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結婚前
おとぎの国ファッションセンス事件!
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半袖だと少し肌寒い初夏。
喧嘩したり笑ったり、色々と事件が絶えないが、今日は新居となるマンションの確認をする日である。
マンションの最寄り駅で待ち合わせし、キョロキョロと辺りを見回すと、人混みの中に彼が立っているのが見えた。
「あ!いたいた!おはよう。」
私は手を振りながら、彼に小走りで近づいた。
「あぁ、おはよう。え、君のその格好、ダサくないか?」
「どこが?普通だと思うけど?」
会って早々、彼が引き気味に、私の服装に関して批判を始める。
薄いオレンジ色の上着に、濃いオレンジ色のロングスカートだ。それと、白いレース付きのスニーカー。
年齢的に今日の私はちょっと派手な色合いだが、もしてかして彼は落ち着いた色合いが好きなのだろうか。しかし、例えそうであっても、ダサいと言われる筋合いはない。
「明るすぎた?」
「いや、もっとヒラヒラした服を着てよ。」
確かに上はシンプルな形の上着だが、下はナチュラルなシワシワが良い感じの、ふんわりロングスカートだ。
「工事中のマンションを見に行って、家電を見に行かなきゃいけないのに、そんなヒラヒラの格好してどうすんの。それに、あんたの格好こそ、何それ」
ムッとしながら彼に言い返すと、彼は首をかしげた。
「僕の服、変?」
「なんでヒゲを剃ってないの。」
「休日だから。」
手入れされていない無精ヒゲは、あご周り、口、耳の下、首もとにチクチクとまばらに伸びて生えていた。
ヒゲを触る彼に、汚らしいよと、追撃の一言を放つ。
「わかったよ。そこのコンビニで剃るよ。」
近所の人に挨拶をするのに、無精ヒゲが生えた汚らしいで行こうとしていたらしい。十代の頃から独り暮らしをしている彼は、すこし常識が欠如しているようだった。
この頃の私はまだ、彼に常識を教えたら治ると思っていた。
コンビニのトイレでヒゲを剃った彼と、ダサいらしい私は、工事中のマンションを確認し、近所の人に挨拶を済ます。
「よろしくお願いします。」
「若者が越してくるなんて、嬉しいわ。」
長話も良いが、私達はこの後、買い物があるのだ。ちょっと用事が……と言って、近所のおばあちゃんにサヨナラをする。
「ねえ、君の服、ダサいよ。」
駅に向かう途中、相変わらず、彼は私の服に関して難癖をつけてくる。
耐えきれず、話し合いをするために近くの喫茶店に入る。ダサいと言われ、買い物が出来る心情ではない。私は自分を落ち着かせるために、コーヒーを注文した。
「ダサいダサいって、じゃあどんな服を着れば良いの?」
「ちょっと待って……ほら、こういうのだよ。」
彼はニコニコしながらスマホの画面を見せてきた。セット服が有名な、とあるブランドの服屋さんだ。外国のおとぎ話に出てくる女の子が着ているような、可愛いレースのヒラヒラのワンピースを売っている。一着、五万円はするだろう。
「ほら、このワンピースセット、可愛いよ!これを着てよ!」
次に見せてきた服は、十万円以上もするワンピースだ。モデルは十代半ばといったところ。とても三十路前の女が着れる服ではない。
「ポニーテールじゃなくて、ツインテールにしてよ!」
その後も彼は、はしゃぎながら、一人笑いながら、私の服や髪型の批判を続けた。一時間程度だろうか、話し続け興奮が冷めてきた彼は、こういう服を沢山着てくれと、ようやく話を終えた。
私だって黙ってはいない。これからは私のターンだ。
「あのさ、私の批判するより、お前の身なりを整えろよ。」
「え?」
私の低い声に、彼は怖気づく。なんとも弱々しい男だ。私は彼の駄目なところを次々と言い始めた。
「まず、白髪。私と年齢がそんなに違わないのに、なんで白髪なの。染めないの。パッと見て、白髪とヒゲで不潔に見えるよ。それと、服。おじいちゃんが着るようなジジ臭い色合いの服だね。それに、太い首が丸見えで、見るに耐えないよ。隠す努力してよ。あ、デブだから着れる服がそこらに売ってないの?それならしょうがないね。デブは着れる服が制限されるしね、若者が着るようなスタイリッシュなデザイン、あんたみたいな豚は着れないね。」
私は、溜まっていた何かを、彼を罵る言葉と一緒に一気に吐き出した。
呆然と聞いていた彼が、重々しく口を開なぜ酷いことを言うのかと私に訴える。
「あんたが私の服の批判をするからだよ。」
そこでようやく私の批判をしていたことに気づいたのか、彼はハッとして、その場で深々と頭を下げて謝罪をする。
「ごめんなさい。本当にごめんなさい。」
しかし、私の反撃はこれで終わらなかった。
