旦那様、それを「愛してる」とは言いません!! 〜とある侯爵家のご夫婦が、離縁に至るまで〜

当麻月菜

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耐え難きを耐え 忍び難きを忍び……

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(愛している......ねぇ)

 ミレニアは深く息を吐きながら、心の中で呟いた。

 息子は相変わらずよく寝ている。ほんのちょっと前は、少しの物音で目を覚まして泣いたことなど、まるで嘘だったかのように。

 でもきっと夜泣きが酷かったのは、自分に非があったのだろう。
 
 子供は親の気持ちを機敏に感じる能力を持っている。だから自分が苛立っていることにも気付けないくらいピリピリしていた自分が傍にいれば、息子は当然ならが不安定な気持ちになってしまっていたのだ。

 そう。あの頃、自分はとても苛立っていた、とミレニアは改めて思う。

 ヘンリーに対する不満が極限まで膨らんでいた。

 いっそ遊びに出掛けたまま、事故にでも合って死んでくれたら良いのにとすら願っていた。そうすれば自分は夫のために泣けたから。

 でもヘンリーは、呆れるくらい毎日元気に遊びに出かけ、そして傷一つ負うことなく屋敷に戻ってきた。

 そして出迎えた自分に向かって「今帰ったよ、愛するミレニア」と同じセリフを口にした。まるでとてつもなく大きな仕事を終えてきたような笑みを浮かべて。

(あの人は気付いていただろうか。私が愛してると言われて「私もよ」と返さなくなったことを)

 ヘンリーの「愛してる」という言葉にうんざりしていたミレニアだけれど、愛は世界で一番美しい言葉だとは思っていた。

 実際、ミレニアは息子に向け「愛してる」と幾度も口にした。育ててくれた両親に対しても、今でも変わらぬ愛を持っている。

 しかし愛とは目に見えない。そして血のつながりがある者に対して使う「愛してる」と、他人に向けて使う「愛してる」は全く別のものだと思っている。

 夫婦とは、永遠の愛を誓い合った者たちを表す言葉でもある。

 しかし愛は目に見えないものであり、形は人それぞれだ。不器用な形や、分かりにくい形だってあるだろう。重いものも軽いものだって、きっとある。

 でも、全ての愛に対して言えることは、自分の主張を押し通すための言葉ではない。

 けれどヘンリーは、自分が描く理想の家庭を築くために「愛してる」という言葉を利用して、押し付けて、強要した。

 それはもはや家庭ではない。牢獄だ。そして自分は、牢獄に押し込められた囚人だった。

(けれど息子だけは、あの人の囚人になんかにはさせたくなかった)

 

 母となったミレニアは、父となっても何一つ変わらないヘンリーに対し、反旗を翻すことにした。

 ただそれはいきなり離縁ではない。あんな男でも父親だ。自分勝手に息子から父親を取り上げることはできない。

 そう思ったミレニアは、まずヘンリーに対して、これまで抱えていた不満を言葉として伝えることにした。


◇◆◇◆◇◆◇◆


 本日は語りばっかりで、読みにくいお話になってしまい、申し訳ありません(o*。_。)oペコッ

 あと数話で辛いお話は終わりです。サクサク読める回になるまで、もう少々お付き合いいただければ幸いですm(_ _"m)
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