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第4章 オルダニアの春
第14話 戴冠
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「許してくれ、我が愛しい子よ。お前が生まれるとき、お告げがあったのだ。『今度生まれる子は、後にエルフを率い、オルダニアを救うだろう。ただしそのためには、一度その子を手放さねばならない。子を失った人間に与え、人間の中で育つ必要がある』と。お前を手放すのがどれほど辛かったか。空と大地からの言葉を、恨みに思うことさえあった。それが、こんなに立派になって、本当に戻ってくるとは。お前の母はそれからずっと塞ぎ込んでいる。ああ、早く彼女にも、娘が無事に戻ってきたと伝えてくれ」
イシオルドは興奮のあまり一気にまくしたて、それからウォルターに向き直った。
「そしてその娘をここへ運んだのが、エルフの古き友であったとは。これ以上の喜びがあろうか。歓迎する。好きなだけここにいてくれて構わない。よく食べて休むといい」
その言葉に、ウォルターはギアルヌを代表して恭しくお礼した。
父の話はそれだけに止まらなかった。弟のイシリベールが目配せすると、彼は改まってヒルダに告げた。
「戻った早々で困惑するだろうが、ヒルドリアよ、話した通りだ。お前は我々エルフを率い、オルダニアを救う使命を持って生まれたのだ。お告げに従い人間の町で育ち、そしてここへ戻ってきた。私は、エルフ王の位を、お前に譲りたいのだ」
イシオルドは娘が何か言い出す前に、強い口調で付け加えた。
「わかっている。ことを急ぎすぎているのは。しかし、残念ながら私も長くはない。あとのことは、お前をしっかり補佐するように、イシリベールにもよく伝えてある」
ヒルダの胸に去来したのは、責務の重さよりも、せっかく再開できた父と、またすぐに別れ、そして今度は永遠に会えなくなるのだという寂寥感だった。
ヒルダは父の胸にしがみついた。こぼれそうになる涙を抑えて、今度は真っ直ぐに彼を捉える。
「私に何ができるかわかりませんが、私は、空と大地のお告げに従います」
歓迎の宴はすぐさま戴冠式へと変わった。森中のエルフが屋敷の内に外に集まり、一帯がにわかに華やぐ。シカやキツネ、ウサギにリスに鳥たちも敬意を表しにやってきた。
ヒルダは真っ白な、裾を引きずるドレスに着替え、謁見の間で現王である父から冠を授けられた。それは銀でできていて、『金の鉱山』から採れた金で装飾されていた。全体的に蔦と葉を模していて、華奢でありながら華麗であった。
彼らはバルコニーから挨拶に出た。現王の父と、叔父のイシリベールに挟まれて、ヒルダとウォルターと、アーノルドとルートも並ぶ。
屋敷の奥からは、やつれながらも頬に赤みのさした貴婦人が、幾人もの従者に囲まれて出てきた。母だった。
「ヒルドリア女王」
と、皆に向けて紹介され、ヒルダは一歩進み出た。
今まで一度も袖を通したことのない美しいドレスに身を包み、集まった大勢に期待の眼差しを向けられる初めての経験に、ヒルダは一言も言葉が出てこなかった。
「何か答えてあげなよ」
と、ウォルターにそっと耳打ちされて、彼女はようやく、おずおずと片手を持ち上げて振った。
「おおー!」
と、歓声が上がる。
ヒルダはそれに応えるように、振る手に力を込めた。大きく、高く、最後は、頭の上に持ち上げた。
拍手と喝采。シカはツノを付き合って鳴らし、鳥は歌った。
その瞬間、まるで波が起きるかのように春が広がり、森から先の雪原を溶かし、土を目覚めさせた。草は生い茂り、花は色とりどりに咲き乱れ、木は実をつける。
春だ。
冬を目前に控えた大地が、最後の抵抗とばかりに、ヒルダの帰還を祝福し、春の姿を見せたのだ。
自然の確かな息吹を感じて、エルフもギアルヌも歓喜した。遠く、『金の鉱山』を目指す仲間たちもそれを感じ取っていた。瞬間的な霊力は、オルダニア全土の時を進めて春を呼ぶほどではなかったが、その暖かさが必要な幾つかの場所には届いた。
ちょうどリチャードが、『神吹の湖』の前にひれ伏したのと同じ瞬間であった。
