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2年
2年生になりました2
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新しいクラスでの初顔合わせが終わった後は、大図書館にも行かず真っ直ぐ寮に帰ってきた。早朝の悪夢のおかげで寝不足だったからね、昼寝でもしようかと思ったんだ。そう言えばお昼も食べてないや。今まではマシューたちと一緒だったけど、これからはどうしようかな? のんびりとベッドに寝そべって、そんなことを考えてたり。
ほどなくマシューも帰って来たので、学園の外へランチを食べに行くことにした。休日じゃないから寮の食堂が閉まってたの。わざわざ学び舎の食堂へ行く気にもならなかったから、気分転換に外食ってこと。
「新しいクラスはどうだった?」
「うーん、十人て少ないね。教室がガランとしすぎ」
「こっちも同じ十人だけどさ、聞いてくれよ! 騎士科の4組は十人のうち七人が女子なんだぜ。おかげでものすごく煩い」
「へぇ~。こっちは逆で、女子は三人だけだよ。クラス自体はまだ静か」
「羨ましい。オレたち男子は初日から肩身が狭いよ」
「あははっ」
騎士科って男子の方が多いんだよ。なのに2年の優秀クラスは女子が多いんだね。やっぱり女の子の方が成長が早いからなのかな。女子の迫力に圧されてタジタジになってるマシューが目に浮かぶ。
「マシューより背の高い女の子とかいそうだね」
「おう。て言うか、オレは小さい方から二番目だった。男子ではオレが一番チビ」
「プハッ!」
「笑うなよ。セインだって同じじゃんか」
「今は微妙に僕の方が背が高いよね?」
「くそぉ。前世までの経験だと、そろそろググンと伸びるハズなんだぜ。見てろよ」
「ふふっ」
最近ほんのちょっとだけ僕の身長が伸びたんだ。だからマシューがものすごーく悔しがってるの。僕もマシューもそろそろ成長期……のはず。二人ともチビって言われるのに飽きてきたしね。
再び寮に戻った後は、お互いの時間割を比べながら一緒に受ける選択科目を選んでいった。受けたい教科の中で同じのがあったら、なるべく同じ時間のを取りたいし。と言っても方向性が違うから、一緒に受ける教科は少ないんだけど……。
「これ受けたいなぁ」
「ん? 『魔道具入門』かぁ。そのうちに魔法科で習うんじゃないの?」
「たしか4年になってからだったと思う。それより前に、興味ある人は受けても良いってことだと思うな。飛び級を考えてる人向けなのかも」
選択科目は沢山あるけど、その中には学年が上がったときに受ける授業もチラホラあった。今僕が言った『魔道具入門』もそうだし、『精霊魔法入門』てのもあった。こっちの方もたしか4年から始まる科目だったと思う。つまり飛び級を考えてる人は、上級生になったときの授業を先取りしておくってことだね。そうすることで飛び級後の授業をラクに受けれるってことなんだと思う。
「飛び級するのか?」
「実は迷ってる。まだ2年になったばかりだし、考える時間はたくさんあるけどね。でも上級学園の授業は興味あるんだ。のんびりするのも良いけど、もっといろいろ学びたいって気持ちもあるし」
「良いんじゃないか。一気に6年まで終わらせたら目立つけど」
「さすがにそれはムリッ!」
話し合いの結果、『帳簿入門』と『正式文書作成入門』、『国法入門』を一緒に申し込むことにした。僕たちの知識は前世のものだから、きっと今とは違う部分があると思うんだ。だからそれを新しく学んで行こうってワケ。ここらへんのは学園を卒業してから必要になる可能性があるからね、勉強して損は無いってこと。ちなみにこれらは文官科や商科の生徒なら必須の科目なんだよ。
その他には『剣初級』や『乗馬入門』なんかも取った。申し込み期日まで三日あるから、他にもいろいろ選択する予定だ。
「ねえマシュー、『野営料理入門』なんてものあるよ」
「げっ! オレは絶対取らんぞ」
「ちゃんと勉強したら、少しは料理できるようになるんじゃない?」
「だが断る。前々世でオレのオフクロがじっくり仕込んだ末の結論はな、『食べものを無駄にしたくないなら料理はするな』だ。才能が無いことを受け入れるのも勇気なんだぜ」
「それって開き直るってことだね。でも……うん、そうだね。僕もオススメするのはヤメとくよ」
この科目は今年新設されたらしい。ものすごーく興味があるから、余裕があったら受けてみようかな。
まあこんなカンジで、ゆるゆると新学期が始まった。
