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序章
第3話 約束の日
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朝食を食べ終わり、買い物に出ようと思っていたら、祖父がお小遣いをくれた。
そのまま昼に外で好きなものを食ってこいってことらしい。
ありがたく頂戴し、咲雪も誘ったが用があるらしく断られた。
今日は久しぶりに街を一人で散策した。
いつもは大抵、咲雪と一緒だから少し新鮮だった。
懐かしい友人にも会えたしね。
のんびりと過ごしたつもりだったが時間は過ぎ去り、夕飯時。
これからのことを思うと何をやらせられるのかと憂鬱だ。
そう思い家路につく。
母屋に向かう途中、広い神社の敷地を見る。
本殿の奥、ご神体の前に、今は刀を預けてあるらしい。
俺も、いや――当主以外は、ご神体には近づけないし、見てはいけないらしい。
「そもそも、名前は確か――」
スマホの通知音に気づき、確認すると。
『このあと、ご飯食べてから行くね。
20時くらいか、その前?」
咲雪からのメッセージ、別にいつ来てもいいと返信しておく。
『渡したいものがあるから、少し早めに行くね』
鈍い俺でも察しがついた、昨日言ってた物だろう。
了解と気を付けてくるようにと短く返信をする。
それだけを打って、母屋の方に足を向けた。
台所に近づくと、そこには父が晩御飯の準備をしていた。
「ハンバーグ? 手伝うよ」
そう言い、タネを作っている父の隣に立ちながら、自分も手を伸ばす。
「ありがとう。
雪乃くん、ハンバーグ好きでしょ?」
誕生日には決まって好物の物を作ってくれる。
「……父さんの作ってくれるものは何でもおいしいよ」
照れくさいのか、濁して答えてしまう。
「ふふ、でも雪乃くんが作ってくれるお菓子もおいしいよ?」
微笑みながら、答えてくれる父。
俺はこの人の料理にどれだけ励まされたことだろう。
数少ない俺の趣味、お菓子作りもこの人に教わった。
「お菓子? あーでもこの前のチーズケーキは失敗したよ。
見た目が悪かったし」
味は良かったが見た目、上の表面が割れてしまい、不格好だった。
オーブンの温度調節があまかったのか、まだ原因はわかっていない。
「良かったら、今度、一緒に作らない?」
父が一瞬だけ手を止め――
「――うん、そうだね。
今度、一緒に作ろうか」
一瞬の違和感でも、いつも通りの父にしか見えない。
「それに、見た目も大事だけど、すごくおいしかったよ。
楓さんも、おいしいって言ってたよ」
父の意外な言葉に違和感が吹き飛ぶ。
「え、嘘、あの人が食べたの?」
食べた? 俺の作ったものを? あの人が?
「なんで、驚くの? いつも食べてるよ。
おいしいって」
知らない、少なくとも俺の前では食べてない。
「いや、初めて知ったよ……感想も聞いたこともない……」
肉が焼ける音だけが響く。
「照れ屋さんだから、隠れて食べてるんだよ」
少し困ったような顔をする父。
しかし、あの母が隠れて食べてる姿を想像してしまい――
「はは、それはないでしょ?
母さんなら、堂々と食べて、うまい、まずいって言うよ」
想像できない母、なのに少し笑みがこぼれる。
さて、料理も出来上がり、残りの人たちも呼ばないと。
いつもと変わらない風景、父と祖父が話題を振り、それに俺が答える。
たまに母に話題が振られるが、一言二言だけ。
そんないつもの食事が終わり、母が席を立つと――
「雪乃、用意した、服に着替えて準備をしておきなさい」
あとは祖父に聞け、そう言ってくかのように去って行った。
◇
祖父の部屋に置いてあるらしく、そのまま一緒についていく。
部屋に入ると見慣れない服が真っ先に視界に入る。
「和服じゃない?」
そこには、洋風とも言えないが、儀式用とは思えなく、派手さもない。
何よりも袴じゃないことに意外性を感じる。
「これが、儀式用の服なの? 正装って言ってたのに」
しかし言いながら気付く、この家は、今まで女性しか生まれて来なかったことに。
だから、新しく違うのを用意したのかと。
「そうじゃよ。
動きやすく、なにより丈夫に仕立ててもらった」
何か派手に動くことが、想定しているらしい。
服の説明を受けながら袖を通していく。
「うん、確かに、動きやすい。
サイズもぴったりだね」
なんの素材かは、わからないが指で触るかぎり、安物ではないことは確かだ。
「シラハネ様の加護も、付いとるはずじゃしの」
ああ、そうだ、なんでこんな覚えやすいのに、この神社の神の名前を忘れるんだろう。
「加護? この服も、ご神体の前に収めてたの?」
当たり前か、神事だから使うものは全部そうか。
「……」
ただ、じーっと俺を見る。
何かおかしなとこがあるのだろうか。
「じいちゃん?」
「ああ、――いや、お前は母親似で、なかなかの美男子というやつじゃな」
父親似で、ならわかるがなんとも微妙な褒め方だ。
「なにそれ、母親似でって、男では微妙じゃない?」
実際に綺麗な人であるから、女だったら美人でよかっただろうけどね。
……ということは、中性的という意味なのだろうか?