あれから数日後、彼にメッセージを送る。通販の請求書である。約十数万円の服代だ。
「これ、払っといてね。」
喧嘩したり笑ったり、色々と事件が絶えないが、今日は新居となるマンションの確認をする日である。
マンションの最寄り駅で待ち合わせし、キョロキョロと辺りを見回すと、人混みの中に彼が立っているのが見えた。
「あ!いたいた!おはよう。」
私は手を振りながら、彼に小走りで近づいた。
「あぁ、おはよう。え、君のその格好、ダサくないか?」
「どこが?普通だと思うけど?」
会って早々、彼が引き気味に、私の服装に関して批判を始める。
薄いオレンジ色の上着に、濃いオレンジ色のロングスカートだ。それと、白いレース付きのスニーカー。
年齢的に今日の私はちょっと派手な色合いだが、もしてかして彼は落ち着いた色合いが好きなのだろうか。しかし、例えそうであっても、ダサいと言われる筋合いはない。
「明るすぎた?」
「いや、もっとヒラヒラした服を着てよ。」
確かに上はシンプルな形の上着だが、下はナチュラルなシワシワが良い感じの、ふんわりロングスカートだ。
「工事中のマンションを見に行って、家電を見に行かなきゃいけないのに、そんなヒラヒラの格好してどうすんの。それに、あんたの格好こそ、何それ」
ムッとしながら彼に言い返すと、彼は首をかしげた。
「僕の服、変?」
「なんでヒゲを剃ってないの。」
「休日だから。」
手入れされていない無精ヒゲは、あご周り、口、耳の下、首もとにチクチクとまばらに伸びて生えていた。
ヒゲを触る彼に、汚らしいよと、追撃の一言を放つ。
「わかったよ。そこのコンビニで剃るよ。」
近所の人に挨拶をするのに、無精ヒゲが生えた汚らしいで行こうとしていたらしい。十代の頃から独り暮らしをしている彼は、すこし常識が欠如しているようだった。
この頃の私はまだ、彼に常識を教えたら治ると思っていた。
コンビニのトイレでヒゲを剃った彼と、ダサいらしい私は、工事中のマンションを確認し、近所の人に挨拶を済ます。
「よろしくお願いします。」
「若者が越してくるなんて、嬉しいわ。」
長話も良いが、私達はこの後、買い物があるのだ。ちょっと用事が……と言って、近所のおばあちゃんにサヨナラをする。
「ねえ、君の服、ダサいよ。」
駅に向かう途中、相変わらず、彼は私の服に関して難癖をつけてくる。
耐えきれず、話し合いをするために近くの喫茶店に入る。ダサいと言われ、買い物が出来る心情ではない。私は自分を落ち着かせるために、コーヒーを注文した。
「ダサいダサいって、じゃあどんな服を着れば良いの?」
「ちょっと待って……ほら、こういうのだよ。」
彼はニコニコしながらスマホの画面を見せてきた。セット服が有名な、とあるブランドの服屋さんだ。外国のおとぎ話に出てくる女の子が着ているような、可愛いレースのヒラヒラのワンピースを売っている。一着、五万円はするだろう。
「ほら、このワンピースセット、可愛いよ!これを着てよ!」
次に見せてきた服は、十万円以上もするワンピースだ。モデルは十代半ばといったところ。とても三十路前の女が着れる服ではない。
「ポニーテールじゃなくて、ツインテールにしてよ!」
その後も彼は、はしゃぎながら、一人笑いながら、私の服や髪型の批判を続けた。一時間程度だろうか、話し続け興奮が冷めてきた彼は、こういう服を沢山着てくれと、ようやく話を終えた。
私だって黙ってはいない。これからは私のターンだ。
「あのさ、私の批判するより、お前の身なりを整えろよ。」
「え?」
私の低い声に、彼は怖気づく。なんとも弱々しい男だ。私は彼の駄目なところを次々と言い始めた。
「まず、白髪。私と年齢がそんなに違わないのに、なんで白髪なの。染めないの。パッと見て、白髪とヒゲで不潔に見えるよ。それと、服。おじいちゃんが着るようなジジ臭い色合いの服だね。それに、太い首が丸見えで、見るに耐えないよ。隠す努力してよ。あ、デブだから着れる服がそこらに売ってないの?それならしょうがないね。デブは着れる服が制限されるしね、若者が着るようなスタイリッシュなデザイン、あんたみたいな豚は着れないね。」
私は、溜まっていた何かを、彼を罵る言葉と一緒に一気に吐き出した。
呆然と聞いていた彼が、重々しく口を開なぜ酷いことを言うのかと私に訴える。
「あんたが私の服の批判をするからだよ。」
そこでようやく私の批判をしていたことに気づいたのか、彼はハッとして、その場で深々と頭を下げて謝罪をする。
「ごめんなさい。本当にごめんなさい。」
しかし、私の反撃はこれで終わらなかった。
あれから数日後、彼にメッセージを送る。通販の請求書である。約十数万円の服代だ。
「これ、払っといてね。」
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