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一部 夜会なんて出たくありませんが......何か?
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取引のために夜会に出席することにした佳蓮だが、またアルビスの思惑通りに進む現実がどうしても嫌だった。子供じみた考えだとはわかっているが、一泡吹かせてやりたかった。
だから着飾った自分の姿を見せて、すぐに退席してやるつもりだった。難癖をつけられたら、何時までいるとは伝えていないから取引は成立しているはずだと主張するつもりでいた。
けれども、いざ盛装して離宮を出てみれば、何もかもが思い通りにいかなかった。
会場まではヴァーリがぴったり後ろに張り付くし、到着したら到着したで、シダナが待ち構えていて
「陛下の隣に行かなければ、参加したことにはなりませんよ」と有り得ない主張をする始末。
あそこで声を荒げなかった佳蓮は、人の目を気にしたわけじゃない。どうしても元の世界に戻る方法を調べたかった。
悔しかったし、惨めだったけれど、それでも大儀の前の小事だと自分に言い聞かせ、佳蓮はアルビスの隣に座ることを選んだ。
とはいえ上座と呼ばれる場所で無駄に豪華な椅子に腰かけている佳蓮は、言葉にできないほど最悪な気分である。
「──本が好きと聞いたが、どんな種類が好きなのか?」
楽団が奏でる音楽に乗せて隣からそんな問いが届いたが、佳蓮は首を動かすことすらしない。
アルビスが怒ったらとても怖いことは知っている。でも、顔色を伺うようなことをするのは、自分のプライドが許さない。
後ろに張り付くように立っているヴァーリが舌打ちした気がするが、佳蓮は気に留めない。
「何か飲むか?それとも軽食を運ばせるか?」
懲りずにまたアルビスが話しかけてくる。でも佳蓮は絶対に首を動かさない。ただひたすら、この夜会が早く終わることを祈っている。
着席してまだ数分だが、体感的には数時間は経っている。
ドレスは窮屈だし、結い上げた髪は地肌が引っ張られてヒリヒリする。慣れないヒールで、つま先と踵が痛い。もう我慢の限界だ。
佳蓮は耐えきれずそっと息を吐く。その時、視界に煌びやかな衣装が飛び込んで来た。
それは単色ではない。複数の色と人。着飾った貴婦人たちが突然、佳蓮とアルビスの前に登場したのだ。
「ご機嫌麗しゅうございます、皇帝陛下。本日は側室であるわたくし達もお呼びいただきありがとうございます」
聞いた通り、この女性たちはアルビスの愛人軍団なのだろう。
元の世界でも、偉人に愛人がいるのが当たり前だった時代がある。アルビスは皇帝陛下だ。だから愛人がいることは、なんら不思議なことではない。
……でも18歳になったばかりの佳蓮には、生で見る愛人の姿は刺激が強い。目の毒すぎて、そっと視線を外す。
そんな中、愛人軍団は次々にアルビスに向け、優雅に挨拶をする。ウグイス嬢もびっくりするほどの、よそいきの声音で。
(……うっ、わぁー)
よくもこんな男に愛想を振りまけるなと、佳蓮は引いた。
そして媚びまくる女性陣の視線を当然のように受け流すアルビスに、佳蓮はドン引きした。
冷ややかな目になる佳蓮に気づいていないのか、アルビスに挨拶を終えた愛人集団は一斉に立ち上がった。やっと終わったようだ、さっさと帰れ。
そんなふうに佳蓮が心の中で悪態を吐いたのがいけなかったのか、一人の愛人がこんなことをのたまった。
「どうぞ未来の聖皇后さまにも、ご挨拶させてくださいませ」
「いえ結構です」
すかさず佳蓮は、拒絶の言葉を紡いだが、隣に座るアルビスは顎を引いた。それは許可するという意味だったようで、愛人集団は無駄に時間をかけて佳蓮の前に並ぶ。
露骨に顔をしかめる佳蓮だが、そうしたところで皇帝であるアルビスが許可すればそれが正となる。
(だったら人形でも置いとけばいいじゃん)
もう何度目かわからない虚しさを覚えた佳蓮に、気遣う言葉をかけてくれる人は誰もいなかった。
「さっさと始めろ」
僅かに苛立ったアルビスの声に、愛人軍団の一人はわざとらしく狼狽えながらドレスの裾を広げて腰を落とす。
「初めまして、わたくしシャオエと申します。どうぞよろしくお願いいたします」
最初に佳蓮に名を告げたのは、ついさっき挨拶したいと言い出した女性だ。仕草は優雅だけれど、衣装も化粧もとてもケバケバしい。
(この人が、月曜担当なのかな?)