「ふふ、2人のいいところを受け継いできたと思ったんじゃよ。
しかし、性格も母親の方が濃いかもしれんの?」
「――は?」
似てる、俺があの人に?
「いくら何でも、それはないよ。
俺とあの人がどこが似てるって言うの?」
自分はあんな風ではない、そんな反感が真っ先に出た。
「いんや、よう似とると思うよ。
雪乃は、あの母が産んだなと、間違えようがないほどにの」
絶対的な確信をもって、自分の考えを肯定する祖父。
妙な自信を持っている祖父に納得がいかず、さらに問いただそうとしたところ――
「雪乃くん、お義父さん、入りますよ?」
襖を開け、父がまず俺を凝視する。
「わあ、よく似合っているよ。
雪乃くん、楓さんによく似て、かっこいいよ」
だから、その褒め方はどうなんだろう?
素直に喜べない。
「……父さんまで、そんなに言うなら髪でも伸ばそうか?」
なかばあきれと、冗談で答えてしまう。
「「…………」」
なんだ? 軽口を叩いたにしては、二人して真剣な顔をしている。
なにか、触れてはいけないものに触れたような、そう錯覚してしまう。
「いや、髪は伸ばさん方が男前じゃよ」
「うん、伸ばしても似合うと思うけど、今のがあってるよ」
さっきの空気を感じさせないよう、二人して明るくしゃべってるようにしか見えない。
そう、考えるのは穿って見すぎている?
実はただ気を使ってるだけなのかもしれない。
「二人して、そんなの冗談に決まってるでしょ?」
わかってる? そう顔を向ける。
さっきの違和感をぬぐうように、少しおどけて答えてしまう。
「わかっているよ。
小さいころは、本当に女の子と間違われるくらい、可愛かったけどね」
「はは、そうじゃった。
いつも、間違われてむくれておった」
覚えてる、だから服装だけは、いつもこだわっていた。
「もうその話はいいよ。
それで、父さんは用が有ったんじゃないの?」
話題を変えるべく、父に尋ねる。
「ああ、ごめんごめん。
咲雪ちゃんが来てるけど、楓さんと話してるから、後で行ってあげて」
「え? ああ、スマホは――部屋か」
いつもは来た時は、スマホに必ず知らせがくる。
それに、またあの人と話してるのか。
「……」
父がこちらを黙って見てることに気づく。
また、子供の時でも思い出してるのかも。
「何? 父さん」
見ていた目を、そらすことなくただ優しく――
「うん? ただ、こんなにいい子に育ってもう18になるんだと思ってね。
時が経つのは、早いね」
しみじみ、照れることを平気で言うから、こっちが照れてしまう。
それを聞いていた祖父まで、話に乗ってくる。
「本当に、まっすぐいい子に育った。
まだまだ小さくてもよかったのに、のう」
時が経つのは早い、二人して口をそろえるかのように言ってくる。
こっちは、褒められすぎて、どう答えたらいいのかわからないのに。
だから――
「はは、大げさに褒めすぎだよ。
そろそろ、咲雪の方に行ってみるよ」
照れくさくて、逃げるしかなかった。
「うん、いってらっしゃい。
――気を付けてね」
「ああ、いってこい。
――がんばるんじゃぞ」
二人して見送ってくれる。
そんなに、このあとの儀式は大変なのかもしれない。
「わかった。
じゃあ、行ってくる」
そう、手を軽く振りその場を後にした。
◇
咲雪がいるであろう、居間へ向かう途中、母が廊下で待っていた。
