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二部 恋のアドバイスなんてしたくありませんが……何か?
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カレンが間の抜けた声を出しても、神殿の守り人ことウッヴァは気を悪くする様子はなく言葉を続ける。
「先日はわたくしが守り人を務めさせていただいておりますロアンナ神殿において、大変ご不快な思いをさせてしまい誠に申し訳ありません」
「……いえ」
心がザラザラし始めたカレンは、なんとか喉の奥から2文字を吐き出した。
ロアンナ神殿は、見事な藤の花が咲いていたあの場所だ。
「我々といたしましては聖皇后陛下がお見えになるということで、お知らせを受けてから、それはそれは首を長くしてご到着をお待ち申し上げておりました。が……すぐに馬車にお戻りになられたのは、きっと我らの不手際があり、ご不快に思われたのでしょう。誠に申し訳ございません」
「……」
ウッヴァは謝罪の言葉を紡いではいるが、悪いとは思っていない口調で、どことなく挨拶も無く帰ったことを責めているようすら聞こえる。
あの藤を見て馬車に駆け戻ったことを知っているということは、物陰にかくれて見ていたこということだ。
(なにそれ……ストーカーみたい)
このメタボ男は謝罪といいつつ、すぐに去った自分を責めに来ただけなのだ。
カレンはウッヴァに侮蔑の目を向けるが、彼は自分勝手にだらだらと喋り続ける。
「聖皇后陛下におかれましては、常日頃から帝都の神殿をご訪問され、また宮殿内の神殿で聖皇帝の御身を想い祈願されていると伺っております。歴代の皇后と比べ、遥かに信仰心がお強く……さすが聖皇后陛下でございます」
胸糞悪い言葉ばかりを耳にして、カレンの眉間に明日になっても取れないくらいの皺が刻まれる。
でもウッヴァには見えていないようで、終いには廃れ始めてきた神殿を立て直していきたいとか、そのために多大な資金が必要だとか、遠回しに援助を求めてくる。
(鬱陶しいなぁ、もう!)
カレンは心の中で舌打ちした同時に、横から強い視線を感じた。
首を動かさず目だけを動かせば、アルビスがそれはそれは怖い顔でウッヴァを睨みつけている。
カレンの視線に気付いたアルビスは、憂わしげな表情となる。ウッヴァを退席するよう命じて良いのか悩んでいるようにも見える。
なんで?カレンが純粋に疑問に思ったその時、聞き覚えのある声が割って入った。
「その辺りにされてはいかがでしょうか?」
軽い口調なのに厳しさを感じさせる声音に、ウッヴァはようやっと口の動きを止めた。
声の主はその瞬間を見逃すことはせず、更に言葉を重ねる。
「そちらに足を向けるかどうかは、聖皇后陛下がお決めになることですよ。あまり押し付けるのは見苦しいです」
あからさまに非難を受け、ウッヴァは露骨に顔を顰めた。
だが相手は帝国で五本の指に入る権力者。ここで噛みつくのは得策ではないと瞬時に判断したウッヴァは、カレンに礼を執るとそそくさと消えて行った。
「こんばんは、カレン様。今日は一段とお美しいですね」
去って行くウッヴァに目を向けることなく、声の主はカレンに向け鳥肌が立つようなお世辞を吐く。
ここでようやっとカレンは身体を捻って、声の主の顔を見た。
「追い払ってくれてありがとう」
「おやおや、あなたからお礼の言葉を聞くとは思いもよりませんでした」
驚いたように目を丸くする相手に、カレンは言った傍からひどく後悔した。
カレンの窮地を救ったのは、この国の宰相セリオスだった。
「先日はわたくしが守り人を務めさせていただいておりますロアンナ神殿において、大変ご不快な思いをさせてしまい誠に申し訳ありません」
「……いえ」
心がザラザラし始めたカレンは、なんとか喉の奥から2文字を吐き出した。
ロアンナ神殿は、見事な藤の花が咲いていたあの場所だ。
「我々といたしましては聖皇后陛下がお見えになるということで、お知らせを受けてから、それはそれは首を長くしてご到着をお待ち申し上げておりました。が……すぐに馬車にお戻りになられたのは、きっと我らの不手際があり、ご不快に思われたのでしょう。誠に申し訳ございません」
「……」
ウッヴァは謝罪の言葉を紡いではいるが、悪いとは思っていない口調で、どことなく挨拶も無く帰ったことを責めているようすら聞こえる。
あの藤を見て馬車に駆け戻ったことを知っているということは、物陰にかくれて見ていたこということだ。
(なにそれ……ストーカーみたい)
このメタボ男は謝罪といいつつ、すぐに去った自分を責めに来ただけなのだ。
カレンはウッヴァに侮蔑の目を向けるが、彼は自分勝手にだらだらと喋り続ける。
「聖皇后陛下におかれましては、常日頃から帝都の神殿をご訪問され、また宮殿内の神殿で聖皇帝の御身を想い祈願されていると伺っております。歴代の皇后と比べ、遥かに信仰心がお強く……さすが聖皇后陛下でございます」
胸糞悪い言葉ばかりを耳にして、カレンの眉間に明日になっても取れないくらいの皺が刻まれる。
でもウッヴァには見えていないようで、終いには廃れ始めてきた神殿を立て直していきたいとか、そのために多大な資金が必要だとか、遠回しに援助を求めてくる。
(鬱陶しいなぁ、もう!)
カレンは心の中で舌打ちした同時に、横から強い視線を感じた。
首を動かさず目だけを動かせば、アルビスがそれはそれは怖い顔でウッヴァを睨みつけている。
カレンの視線に気付いたアルビスは、憂わしげな表情となる。ウッヴァを退席するよう命じて良いのか悩んでいるようにも見える。
なんで?カレンが純粋に疑問に思ったその時、聞き覚えのある声が割って入った。
「その辺りにされてはいかがでしょうか?」
軽い口調なのに厳しさを感じさせる声音に、ウッヴァはようやっと口の動きを止めた。
声の主はその瞬間を見逃すことはせず、更に言葉を重ねる。
「そちらに足を向けるかどうかは、聖皇后陛下がお決めになることですよ。あまり押し付けるのは見苦しいです」
あからさまに非難を受け、ウッヴァは露骨に顔を顰めた。
だが相手は帝国で五本の指に入る権力者。ここで噛みつくのは得策ではないと瞬時に判断したウッヴァは、カレンに礼を執るとそそくさと消えて行った。
「こんばんは、カレン様。今日は一段とお美しいですね」
去って行くウッヴァに目を向けることなく、声の主はカレンに向け鳥肌が立つようなお世辞を吐く。
ここでようやっとカレンは身体を捻って、声の主の顔を見た。
「追い払ってくれてありがとう」
「おやおや、あなたからお礼の言葉を聞くとは思いもよりませんでした」
驚いたように目を丸くする相手に、カレンは言った傍からひどく後悔した。
カレンの窮地を救ったのは、この国の宰相セリオスだった。
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