佳蓮はふと思う。だがそのことをゆっくりと考える間は与えられなかった。
「ミレーヌと申します。お会いできて光栄でございます」
「オリビスでございますわ。どうぞ、リビとお呼びくださいませ」
「ラーラでございます。未来の聖皇后さまにご挨拶できてとても嬉しいです」
「リリアンヌですわ。わたくし、ずっと貴方様にお会いしたかったんです」
火、水、木、金。
残りの愛人たちも佳蓮に向け、腰を落とし挨拶をする。
けれど佳蓮からすれば、縁もゆかりもないこの女性たちに、これでもかという程へりくだった挨拶をされても困るだけ。
とにかく、生々しい愛人臭をこれ以上嗅ぎたくなかった。さっさと消えてくれという気持ちを込めて、露骨に溜息を吐く。
それを目ざとく聞き取った月曜担当のシャオエは、腰を落としたままニコリと微笑んだ。
「カレン様、お時間をいただきありがとうございました。それでは、わたくし達はこれにて失礼させていただきます」
愛人軍団は、それを職業にしているだけあって空気は読めるらしい。
全員が優雅な笑みを浮かべて、再びしゃなりしゃなりとどこかへ消えて行った。
「カレン……私に……その……何か言いたいことはないのか?」
愛人軍団がいなくなったと思ったら、今度はアルビスから耳を疑いたくなるような質問が飛んできた。
「は?」
あまりに馬鹿馬鹿しさに、佳蓮は間の抜けた声を出してしまった。
言いたいことなどあるものか。だが、聞いておきたいことはある。
「あー……これってまだ続くの?」
「夜会は明け方まで続く。だが、最後まで居る必要はない。頃合いを見て退席すればいい」
人の目など気にしない佳蓮はアルビスの言葉を聞くや否や、即座に腰を浮かした。
そして会場から背を向けようとしたその時、背後からから声を掛けられてしまった。
「毎度毎度、夜会となると仰々しくて嫌になりますね」
背中で聞いたその声は、若い青年のものだった。佳蓮は中途半端な態勢のまま首をひねって声を主を見る。
シックな夜会服を身を包んだ一人の青年は、目が合うと人懐っこい笑顔を浮かべた。
「よろしければ、少しだけ私のおしゃべりに付き合ってください」
「……えー、それはちょっと……」
どうしてこう望んでないのに次から次へと声をかけられるのか……。佳蓮は思わずこめかみに手を当ててしまった。
だから着飾った自分の姿を見せて、すぐに退席してやるつもりだった。難癖をつけられたら、何時までいるとは伝えていないから取引は成立しているはずだと主張するつもりでいた。
けれども、いざ盛装して離宮を出てみれば、何もかもが思い通りにいかなかった。
会場まではヴァーリがぴったり後ろに張り付くし、到着したら到着したで、シダナが待ち構えていて
「陛下の隣に行かなければ、参加したことにはなりませんよ」と有り得ない主張をする始末。
あそこで声を荒げなかった佳蓮は、人の目を気にしたわけじゃない。どうしても元の世界に戻る方法を調べたかった。
悔しかったし、惨めだったけれど、それでも大儀の前の小事だと自分に言い聞かせ、佳蓮はアルビスの隣に座ることを選んだ。
とはいえ上座と呼ばれる場所で無駄に豪華な椅子に腰かけている佳蓮は、言葉にできないほど最悪な気分である。
「──本が好きと聞いたが、どんな種類が好きなのか?」
楽団が奏でる音楽に乗せて隣からそんな問いが届いたが、佳蓮は首を動かすことすらしない。
アルビスが怒ったらとても怖いことは知っている。でも、顔色を伺うようなことをするのは、自分のプライドが許さない。
後ろに張り付くように立っているヴァーリが舌打ちした気がするが、佳蓮は気に留めない。
「何か飲むか?それとも軽食を運ばせるか?」
懲りずにまたアルビスが話しかけてくる。でも佳蓮は絶対に首を動かさない。ただひたすら、この夜会が早く終わることを祈っている。
着席してまだ数分だが、体感的には数時間は経っている。
ドレスは窮屈だし、結い上げた髪は地肌が引っ張られてヒリヒリする。慣れないヒールで、つま先と踵が痛い。もう我慢の限界だ。
佳蓮は耐えきれずそっと息を吐く。その時、視界に煌びやかな衣装が飛び込んで来た。
それは単色ではない。複数の色と人。着飾った貴婦人たちが突然、佳蓮とアルビスの前に登場したのだ。
「ご機嫌麗しゅうございます、皇帝陛下。本日は側室であるわたくし達もお呼びいただきありがとうございます」