片手に、俺の刀を持って。
「母さん、咲雪はどこです?」
そう、尋ねると顔を玄関の方へ向け――
「咲雪さんなら、外で待っています。
それより、これからすべきことを教えておきます」
ただ、たんたんとこれからすべき儀式の手順を俺に教える。
だが、やることがなさすぎる。
「それだけですか?」
思わずそう、言葉が出てしまった。
それに、宣誓の意味も不可解だったから。
「それだけをしなさい。
――あと、服に問題は?」
聞きながら、俺のつま先から頭まで見ている。
「ええ、動きやすくてサイズも丁度いいです。
ありがとうございます」
見られてるのが照れくさくて、自分の服に視線を向けてしまう。
「そう――ではこれを」
持っていた、俺の刀を前に差し出す。
だが――
「……」
「?」
受け取ろうと握った手、母は手を離さないからだ。
「……では、行きなさい」
そして、いつも通り、ただ短く、顔を行先へ。
玄関へ向かい、俺が靴を履いてるところをただ、じっと見ている。
いつもは姿勢が綺麗なのに壁に肩を預けている姿勢が奇妙だった。
珍しく見送ってくれるのだろうか?
「では、行ってきます」
そう声かけ、戸を閉め終えようとしたとき――
「――大きくなったわね」
「……え?」
思わず、戸に手をかけ確認しようと力を込めるが、手が言うことを聞かなかった。
そんなはずはない、そんなことを言うはずがない。
……聞き間違いだ。
「雪乃」
「――っ!」
固まったままの俺に、咲雪の声で我に返る。
「どうかした? 入り口で立ってるなんて」
忘れ物でもした? そう顔に出ていた。
「いや、なんでもないよ。
忘れ物もない」
咲雪の顔を見たことで、落ち着くのがわかる。
こんなのばかりで少し情けない。
「ならいいけど。
はい! 誕生日おめでとう」
持っていた、小さい箱を差し出してくる。
「ありがとう。
でも……今は持っていけないから後で――」
「大丈夫! 今、開けてつけてあげるから」
そう言い包装を開いて中身を見せてくれる。
「指輪?」
それは、二つのペアリングだった。
「そう、右手出して」
「右手なのか?」
俺はてっきり……まあ早いか。
「右手の薬指に、はいできた。
はい、じゃあ私も」
右手を差し出してくる。
左手じゃないけど照れる。
「左手じゃなくていいのか?」
照れのせいか、からかうように言ってしまう。
「いつか、絶対してもらうから、あとでいい。
これは、女除けとお守り」
ストレートな言葉に、顔が熱くなる。
それと女除け?
「女除けって、別にそこまで女性にモテたことはないだろう」
もしかして、バレンタインのときのことを言ってるのか?
「これだから、鈍感は……彼女の私がいるって、知っていてあの数よ?」
あの数も何も、片手で数えるほどだ。
義理もあるだろうし普通だと思うが。
「……私の言ってる意味と、はき違えてる気がするけど、まあいいわ」
俺が納得していない顔をしていて、あきらめたようだ。
「とにかく、いざとなったら、それを左手に付け替えてもいいから」
そう、右手の指輪に触れてくる。
「わかったよ……そうする。
でも、そんなに信用ない?」
持っていた刀を腰に差し、咲雪の左手を取る。
「信じてるけど、それでも強引な女もいるかもしれないし、
一服盛られたら、どうするの!」
それは、指輪ではどうしようもないのでは?
