頑張ったと思うよ」
「ありがとうございます」
マシューはまだ頑張ってるよ。僕は基礎の基礎だったけど、マシューはその先のことをやってるみたい。リロイさんとマシューだと実力的には雲泥の差だけど、マシューがちょこまか動くからやり難いみたい。でも楽しそうだよ。
「セイン君は魔法科だっけ? 魔法は何系統の素質持ち?」
「回復、防御、風、水です」
「四系統! すごいねぇ。四系統ってかなり珍しいんじゃないか?」
「そうですね。いないわけじゃないけど少ないですね」
「魔力量は?」
「多いですよ。おかげで全免除の特待生になれました」
「だよねぇ。将来的には魔術塔に呼ばれるかもしれないね」
ウィードさんは学園の卒業生だし、今も契約冒険者として学園に関わってるから、特待生の条件とかは知ってるみたい。全免除はとても少ないんだよ。ただその条件が僕の実力ってワケじゃなく、単なる素質ってのが微妙だよね。その代わり極端に成績が落ちた場合、全免除が無くなる可能性はあるらしいよ。
「おっ、ミンツが復活したみたいだな」
「ホントだ」
ウィードさんの言葉に振り向くと、ミンツさんとクラスティさんが打ち合いを始めたところだった。さっきまであんなにヘロヘロだったのに、回復力がすごい。もしかして慣れてるのかも。
「セイン君はもう少し休憩してて。オレはあっちに参戦してくる」
「あ、ハイ!」
ミンツさんたちを見て、ウィードさんはウズウズしちゃったみたい。木剣から刃を潰した剣に持ち替えて、ミンツさんに向かってったよ。ウィードさんからしたら僕の相手は休憩みたいなものなんだろうね、気力十分ってカンジだった。
それはリロイさんも同じみたいで、唐突にマシューの訓練が終わったよ。マシューに短い言葉を呟いて、それからウィードさんと同じようにミンツさんに向かって行ったんだ。すごいなぁ。ちょっと呆れるレベルかも。
「お疲れ、マシュー。突然終わった風に見えたけど?」
「おう。『スマン、とりあえずここまでだ』だってさ。彼らにしてみれば、ミンツさんが回復するまでの時間潰しみたいなもんだろう? オレたちにとっては、いろいろ教えて貰えてありがたいけどな」
「そうだね。こうやって基礎から教えて貰えるなんて、思ってもみなかったよ」
どんな理由であれ無償で教えて貰えるなんて普通は無いことだから、本当にありがたいと思う。
僕とマシューはのんびり休憩しながら、お互いに指摘されたことを教えあった。お互いがお互いの改善点を知っておけば、ふと見たときに指摘し合えるからね。上達したいなら必要なことだ。今後は僕もマシューみたいに、時々は寮の部屋で素振りした方が良いのかも。
「なあ……、セインもあの中の誰かと試合してみないか?」
「えっ、無理だよ。僕はまだ素振りの人だよ」
リロイさんたちを見ながら、マシューはとんでもないことを提案してきた。基礎の基礎を教えてもらってる僕が剣の達人と試合なんて、できるわけないよね。もしやったとしても、試合開始と同時に終了だよ。たぶん頭に大きなタンコブが出来るんじゃないかな。
「セインには魔法があるじゃん」
「魔法を披露するってこと?」
「せっかくのチャンスだし、たまには伸び伸びと魔法を使いたいだろう? リロイさんたちならお願いしたら黙っててくれそうじゃん。と言うか、言えないと思う」
「え~、どうしよう……」
「とか言いながら顔がニヤけてるぞ」
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