聞いた通り、この女性たちはアルビスの愛人軍団なのだろう。
元の世界でも、偉人に愛人がいるのが当たり前だった時代がある。アルビスは皇帝陛下だ。だから愛人がいることは、なんら不思議なことではない。
……でも18歳になったばかりの佳蓮には、生で見る愛人の姿は刺激が強い。目の毒すぎて、そっと視線を外す。
そんな中、愛人軍団は次々にアルビスに向け、優雅に挨拶をする。ウグイス嬢もびっくりするほどの、よそいきの声音で。
(……うっ、わぁー)
よくもこんな男に愛想を振りまけるなと、佳蓮は引いた。
そして媚びまくる女性陣の視線を当然のように受け流すアルビスに、佳蓮はドン引きした。
冷ややかな目になる佳蓮に気づいていないのか、アルビスに挨拶を終えた愛人集団は一斉に立ち上がった。やっと終わったようだ、さっさと帰れ。
そんなふうに佳蓮が心の中で悪態を吐いたのがいけなかったのか、一人の愛人がこんなことをのたまった。
「どうぞ未来の聖皇后さまにも、ご挨拶させてくださいませ」
「いえ結構です」
すかさず佳蓮は、拒絶の言葉を紡いだが、隣に座るアルビスは顎を引いた。それは許可するという意味だったようで、愛人集団は無駄に時間をかけて佳蓮の前に並ぶ。
露骨に顔をしかめる佳蓮だが、そうしたところで皇帝であるアルビスが許可すればそれが正となる。
(だったら人形でも置いとけばいいじゃん)
もう何度目かわからない虚しさを覚えた佳蓮に、気遣う言葉をかけてくれる人は誰もいなかった。
「さっさと始めろ」
僅かに苛立ったアルビスの声に、愛人軍団の一人はわざとらしく狼狽えながらドレスの裾を広げて腰を落とす。
「初めまして、わたくしシャオエと申します。どうぞよろしくお願いいたします」
最初に佳蓮に名を告げたのは、ついさっき挨拶したいと言い出した女性だ。仕草は優雅だけれど、衣装も化粧もとてもケバケバしい。
(この人が、月曜担当なのかな?)
佳蓮はふと思う。だがそのことをゆっくりと考える間は与えられなかった。
「ミレーヌと申します。お会いできて光栄でございます」
「オリビスでございますわ。どうぞ、リビとお呼びくださいませ」
「ラーラでございます。未来の聖皇后さまにご挨拶できてとても嬉しいです」
「リリアンヌですわ。わたくし、ずっと貴方様にお会いしたかったんです」
火、水、木、金。
残りの愛人たちも佳蓮に向け、腰を落とし挨拶をする。
けれど佳蓮からすれば、縁もゆかりもないこの女性たちに、これでもかという程へりくだった挨拶をされても困るだけ。
とにかく、生々しい愛人臭をこれ以上嗅ぎたくなかった。さっさと消えてくれという気持ちを込めて、露骨に溜息を吐く。
それを目ざとく聞き取った月曜担当のシャオエは、腰を落としたままニコリと微笑んだ。
「カレン様、お時間をいただきありがとうございました。それでは、わたくし達はこれにて失礼させていただきます」
愛人軍団は、それを職業にしているだけあって空気は読めるらしい。
全員が優雅な笑みを浮かべて、再びしゃなりしゃなりとどこかへ消えて行った。
「カレン……私に……その……何か言いたいことはないのか?」
愛人軍団がいなくなったと思ったら、今度はアルビスから耳を疑いたくなるような質問が飛んできた。
「は?」
あまりに馬鹿馬鹿しさに、佳蓮は間の抜けた声を出してしまった。
言いたいことなどあるものか。だが、聞いておきたいことはある。
「あー……これってまだ続くの?」
「夜会は明け方まで続く。だが、最後まで居る必要はない。頃合いを見て退席すればいい」
人の目など気にしない佳蓮はアルビスの言葉を聞くや否や、即座に腰を浮かした。
そして会場から背を向けようとしたその時、背後からから声を掛けられてしまった。
「毎度毎度、夜会となると仰々しくて嫌になりますね」
背中で聞いたその声は、若い青年のものだった。佳蓮は中途半端な態勢のまま首をひねって声を主を見る。
シックな夜会服を身を包んだ一人の青年は、目が合うと人懐っこい笑顔を浮かべた。
「よろしければ、少しだけ私のおしゃべりに付き合ってください」
「……えー、それはちょっと……」
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