「わかった、わかった。
そんな人たちに近づかないようにするから!」
その真剣な眼差しに、そう答えるのが精一杯だった。
「次はこっちの手、待ってる」
そう、左手で握り返してくる。
「えっと……最低でも、六年は……待ってくれると……」
その気持ちには応えたいが、こっちはまだ社会に出る前の身だ。
まだ荷が重い。
「わかってるわよ。
ずーっと待ってる、六年だろうが、千年だろうがね」
「どれだけ待つつもりだよ。
そんなに待たせない、六年くらいあっという間だよ」
両手で左手を包む。
その言葉に安心したのか、でも――どこかぎこちなく微笑む。
「わかってる。
――信じてるから」
「ああ、約束だ」
約束をしたら、必ず守る。
幼いころ父に、もらった大切な教えだ。
握っていた手を放し、咲雪から離れる。
「じゃあ、そろそろ行くよ。
1時間くらいかかるから、帰りは送るよ」
そう、言い、咲雪に背を向け歩き出したが――
「待って! 忘れ物してない?」
呼び止められて、思わず自分の体を服の上から触る。
「何もないよ! 大丈夫!」
「あるでしょうが!」
咲雪が早足で駆けてき、顔を少し上に向けた。
「んー」
「……何?」
わかっているが、言ってしまう。
「相変わらず、照れるのにもほどがあるでしょうに……」
なかば、あきれられてしまう。
慣れないし、こういうのは、慣れても複雑だと思う。
「……慣れたら、ありがたみがないだろ」
「違う、ここぞという時にするからありがたいの」
さっきから言ってるが、この表現は正しいのだろうか?
「わかった」
咲雪の肩に触れ、引き寄せるが思わず周りを確認してしまう。
「雰囲気! なんでキョロキョロするの」
「う、うるさいな、ひょっとしたら見られてるかもしれないだろ!」
ビシッと決めて、そう顔に書いてあった。
ここまでされたら俺だって――
「誰が見てるって言う――んっ」
不意打ちだが、決めてみせる。
そして、ゆっくり離れていく。
「どう?」
少し勝ち誇った気持ちで言ってみる。
「ぉう」
「またそれ? 咲雪ってぐいぐい来るのに、最後は俺より照れてるよな?」
真っ赤な顔になって、眼を合わせない。
でも似たようなものか、俺も。
「じゃあ、行くよ」
「……うん、――いってらっしゃい」
ただ、嬉しそうで、どこか寂しげな笑顔で見送られた。
◇
目的地に向かって、軽く整備された道を歩いて行く。
家から少し――いや結構はなれたところにそれはある。
時流れの滝(ときながれのたき)、読んで字の如し、そのままの意味だ。
時は流れて、止まらず、戻らない。
内の神様とゆかりがあるらしい。
「詳しくは、よくわかっていないけどな」
そうして、大きくはないが小さくもない、滝が見えてきた。
滝の正面、その近くに神事のための足場がある。
三年ほど、前に来たのが最後だと記憶してる。
何も変わらず、滝の音しかしない。
「さすがに、滝の近くまで来ると寒いな……」
そういえば、昨日スマホで気温を確認したことを思い出す。
そのわりには、あまり寒くない。
「この服が、暖かいのかな?」
服の防寒性に感謝しつつ、夏ではなくてよかったと、同時に思った。
母の言っていた、手順を思い出す。
滝の正面に見据え、刀を水平にゆっくり抜き放つ。
月明かりに、きらめき美しい刃紋が浮かび、曇りひとつない。
母が管理していたからだろう。
実はここから、やることは少ない。
ただ、刀を抜き、ひとつの宣誓するだけだ。
「神縁を継ぐ者、約定により誓いを果たす時。
――そして、その代をもって」
それだけを言葉にし、刀を鞘に納め、片膝をつき跪く。
あとは瞑想するだけ――
「?」
音が消えた。
耳鳴りですら、なかった。
『ひどいね。
――赦しは乞わないよ』
突然の声、だがどこかで聞いたことがあるような声。
混乱よりも懐かしさが込み上げた。
その声に答えようと――
『……美しいな』
今度は、全く知らない声に反射的に目を開けようとする。
だが、体に異物が入ってくる感覚と、まるで金縛りにあったかのように動けない。
しかし、それも一瞬のことだった。
「っ!」
突然の明かりと轟音で目が開いたからだ。
「――――は?」
そんな、間抜けな声が出たのは許してほしい。
なぜなら、目の前の光景が理解できないからだ。
夜だったのに昼になっていて、目の前に知らない滝があるのだから。
白昼夢でも見てるのかと思い、さらに周りを見渡す。
自分の目は正常に見えている。
だが、知らない場所。
こんな混乱の中、咲雪の言葉を思い出していた。
『天井?』
『そう、目が覚めた時、知らない場所で言うお約束』
そう言えば落ち着くから、と意味が分からないこと言ってた。
だから――
「知らない、世界だよ
――咲雪」
そこは、天井どころの話ではなかった。