一通りの式を終え、熱も引き、母との再会も喜びあったヒルダは、主たる者たちと執務室へ入った。
父イシオルド、叔父のイシリベール、そして数人の執政官と、ウォルターにアーノルドとルートだ。
ぐるりとテーブルを囲んだ彼らの中で、退任したイシオルドがそっとヒルダに呼びかけた。
「さて、ヒルドリアよ。まずどのようなことでも、心に浮かんだことを口にしてごらんなさい」
そう言われて、ヒルダはぐるりと一堂の顔を見回して、それから目を閉じた。
今までのこと。育ての親、『崖の町』、顔も見たことのない統治者のエドマンド、壁を直すギアルヌたち、ウォルターとの出会い、ヘンリーに髪を切ってもらったこと、旅路、『馬蔵山』の凍った橋。
彼女の頭に千万の想いが駆け巡った。
だが、何よりも彼女を突き動かしたのは、これだった。
「声が聞こえるの。ずっと」
と、ヒルダは目を開けた。
「私に助けを求めている」
一堂は椅子から背を離した。
「それは、どこから?」
と、イシリベールが急くのを、イシオルドが止めた。
「わからない。どこからか。誰なのか。助けて……。助けて……」
ヒルダは父に向かった。
「もしかしたら、私自身の心の声だったのかもしれない。育ててくれた人間の両親が亡くなってから、ウォルターに出会うまで、ずっと一人だった」
「彼らには心から感謝している。我が娘をここまで立派に育ててくれて。彼らには、お前を託すときに一度会っただけだ。それが今は残念でならない」
父の思いやりを感じながらも、ヒルダはあの声がまた聞こえないか、耳を傾けていた。
「ヒルドリア」
と、今度こそ叔父が割り込んだ。
「我々が聞くのは人の声ばかりではない。空の声、大地の声、動植物の場合もある。あるいは、ずっと離れたところに暮らす、会ったこともない人物かもしれない。過去の声かもしれなければ、未来の声かもしれないのだ」
それはヒルダにとって、大きなヒントになった。
「未来の声……」
そう思ったとき、一気にヴィジョンが見えた。
「彼は『北の獄塔』にいる。凍えているわ」
ヒルダは立ち上がった。
「『助けて』……、ううん、違う。彼は、自分のことを言ってない。彼は自分よりも大切な人を、凍えながら必死に祈っている。『助けて。助けてやってくれ。どうか、誰か、リチャード様を!』」
それを聞いて、執政官が意見した。
「物見の報告によると、明日、エセルバートの配下の一団が、『北の獄塔』へ到着するようです」
ヒルダとウォルターは目を見合わせた。
イシオルドは興奮のあまり一気にまくしたて、それからウォルターに向き直った。
「そしてその娘をここへ運んだのが、エルフの古き友であったとは。これ以上の喜びがあろうか。歓迎する。好きなだけここにいてくれて構わない。よく食べて休むといい」
その言葉に、ウォルターはギアルヌを代表して恭しくお礼した。
父の話はそれだけに止まらなかった。弟のイシリベールが目配せすると、彼は改まってヒルダに告げた。
「戻った早々で困惑するだろうが、ヒルドリアよ、話した通りだ。お前は我々エルフを率い、オルダニアを救う使命を持って生まれたのだ。お告げに従い人間の町で育ち、そしてここへ戻ってきた。私は、エルフ王の位を、お前に譲りたいのだ」
イシオルドは娘が何か言い出す前に、強い口調で付け加えた。
「わかっている。ことを急ぎすぎているのは。しかし、残念ながら私も長くはない。あとのことは、お前をしっかり補佐するように、イシリベールにもよく伝えてある」
ヒルダの胸に去来したのは、責務の重さよりも、せっかく再開できた父と、またすぐに別れ、そして今度は永遠に会えなくなるのだという寂寥感だった。
ヒルダは父の胸にしがみついた。こぼれそうになる涙を抑えて、今度は真っ直ぐに彼を捉える。
「私に何ができるかわかりませんが、私は、空と大地のお告げに従います」
歓迎の宴はすぐさま戴冠式へと変わった。森中のエルフが屋敷の内に外に集まり、一帯がにわかに華やぐ。シカやキツネ、ウサギにリスに鳥たちも敬意を表しにやってきた。
