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第3章 前世の私が邪魔して、今世の貴方の気持ちがわかりません
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屋台で購入したものをすぐに食べられるよう、広場には至る所にベンチがあった。
フェリシアとイクセルは、その一つに腰かける。膝の上には買いたての肉串が、紙皿の上でホカホカと湯気を立てている。
「いただきます。んっ……んんっ……!」
やらかした自分を褒めてあげたくなるほど、肉串は美味だった。
イクセルの口にも合っていたのだろう。顔全部で賞賛してくれている。
「あなたはすごい。初めての祭りで、こんな美味しい屋台を選ぶなんて」
あっという間に食べ終えたイクセルは、口元を親指の腹で拭いながらニコリと微笑んだ。
平民の姿なのに、笑顔だけは高貴すぎて夏の太陽より眩しい。
口元を拭った所作も官能的で、誘われているわけではないのはわかっているが、変な気持ちになってしまう。
「た、たまたまですわ。運が良かった……だけ……です」
イクセルと違い、フェリシアの口は小さい。もぐもぐと食べながら返事をするなんて、はしたない行為でしかない。
それなのにイクセルは、そんな仕草も可愛いと言いたげに、フェリシアの頬についたソースを拭ってくれる。
「焦ることはない。ゆっくり味わってください」
「あ、は、はい……っ!ちょ、ちょっと!イクセル様!!」
指についたソースを舌で舐めとろうとするイクセルを、フェリシアは慌てて止める。だってその指は、ついさっき、自分の頬に触れたのだ。
「貴女のハンカチを借りるほどではなかったのに……」
「お黙りください」
ピシャリと言い放って、フェリシアは自分のハンカチでイクセルの汚れた指を、ごしごし拭く。ついでに、自分の頬も丁寧に拭う。
イクセルは不満そうだったけれど、それを眼力で黙らせてフェリシアは肉串を完食した。
「ごちそうさまでした。では、次は……どれにしようかしら……?」
キョロキョロと屋台を物色し始めたフェリシアに、イクセルはぎょっとする。
「まだ食べれるのか?」
「ええ……と、言いたいところですが、流石にお肉を十分いただきましたので、さっぱりした飲み物がいいかしら」
甘いものも食べたいけれど、まずは口の中をリセットしたい。
フェリシアの意図を汲み取ってくれたイクセルは「なら、これにしよう」と言って、少し離れた屋台へ連れて行ってくれた。
良く冷えた柑橘系のジュースと、小さな焼き菓子をお腹に収めて、一先ず食べ歩きは終わりにする。
この後はどうしようか。イクセルの意見も聞こうとしたフェリシアだが、広場の中央にある舞台に視線が止まった。
「がらんとしているのが気になるか?ここは夜が更けてから、かがり火を炊いて踊り子が舞を披露するんだ」
なるほど。どこの世界でも、祭りは夜からが本番らしい。納得したフェリシアだが、イクセルの表情は浮かない。
「夜の舞台もなかなか見ものだから、貴女に見せたかったけれど、さすがに夜まで連れまわずわけにはいかないから……残念だ」
本気で悔しそうな顔をするイクセルに、フェリシアは微笑んで首を横に振る。
「その気遣いだけで十分嬉しいですわ」
「私は嬉しくないけどな」
「貴方の言葉に甘えて夜までいたら、モネに叱られてしまいますわ。一緒に小言を受けてくださる?」
「もちろん。それこそ喜んで」
「……ふふっ、冗談はここまでになさって。お仕事中ですわよ、警護隊長様。遊びすぎて、叱られるなんて、部下に示しがつかないでしょう?」
「ここで現実に引き戻すなんて。酷い人ですね、貴女は」
それはこっちの台詞です。好きな人がいるくせに、乙女心弄びやがって!などと言えたら、どれだけ楽なるだろう。
無論、そんなことは口に出せないフェリシアは、ニドラとモネの土産を選びたいとイクセルに提案して、場所を移動した。
街全体が祭り会場になっているようで、広場を離れても、屋台は途切れることなく並んでいる。
食べ物以外にも、小物やアクセサリーなども充実していて、どれがいいか目移りしてしまう。
「ニドラは、実用的なものがいいかしら?モネは刺繡が好きだから、裁縫道具だと喜んでくれるかしら?んーでも、この手鏡が素敵。色違いで、モネとニドラに渡したら喜んでくれるかしら……あ!文房具もあるのね。押し花の便箋も捨てがたいわね」
ブツブツと呟きながら、フェリシアは気になる屋台を行ったり来たりする。
その間、イクセルとはずっと手を繋いだまま。女子の買い物など、殿方に取ったら退屈極まりないというのに、彼は笑みを絶やさない。
「ごめんなさい……時間がかかってしまって……」
あまりにイクセルがにこにこしているので、フェリシアは逆に申し訳ない気持ちになってしまう。
「謝ることはない。こうして歩いているだけで、私は充実した時間を過ごしている。それに、デートは四六時中離れずにいるものだ」
「……それは初耳ですわ」
嘘である。これだけの賑わいなら、自分たちの他にも若い男女は当然いる。そして、その人たちは当たり前のように、ずっとくっついている。
とはいえ、はっきり言葉に出されると、リアクションに困る。照れていいなら、全力で照れたいが、そうはいかない立場にある。
(ああーもぉー苦しい!辛い!!でも……楽しいし、嬉しい)