そのまま昼に外で好きなものを食ってこいってことらしい。
ありがたく頂戴し、咲雪も誘ったが用があるらしく断られた。
今日は久しぶりに街を一人で散策した。
いつもは大抵、咲雪と一緒だから少し新鮮だった。
懐かしい友人にも会えたしね。
のんびりと過ごしたつもりだったが時間は過ぎ去り、夕飯時。
これからのことを思うと何をやらせられるのかと憂鬱だ。
そう思い家路につく。
母屋に向かう途中、広い神社の敷地を見る。
本殿の奥、ご神体の前に、今は刀を預けてあるらしい。
俺も、いや――当主以外は、ご神体には近づけないし、見てはいけないらしい。
「そもそも、名前は確か――」
スマホの通知音に気づき、確認すると。
『このあと、ご飯食べてから行くね。
20時くらいか、その前?」
咲雪からのメッセージ、別にいつ来てもいいと返信しておく。
『渡したいものがあるから、少し早めに行くね』
鈍い俺でも察しがついた、昨日言ってた物だろう。
了解と気を付けてくるようにと短く返信をする。
それだけを打って、母屋の方に足を向けた。
台所に近づくと、そこには父が晩御飯の準備をしていた。
「ハンバーグ? 手伝うよ」
そう言い、タネを作っている父の隣に立ちながら、自分も手を伸ばす。
「ありがとう。
雪乃くん、ハンバーグ好きでしょ?」
誕生日には決まって好物の物を作ってくれる。
「……父さんの作ってくれるものは何でもおいしいよ」
照れくさいのか、濁して答えてしまう。
「ふふ、でも雪乃くんが作ってくれるお菓子もおいしいよ?」
微笑みながら、答えてくれる父。
俺はこの人の料理にどれだけ励まされたことだろう。
数少ない俺の趣味、お菓子作りもこの人に教わった。
「お菓子? あーでもこの前のチーズケーキは失敗したよ。
見た目が悪かったし」
味は良かったが見た目、上の表面が割れてしまい、不格好だった。
オーブンの温度調節があまかったのか、まだ原因はわかっていない。
「良かったら、今度、一緒に作らない?」
父が一瞬だけ手を止め――
「――うん、そうだね。
今度、一緒に作ろうか」
一瞬の違和感でも、いつも通りの父にしか見えない。
「それに、見た目も大事だけど、すごくおいしかったよ。
楓さんも、おいしいって言ってたよ」
父の意外な言葉に違和感が吹き飛ぶ。
「え、嘘、あの人が食べたの?」
食べた? 俺の作ったものを? あの人が?
「なんで、驚くの? いつも食べてるよ。
おいしいって」
知らない、少なくとも俺の前では食べてない。
「いや、初めて知ったよ……感想も聞いたこともない……」
肉が焼ける音だけが響く。
「照れ屋さんだから、隠れて食べてるんだよ」
少し困ったような顔をする父。
しかし、あの母が隠れて食べてる姿を想像してしまい――
「はは、それはないでしょ?
母さんなら、堂々と食べて、うまい、まずいって言うよ」
想像できない母、なのに少し笑みがこぼれる。
さて、料理も出来上がり、残りの人たちも呼ばないと。
いつもと変わらない風景、父と祖父が話題を振り、それに俺が答える。
たまに母に話題が振られるが、一言二言だけ。
そんないつもの食事が終わり、母が席を立つと――
「雪乃、用意した、服に着替えて準備をしておきなさい」
あとは祖父に聞け、そう言ってくかのように去って行った。
◇
祖父の部屋に置いてあるらしく、そのまま一緒についていく。
部屋に入ると見慣れない服が真っ先に視界に入る。
「和服じゃない?」
そこには、洋風とも言えないが、儀式用とは思えなく、派手さもない。
何よりも袴じゃないことに意外性を感じる。
「これが、儀式用の服なの? 正装って言ってたのに」
しかし言いながら気付く、この家は、今まで女性しか生まれて来なかったことに。
だから、新しく違うのを用意したのかと。
「そうじゃよ。
動きやすく、なにより丈夫に仕立ててもらった」
何か派手に動くことが、想定しているらしい。
服の説明を受けながら袖を通していく。
「うん、確かに、動きやすい。
サイズもぴったりだね」
なんの素材かは、わからないが指で触るかぎり、安物ではないことは確かだ。
「シラハネ様の加護も、付いとるはずじゃしの」
ああ、そうだ、なんでこんな覚えやすいのに、この神社の神の名前を忘れるんだろう。
「加護? この服も、ご神体の前に収めてたの?」
当たり前か、神事だから使うものは全部そうか。
「……」
ただ、じーっと俺を見る。
何かおかしなとこがあるのだろうか。
「じいちゃん?」
「ああ、――いや、お前は母親似で、なかなかの美男子というやつじゃな」
父親似で、ならわかるがなんとも微妙な褒め方だ。
「なにそれ、母親似でって、男では微妙じゃない?」
実際に綺麗な人であるから、女だったら美人でよかっただろうけどね。
……ということは、中性的という意味なのだろうか?