魔法科の1組にはフィラー先生の他に副担任が三人いて、いろんなサポートをしてくれるんだよ。僕たちは四、三、三の人数でグループ分けし、その単位で副担任が面倒をみてくれるんだ。ちなみに僕はA班。僕以外の三人は平民で、1組の平民は全員A班だ。B班はティタン君とその取り巻き。C班はカラフィロ君と残りの二人。カラフィロ君は高位貴族だから、班分けの時先生が気を使ったんだと思う。
僕たちA班の副担任はマイラ先生と言って、優しそうな女性の先生なんだ。副担任の中ではマイラ先生だけが平民で、一応この学園は表向きは身分差別はしないって謳ってるけど、内情はいろいろ苦労してるってのが伺えた。
「初めまして、ロゼッタ・マイラです。セイン君、ランス君、ゼフィム君、ライムさん、一年間よろしくね。分からないことは担当教科の先生か私に質問してくださいね。授業を受けるときは、なるべくこの四人で固まって座ってくれると嬉しいかな。そうしてくれたら、先生は皆のすぐ後ろに座ろうと思うの。後ろからしっかり見てるからね、授業はサボっちゃダメよ」
この複数教師での指導体制は、どの科でも導入してるんだ。授業によっては、副担任の代わりに複数のサポート講師が付く。だから学園には先生と呼ばれる人がたくさんいるんだ。リロイさんたちみたいな契約冒険者もいるしね。学園の授業料が高額になるのも理解できる。トーマ君が授業料免除の資格を得るために入学試験を受け直したって気持ちも良く分かる。そう考えると僕って恵まれてるね。
お昼はA班全員で食べに行ったよ。これから同じ班でやっていくから、プチ親睦会みたいなものかな。マシューも同じ騎士科の生徒と一緒にごはんを食べてるのが見えたから、僕の方から手を振っておいた。
A班になったランス君とゼフィム君は1年では別のクラスだったから、実は今日初めて話したんだ。二人とも気さくな人っぽくて安心。これだったら仲良くできるような気がするな。ライムさんは同じ回復系だし特別授業でも一緒だから、まあまあ気心は知れてるかな。
「セイン君は貴族だったの? うわあ、おてやわらかに!」
「えー、学園じゃ貴族とか平民とかって関係ないよ」
「そうは言ってもなぁ……」
「大丈夫。セイン君は全然貴族っぽくないから。私が保証する」
「ライムさんだっけ? セイン君と同じクラスだったんだ」
「セイン君はね、授業以外では結構おっとりしてるよ。1年のときは、よくマシュー君に頭を撫でられてた」
「あはは……」
良く見てることで……。
まあ、このメンバーなら仲良くやれるかな。食後も席を立たず全員で雑談しながら、僕はそんなことを思った。
ほどなくマシューも帰って来たので、学園の外へランチを食べに行くことにした。休日じゃないから寮の食堂が閉まってたの。わざわざ学び舎の食堂へ行く気にもならなかったから、気分転換に外食ってこと。
「新しいクラスはどうだった?」
「うーん、十人て少ないね。教室がガランとしすぎ」
「こっちも同じ十人だけどさ、聞いてくれよ! 騎士科の4組は十人のうち七人が女子なんだぜ。おかげでものすごく煩い」
「へぇ~。こっちは逆で、女子は三人だけだよ。クラス自体はまだ静か」
「羨ましい。オレたち男子は初日から肩身が狭いよ」
「あははっ」
騎士科って男子の方が多いんだよ。なのに2年の優秀クラスは女子が多いんだね。やっぱり女の子の方が成長が早いからなのかな。女子の迫力に圧されてタジタジになってるマシューが目に浮かぶ。
「マシューより背の高い女の子とかいそうだね」
「おう。て言うか、オレは小さい方から二番目だった。男子ではオレが一番チビ」
「プハッ!」
「笑うなよ。セインだって同じじゃんか」
「今は微妙に僕の方が背が高いよね?」
「くそぉ。前世までの経験だと、そろそろググンと伸びるハズなんだぜ。見てろよ」
「ふふっ」
最近ほんのちょっとだけ僕の身長が伸びたんだ。だからマシューがものすごーく悔しがってるの。僕もマシューもそろそろ成長期……のはず。二人ともチビって言われるのに飽きてきたしね。
再び寮に戻った後は、お互いの時間割を比べながら一緒に受ける選択科目を選んでいった。受けたい教科の中で同じのがあったら、なるべく同じ時間のを取りたいし。と言っても方向性が違うから、一緒に受ける教科は少ないんだけど……。
「これ受けたいなぁ」
「ん? 『魔道具入門』かぁ。そのうちに魔法科で習うんじゃないの?」
「たしか4年になってからだったと思う。それより前に、興味ある人は受けても良いってことだと思うな。飛び級を考えてる人向けなのかも」