こういう気持ちは、なんというのだろう。いろんな気持ちが交ざりあって、名前を付けることができない。
息苦しさすら感じ始めたフェリシアは、イクセルに曖昧な笑みを返して、再びモネたちへのお土産を選ぶことにした。
フェリシアとイクセルは、その一つに腰かける。膝の上には買いたての肉串が、紙皿の上でホカホカと湯気を立てている。
「いただきます。んっ……んんっ……!」
やらかした自分を褒めてあげたくなるほど、肉串は美味だった。
イクセルの口にも合っていたのだろう。顔全部で賞賛してくれている。
「あなたはすごい。初めての祭りで、こんな美味しい屋台を選ぶなんて」
あっという間に食べ終えたイクセルは、口元を親指の腹で拭いながらニコリと微笑んだ。
平民の姿なのに、笑顔だけは高貴すぎて夏の太陽より眩しい。
口元を拭った所作も官能的で、誘われているわけではないのはわかっているが、変な気持ちになってしまう。
「た、たまたまですわ。運が良かった……だけ……です」
イクセルと違い、フェリシアの口は小さい。もぐもぐと食べながら返事をするなんて、はしたない行為でしかない。
それなのにイクセルは、そんな仕草も可愛いと言いたげに、フェリシアの頬についたソースを拭ってくれる。
「焦ることはない。ゆっくり味わってください」
「あ、は、はい……っ!ちょ、ちょっと!イクセル様!!」
指についたソースを舌で舐めとろうとするイクセルを、フェリシアは慌てて止める。だってその指は、ついさっき、自分の頬に触れたのだ。
「貴女のハンカチを借りるほどではなかったのに……」
「お黙りください」
ピシャリと言い放って、フェリシアは自分のハンカチでイクセルの汚れた指を、ごしごし拭く。ついでに、自分の頬も丁寧に拭う。
イクセルは不満そうだったけれど、それを眼力で黙らせてフェリシアは肉串を完食した。
「ごちそうさまでした。では、次は……どれにしようかしら……?」
キョロキョロと屋台を物色し始めたフェリシアに、イクセルはぎょっとする。
「まだ食べれるのか?」
「ええ……と、言いたいところですが、流石にお肉を十分いただきましたので、さっぱりした飲み物がいいかしら」
甘いものも食べたいけれど、まずは口の中をリセットしたい。
フェリシアの意図を汲み取ってくれたイクセルは「なら、これにしよう」と言って、少し離れた屋台へ連れて行ってくれた。
良く冷えた柑橘系のジュースと、小さな焼き菓子をお腹に収めて、一先ず食べ歩きは終わりにする。
この後はどうしようか。イクセルの意見も聞こうとしたフェリシアだが、広場の中央にある舞台に視線が止まった。
「がらんとしているのが気になるか?ここは夜が更けてから、かがり火を炊いて踊り子が舞を披露するんだ」
なるほど。どこの世界でも、祭りは夜からが本番らしい。納得したフェリシアだが、イクセルの表情は浮かない。
「夜の舞台もなかなか見ものだから、貴女に見せたかったけれど、さすがに夜まで連れまわずわけにはいかないから……残念だ」
本気で悔しそうな顔をするイクセルに、フェリシアは微笑んで首を横に振る。
「その気遣いだけで十分嬉しいですわ」
「私は嬉しくないけどな」
「貴方の言葉に甘えて夜までいたら、モネに叱られてしまいますわ。一緒に小言を受けてくださる?」
「もちろん。それこそ喜んで」
「……ふふっ、冗談はここまでになさって。お仕事中ですわよ、警護隊長様。遊びすぎて、叱られるなんて、部下に示しがつかないでしょう?」
「ここで現実に引き戻すなんて。酷い人ですね、貴女は」
それはこっちの台詞です。好きな人がいるくせに、乙女心弄びやがって!などと言えたら、どれだけ楽なるだろう。
無論、そんなことは口に出せないフェリシアは、ニドラとモネの土産を選びたいとイクセルに提案して、場所を移動した。
街全体が祭り会場になっているようで、広場を離れても、屋台は途切れることなく並んでいる。
食べ物以外にも、小物やアクセサリーなども充実していて、どれがいいか目移りしてしまう。
「ニドラは、実用的なものがいいかしら?モネは刺繡が好きだから、裁縫道具だと喜んでくれるかしら?んーでも、この手鏡が素敵。色違いで、モネとニドラに渡したら喜んでくれるかしら……あ!文房具もあるのね。押し花の便箋も捨てがたいわね」
ブツブツと呟きながら、フェリシアは気になる屋台を行ったり来たりする。
その間、イクセルとはずっと手を繋いだまま。女子の買い物など、殿方に取ったら退屈極まりないというのに、彼は笑みを絶やさない。
「ごめんなさい……時間がかかってしまって……」
あまりにイクセルがにこにこしているので、フェリシアは逆に申し訳ない気持ちになってしまう。
「謝ることはない。こうして歩いているだけで、私は充実した時間を過ごしている。それに、デートは四六時中離れずにいるものだ」
「……それは初耳ですわ」
嘘である。これだけの賑わいなら、自分たちの他にも若い男女は当然いる。そして、その人たちは当たり前のように、ずっとくっついている。
とはいえ、はっきり言葉に出されると、リアクションに困る。照れていいなら、全力で照れたいが、そうはいかない立場にある。
(ああーもぉー苦しい!辛い!!でも……楽しいし、嬉しい)
こういう気持ちは、なんというのだろう。いろんな気持ちが交ざりあって、名前を付けることができない。
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