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結婚前
小さなダイア光る指輪事件!
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「生活費が足りないから20万円借りたい。」
彼が私にお金を借りたいと頼み込んできたのは、指輪を二人で購入してから数日後の事だった。
私達が結婚前提のお付き合いを始めてから、ちょうど一年。
夏になったら結婚をすると決めて、桜が咲き始めるこの肌寒い時期に、結婚指輪と婚約指輪を買ったのだ。
全部で20万円ほどだったが、彼がお金が足りないと言うので、私が半分出してあげた。
すこし昔は、男が給料の三ヶ月分の指輪を買うことが当たり前の時代であったが、今は男女で折半するのもよくある話だった。
だから、この時の私は、彼に多額の借金があるなど疑うよしもなかった。
「なんで?あんた、有名な大手ホワイト企業に務めて、高給取りじゃないの?なんでお金がないの?」
「いや、指輪買ったからお金無くなっちゃったんだよ~。」
「高給取りなのに、貯金してないの?」
彼に詰め寄ると、口をモゴモゴと動かしただけで、その場で固まってしまった。
「ねえ、どういうこと?なんでお金が無いの?」
更に詰め寄ると、彼はゆっくりと口を開き、とんでもない事を言い出した。
「実は借金して指輪を買ったんだよ。でも、買ってあげたんだから、嬉しいでしょ?だから、お金貸して。」
「は?貯金してなくてお金が無いから、借金して、あの指輪を買ったってこと?」
「そうだよ。無理して買ってあげたんだ。ありがとうは?」
彼は笑いながら、私にお礼を要求してきた。
借金をしてまで指輪を購入し、後で私にお金を貸してくれと頼むということは、私が指輪を全額払って購入したも同然である。それだけではない。借りる側が貸す側にお礼をせがむという、全く持って理解しがたい要求をしてきたのだ。
「わるいけど、お金は貸さない。」
「え?なんで?僕が生活に困っても良いの?」
「お金が無いなら、節約すれば?数十万円の腕時計をいくつか持ってるのを知ってるよ。それを質屋にでも入れて、お金にすれば良い。とにかく、私は貸さない。」
「わかったよ。しばらくは、趣味に使うお金を減らすよ。」
きっぱりと、貸さないことを伝えると、彼は遊び代を減らすと答えた。遊びたいがために、私に生活費が無いと、ウソを言ってお金をせがんだのだ。
しかし、彼は悪びれることなく、これからのデートプランを言ってきた。
「これから晩御飯食べに行こうよ。」
お金が無いのに、外食をしたいということである。つまり、私がおごらなければならない。
「嫌。」
「なんで?」
「おごりたくない。」
「僕と一緒に食べるの嫌なの?」
「いや、おごりたくないだけ。」
私は段々と嫌気が差し、密着してくる彼の腕を振りほどいた。
「僕と一緒にいたくない?」
「うん。いたくない。今日は帰るわ。さようなら。」
バイバイと手を振り、私は駅のホームへ足を進める。
「え、待ってよ!ねえ!待ってよ!」
私を引き留める彼の必死な声は、梅田を行き交う人々の足音に紛れ、次第に聞こえなくなっていった。
ガタンゴトンと揺れる電車。絶対座りたい派なので、次発の電車がくるのを待つ。そして、端っこに座る。混雑している電車に座っているというのは、とても気持ちが良い。
スマホを見ると、彼からのメッセージが沢山きていたが、謝罪の言葉が並ぶ画面を、そっと閉じた。
彼が私にお金を借りたいと頼み込んできたのは、指輪を二人で購入してから数日後の事だった。
私達が結婚前提のお付き合いを始めてから、ちょうど一年。
夏になったら結婚をすると決めて、桜が咲き始めるこの肌寒い時期に、結婚指輪と婚約指輪を買ったのだ。
全部で20万円ほどだったが、彼がお金が足りないと言うので、私が半分出してあげた。
すこし昔は、男が給料の三ヶ月分の指輪を買うことが当たり前の時代であったが、今は男女で折半するのもよくある話だった。
だから、この時の私は、彼に多額の借金があるなど疑うよしもなかった。
「なんで?あんた、有名な大手ホワイト企業に務めて、高給取りじゃないの?なんでお金がないの?」
「いや、指輪買ったからお金無くなっちゃったんだよ~。」
「高給取りなのに、貯金してないの?」
彼に詰め寄ると、口をモゴモゴと動かしただけで、その場で固まってしまった。
「ねえ、どういうこと?なんでお金が無いの?」
更に詰め寄ると、彼はゆっくりと口を開き、とんでもない事を言い出した。
「実は借金して指輪を買ったんだよ。でも、買ってあげたんだから、嬉しいでしょ?だから、お金貸して。」
「は?貯金してなくてお金が無いから、借金して、あの指輪を買ったってこと?」
「そうだよ。無理して買ってあげたんだ。ありがとうは?」
彼は笑いながら、私にお礼を要求してきた。
借金をしてまで指輪を購入し、後で私にお金を貸してくれと頼むということは、私が指輪を全額払って購入したも同然である。それだけではない。借りる側が貸す側にお礼をせがむという、全く持って理解しがたい要求をしてきたのだ。
「わるいけど、お金は貸さない。」
「え?なんで?僕が生活に困っても良いの?」
「お金が無いなら、節約すれば?数十万円の腕時計をいくつか持ってるのを知ってるよ。それを質屋にでも入れて、お金にすれば良い。とにかく、私は貸さない。」
「わかったよ。しばらくは、趣味に使うお金を減らすよ。」
きっぱりと、貸さないことを伝えると、彼は遊び代を減らすと答えた。遊びたいがために、私に生活費が無いと、ウソを言ってお金をせがんだのだ。
しかし、彼は悪びれることなく、これからのデートプランを言ってきた。
「これから晩御飯食べに行こうよ。」
お金が無いのに、外食をしたいということである。つまり、私がおごらなければならない。
「嫌。」
「なんで?」
「おごりたくない。」
「僕と一緒に食べるの嫌なの?」
「いや、おごりたくないだけ。」
私は段々と嫌気が差し、密着してくる彼の腕を振りほどいた。
「僕と一緒にいたくない?」
「うん。いたくない。今日は帰るわ。さようなら。」
バイバイと手を振り、私は駅のホームへ足を進める。
「え、待ってよ!ねえ!待ってよ!」
私を引き留める彼の必死な声は、梅田を行き交う人々の足音に紛れ、次第に聞こえなくなっていった。
ガタンゴトンと揺れる電車。絶対座りたい派なので、次発の電車がくるのを待つ。そして、端っこに座る。混雑している電車に座っているというのは、とても気持ちが良い。
スマホを見ると、彼からのメッセージが沢山きていたが、謝罪の言葉が並ぶ画面を、そっと閉じた。
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