「ふふ、2人のいいところを受け継いできたと思ったんじゃよ。
しかし、性格も母親の方が濃いかもしれんの?」
「――は?」
似てる、俺があの人に?
「いくら何でも、それはないよ。
俺とあの人がどこが似てるって言うの?」
自分はあんな風ではない、そんな反感が真っ先に出た。
「いんや、よう似とると思うよ。
雪乃は、あの母が産んだなと、間違えようがないほどにの」
絶対的な確信をもって、自分の考えを肯定する祖父。
妙な自信を持っている祖父に納得がいかず、さらに問いただそうとしたところ――
「雪乃くん、お義父さん、入りますよ?」
襖を開け、父がまず俺を凝視する。
「わあ、よく似合っているよ。
雪乃くん、楓さんによく似て、かっこいいよ」
だから、その褒め方はどうなんだろう?
素直に喜べない。
「……父さんまで、そんなに言うなら髪でも伸ばそうか?」
なかばあきれと、冗談で答えてしまう。
「「…………」」
なんだ? 軽口を叩いたにしては、二人して真剣な顔をしている。
なにか、触れてはいけないものに触れたような、そう錯覚してしまう。
「いや、髪は伸ばさん方が男前じゃよ」
「うん、伸ばしても似合うと思うけど、今のがあってるよ」
さっきの空気を感じさせないよう、二人して明るくしゃべってるようにしか見えない。
そう、考えるのは穿って見すぎている?
実はただ気を使ってるだけなのかもしれない。
「二人して、そんなの冗談に決まってるでしょ?」
わかってる? そう顔を向ける。
さっきの違和感をぬぐうように、少しおどけて答えてしまう。
「わかっているよ。
小さいころは、本当に女の子と間違われるくらい、可愛かったけどね」
「はは、そうじゃった。
いつも、間違われてむくれておった」
覚えてる、だから服装だけは、いつもこだわっていた。
「もうその話はいいよ。
それで、父さんは用が有ったんじゃないの?」
話題を変えるべく、父に尋ねる。
「ああ、ごめんごめん。
咲雪ちゃんが来てるけど、楓さんと話してるから、後で行ってあげて」
「え? ああ、スマホは――部屋か」
いつもは来た時は、スマホに必ず知らせがくる。
それに、またあの人と話してるのか。
「……」
父がこちらを黙って見てることに気づく。
また、子供の時でも思い出してるのかも。
「何? 父さん」
見ていた目を、そらすことなくただ優しく――
「うん? ただ、こんなにいい子に育ってもう18になるんだと思ってね。
時が経つのは、早いね」
しみじみ、照れることを平気で言うから、こっちが照れてしまう。
それを聞いていた祖父まで、話に乗ってくる。
「本当に、まっすぐいい子に育った。
まだまだ小さくてもよかったのに、のう」
時が経つのは早い、二人して口をそろえるかのように言ってくる。
こっちは、褒められすぎて、どう答えたらいいのかわからないのに。
だから――
「はは、大げさに褒めすぎだよ。
そろそろ、咲雪の方に行ってみるよ」
照れくさくて、逃げるしかなかった。
「うん、いってらっしゃい。
――気を付けてね」
「ああ、いってこい。
――がんばるんじゃぞ」
二人して見送ってくれる。
そんなに、このあとの儀式は大変なのかもしれない。
「わかった。
じゃあ、行ってくる」
そう、手を軽く振りその場を後にした。
◇
咲雪がいるであろう、居間へ向かう途中、母が廊下で待っていた。