選択科目は沢山あるけど、その中には学年が上がったときに受ける授業もチラホラあった。今僕が言った『魔道具入門』もそうだし、『精霊魔法入門』てのもあった。こっちの方もたしか4年から始まる科目だったと思う。つまり飛び級を考えてる人は、上級生になったときの授業を先取りしておくってことだね。そうすることで飛び級後の授業をラクに受けれるってことなんだと思う。
「飛び級するのか?」
「実は迷ってる。まだ2年になったばかりだし、考える時間はたくさんあるけどね。でも上級学園の授業は興味あるんだ。のんびりするのも良いけど、もっといろいろ学びたいって気持ちもあるし」
「良いんじゃないか。一気に6年まで終わらせたら目立つけど」
「さすがにそれはムリッ!」
話し合いの結果、『帳簿入門』と『正式文書作成入門』、『国法入門』を一緒に申し込むことにした。僕たちの知識は前世のものだから、きっと今とは違う部分があると思うんだ。だからそれを新しく学んで行こうってワケ。ここらへんのは学園を卒業してから必要になる可能性があるからね、勉強して損は無いってこと。ちなみにこれらは文官科や商科の生徒なら必須の科目なんだよ。
その他には『剣初級』や『乗馬入門』なんかも取った。申し込み期日まで三日あるから、他にもいろいろ選択する予定だ。
「ねえマシュー、『野営料理入門』なんてものあるよ」
「げっ! オレは絶対取らんぞ」
「ちゃんと勉強したら、少しは料理できるようになるんじゃない?」
「だが断る。前々世でオレのオフクロがじっくり仕込んだ末の結論はな、『食べものを無駄にしたくないなら料理はするな』だ。才能が無いことを受け入れるのも勇気なんだぜ」
「それって開き直るってことだね。でも……うん、そうだね。僕もオススメするのはヤメとくよ」
この科目は今年新設されたらしい。ものすごーく興味があるから、余裕があったら受けてみようかな。
まあこんなカンジで、ゆるゆると新学期が始まった。
魔法科の1組にはフィラー先生の他に副担任が三人いて、いろんなサポートをしてくれるんだよ。僕たちは四、三、三の人数でグループ分けし、その単位で副担任が面倒をみてくれるんだ。ちなみに僕はA班。僕以外の三人は平民で、1組の平民は全員A班だ。B班はティタン君とその取り巻き。C班はカラフィロ君と残りの二人。カラフィロ君は高位貴族だから、班分けの時先生が気を使ったんだと思う。
僕たちA班の副担任はマイラ先生と言って、優しそうな女性の先生なんだ。副担任の中ではマイラ先生だけが平民で、一応この学園は表向きは身分差別はしないって謳ってるけど、内情はいろいろ苦労してるってのが伺えた。
「初めまして、ロゼッタ・マイラです。セイン君、ランス君、ゼフィム君、ライムさん、一年間よろしくね。分からないことは担当教科の先生か私に質問してくださいね。授業を受けるときは、なるべくこの四人で固まって座ってくれると嬉しいかな。そうしてくれたら、先生は皆のすぐ後ろに座ろうと思うの。後ろからしっかり見てるからね、授業はサボっちゃダメよ」
この複数教師での指導体制は、どの科でも導入してるんだ。授業によっては、副担任の代わりに複数のサポート講師が付く。だから学園には先生と呼ばれる人がたくさんいるんだ。リロイさんたちみたいな契約冒険者もいるしね。学園の授業料が高額になるのも理解できる。トーマ君が授業料免除の資格を得るために入学試験を受け直したって気持ちも良く分かる。そう考えると僕って恵まれてるね。
お昼はA班全員で食べに行ったよ。これから同じ班でやっていくから、プチ親睦会みたいなものかな。マシューも同じ騎士科の生徒と一緒にごはんを食べてるのが見えたから、僕の方から手を振っておいた。
A班になったランス君とゼフィム君は1年では別のクラスだったから、実は今日初めて話したんだ。二人とも気さくな人っぽくて安心。これだったら仲良くできるような気がするな。ライムさんは同じ回復系だし特別授業でも一緒だから、まあまあ気心は知れてるかな。
「セイン君は貴族だったの? うわあ、おてやわらかに!」
「えー、学園じゃ貴族とか平民とかって関係ないよ」
「そうは言ってもなぁ……」
「大丈夫。セイン君は全然貴族っぽくないから。私が保証する」
「ライムさんだっけ? セイン君と同じクラスだったんだ」
「セイン君はね、授業以外では結構おっとりしてるよ。1年のときは、よくマシュー君に頭を撫でられてた」
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