ヒルダは真っ白な、裾を引きずるドレスに着替え、謁見の間で現王である父から冠を授けられた。それは銀でできていて、『金の鉱山』から採れた金で装飾されていた。全体的に蔦と葉を模していて、華奢でありながら華麗であった。
彼らはバルコニーから挨拶に出た。現王の父と、叔父のイシリベールに挟まれて、ヒルダとウォルターと、アーノルドとルートも並ぶ。
屋敷の奥からは、やつれながらも頬に赤みのさした貴婦人が、幾人もの従者に囲まれて出てきた。母だった。
「ヒルドリア女王」
と、皆に向けて紹介され、ヒルダは一歩進み出た。
今まで一度も袖を通したことのない美しいドレスに身を包み、集まった大勢に期待の眼差しを向けられる初めての経験に、ヒルダは一言も言葉が出てこなかった。
「何か答えてあげなよ」
と、ウォルターにそっと耳打ちされて、彼女はようやく、おずおずと片手を持ち上げて振った。
「おおー!」
と、歓声が上がる。
ヒルダはそれに応えるように、振る手に力を込めた。大きく、高く、最後は、頭の上に持ち上げた。
拍手と喝采。シカはツノを付き合って鳴らし、鳥は歌った。
その瞬間、まるで波が起きるかのように春が広がり、森から先の雪原を溶かし、土を目覚めさせた。草は生い茂り、花は色とりどりに咲き乱れ、木は実をつける。
春だ。
冬を目前に控えた大地が、最後の抵抗とばかりに、ヒルダの帰還を祝福し、春の姿を見せたのだ。
自然の確かな息吹を感じて、エルフもギアルヌも歓喜した。遠く、『金の鉱山』を目指す仲間たちもそれを感じ取っていた。瞬間的な霊力は、オルダニア全土の時を進めて春を呼ぶほどではなかったが、その暖かさが必要な幾つかの場所には届いた。
ちょうどリチャードが、『神吹の湖』の前にひれ伏したのと同じ瞬間であった。
一通りの式を終え、熱も引き、母との再会も喜びあったヒルダは、主たる者たちと執務室へ入った。
父イシオルド、叔父のイシリベール、そして数人の執政官と、ウォルターにアーノルドとルートだ。
ぐるりとテーブルを囲んだ彼らの中で、退任したイシオルドがそっとヒルダに呼びかけた。
「さて、ヒルドリアよ。まずどのようなことでも、心に浮かんだことを口にしてごらんなさい」
そう言われて、ヒルダはぐるりと一堂の顔を見回して、それから目を閉じた。
今までのこと。育ての親、『崖の町』、顔も見たことのない統治者のエドマンド、壁を直すギアルヌたち、ウォルターとの出会い、ヘンリーに髪を切ってもらったこと、旅路、『馬蔵山』の凍った橋。
彼女の頭に千万の想いが駆け巡った。
だが、何よりも彼女を突き動かしたのは、これだった。
「声が聞こえるの。ずっと」
と、ヒルダは目を開けた。
「私に助けを求めている」
一堂は椅子から背を離した。
「それは、どこから?」
と、イシリベールが急くのを、イシオルドが止めた。
「わからない。どこからか。誰なのか。助けて……。助けて……」
ヒルダは父に向かった。
「もしかしたら、私自身の心の声だったのかもしれない。育ててくれた人間の両親が亡くなってから、ウォルターに出会うまで、ずっと一人だった」
「彼らには心から感謝している。我が娘をここまで立派に育ててくれて。彼らには、お前を託すときに一度会っただけだ。それが今は残念でならない」
父の思いやりを感じながらも、ヒルダはあの声がまた聞こえないか、耳を傾けていた。
「ヒルドリア」
と、今度こそ叔父が割り込んだ。
「我々が聞くのは人の声ばかりではない。空の声、大地の声、動植物の場合もある。あるいは、ずっと離れたところに暮らす、会ったこともない人物かもしれない。過去の声かもしれなければ、未来の声かもしれないのだ」
それはヒルダにとって、大きなヒントになった。
「未来の声……」
そう思ったとき、一気にヴィジョンが見えた。
「彼は『北の獄塔』にいる。凍えているわ」
ヒルダは立ち上がった。
「『助けて』……、ううん、違う。彼は、自分のことを言ってない。彼は自分よりも大切な人を、凍えながら必死に祈っている。『助けて。助けてやってくれ。どうか、誰か、リチャード様を!』」
それを聞いて、執政官が意見した。
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