片手に、俺の刀を持って。
「母さん、咲雪はどこです?」
そう、尋ねると顔を玄関の方へ向け――
「咲雪さんなら、外で待っています。
それより、これからすべきことを教えておきます」
ただ、たんたんとこれからすべき儀式の手順を俺に教える。
だが、やることがなさすぎる。
「それだけですか?」
思わずそう、言葉が出てしまった。
それに、宣誓の意味も不可解だったから。
「それだけをしなさい。
――あと、服に問題は?」
聞きながら、俺のつま先から頭まで見ている。
「ええ、動きやすくてサイズも丁度いいです。
ありがとうございます」
見られてるのが照れくさくて、自分の服に視線を向けてしまう。
「そう――ではこれを」
持っていた、俺の刀を前に差し出す。
だが――
「……」
「?」
受け取ろうと握った手、母は手を離さないからだ。
「……では、行きなさい」
そして、いつも通り、ただ短く、顔を行先へ。
玄関へ向かい、俺が靴を履いてるところをただ、じっと見ている。
いつもは姿勢が綺麗なのに壁に肩を預けている姿勢が奇妙だった。
珍しく見送ってくれるのだろうか?
「では、行ってきます」
そう声かけ、戸を閉め終えようとしたとき――
「――大きくなったわね」
「……え?」
思わず、戸に手をかけ確認しようと力を込めるが、手が言うことを聞かなかった。
そんなはずはない、そんなことを言うはずがない。
……聞き間違いだ。
「雪乃」
「――っ!」
固まったままの俺に、咲雪の声で我に返る。
「どうかした? 入り口で立ってるなんて」
忘れ物でもした? そう顔に出ていた。
「いや、なんでもないよ。
忘れ物もない」
咲雪の顔を見たことで、落ち着くのがわかる。
こんなのばかりで少し情けない。
「ならいいけど。
はい! 誕生日おめでとう」
持っていた、小さい箱を差し出してくる。
「ありがとう。
でも……今は持っていけないから後で――」
「大丈夫! 今、開けてつけてあげるから」
そう言い包装を開いて中身を見せてくれる。
「指輪?」
それは、二つのペアリングだった。
「そう、右手出して」
「右手なのか?」
俺はてっきり……まあ早いか。
「右手の薬指に、はいできた。
はい、じゃあ私も」
右手を差し出してくる。
左手じゃないけど照れる。
「左手じゃなくていいのか?」
照れのせいか、からかうように言ってしまう。
「いつか、絶対してもらうから、あとでいい。
これは、女除けとお守り」
ストレートな言葉に、顔が熱くなる。
それと女除け?
「女除けって、別にそこまで女性にモテたことはないだろう」
もしかして、バレンタインのときのことを言ってるのか?
「これだから、鈍感は……彼女の私がいるって、知っていてあの数よ?」
あの数も何も、片手で数えるほどだ。
義理もあるだろうし普通だと思うが。
「……私の言ってる意味と、はき違えてる気がするけど、まあいいわ」
俺が納得していない顔をしていて、あきらめたようだ。
「とにかく、いざとなったら、それを左手に付け替えてもいいから」
そう、右手の指輪に触れてくる。
「わかったよ……そうする。
でも、そんなに信用ない?」
持っていた刀を腰に差し、咲雪の左手を取る。
「信じてるけど、それでも強引な女もいるかもしれないし、
一服盛られたら、どうするの!」
それは、指輪ではどうしようもないのでは?
「わかった、わかった。
そんな人たちに近づかないようにするから!」
その真剣な眼差しに、そう答えるのが精一杯だった。
「次はこっちの手、待ってる」
そう、左手で握り返してくる。
「えっと……最低でも、六年は……待ってくれると……」
その気持ちには応えたいが、こっちはまだ社会に出る前の身だ。
まだ荷が重い。
「わかってるわよ。
ずーっと待ってる、六年だろうが、千年だろうがね」
「どれだけ待つつもりだよ。
そんなに待たせない、六年くらいあっという間だよ」
両手で左手を包む。
その言葉に安心したのか、でも――どこかぎこちなく微笑む。
「わかってる。
――信じてるから」
「ああ、約束だ」
約束をしたら、必ず守る。
幼いころ父に、もらった大切な教えだ。
握っていた手を放し、咲雪から離れる。
「じゃあ、そろそろ行くよ。
1時間くらいかかるから、帰りは送るよ」
そう、言い、咲雪に背を向け歩き出したが――
「待って! 忘れ物してない?」
呼び止められて、思わず自分の体を服の上から触る。
「何もないよ! 大丈夫!」
「あるでしょうが!」
咲雪が早足で駆けてき、顔を少し上に向けた。
「んー」
「……何?」
わかっているが、言ってしまう。
「相変わらず、照れるのにもほどがあるでしょうに……」
なかば、あきれられてしまう。
慣れないし、こういうのは、慣れても複雑だと思う。
「……慣れたら、ありがたみがないだろ」
「違う、ここぞという時にするからありがたいの」
さっきから言ってるが、この表現は正しいのだろうか?
「わかった」
咲雪の肩に触れ、引き寄せるが思わず周りを確認してしまう。
「雰囲気! なんでキョロキョロするの」
「う、うるさいな、ひょっとしたら見られてるかもしれないだろ!」
ビシッと決めて、そう顔に書いてあった。
ここまでされたら俺だって――
「誰が見てるって言う――んっ」
不意打ちだが、決めてみせる。
そして、ゆっくり離れていく。
「どう?」
少し勝ち誇った気持ちで言ってみる。
「ぉう」
「またそれ? 咲雪ってぐいぐい来るのに、最後は俺より照れてるよな?」
真っ赤な顔になって、眼を合わせない。
でも似たようなものか、俺も。
「じゃあ、行くよ」
「……うん、――いってらっしゃい」
ただ、嬉しそうで、どこか寂しげな笑顔で見送られた。
◇
目的地に向かって、軽く整備された道を歩いて行く。
家から少し――いや結構はなれたところにそれはある。
時流れの滝(ときながれのたき)、読んで字の如し、そのままの意味だ。
時は流れて、止まらず、戻らない。
内の神様とゆかりがあるらしい。
「詳しくは、よくわかっていないけどな」
そうして、大きくはないが小さくもない、滝が見えてきた。
滝の正面、その近くに神事のための足場がある。
三年ほど、前に来たのが最後だと記憶してる。
何も変わらず、滝の音しかしない。
「さすがに、滝の近くまで来ると寒いな……」
そういえば、昨日スマホで気温を確認したことを思い出す。
そのわりには、あまり寒くない。
「この服が、暖かいのかな?」
服の防寒性に感謝しつつ、夏ではなくてよかったと、同時に思った。
母の言っていた、手順を思い出す。
滝の正面に見据え、刀を水平にゆっくり抜き放つ。
月明かりに、きらめき美しい刃紋が浮かび、曇りひとつない。
母が管理していたからだろう。
実はここから、やることは少ない。
ただ、刀を抜き、ひとつの宣誓するだけだ。
「神縁を継ぐ者、約定により誓いを果たす時。
――そして、その代をもって」
それだけを言葉にし、刀を鞘に納め、片膝をつき跪く。
あとは瞑想するだけ――
「?」
音が消えた。
耳鳴りですら、なかった。
『ひどいね。
――赦しは乞わないよ』
突然の声、だがどこかで聞いたことがあるような声。
混乱よりも懐かしさが込み上げた。
その声に答えようと――
『……美しいな』
今度は、全く知らない声に反射的に目を開けようとする。
だが、体に異物が入ってくる感覚と、まるで金縛りにあったかのように動けない。
しかし、それも一瞬のことだった。
「っ!」
突然の明かりと轟音で目が開いたからだ。
「――――は?」
そんな、間抜けな声が出たのは許してほしい。
なぜなら、目の前の光景が理解できないからだ。
夜だったのに昼になっていて、目の前に知らない滝があるのだから。
白昼夢でも見てるのかと思い、さらに周りを見渡す。
自分の目は正常に見えている。
だが、知らない場所。
こんな混乱の中、咲雪の言葉を思い出していた。
『天井?』
『そう、目が覚めた時、知らない場所で言うお約束』
そう言えば落ち着くから、と意味が分からないこと言ってた。
だから――
「知らない、世界だよ
――咲雪」
そこは、天井どころの話ではなかった。
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